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組織の「盲点」を補うコーチングの効能

こんにちは。asken VPoE の安西です。

いま私がやっているVPoEの役割を簡単に説明するのは難しいのですが、あえて言葉にしてみると、最近は「エンジニア組織のファシリテーター」でしょうか。

これまで、いくつかの組織でエンジニアリングマネジメントを経験したのち、人材育成の会社に移り、コーチングや人間の発達について学びました。そこで理解したのは、コーチングで扱う「ヒト」というのはとても奥が深く広いものだということです。

同時に最近、1on1やコーチングという言葉が当たり前に流通するようになりました。1on1をやっている会社は多いものの、どんな目的で、どんな効果があるかというのは若干わかりにくい部分があるのではないかと思うことがあります。そこで、私のこれまでの学びから整理してみます。


4象限から見えてくる盲点

1on1やコーチングの話になると、必ず「問い」が大事だという話になります。一方的に話してしまう人間の特性のアンチテーゼという意味も含め、問いには様々な効能がありますが、中でも大事な背景があると考えています。

成人発達理論を学ぶと必ず出てくる、ケン・ウィルバーというアメリカの思想家がいるのですが、彼が提唱したインテグラル理論の中で、4象限モデルというのがあります。


このように、組織と個人には外面と内面があると定義しています。企業組織においては、ほぼ外面しか取り扱いません。ある人が何を言ったか、何をやったかをベースに話し合ったりフィードバックをします。

一方で、この4象限が何を意味しているかというと、各象限がつながっていて、影響しあっているということです。例えば、個の外面は個の内面に影響されます。内面的に怒っていれば、外面的に表情や言動に出るでしょう。内面が怒っていても、外面的に冷静に振る舞おうと努力すれば、内面的な怒りも静まってきます。組織の内面、例えば文化は集団や個の外面に影響を及ぼします。それぞれ身に覚えがあるのではないでしょうか。

特にエンジニアは、アウトプットが常に発生するので、外面にフォーカスしがちになります。そうすると、内面と外面がつながっているにも関わらず、内面をおろそかにしてしまい、なにか問題が起こった時に、内面的な原因があれば、外面的な施策ばかりで何もより良く変化しないという事態が起こります。

内面が外面につながっているのに、内面を取り扱わない。これがエンジニアの活動のみならず、企業活動における盲点の一つであると考えています。


1on1で内面を取り扱う

1on1でコーチングのスキルを使うと、内面を取り扱うことができます。残念なことに、外面は見えますが、内面は見えません。見えないことを見えるようにするためにどうすれば良いか。そこで冒頭に挙げた「問い」が有効です。

少々厄介なのは、他人から自分の内面が見えないのと同様、実は自分の内面も自分で見えないことです。100%の自己認識をすることは不可能だと言われているくらい自分を知ることは難しいことなのです。だからこそ、相手に問いを発してもらい、時にはフィードバックしてもらいながら、相手を鏡にして自分のことを知っていくのです。

問いを投げかけてもらったときの大きなインパクトの一つは、自分が認識していない自分を認識できることです。1on1をする人は、それができるように振る舞えることが理想的です。だから、実は1on1はスキルが必要ですし、ただ2人で話せばいいというものではないのです。

私は、1on1をする際には1/3〜1/2内面を取り扱うようにしています。コトのことは、チームで話し合うこともできますし、1on1だからこそ話せることに注力することで見えてくることはたくさんあります。

ただ一点、気をつけなければならないのは、内面を取り扱い始めると、内面ばかりにフォーカスしてしまうことです。内面を取り扱うことが銀の弾丸ではありません。盲点になりやすいだけなので、外面が必要なときは外面をちゃんと扱いましょう。


アジャイルとコーチング

ここ10年くらいかけて、開発の現場にアジャイルが浸透してきました。

アジャイルは不確実性のコントロール、つまり変化を前提として設計されており、様々なプラクティスが導入されています。アジャイルで行われているチームビルディングのプラクティスでは、感情や感謝、期待など普段言わない内面的なことをチームで共有することで結束を強めるということが普通に行われています。

不確実性のコントロールというのは、目の前の事象、例えば失敗について真摯に向き合い、ふりかえり、改善していくプロセスを回していくことが核になります。失敗に向き合う時は、自分自身がなぜそういう行動をしたのかを深く考えたり、答えが無く不確実性が高い中意思決定をするときは、自分がどうしたいと思っているのか、感覚的にどうあるべきだと考えているかということを理解して決断をせざるを得ない場面が多くあります。

つまり、変化と継続的に付き合うためには、自分の内面を知り、アップデートし、言動(外面)に反映するということをし続ける必要があるのです。一人でやるには結構しんどい作業でもあるので、1on1でのコーチング的なサポートが有効なことが多くあります。


相手の人生全体を考える

マネジメントとは、人を意のままにコントロールすることではありません。組織が目指したい目標、成果を実現するために、サポートしていくことが目的です。だから、コーチングスキルを使って相手をコントロールすることはあってはならないと私は考えています。

そのために大事なのは、相手の人生全体を考え取り扱うことです。いま所属している会社での役割にとどまらず、どんな人生を歩みたいのか、どんなことをやっていきたいのか、を広く深く話し、今の仕事の選択に活かす。その結果、人生全体により良いインパクトを与えられるのが理想だと思っています。

もちろん簡単ではないので、私自身模索しながらやっていますが、忘れずに対峙できるよう、努力していきたいです。

組織の方針もこのように言語化しています。もしこのような考え方に共感いただける方がいらっしゃれば、是非一緒に働きましょう!

https://tech.asken.inc/entry/2022/04/19/152438



安西 剛 Tsuyoshi Yasunishi

顧問/VPoE

アジャイル・スクラムによる新規サービス開発や100人規模の開発組織改革、人事部長として採用や人事制度構築、VPoEとして開発組織運営、マネージャー育成など、メーカー系大企業、ユーザ企業、上場ベンチャー、10人前後のベンチャーと、様々な規模の組織でサービス開発や開発組織づくりを経験。 現在、それらの経験を活かして、チームの学び、エンジニアの学び、マネージャーの学びに向き合い、ドメイン駆動設計で学びのプロダクト開発をする傍ら、開発組織づくり支援やマネージャー育成コーチングを行っている。

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