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開発出身者が経営に携わったら──。楽天でのマネージャー経験を活かし、次なる挑戦へ|取締役インタビュー・谷内 明雄

セルプロモートの取締役を務める谷内さん。これまで大企業・楽天ではマーケットシェア1位やスタートアップ的な立ち位置等、さまざまなサイズの計15サービスの開発責任者を担当。また2000名以上のダイバーシティ組織の評価制度や新卒・中途のエンジニア採用責任者も担当。その後セルプロモートに新規事業開発部門の責任者として迎え入れられ、2023年からは取締役に。

彼が現在、管掌役員として率いる「タレント&ブランディングマネージメント(以下、タレマネ)」は、エンジニアのキャリア形成を主軸に、従来の評価制度や採用方法などを一新した制度を運用する部署。今回のインタビューでは、彼の独創的な発想と、タレマネの活動がエンジニアの未来のキャリアにどのような影響を与えるのかについて語ってもらいました。

ベンチャー、SES企業…多角的な経験から紐解く、エンジニアが輝く環境とは

──ご自身の幼少期のころのエピソードから聞かせてください。

子どものころは運動が苦手で、性格は内向的だったと思います。アリが食べ物を運んでいるのをじっと見つめていたり、一人で過ごすのもまったく苦ではなかったです。屋内で遊ぶことが多かったので友だちはほとんど女の子ばかりで、シルバニアファミリーで遊んでいたりしましたね(笑)特に絵を書くのも好きで、子どものころの夢は漫画家になることでした。

──エンジニアへの興味を持つようになったきっかけはありましたか?

学生時代にインターネットに触れたときです。HTMLをいじってみて、自分の作ったものが世界中からアクセスできることに、とにかく感動を覚えました。自分の書いた通りの世界が即座に世に出るのはすごいなと。当時から論理立てて考えたりするのが好きだったので、たとえばプログラミングのミスで画面にうまく反映されなくても、結局は自分のミスというところも、分かりやすくて好きでしたね。大学も理系の工学部でプログラミングの経験もあり、社会人キャリアをエンジニアとしてスタートしました。

──過去には、ベンチャーやSES企業での経験もお持ちなんですよね。SES時代に感じていたことはありますか?

はい、20代前半で最初は自社開発でプロダクト開発していたベンチャー企業に2社勤めました。で、2社とも倒産して(笑)そのあと、セルプロみたいなSES、クライアント先のプロジェクトに常駐して働く会社で3年程度働きました。そのときは日本でも有数のアルミニウムを扱う企業で受発注機関システムをJavaで再構築するプロジェクトとかに参画していましたね。そこで働きながら自分が感じたのは、どんなキャリアを目指すかによって、自社開発とSESどちらが良いか分かれるということです。

たとえば、SESだとさまざまなクライアント先のプロジェクトに参画します。多種多様なプロジェクトを通して技術的に多くの経験を積めるため、エンジニアとしてスキルを磨くことができます。それは良いところではありますが、クライアント先での役割は「助っ人」なので、将来的にそこの組織でピープルマネージメント職を目指すのは難しいです。

自社開発は使用する技術とプロダクトが決まってるため、その条件にしばらくコミットできる人にとっては良いと思います。運用が始まっているプロダクトの技術構成を変えるのは規模によりますが、データ移行など本当に大変です。新規開発が止まることも多いので、事業からもネガティブな反応もあります。逆に自社メンバーなので、成果を出して認められれば部下や組織のマネジメントに携われるチャンスはあります。ピープルマネージメント職希望、またはそこのプロダクトが好きなら自社開発に進んだほうが良いかなと思います。

エンジニアを極めたい、プロジェクトマネージメント・ITコンサル等、個人でのスペシャリストを目指すならSESクライアントワークは転職不要でさまざまな企業のプロジェクトに参画できるため、良い選択だと思います。個人スペシャリストではなく組織や人のマネージメントキャリア志向なら自社メンバーとしてひとつのプロダクト・プロジェクトに長く腰を据えてやれるところが良いのかなと自身の経験上思います。

大企業・楽天での挑戦と、セルプロモートとの出会い

──楽天では、計15サービスを開発マネージャーという立場で動かしてきたとお伺いしています。

楽天では「楽天GORA」や「楽天アフィリエイト」「楽天ビューティー」「ヴィッセル神戸」や「楽天イーグルス」などさまざまな15のサービスを手がけました。「楽天Onet」は外部に数百億で売却しましたが、サービス売却プロセスやシステム移管のプロジェクトもすごい良い経験でした。それ以外のサービス開発もそれぞれ大きなチャレンジがあり、それを乗り越えることで多くを学ぶことができました。でも、一番の挑戦は英語でしたね。実は、私はもともと英語が嫌いで、理系を選んだ理由のひとつでもありました。しかし、楽天に入ってから、社内の公用語が英語になるという、いわゆるイングリッシュナイゼーションに直面しました。

最初は戸惑いましたが、英語を学ぶことで、世界中の人々とコミュニケーションをとることができるようになりました。30カ国、40カ国の人々と働く機会は、私にとって非常に価値のある経験でした。英語学習は最初は大変でした。でも、英語を学ぶことで、楽天のようなグローバルな環境で働くための扉が開きました。今では英語が話せることに感謝しています。多文化なチームとのマネージメント経験は、私の視野を大きく広げてくれましたし、今でもNetflixのアメリカドラマを英語字幕で見るくらい英語は好きになれました(笑)

──では、なぜ楽天をご退職されたのでしょうか?

楽天を離れた理由は大きく2つあります。1つは40歳も過ぎて現役時間も減ってくるなか、企業に大きなインパクトを与えるポジションで意思決定の経験をしたかった。経営に近いポジションですね。楽天では部長でしたが、経営層は、社長、副社長、専務、常務、上級執行役員等の役職が上にたくさんあるんですよね、グローバルの大きな企業でしたから。

その中で正直、数年経って仮に執行役員になれたとしても、50歳も見えてきて、そこまでバリバリやるエネルギーもないし、そもそも経営に携わるには全然遠い(苦笑)。そこで転職しても遅く、楽天で望む経営をやる機会は難しいと判断しました。

もうひとつは、開発出身者として会社経営や事業をやったらどうなるのか、ずっと興味があったんです。日本の会社って営業出身者が経営するケースが多いじゃないですか。開発出身者がCTOではないボードメンバーとして経営マネージメントをやったら、どうなるかやってみたかった。アメリカだとGoogleやMicrosoft、Metaなどはテクノロジー出身の人がCEOになることも多く、全然規模は違いますがそこに挑戦して経営だけでなく自社プロダクトも開発し、会社を成功させてみたいなと。

──セルプロモートへ参画を決めたきっかけを教えてください。

最初の出会いは、僕が楽天で働いて3、4年目くらいのとき、林さんが新卒2年目くらいで私のところに営業しに来たんですよ。そのとき、私は開発のマネージャーをやっており、協力会社の人たちの採用も担っていました。当時から林さんは、なんかちょっと変わった青年で、面白い人だなと。それがきっかけとなって、業務関係なく半年に1回くらい2人で飲みに行ってました。

林さんは、一流の大企業で働くことに憧れてて、私が課長・部長をやっているのを見て、凄いなと思っていてくれたみたいです。反対に私は当時から経営に興味を持っていて、林さんは実際に独立や起業して実践している人だった。だから彼との関係は、お互いに憧れというか、羨ましさを持っていた感じですね。だから、彼がセルプロモートを起業した話とか聞いて凄いなと漠然と思ってました。

セルプロモートへの参画を決めた具体的なきっかけでいうと、とある日に林さんと飲みに行ったとき、上場を目指していると言って、新規事業の担当者を探しているって話をしてくれたんです。その後もう1人の取締役も紹介してもらい、そこで話が進んで実際にオファーをもらいました。

当時は別の仕事の仕事も区切りが付いて、次のステップとして他企業からオファーも幾つか頂いてましたが、開発だけではなく新規事業の責任者で且つ経営に携われ上場という明確なゴールもあり、自分にとって魅力的なオファーでした。そのときには会社経営をやりたい気持ちも強く、開発出身の人間が経営・事業にどこまでインパクト与えられるか挑戦してみたいと決心しました。開発のスキルと経営の知識を活かして、新しい事業を立ち上げ、会社をドライブさせ上場させる役割は、まさに私が求めていたチャレンジでした。

「スポーツエージェントのような唯一無二の集団に」タレマネ設立にかける想い。

──谷内さんが入社した当時は、おもに新規事業の立ち上げに携わられたと聞いています。

そうですね、最初に林さんからお願いされたのが、新規事業開発本部の立ち上げでした。最初は僕ひとりしかいなかったので、プロダクトの調査・企画を行ったり、1人で開発してGoogleのクラウド上でプロトタイプを作ってフィードバックをもらったりしてました。現在はメンバーも増え、部署の名前も変えて「テクノロジーアンドデザイン(通称、TD)」として、自社開発だけでなく、社内情シス、クライアントのネットワーク支援など、社内外問わずITテクノロジーに関連した業務を幅広く包括する部署として拡大しています。

──そこから、新たにタレマネも管掌されていますね。立ち上げの背景について教えてください。

エンジニア採用や既存メンバーサポート体制等で課題が社内で乱立していたとき、楽天時代のHR経験を活かして貢献できるのではと経営陣で話したのがきっかけです。

どうせ真剣に管掌役員として取り組むのであれば、よく見掛ける口だけではなく、エンジニアキャリアに会社として本気でコミットするスポーツエージェントのような存在の唯一無二のHR集団を作りたいと考えました。

また多くの会社では、人事部門がバックオフィス扱いですが、私はその印象を変えたかった。バックオフィスではなく、人材を扱う重要ポジションを果たす重要な役割、会社のフロントとして位置付け、多くの人が希望する花形ポジションにしたかったのです。その為、名前も人事やHRではなく「タレントマネージメント」という英語にしました。

上場という観点でいうとマーケットバリューを出すには他社との差別化が大事です。差別化として新規事業も管掌しており、自社プロダクト開発も進めていますが、もちろん簡単ではなく、時間もかかります。上場も2026年と迫っている中で、どうにか早期に差別化を図りたいと考えたとき、人事組織や仕組を徹底的にコミットして差別化する事で、他社が簡単にマネできない価値を創れるのではと考えました。

──タレマネを立ち上げてから、まず一番最初に取り組んだのはどういったことでしたか?

タレマネでまず一番最初に取り組んだことは、SESクライアントワークをしているエンジニアが抱えている課題の抜本的解決でした。具体的には、客先常駐が基本なので会社とのコミュニケーションレス・ミスや評価者が現場にいない場合の納得感のない評価制度、将来のキャリアパスが不透明など、大きな問題が山積みでした。

この問題を解決するには既存に対して小手先の改善ではなく、1からの再構築が必要と感じていました。幸い私は、エンジニア出身で楽天で評価制度や育成・採用にも関わっていましたし、クライアント先常駐での経験もあるため、ある程度エンジニア側で課題を捉えることができました。タレントマネジメントを始動させるタイミングで、組織だけでなくエンジニアに関わる人事制度の刷新プランを考案し、数ヶ月かけてシュミレーションを自身でやってきました。

タレマネの働きかけによって大きく変わる、SESエンジニアの未来

──タレマネの活動が、エンジニアにどのような影響を与えるかお伺いしたいです。

まず、コミュニケーションですね。いままであまりにもコミュニケーションの質・量が少なすぎた。上場を目指していることすら知らない、会社の業績なども把握していない。またエンジニア側の状況やキャリア相談に対しても会社として十分なリソースを掛けられているとは言えなかったです。

そこで最初に、エンジニア1人1人にタレマネ担当を付けました(新しく入社される方にはオンラインで実施する中途入社式で担当が発表されます)。エンジニアと担当タレマネは毎月必ずオンライン・オフラインどちらかで1on1を1時間ほど行います。そこでプロジェクト状況やコンディション・キャリア志望の変更有無などのヒアリングを実施。またタレマネからは会社近況やイベントの案内など双方向での情報交換を行います。1on1での結果は経営陣やクライアント営業にも共有され、各エンジニアの次のプロジェクトの選定を毎月2回、経営陣も入って話し合います。

また、『エンジニアStand Up Meeting』というエンジニアが全員参加する毎月1回のオンラインミーティングもあり、ここではCEOメッセージやクライアント営業部長からのクライアントワークで需要が高まっているポジションや技術についての共有があります。エンジニア発のトピックもあり、盛り上がります。

──コミュニケーション改善の他にも、制度改革に取り組んでおられるとお伺いしています。

そうですね。特に、評価制度は大事な改革ポイントでした。同じ場所で働いていないメンバーの評価は簡単ではありません。どうやっても納得感のある評価を提供するのは難しいです。そこで我々はプロジェクト先でのアプリケーションエンジニアやプロジェクトリーダー、コンサルタント等の担当ポジションとお客様から頂いている単価の組み合わせで給料が決まる新しいキャリアラダーを作成し、さらにそれを社内に全公開する決定をしました。

これを実施するためには当然、エンジニアに単価も共有する必要があります。業界的には本人が単価を知らない、知らせないが多いと思いますが、このガラス張り評価を実施する為には非公開はありえません。経営として全て公開しようと決定しました。

情報が社員に開示される事は会社として良いことですが、エンジニアにとっては現実を知る側面もあります。しかしエンジニアがキャリアに対して真剣に考え、長期的な展望を持てるようになるには、まずプロとしての現在のマーケットバリューをしっかり認識することが重要です。これが、今後のキャリア構築の大きなファーストステップになります。自分の単価やクライアントからの評価をより具体的に知ることで、自身の成長のために考え方や取り組み方が変わり、常に現状に満足せずアクションしていく環境の土台ができたとセルプロモートとしては考えています。

またこのラダーは給与を決める評価だけでなく、各エンジニアが今後どうやってキャリアを作っていくかの指針にもなります。アプリケーションやインフラエンジニアから設計業務を経てPLやPMのプロジェクトのスペシャリスト、PMOやITコンサルタントクライアント課題から取り組むスペシャリストといったそれぞれの方向にステップアップできることを、明確に会社のキャリアステップ事例として提示しました。先ほどの通り、ポジション・単価に連動した給料もすべて記載してあるので今後のライフプランも立てやすく、成長に対してのモチベーションにもなります。

同時に、今回エンジニアには入社後から支給される勤続手当も新たに設けました。会社全体としての家賃補助などの手当は大手企業にもひけを取らない、長く安心して働ける待遇を実現しました。興味ある方はぜひ弊社までお問い合わせください。

──最後に、タレマネが掲げているミッションについて教えてください。

私たちのMissionは、エンジニアにプロとしてキャリアを築いてもらうことです。そして我々も伴走者としてプロのエージェントになる必要があります。タレマネ内では、『Together To The GOAL』をミッションに掲げています。

昨今、多くの求人広告で「キャリアアップ支援」と見かけますが、実際は実現に向けて真剣に取り組んでいる企業はごくわずかだと思います。実際に以前のセルプロも同じで、会社として全力で取り組めてはいませんでした。これを繰り返してはいけないですし、SESクライアントワークの事業会社として業界イメージをポジティブに刷新するインパクトを与えるフロンティア企業を真剣に目指しています。

今回の人事制度改革はまだ第一歩です。エンジニアにとってプロスポーツ選手のエージェントのような存在になるためには、まだ実現すべきことは多々あり、タレントマネージメントも大きな成長が求められます。セルプロモート自身も上場に向けて更にアクセルを踏み込んでいく必要があります。このエキサイティングな環境・本日お伝えさせてもらった考え方にエンジニアの方が1人でも多く共感、賛同していただき、共に成長していければと経営陣の1人として毎日考えています。

正社員に限らず、フリーランス独立支援、起業支援などの実績も多数ありますので、皆様のこれからの多種多様な働き方のパートナーとしていつでもお気軽にご相談ください。お待ちしています。


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