先日、プレスリリースを行いましたが、日本ベンチャーキャピタル(NVCC)様およびJR東日本スタートアップ様より、資金調達を実施しました。
もともと創業時はC向けサービスを行なっていましたが、法人向けにピボットしてから約1年が経過します(昨年の6月9日にリリース)。この調達に到るまで、毎日苦しくもありながら、ただ、自分たちチームがもっている可能性を心から信じているので、なぜかワクワクもしている日々でした。
今日は今回の調達までの経緯を簡単に紹介しながら、バックテックが普段どう働いているのか理解頂き、『こいつらと一緒にやってみたいぞ!!』『なんかワクワクしてきたぞ!!こいつらと話したい!』と思っていただければと思い、机に向かっています。
Problem-Solution Fitの検証
先ほども書きましたが、創業して1期目はC向けのプロダクトを開発・運営していました(腰痛持ちが自分にあった治療家を探せるサービス)。しかし、色々な課題が生じ、KPIも達成できず、、、という苦しい時期が続きました。今の事業を続けるのか、それともやめるのか、もう少し様子を見てみるのかなど、かなり葛藤しました。シード期から支援いただいているCAVの竹川さんとは毎週MTGをしていたのですが、KPIのことは特に言われず、『それでユーザーのどんな課題が解決できるんだっけ?』という徹底的なユーザー目線からのコメントをたくさんいただいていました。このときを振り返ってみると、初期フェーズにKPI達成とかスケールとか言う前に、目の前のユーザーの期待値を超えて、感動させているのかが重要ということを教えてくれていたのだと思います。ここで学んだ意識が、今ではチーム全体にも浸透し、こうゆう機能をリリースした!という報告に加えて、それでユーザー体験がどう変わるかを開発メンバーもコメントを必ず添えるようになってきています。
そんなこんながありまして、事業戦略を練り直した結果、ビジネスモデルを法人向けにピボットすると決めました。このピボットはかなり悩みました。というのも、これまで”自分たちが必死に作ってきたプロダクトを捨てる”という意味でもあったためです。苦労して作ってきたプロダクトを捨てることはかなり勇気がいりましたが、『社長が言うなら分かったよ』と各メンバーが理解してくれて、法人向けの新プロダクトをプロトタイプ開発から再始動することになりました。
ピボットするかどうかの判断の軸は、『涙を流してでも、このプロダクトを使いたい!』というユーザーがいるか?と考えたときにその答えは『NO』であるという判断をし、思い切ってピボットしました。手元にある資金は日々少なくなっていってましたので、次のファイナンスまでにはProduct-Market Fitまで行かなければ次がないと思い、必死に新しいプロトタイプ開発に取り組み、まずはProblem-Solution Fitの検証に注力しました。
Problem-Solution Fitで最重要なのは、『絶対に解決したい課題』と、『絶対に欲しい最適な解決方法』を見つけることだと考えています。
ここで勘違いしたくないのが、自分たちの考えるアイディアが最高に決まってる、顧客はこれを選んでくれる!と思ってしまうことです。それは例えば腰痛一つにしても、その人にとって解決策は病院、接骨院、整体、マッサージ、筋トレ、薬局で手に入る塗り薬、安静にして我慢するなど、色々な選択肢があるからです。サービスというのは、その中から選ばれなければ意味がありません。そのため、ユーザーが絶対にほしい最適な解決策であることが重要です。
これらを検証するために、まずペルソナから再設定しました。
これはあくまで事例で掲載しておりますが、いつも、このような形でペルソナをまとめています。また、より具体性をもたせるために、共感マップというものを利用することもあります。これは、そのペルソナが、何を見て、何を聞いて、何を考えているかなどということをチーム全体で共通認識を持つときに役立ちます。
このペルソナが出来上がったら、次にValue Proposition Canvasを書きます。
これは社内のメンバーそれぞれが案を持ち寄り、ときには付箋で意見を出しながら、最終的には全員の共通認識を確認した上で意思決定するようにしています(投票で決めるときはプロダクトマネージャーの金丸が2票もっていて、あとは1票ずつ案に投票できるなどルールを作っています)。
これがある程度固まったら次に検証すべき仮説を立て、インタビューシートを持ってペルソナに近い人にヒアリングです。インタビューシートでは、サービスのコンセプトや検証したい仮説などをしっかりと準備していきます。ヒアリングの成果は準備が9.5割ではないかと思うほど、準備や練習が必要だと思っています。
ここでいつも注意しているのが、自分たちの頭の中ではValue Proposition Canvasがある程度作れていて、こんな機能が必要かも?という仮説を持っているため、それがユーザーに認められるかを検証しようとしてしまいがちです。ひどいと、『こうゆうアイディアなんですが、どうですか?いいと思いませんか?』というように、熱意が前面に出てしまい、正しい仮説検証ができなくなってしまうことがあります。これには本当に注意しなければなりません。
ヒアリングの基本は、『ユーザーに弟子入りして、全てを学ばせていただく』姿勢だと思っています。ヒアリングに慣れていないと、どうしても誘導尋問になるため、社内で練習したり、実際のインタビューを録音して、聞き返すことでいかに誘導的な質問をしているかを正すように、みんなで練習してきました。これがなかなか面白くて、自分で聞き返すと、『こんなに誘導尋問してるのか!』とびっくりするほどです。
また我々のスタンスとして、ヒアリングしているものの『ユーザーは答えを知らない』という前提で話を聞いています。ヒアリングすることと、その意見をプロダクトに反映することは別です。あと日本人はだいたい『いいね!』と言います(笑)だからヒアリングって超難しいのです(笑)。
ヒアリングしていて、『こんなサービスが欲しい!』と言われたとしても、ユーザー自身の意識として顕在化しているものは、競合がヒアリングしても同じ情報が手に入ってしまい『なぜ我々しかこの事業ができないのか。誰も気がついていない真実は何か』という質問に説明ができなくなってしまいます。
そのためバックテックがヒアリング上で大切にしていることは”インサイト”です。声にならない、そしてユーザー自身も気づいていないキーインサイトを特定することがイノベーションに繋がるようなプロダクトづ作りには必要かと思います。キーインサイトの分析もかなり練習が必要で、これから学ばれる方は、こちらの本がオススメです(「欲しい」の本質INSIGHT)。
ある程度、仮設検証に磨きがかかったら、カスタマージャーニーを作成して、ペーパープロトタイプやワーキングプロトタイプの作成を始めます。ここでエンジニアがコードを書き始めると、無駄な工数になることが多いので、あくまで検証のためのプロトタイプ作成で十分だと思っています。プロトタイプはコードが書けなくても1日あればある程度は作成できるため、仮説検証のためにできる限り早く作成した方が良いと思っています。
ワーキングプロトタイプを持って、ヒアリングをした方々に再度会いに行くのですが、なぜこのような形でもっていくかというと、これは実際のプロダクトを目の前にしないとユーザーは価値を感じたり、気づいていなかった課題の認識ができないからです。
例えばですが、仕事を終えて帰宅すると、カバンから家の鍵を探して鍵を開けるわけですが、これは特に苦痛とは私たちは認識していませんでした。しかし、Akerunのようなリモートロックが誕生すると、それを利用した人は、これまでしてきた、カバンから鍵を探す面倒さ、わざわざ鍵穴に鍵を通す面倒さに気がつくわけです。なので、実体験しないとわからないことは山ほどあります。
またワーキングプロトタイプを使った検証では、触っている画面を録画したり、表情・仕草を録画したり、触ってもらいながら、『どこ押せばいいんだ?』『んーよくわからないな』『これってどうゆう意味だ?』というように、感じたことを率直に声に出してもらいながらプロダクトを触ってもらうことで、改善点等の検証をしていきます。
このようなヒアリングでは、ヒアリング対象者を増やすよりは、特定の5名くらいの人に、開発プロセスに入りこんでもらい、協力してもらうことが重要であり、この人たちの中で一人でも、お金払ってでも使いたい!と思ってもらうことが大切なことかと思っています。
ここまできたらようやく開発メンバーがコードを書くようにしています。いつも、ここまでは役職・職種関係なく、全員で仮説検証・プロトタイプの作成・ヒアリングなどをしています。私もエンジニアではないので、コードは書けませんが、仮説検証であったり、プロトタイプの開発はできるため、積極的にしてきました。
https://www.wantedly.com/companies/backtech/employee_interviews/65534
Product-Market Fitの検証
次にすべきことはサービスをリリースして、Product-Market Fit(PMF)を達成することです。
PMFの検証ために、ありきたりですが、Net Promotor Score(NPS)の検証・プロダクトのコアバリューのKPIの検証・Retention Curveの検証を実施しました。
長くなるため、前者の2つは省略しようと思いますが、リリース当初はNPSは低く、KPIと設定していたチャット数も伸びませんでしたが、ユーザーのfact dataから仮説をたて、それに対して打ち手の検証を日々繰り返しやってきました。だいたい2日ごとに改善のリリースをしていた開発メンバーはバックテックの宝です!ただ色々と施策を実行しても毎日課題にぶつかります(笑)その中で大切にしていることは、イシューの質・仮説の質・解の質を高く意識することです(詳細は「イシューからはじめよ」がオススメです)。イシューの質が高いことに質の高い仮説を立て、質の高い打ち手をうつ、そしてその効果を検証するということを続けるうちに、Retantion Curveもある属性の場合、高い利用率で推移し、それ以降数値が下がっていかないことに気がつきました。
そこでペルソナをその属性をもったユーザーに絞り、現在では、利用後3ヶ月で90%弱のRetention Rateを維持できています。今はPower BIというシステムを使って、各導入企業のRetention Curveを可視化していて、その数字を毎日追っています。私は移動も多いため、携帯でも気軽に見れるようにしてます。数値系はやはり気になるので、すぐにクリックしやすい一番右下に追いやってますw
Retention Curve以外に、ユーザーの行動データを集積し、どのような要素があると、継続率や重要KPIを高める可能性があるかということも定期的に統計解析をして検証しています。
これまではエンドユーザー側の仮説検証について書いてきましたが、ポケットセラピストは法人向けサービスであるため、法人の人事・総務などの健康経営の担当者側の課題の仮説検証も同時に進めてきました(この内容はまた後日書く予定です)。
このような仮説検証を日々繰り返し、Product-Market Fitの検証がある程度できたため、次に注力すべきことは導入企業の拡大ということで今回の調達に至りました!
新株主を含めたキックオフMTGを開催!
ということで先日、新株主も含めたキックオフMTGを開催したので、どんな感じで株主とコミュニケーションをとっているかも少し紹介できればと思います。
ちなみに弊社の担当者をご紹介します。創業当初にプロダクトも事業計画書もまともにない状況で投資実行いただいたCAV竹川さんを筆頭に今回ラウンドに参加いただいた、NVCC清水さん、JR東日本スタートアップの阿久津さん、柴田社長です!
今回はキックオフMTGということで全株主と弊社のプロダクトマネージャーをしている金丸も参加してのMTGでした!写真では怖い顔してますが、怒られていわけではありませんwみなさん真剣に聞いてくれて、アドバイス・サポートしてくださっていますw
今回のキックオフMTGの目的は『バックテックの理念・方針・課題を共通理解し、最高のチームビルディングをすること』と設定し、我々の思い、将来目指す方向、今期の目標値、それを達成するために支援いただきたいこと、直近の課題の共通認識という内容をざっくばらんにお話ししました。
その後は、テラスでビールを飲みながら親睦を深め合いました!
担当者の皆さんとは良い関係性で、困ったときに一緒に考えてくれたり、少し本質から外れていると、考え直す機会をもらったりしています。 人数はまだまだ小さな会社ですが、バックグラウンドが異なるメンバーであったり、株主(担当者)であったりと、平等に意見交換ができ、同じ方向を向いて取り組んでくださるので、この時期にジョインするメリットはかなり大きいと考えています!
一番のやりがいは、あなたの行動が事業の拡大・企業価値の拡大に繋がることが日々実感できるかと思います。当社の理念や働き方に興味を持っていただける方、まずはランチでもしながらお話ししましょう!
法人営業・カスタマーサクセス・バックエンドエンジニアを募集しています!その他でも、こんなことできる!などぜひ、お気軽にご連絡くださいー。