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こんにちは。CINRAの人事・採用を担当している康(かん)です。
コロナ禍により、多くの会社員が自宅で働くことを強いられた2020年。CINRAも3月から早々に全社リモートに切り替えたことで、「リモートワークだからできること・できないこと」が明確になっただけでなく、働き方についてもあらためて見つめ直す機会となりました。
そして私たち、株式会社CINRAは、2020年11月よりオフィスを廃止し、全社フルリモート体制となりました。
今回は、渋谷オフィスを手放し、「ニューノーマルな働き方」に踏み出すまでの経緯や課題、これからの可能性などについてお話しします。
構成:宇治田エリ 編集:市場早紀子(CINRA)
※2023年2月より、週に1度出社する「週1出社制度」を導入しています
康あん美
2015年入社。EC事業部のディレクターとして、バイイング、商品企画などを担当。2018年7月から人事を務める。
本当の意味での「フリー出社」を目指した先に、フルリモートがあった
CINRAでは働き方の選択肢を増やすため、2017年からフリー出社制度を導入しています。そのため、社員が時間や場所にとらわれずに、自分のパフォーマンスが一番発揮できるかたちで働くという土台はできていました。しかし、打ち合わせは基本的にオンラインではなく対面で行うなど、出社せざるを得ない習慣があったのも事実でした。
そこからフルリモートを目指したきっかけは、今年の2月にコロナの影響で全社の勤務体制がリモートワーク推奨になったことです。多くの会社がそうであったように、なかなか浸透しきれなかった「オンライン会議への壁」が、あっという間に解消されました。
感染拡大が広がるなか、CINRAでは完全な収束には2年ほどかかるだろうと予測していました。それまでのあいだ、感染状況によって出社とリモートを繰り返すとなると、社員が生活リズムやワークスタイルをその都度調整せねばならず、大きな負担になってしまいます。
事業面から見ても、オフィスの維持やツールの使い分けなどが何度も発生するため、非効率です。そこで、コロナ対策としての自宅作業をベースにした一時的なリモート体制ではなく、これを機にオフィスを廃止し、完全なフルリモート体制に舵を切り、ニューノーマルな働き方に移行することが、経営的にも社員にとっても良いのではないかと考えました。
働き方の固定観念にとらわれない。CINRAの共通意識とは?
そこでまず5月に、実際にリモートワークで感じた効果や、フルリモートに対する意見を聞くアンケートを全社員に向けて実施しました。アンケート結果の蓋を開けてびっくりしたのが、フルリモート化に対して好意的な意見が9割近くあったことです。
この結果を踏まえて、6月に代表の杉浦から全社員へフルリモート化に向けた構想を共有。7月には2回目のアンケートを実施しましたが、5月と変わらず好意的な意見が多く寄せられました。
▼実際のアンケート結果
フルリモートのメリットとして多かった意見は、「通勤時間がなくなったことによるストレスの軽減」。社内には、より住みやすさを求めて郊外へ引っ越した社員もいます。また、通勤のために移動せずに済むうえ、自分の時間も増えるので、心身の健康が向上したという声も数多く挙がりました。
ですが、このようなアンケート結果になった一番の理由は、仕事を「オフィス」や「時間」などの固定観念でしばりたくないという代表の考えと、社員の働き方に対する価値観がマッチしていたからだと言えるでしょう。社員のなかには、もとから実施していたフリー出社制度や副業制度に魅力を感じ、入社を決めた社員も多くいます。
こうして、より柔軟に働き方を進化させたいという経営陣と社員の気持ちが概ね同じ方向であったことがあらためてわかったので、本格的なフルリモート業務をスタートさせるべく、CINRAは動き出したのです。
「フルリモート=ひとりで自宅作業すること」ではない
はじめに社内でフルリモート化プロジェクトのためのチームをつくり、考えられる課題の洗い出しを行いました。以前、コロナ禍での取り組みについての記事でもお話したように、CINRAはどんな状況下においても、質の高いパフォーマンスを発揮するために、アイデアを出しながら自主性を持って動ける社員が多いのが特徴です。そこを活かして、社員目線でより働きやすい環境づくりのために、3つの施策を実施しました。
1.社内ガイドラインを明文化
2.外部サービスを有効活用
3.インナーコミュニケーションの促進
1. 社内ガイドラインを明文化
フルリモート体制は、基本的にまわりに仲間がいない状況。つまり、社員自身が責任ある行動をとる必要があります。フルリモートで社員が働き方や行動を迷わないよう、会社はフォローする存在でなければいけません。そこで、社内ガイドラインをフルリモートに向けた内容にアップデートし、これまで各自の裁量でなんとなく進めていたことなどもあらためて明文化しました。
【具体的には】
・機密情報を外部に漏らさないためのセキュリティーガイドラインを、リモートワーク仕様にアップデート
・新入社員に向けた教育カリキュラムを作成
・業務を円滑に進めるためのコミュニケーションスキルをリスト化
・評価制度の見直し
など。
2. 外部サービスを有効活用
オフィスを廃止することで、印刷やオフラインでの打ち合わせスペースの確保など、細かいけれど重要な設備の課題が出てきます。それを解決するために、印刷業務を行える「アクセア」や、レンタルスペースを予約できる「スペースマーケット」など、活用できそうな外部サービスを積極的に導入しました。
縮小したオフィスを設けて従来通りの設備を整え、必要なときにだけ出社するのでは、かたちばかりのフルリモートになってしまいます。社員が快適に働くためには、外部サービスを導入したほうが、より一人ひとりのワークスタイルに柔軟に対応できるのです。
3. インナーコミュニケーションの促進
フルリモートであっても、多様なカルチャー背景を持つ社員同士がコミュニケーションを通じて理解を深め合い、帰属意識を保てることが理想。なので、今年の4月から毎日実施している、チーム内で朝にひとこと交わす「チェックイン制度」のほかに、以下のような社内コミュニケーションの取り組みを行っています。
【具体的には】
・社員をゲストに迎えた社内ラジオの配信
・毎週月曜の全社朝会で、各事業部の案件実績を共有
・社員それぞれの入社日をお祝いする「CINRA ANNIVERASRY」
など。
これまでCINRAでは、自社のミッション・バリューを根づかせるための施策も積極的に取り組んできました。「オフィス」という場所がなくなったいま、会社と社員をつなぐ役割として、ミッション・バリューの浸透により力を入れていきます。
▼社員1名と人事である私とで雑談をしながら、その社員について紹介をする社内の配信ラジオ「かんかんラジオ」の一幕
そして今後は、オンライン上の施策だけでなく、定期的に全社員やチーム単位で集まって交流する施策も予定しています。「フルリモート」は決して「自宅作業」にしばられるものではありません。CINRAが目指す「フルリモート」は、オンラインとオフラインを有効的に使い分けるスタイルです。
「とりあえず出社する」という惰性の習慣を断ち、一人ひとりが集中して業務と向き合う。それと同時に、オンライン上で社員や会社に対する理解を深めておくことで、実際に会って話したりミーティングしたりすることの価値や質が上がるのです。そしてこのメリハリが、帰属意識と、仕事の効率を高めるのだと考えています。
オフィスからの解放は、より広い世界を知れるチャンス
私たちは、フルリモートという働き方は、社員一人ひとりの可能性を広げていく糧になると信じています。これまでは渋谷に拠点を置いてきましたが、これからは「渋谷」という場所に縛られないことで、多様なカルチャーに触れる機会も広がります。たとえば、いまストリートカルチャーが盛んな地方都市があったとした場合、実際にその場に行ってリモートで働きながら、その土地の空気を感じたり、現地の人とコミュニケーションしたりして、学ぶこともできるのです。
▼感染対策に気をつけながら、さっそくワーケーションにトライした社員も
さらに場所の縛りから解放されることは、人事の可能性を広げることにもつながります。これまではオフィスに通える範囲の人材しか採用できませんでしたが、今後は東京のみならず、日本中、さらには世界中で暮らす人たちと一緒に働くことも可能だと考えています。これまで社内になかった新たな知見やスキルを持つ人材と出会えるチャンスなのです。
働き方を時代に合わせて変化させることは、社内制度の変更やインフラの整備など、大きな負荷もかかります。ですがそれ以上に、会社や社員の成長を促す大きな可能性を秘めているもの。私たちもまだトライアンドエラーを繰り返している段階ですが、これからフルリモートのクリエイティブ企業として、さらなる進化を目指し、恐れず挑戦し続けていきます。
▼旧道玄坂オフィスのエントランス