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アンドパッドは2023年から、より顧客の業界課題を深く解決していくためにセクター(業態や業種)に沿った組織への変革を進めています。そこで上級執行役員の藤井とゼネコン領域の本部長に就任した栗田にインタビューを実施しました。
「部門でみればまだアーリーステージで、やっとグロースの兆しが見えてきた程度」と危機感を感じているとのことです。どのようなグロースを描いているのか、組織の今と今後の展望について語ってもらいました。
藤井 哲嗣 ※写真左
2002年エンジャパン株式会社入社。中途事業責任者として営業、制作部門を統括。その後、海外法人の事業責任者として事業計画策定/遂行を担当。2015年10月よりアンドパッドに参画し営業部門を統括。2022年よりゼネコン/サブコン、エンタープライズ領域の事業責任者として事業を推進。2023年、上級執行役員に就任。
栗田 祐輔 ※写真右
2013年に株式会社楽天に新卒として入社。法人営業として自社メディアの広告営業に4年間従事。2017年4月にアンドパッドに入社。営業、お客さまへのサポート、組織マネジメント、支社の立ち上げ等を経験。2022年よりゼネコン領域の事業責任者として営業、新サービス開発、カスタマーサクセスを推進。2023年、事業本部長就任。
ファンクライアントを見つけるのではなく、どう作るのか。
━まずは事業部のミッションから教えてください。
栗田:私たちは建築・建設業界におけるお客さまのお困りごとに対して、課題解決のため伴走し、お客さまの事業のサクセスにコミットしていくこと、これがミッションです。ゼネコン領域の事業展開は、2022年の1月に新規事業として立ち上げました。現在はこの立ち上げのフェーズではなく、会社の事業柱として牽引していけるような役割を担っていく立ち位置にあると考えています。
━もう、立ち上げフェーズではないと。
栗田:様々な業態がある建設業界の中で、ゼネコン領域への事業展開は事業成長の可能性が見えてきた領域だと思っています。
━可能性が見えてきたとはどのような観点からでしょうか。
栗田:私たちのプロダクトの価値提供で、利便性を感じ業務効率化の実現につながるなど、多くのお客さまから一定の評価をいただくケースが増えてきました。加えて、お客さまの業務や事業理解、価値訴求の仕組化が進み、一部の担当だけが成果を残すのではなく、事業部全体としての成果の底上げも見えてきており、再現性が出てきたのも要因だと考えています。
━そこに至るまではどのような工夫があったのでしょうか。
栗田:営業のノウハウ・テクニックの強化というよりも、顧客理解、競合理解、自社プロダクト理解をそれぞれ徹底したことですね。お客さまがどのように建設業務に関わっていらっしゃるのか、業務はどんな流れで進んでいくのか、どのようなツールを利用しているのか、そこにANDPADを利用してもらうことでどのような業務の変化をもたらすことができるのか、我々の介在価値とは何か、それらの理解を部署内コミュニケーションで深めていったことに尽きます。
━一つひとつを鮮明にして解像度を上げていったわけですね。
藤井:そうですね。そもそもゼネコン領域での新規事業として立ち上げた際はプロダクトがない状況でした。アンドパッドの事業のスタートは、戸建住宅領域で事業を展開するお客さま向けのプロダクトだったからです。そのため同じ建設業界といえど建築物や請負金額などが変わると、商流やプロジェクトが変わり、求められるプロダクトも変わってきます。
━といいますと。
藤井:戸建住宅領域における事業展開では、既にプロダクトやカスタマーサクセスのワークフローのベースもあり、お客さまに喜んで導入いただいている状況でした。しかし、ゼネコン領域は先ほどお伝えした通り、住宅とは商流が異なるわけです。マーケット参入へのチャンスは感じていたものの、プロダクトがない中PMFに向けた開発、事業の仕組み、グロースの定義、開発リソースの調整などをターゲット領域に合わせながら構築・調整していくのは、高い難易度でした。
━なるほど。つい建設業界とマーケットを一括りにしてしまいがちですが、業態によって商流が異なるからこそ単純な横展開ではなく新規事業の位置づけだったと。そうなると、全てが0ベースからのスタートだったとなりますね。
藤井:そうです。そこで大事なのが、ファンクライアント・ファンユーザーの発掘です。それは、「幸せを築く人を、幸せに。」というアンドパッドのミッションやバリューを含めた想いや私たちが実現したい世界観に共感してくれるパートナーです。
━熱烈なANDPADファンということでしょうか。
藤井:一部のお客さまの中にはプロダクトを認知いただき既にファンであるケースもありますが、それよりもDXへの意欲ですね。お客さま側も業界を変えていきたい、発展させていきたいなどの想いを私たちと同様にどれだけ強く持っているかといいますか。建設業界の中でも特に工事の現場で働く方に便益を享受してもらうための良いプロダクトを提供していくことが私たちは重要と考えています。そのため、想いを伝え、共感してもらうことが営業活動において重要だと考えていました。
先ほど発掘と言いましたが、ファンを探す、のではなく一緒に作っていくイメージが正しいかもしれませんね。業界のペインを見つけ一緒に解決していきましょう、だから我々を信じてほしい、と。それからお客さまからいただいたご要望やご意見を開発にフィードバックし、プロダクトのベースをお見せする。その繰り返しによって、「アンドパッドは本気なんだ」と理解をしていただく。そのような信頼関係を構築していくための地道な営業活動が、大きなグロースの兆しに繋がっているのだと思います。
━新規事業を前に進める大変なフェーズだったわけですね。
藤井:他にもSaasのビジネスモデルといえど、新規事業だからこそ完全分業にはできない難しさもありました。商談設定の難易度、初回訪問時の温度感や反応、営業・サクセスフェーズそれぞれで発見できた知見やノウハウ、そのような業務理解を深めるためには、分業ではなく、一人のメンバーにファーストコンタクトからサクセスまで幅広く業務領域を持ってもらい、解像度を上げていく必要があったからです。当時フィールドセールスしか経験がないメンバーもいましたから、このあたりは大変ではありました。
あとは、新しい業務フローの構築と浸透に数年かかるスケジュールをひいてしまうと、お客さまが想定しているROIの基準に満たないなどチャーンが発生するリスクなども多々ありました。
栗田:立ち上げ期に伴う様々な課題はありましたが、それぞれのメンバーが目の前のお客さまや業界の困りごとに向き合うことに意欲的でしたし、広い業務範囲を担当することに関してもポジティブでした。またファンユーザーであるお客さまと二人三脚で解像度を上げていくなどの積み重ねの結果が、現在のグロースフェーズにコマを進めることができていると思います。
シリーズAのフェーズと同じ熱量と危機感が組織や仲間に必要
━ゼネコン領域におけるこれまでの事業立ち上げの歴史について理解できました。現在の組織体制や取り組むべきことについて教えてください。
栗田:チーム体制はインサイドセールスとアカウントマネジャーと、専任のサクセスチームと連携してお客さまごとに担当しています。今後の事業成長のためにも連携強化や組織組成、マインドの再認識は大きな組織課題だと思っています。
━どういうことでしょうか。
藤井:おかげさまでアンドパッドは2022年後半に120億超の資金調達を行い、働くメンバーも増え、会社の規模拡大も実現しています。そのため外部からだと順調に安定した企業のように見えてきているかもしれません。しかしながら、領域によってはグロースがやっと見えてきたばかりの状況。先ほども説明した通り、住宅領域への事業展開からスタートしたものの、ゼネコン領域でのビジネスは単純な横展開ではありません。同じ建設業界といえど商流、事業構造、業務フローが全く異なるため新規事業として0から展開してきたわけです。その一つひとつの解像度を上げ、目の前のお客さまの満足度を圧倒的に上げていかなければ、新規事業として成功に至らないと思っていますので、強い意志でコミットできる仲間が必要です。
栗田:藤井の言う通り、自部門の事業本部を一つの会社と見立てると、世間一般ではシリーズA前後のスタートアップと同様と考えています。だからこそ、まだまだ圧倒的な事業成長とお客さまの課題解決を実現するんだという熱量が組織にも必要ですし、危機感を持って業務を推進していくメンバーも求めています。
━危機感ですか。
藤井:創業期は、お客さまに満足いただき対価をもらい売上を達成しないと、事業継続や生活において支障をきたします。それぐらい危機意識を持って新規事業に挑まないといけない。もちろん現在財務状況は極めて健全なので、そのような心配はいりません。ただ、私たちが目指しているのは、日本を代表するSaaSカンパニーです。住宅領域においては一定のシェアを獲得していますが、同様に複数の事業を並行して成長させていくフェーズです。事業部としてもアンドパッドがシリーズAで資金調達したような事業水準や成長率を目指していますので、そのような気概を組織やメンバーに求めています。
━グロースが見えたとはいえ、まだまだ事業としてはアーリーステージだと。だからこそ熱量を持って業務に励んでほしいと。
藤井:その通りです。アーリーのような状況、状態でもありますから成長のチャンスも多いと思います。新しい業務や難易度が高い案件など打席に立つチャンスもさながら、数年後は、事業も組織規模も現在の5倍程度を見込んでいますので、ポストに就くチャンスもある環境です。他の追随を許さない技術やノウハウといったアセットもありますから、自信を持ってアクションできる環境です。
栗田:そうですね。チャンスは多々あります。アグレッシブに挑戦されていきたいという方にはどんどん打席に立っていただきたいですし、私自身も、責任者として、それぞれのメンバーが楽しめるような成長機会を生みだすことに、チャレンジしていかなければならないと思っています。
藤井:以前地方で支社立ち上げを栗田さんに任せた際、そこから行動や意識が変わりましたよね。覚悟ができたといいますか。
━どのように変わっていったのでしょうか。
栗田:明らかに意識が変わりましたね。支社立ち上げ時は、環境も整っていない状況で、上司と相談しながらも、事業成長に向けたアクションをできる限り自分で意思決定をして進めていきました。最初は不安で苦戦しましたが、少しずつ成果もついてきてきました。そのような新しいチャレンジができることを、当時は楽しいと思えましたし、結果、自身の成長につながっていったと考えています。そのため、組織のメンバーにも、事業成長に伴う1つ1つの機会をチャンスと捉え、たくさんチャレンジしていってほしいですね。
藤井:今だから話しますが、栗田さんにはそれまで業務に熱量を感じなかったのですが、支社立ち上げを志願してチャンスを掴みにいくという姿勢を見せてくれましたし、1年後には立派に支社として立ち上げてくれました。栗田さんに実体験があるからこそのエピソードですね。
━組織長が機会を作り信頼できるメンバーにしっかりパスすることも組織の成長においては必要なことだと思います。
藤井:難しいですけどね。事業展開と組織内育成それぞれのスピードを緩めずバランスをとりながら寛容性を持って進めていかなければなりません。メンバーに判断、意思決定を任せたほうが成長にもつながることは分かってはいるものの、足元の数値目標もありますからどこまで任せるのか、どうバランスをとるのか、どこまでフォローするのか。これまでの成長戦略とは違うアプローチが求められるケースが増えてくるフェーズでもあるため、足元の目標が未達になったとしても、未来の成長のための育成として割り切って投資する判断ができるか。高度な判断が迫られますが、栗田さんやマネジメントレイヤーと連携しながら知恵を絞っていきたいと思っています。
バーティカルSaaSならでは
━組織としてグロースに向けたフェーズなので成長機会やチャンスが多々ありそうなのが、理解できました。最後にお二人にアンドパッドの事業の魅力をどのように考えているか教えてください。
藤井:そうですね。アンドパッドならではの事業の面白さを考えると、顧客の企業経営・事業運営における様々な領域や役割に干渉できる範囲が広い点だと思っています。例えば、アンドパッドの場合、お客さまとの最初の接点は施工管理や工事の領域がきっかけになることが多く、まずはお客さまの工務や設計を担当している方々の業務理解から始まります。作業現場における業務効率化や煩雑化の解消など、その課題解決が見え、お客さまの満足度向上を獲得できれば、次は原価管理や営業管理の領域における課題の解決に向けて関係者や責任者との会話に踏み込めます。そこから今度は、導入されている会計システムや基幹システムの仕組みの理解も必要になってきますし、蓄積されたデータ・可視化された現場課題をベースに経営改善に向かいます。このように、現場の課題を起点に顧客に入り込み、経営課題まで駆け上がりながらSaaSプロダクトを生み出し、顧客課題を解決していくわけです。
━ある一定業務領域だけに特化した営業や提案ではないということですね。
藤井:そうです。これがアンドパッドの強みでもありますし、バーティカルSaaSならではかと思っています。もちろん各業務領域の責任者と対等に話し提案していくためには課題の整理や深い業務理解などは求められ、高い難易度が伴いますが、それもキャリアを構築していく上で魅力ではないでしょうか。
━確かに、局所的ではなく顧客の会社において携わる領域の幅が広くなるのは、おのずと知見や理解が求められますから、キャリアにおいても有効かと思います。
藤井:これはいわゆるフィールドセールスやアカウントマネジャーだけではなく、インサイドセールスやカスタマーサクセスにも同じことがいえるはずです。アンドパッドには業務領域に沿った様々なプロダクト群があり、職域が異なったとしても、幅広い領域の知見が求められるからです。
栗田:加えて、バーティカルSaaSの観点でいくと、日本有数の大きな業界の課題解決にチャレンジできるのも魅力かと思っています。
━マーケット規模の観点でしょうか。
栗田:マーケットの規模もそうですし、一番は、お客さまと共に業界の発展や未来に寄与していくことですね。そのためには、先ほど、部門の状態はまだアーリーステージで急成長を実現させていくという話がありましたが、過去アンドパッドが乗り越えてきた壁を基準として、もっと高いハードルを設定し、一丸となって邁進していきたいと考えています。