Shunta WATANABE 研究開発本部 応用研究部 研究員
1999年大分県生まれ。幼い頃から二輪車に強い関心を持ち、大学卒業後、
二輪車用クラッチの分野で世界シェアNo.1を誇る株式会社エフ・シー・シーに入社。
新事業開発部にて、新規製品の製造方法検討・試作・評価に取り組む。
2023年、カーボンナノチューブ(CNT)を用いた新価値創出プロジェクトの拡大に伴い、
投資先であるカーボンフライへ出向。CNTとカーボンプリプレグを融合した
ハイブリッドプリプレグ(CyFT)の研究開発に従事。 夢は、この素材が「MotoGP」や「F1」で採用され、カーボンフライのカーボンナノチューブを全世界に広めること。
今回ご紹介するのは、Labチーム・応用研究部に所属する研究員の渡部さん。
現在はハイブリッドプリプレグ「CyFT」の開発を軸に、
ジョブローテーション制度『F4』ではFilmチームのリーダーも務めています。
ただ机に向かうだけの研究者ではなく、
セールスと現場をつなぎながら、プロジェクトをリードする“実践型エンジニア”
そんな渡部さんの想いやキャリアの軌跡を、じっくり伺いました。
目次
これまでのキャリア(カーボンフライに転職するまで)
カーボンフライへの出向。率直な気持ちは…
出向から転職。迷いとの葛藤
カーボンフライの研究部はどんな人がいますか?
カーボンフライでの今後の目標は?
これまでのキャリア(カーボンフライに転職するまで)
もともと乗り物が好きで、特に二輪に強い関心がありました。
バイクには学生時代からよく乗っていて、父や祖父が乗り物好きだったこと、そして兄がバイクに乗り始めたことが自然と興味を持つきっかけになりました。
就活では他の二輪メーカーも受けましたが、いまいちフィットせず……
それでも「やっぱり二輪に関わりたい」という気持ちが強く、業界でも高いシェアを誇るエフ・シー・シーに新卒で入社しました。
学生時代はF1などのレースカーにも惹かれていて、どちらかというとガソリンの匂いがするような「動く機械」としての魅力に惹かれていました(笑)
自分自身がレーサーを目指したいというよりは、機械の仕組みや中の部品、構造に興味があり、
大学では機械工学を専攻。図面を引いて設計したものが実際に形になるという過程がすごく好きでしたね。
エフ・シー・シーでは設計職を希望していたのですが、配属先は入社式までわからなかったんです。
勤務地だけは浜松と決まっていたので、複数の工場にアクセスしやすいエリアを選んで住みましたね。
今思うと、けっこうギャンブルでした(笑)
結果として配属されたのは生産技術の部署。正直、設計希望だったので少し残念な気持ちもありましたが、大学時代の研究が「モノを作って評価し、改善してまた試す」という内容だったので、生産技術との親和性が高く、後から納得感はありました。
その後、生技研究部に異動し、新しい製品に関する試作や加工精度の評価、製造方法の検討などを担当。最終的にはそれを生産現場に落とし込むという役割で、トライアンドエラーを繰り返しながら、アイデアをかたちにしていく面白さを感じていました。
カーボンフライへの出向。率直な気持ちは…
この出向は、会社に言われたからではなく、自分から希望して手を挙げました。
全社向けにカーボンナノチューブ(CNT)に関するプロジェクトの説明会があり、行きたい人を募っていました。もともとベンチャーに興味があったこともあり、これはチャンスだと思って応募しました。
部長からも声をかけてもらい、背中を押されるようなかたちでしたね。
入社2年目で、まだ若いうちに新しい環境に飛び込めるのは貴重だなと思っていましたし、
「今のうちに色々経験しておきたい」という気持ちが一番大きかったと思います。
実際に出向してみて最初に感じたのは、「なんだか大学の研究室みたいだな」と思いました。
エフ・シー・シーでは時間も管理もきっちりしている一方で、
カーボンフライは、フレックス制で自由度が高く、コアタイムはあるものの、働き方に柔軟性がかなりありました。先輩たちともフラットで話しやすく、気軽に相談できる雰囲気があって、とても働きやすかったですね。
ただ、研究室との大きな違いは「成果が求められる」という点。
取引先も多く、自分の言動ひとつにちゃんと責任が伴う感覚があったというか。
エフ・シー・シーでも新規事業開発に関わっていましたが、そちらは既存の事業が堅調だった分、新しいチャレンジには多少のゆるさもあったような気がします。
一方で、カーボンフライでは結果や数字がすぐ近くにある感じで、
「これは本気で成果を出さないといけない場所だな」と強く感じました。
振り返ると、出向というより「実践の場に飛び込んだ」という感覚に近かったです。
自分で決めてよかったなと、今でも思っています。
出向から転職。迷いとの葛藤
転職を決めるにあたって、そこまで迷ったという感覚はあまりありませんでした。
大きなきっかけは、やはり出向中にカーボンフライがどんどん変化していったことですね。
上場を見据えて組織体制がどんどん整えられていき、人も増えていく中で、
「この変化の中に自分もちゃんと関わっていたい」と感じるようになりました。
最初は外部の立場でしたが、いつの間にか「中に入りたい」という気持ちが自然と芽生えていたんだと思います。
また、自分が担当していたハイブリッドプリプレグ(CyFT)のプロジェクトが、当時はまだ思うように進んでいない状況もありました。
途中で諦めるのが嫌な性格で、「やるからには、最後までちゃんとやり切りたい」という気持ちが強く、
これが転職を決めた一番の理由かもしれません。
出向の2年間は、ある意味「お試し期間」のようなものでもありました。
実際に現場で働き、チームの雰囲気や事業の進み方も見ることができ、そして30歳目前。
「今このタイミングを逃すと、次はないかもしれない」とも思いました。
もちろん、不安がゼロだったわけではありません。
エフ・シー・シーという大きな会社の後ろ盾がなくなることに対して迷いは正直ありましたが、
それ以上に「このプロジェクトをなんとかしたい」という気持ちのほうが勝ったんです。
「最悪会社がなくなっても、なんとかなるだろう」と思えるくらい、やりたいことが明確になっていました。
カーボンフライの研究部はどんな人がいますか?
全体的にフラットで、すごくフランクな雰囲気ですね。
距離が近くて相談もしやすくて、働きやすい環境だと思います。
ただその一方で、成果や責任にはみんなしっかり向き合っていて、メリハリのあるチームでもあります。
同じ応用研究部のメンバーでいうと、関口さんは完全に“兄貴”って感じです(笑)
経験も豊富で頼れるし、物事の考え方や感覚が自分と似ている部分も多くて、
プライベートでも一緒に遊んだりすることもあるくらい。すごく自然に付き合える先輩です。
于さんは、“先生”のような頼れる存在で、
自分では解決できないようなトラブルに出くわしたとき、いつも助けてもらっています。
僕自身としては、「一緒に働きたいな」と思うのは、
好奇心が強くて、ちょっとしたことにも「なんでこうなるんだろう?」と深掘りできる人。
あとは、自分が機械系出身なので、自分の弱い部分を補ってくれるような人だと、すごくありがたいです。
いろんな視点や専門性を持つ人が集まっていることで、チームとしての厚みが出ると思っているので、
「自分とは違うタイプだな」と思う人ほど、一緒に働いてみたいですね。
カーボンフライでの今後の目標は?
まず一番の目標は、
いま携わっているハイブリッドプリプレグ(CyFT)のプロジェクトを成功させることです。
まだ課題も多く、特にフィルム工程やプリプレグへの変換工程で
「どうやって安定して品質の高い製品をつくれるか」を突き詰めたいと思っています。
製品の精度や性能をしっかり上げて、
最終的には「これ欲しい!」って言ってもらえるような製品に仕上げたいですね。
あとは、CyFTがドローンやバイクみたいな、自分の好きな分野に使われたら最高だなと。
たとえばテレビで映っているものの中に、自分が関わった素材が使われていたら…
ちょっと感動すると思います(笑)
そのためには、やはり仲間が欲しいなと思うこともあります。
各工程に専門性が必要で、自分ひとりでは手が回らない場面もあるので、
チームとして力を合わせていきたいですね。
繰り返しの作業もとても多く、ストレス解消に弓道をまた始めようかなと思っています。
弓道の弓ってカーボンナノチューブが使われているんですよ。
いつかカーボンフライのCNTで弓が作れたらいいですね!
個人的な目標としては、物事をもっと多角的に見られるようになりたいと思っています。
同じ作業ばかりしていると、思考も偏りがちになるので、
「どうしたらもっと楽に、よくできるか」を常に考えていきたいですね。
それが結果的に、チームや自分自身を楽にしていくことにつながるはずだと思ってます。
渡部さん、ありがとうございました!
カーボンフライでは、カーボンナノチューブの可能性を信じ、共に未来をつくる仲間を募集中です。
あなたの知識と好奇心が、次のイノベーションを動かすかもしれません!