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CINRAのクリエイティブチームには、アカウントプランナー、ディレクター、エンジニア、編集者が所属し、受託案件のウェブサイト制作や、グラフィック、映像、イベント制作などを行っています。ディレクターは、社内外のクリエイターとともに、それらの幅広いプロジェクトを指揮していく仕事です。
3年前に入社し、現在はチームのマネージャーも務める橋本健太郎と、入社9か月の小河原万里花は、前職で培ったディレクター経験を活かしてCINRAに入った転職組。そんな二人に、CINRAに転職したきっかけや、現在のディレクターの仕事について語ってもらいました。
橋本健太郎
1981年生まれ。武蔵美術大学建築学部を卒業後、建築事務所や雑貨メーカーのEC担当、ウェブ制作会社のディレクターなどを経て、2015年にCINRAに入社。福島県の外国人向け観光サイト『I PLAY FUKUSHIMA』をはじめ、おもにインバウンド向けウェブサイトのディレクションを担当。最近、猫の兄妹と暮らし始めた。
小河原万里花
1991年生まれ。大学在学中よりウェブ制作会社にインターンで参加。雑誌の代理店とウェブ制作会社を経て、CINRAのディレクターとなる。ディレクターとして課題解決にコミットする傍ら、東東京のカルチャーやクリエイターの情報収集にいそしむ。
「若いうちから、一人で案件をハンドリングする経験を積める会社で働きたかった」
―二人がCINRAに転職したきっかけは?
橋本:前職でもウェブディレクターをやっていたんですけど、ひと通りのサイト制作を経験して、次のステップを考えていました。前の会社はウェブ制作のみを淡々と続けているようなところがあって。ぼくはいろいろなことに挑戦したい性分なので、それでは飽きてしまうし、ウェブはスピード感のある業界なので、立ち止まっていたらこの先、生きていけないだろうなという危機感があったんです。
CINRAはCINRA.NETなど、一貫したスタンスの自社メディアを多く持っているところが、ほかの会社とは違うなと思っていました。また、ぼくが入る少し前に、早稲田大学のサイトリニューアルの制作実績が話題になっていて、勢いのある会社だなという印象もありました。代表の杉浦や働いている人、会社が若いので、そこにひかれたのもあります。
小河原:私は大学在学中からウェブのデザイン事務所でインターンを始めて、そのまま入社して2年弱働いてからCINRAに転職しました。ディレクターとしてのノウハウはたくさん学べたのですが、一人で案件をハンドリングしていくとか、リスクテイクできるかとか、そういう経験を若いうちからできる会社で働きたいと思うようになったんです。
それで転職活動を始めたのですが、大御所的なディレクターが前面に立っている会社よりも、若い人たちが切磋琢磨して働いている職場を探していました。CINRAはそこに当てはまったことが、いちばん大きくて。それと、自分自身もCINRA.NETの読者だったし、カルチャーに興味があったので、同じ好みを持つ人たちが職場にいると、会社に行くのも楽しくなりそうだなと。私は体育会系の縦社会は苦手なので、文化系のところもいいなと思っていました。
左から橋本健太郎、小河原万里花
―実際にCINRAで働いてみて、前職と仕事内容に違いはありましたか?
小河原:制作するサイトの種類によっても違うのですが、ディレクターの見る範囲が広い案件が多いですね。たとえば、オウンドメディアをつくるとなったとき、まずは先方の要件をヒアリングし、アカウントプランナーが中心となって、メディア全体のコンセプトを策定します。
ディレクターは実制作になった段階で、そのメディアを具現化するために必要な作業を洗い出し、情報設計などを行います。それだけではなく、テストで記事を書いてみるときのライティングや、写真のアートディレクションなども担うことがあります。
あと、CINRAの場合、イベントに関する制作ディレクションまでさせていただいたりすることもあって。前職はデザインのディレクションがメインだったので、そこで学んだクリエイティブのナレッジを活かして、幅広い内容の制作を担当させてもらえることにやりがいを感じています。
―イベントというのは?
小河原:5月に『SNS展 #もしもSNSがなかったら 』というLINEモバイルさん主催のイベントです。そのサイト制作をしたんですが、リアルイベントだったのでデジタルだけでなく、印刷物や垂れ幕など、イベントに付随するいろいろな制作物をディレクションしました。いままではデジタルまわりばかりだったので、そういう経験をできたことが面白いなと思いました。
『SNS展 #もしもSNSがなかったら』イベント会場エントランス
『SNS展 #もしもSNSがなかったら』イベント会場の様子
多様な自社メディアで培われた信頼関係によって、よいコラボレーションが生まれる
―橋本さんは、前職と仕事内容に違いはありました?
橋本:前の会社は3年間務めて、出張が一回もなかったんですよ。それは都内のクライアントがほとんどだったという理由もあるんですが、CINRAはさまざまな地域にクライアントがいるため、月1で5日間くらいの撮影に同行したり、海外に行くこともあったり。また、一貫したコンセプトや世界観で訴求するために映像や写真、コンテンツのディレクションにも関わるので、前職とは違う部分が多いです。
―サイト制作以外の仕事も多いのですか?
橋本:ぼくは動画まわりのディレクションに入ることが何度かありました。沖縄県がクライアントのPR案件では、事前に出演者のオーディションから始まり、撮影場所を決めて、そこに電話でアポを取って、飛行機と宿を手配。現地に着いたらスタッフを乗せて車を運転して、タイムテーブルを管理して、みたいなこともやりました。自分で写真を撮ることもあります(笑)。
―クリエイティブや予算管理などの裁量は、自分でコントロールできるんですか?
橋本:そうですね。そこの折り合いをどうつけるかも含めてディレクションします。前の会社だと、ディレクターはデザインやコーディングのディレクション、進行管理といった、「サイトをつくる」ことだけが求められていたので、そういうことを考える機会もなかったんです。いまは大きな予算のなかでプロジェクトの目的を定め、サイトの制作予算、コンテンツの制作予算、広告予算などを割り振っていくので、何にお金をかけて、自分たちは何をやるべきか、そういうバランスをコントロールしています。
―CINRAで担当した仕事で印象的だったものは?
橋本:ぼくは福島出身なんですけど、いつか地元の仕事ができたらいいなと考えていたので、福島のインバウンド観光PRサイト、『I PLAY FUKUSHIMA』をつくれたのはうれしかったですね。福島は震災の影響が未だに残っていて、どんなにいいところだと伝えても、外国人には簡単に響かないんですよ。
だからサイトのコンテンツでは、「福島」を前面に出すのは一旦なくして、たとえば「桃源郷のように桜がきれいな場所があるよ」と、旅の魅力を前面に出した構成にしたんです。行政による情報発信の場合、「福島の観光スポットです」というのを全面に押し出すことが一般的なので、じつはすごくチャレンジングな見せ方なんですよね。行政のみなさんの考え方や想いを汲み取りながら、一般的な観光サイトとはまったく違うサイトをつくることができました。
『I PLAY FUKUSHIMA』
―小河原さんは瀬戸内のインバウンドサイトを担当しましたよね?
小河原:はい。入社早々に、行政も絡む大きな案件を任せていただきました。『Setouchi Cominca Stays(瀬戸内古民家ステイズ)』は、瀬戸内エリアの古民家を活用した宿泊施設のブランドサイトをつくるプロジェクトです。CINRAでは、コンセプトを決めるところから始まって、ロゴ制作やデザインのほか、施設紹介のコンテンツづくりも行いました。私も橋本と同じように、前職では出張や遠方取材をしたことがなかったので、初めてしっかりした工程表を立て、現地に足を運ぶというコンテンツディレクションを経験しました。
あと、インバウンド向けの英語サイトをつくることも初めての経験だったのですが、理想のアウトプットに仕上げられたのは、会社のリソースがあったところも大きいですね。たとえば、CINRAのコミュニティーからネイティブのライターさんにお願いできたり、サイトのイメージにぴったりなカメラマンさんが見つかったり。やっぱり初めてのところにお願いするよりも、頼みやすいですし、意思疎通もスムーズなので、信頼感のあるコネクションが多いことは、CINRAの強みだなと思います。
『Setouchi Cominca Stays』
橋本:CINRAはECサイトのCINRA.STOREや求人サイトのCINRA.JOBなど、いろいろな業界とつながる自社メディアを持っていて、それぞれに特色があるんですよね。そのアセット自体も強みだと思いますし、そこで持っているコネクションは大きくて。さっき小河原が話した『SNS展』も、自社メディアでつながったアーティストなどに参加してもらっているんですけど、外部の方々がCINRAのものづくりを信頼してくださっているから成立できたと思うんです。
それに社内のスタッフも、外部の方も、共通の価値観みたいなものがあると感じていて。あいまいな表現になりますけど、デザインに詳しくなくても、「いいものってこうだよね」みたいな共通認識が、なんとなくあるんですよね。それは一緒にものをつくっていくうえで、とても大きいなと思います。
―小河原さんは、入社から数か月で大きな案件を任せられたことに、不安はなかったんですか?
小河原:制作するうえで何をすればいいかは、前職の経験でだいたい見えていたので、全体の方向性は見失わずにできたのかなと思っています。わからない部分に関しても、社内の人に聞けば助けてもらえましたし、どうしたらいいかわからなくて途方に暮れるようなことはありませんでした。
ただ、やっぱり制作途中は迷うこともあって。クライアントからの要望を取り入れながら、CINRAとしてのクオリティーを担保するというバランスが難しかったなと思います。デザイナーとも相談しながら、最終的に双方が納得いくかたちで落とし込めてよかったです。
ルーティンワークは少ない。だからこそ、飽きずに仕事を楽しめる
―どういうタイプの人なら、CINRAでの仕事を楽しめると思いますか?
橋本:CINRAの受託案件は、クライアントの指示通りに事務的に進めるような仕事じゃなくて、彼らの課題を本質から考え、かたちにする仕事が多いんです。それはCINRAの持つコンテンツ力だったり、デザイン力だったりを求めて、クライアントからお声がけいただくことが多いからだと思います。ある程度の裁量をぼくらに渡してもらえる分、ルーティンでやれることが少ないので、常に新しいことをやらなきゃいけないし、勉強もしなきゃいけない。そういうことに責任を持ってものづくりできる人なら、仕事を楽しめるのかなと思います。
―その勉強しなきゃいけない部分で、組織としてバックアップ体制はあるんですか?
橋本:以前はそこが弱かったなと感じていて。いまのディレクターチームは6人なのですが、毎週ミーティングの時間を取って、お互いがどういう案件をいまやっていて、そこで得たものや失敗したことを共有するようにしています。勉強会的なものもしますし、各々が得意にしている分野をほかのスタッフと共有したり、資料化してもらったり。属人的になりがちな部分は、ちゃんとチームとして積み上げられるようにしていきたいなと思っています。
—ディレクターの勉強会で最近、話題になったものありますか?
橋本:この前「GDPR(General Data Protection Regulationの略)についてチームで話し合いました。EUで制定された新しい個人情報に関する法律なのですが、SNSなどの普及によって個人情報の不正利用などが問題視されているんです。つねに情報がアップデートされるIT業界にいると、いままで使っていた便利なサービスが明日から使えなくなるということが起こり得るんですよね。そのときのリスク管理を考えることや、新しい情報にアンテナを張って共有し合うことはとても大切なんです。
―小河原さんはまだ9か月ですが、スキルアップしている感はありますか?
小河原:スキルアップというよりは、仕事に対してのやりがいとか、責任の感じ方とか、気持ちの部分が大きいです。まだ社歴も長くないので、ここがスキルアップしたとは明確に言えないですが、大きな案件をこなすごとに経験値が上がっている実感はありますね。
―ちなみにディレクターも、コードをいじったり、デザインを組んだりなど、専門知識が必要なんですか?
橋本:なくてもできる人はいると思うんですけど、やっぱり最低限の知識は必要だと思います。ぼく自身、自分で理解していないと指示できないタイプだし、勘所みたいなものがないとディレクションできないと思うので。あとディレクターは「自分の強み」を持つことが大事かもしれません。いまのチームメンバーでいえば、広告運用に特化してグローバルなPR企画を立てている人、編集チームと連携してコンテンツまで含めた企画提案をしている人など、「人の強み」を起点にして案件をかたちにしていくことがCINRAの仕事ではよくあります。
―では、CINRAに入って、率直によかったなと思うところは?
橋本:制作陣がプロジェクトに対して常に挑戦的で、飽きがこないことですかね。ぼく、飽きっぽいんですよ。それもあって何度か転職しているので(笑)。あとは、毎回つくっているものに対して、本当に100%満足することがなくて。それは、もっとこうできたなとか、今回は新しくこれをやったから次はこうしようとか、それがあるから続いているのかなと思います。
小河原:私はいい意味で会社がフラットなことですかね。上司と部下という関係性があったとしても、それぞれがリスペクトし合っていて、それでチームもできているという雰囲気がある。自分が知らなかったこととか、できないかもしれなくて不安なところとかも、負い目に感じすぎないというか。そこにストレスを感じずにすむので、若手ではありますが、やりやすい環境です。
―業務以外のことも含めて、最近会社で楽しかったことは?
小河原:昨日も夜にCINRA主催のライブに行きましたが、会社の音楽イベントとかに社員として行けるのが楽しいです。もともと音楽が好きなので、そういう機会があったりとか、それをオーガナイズしている社員に話を聞けたりするのは、CINRAならではだと思います。業務的なところだと、瀬戸内に足を運べたり、展覧会の制作に携われたり、そういうイレギュラーなことがあるのは刺激的だなと思います。
橋本:ぼくはもともと趣味が全然なかったんですけど、最近旅行することが増えたんですよ。それも仕事を理由に行くというか。先日も、台湾の人たちと仕事をすることが増えてきたので、ちょっと下見も兼ねて台湾旅行をしました。地方に出張するときも、仕事でもない限り行かないような土地もあって、こんな素敵な場所があったんだなと発見できるのが楽しいですし、自分の引き出しや興味の幅が拡がっている感じがして、いい経験をさせてもらえてるなと思います。
20代と30代が半々に在籍するディレクターチーム。それぞれが自分の強みや個性を活かして、日々、クライアント案件と向き合っています。経験や年齢を問わず、若手メンバーも大規模案件を担当し、チームの指揮官として活躍しています。
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