事業を伸ばすとは、どういうことだと思いますか?
僕はこれまで事業マーケターとしてキャリアを積み重ね、さまざまな事業の成長を支えてきました。そうした経験を経て、2023年にCOOとしてアイザックに参画し、約3年間で10以上の事業を推進しています。
そのうち9つの事業では管掌役員を務め、マーケティング戦略の立案にとどまらず、「事業を伸ばすために必要だ」と感じたことは全て踏み込んできたつもりです。
ただ、数字で振り返ると、4つの事業は順調に成長し、3つはまさにこれから伸ばしていく段階。残る2つは、僕の力不足もあって思うような成果を出すことができなかった。
なぜ伸びたのか、なぜ伸ばしきれなかったのか。この問いに向き合うたび、自分自身の限界や学び、そしてマーケターとしてだけでなく経営者としての成長を実感します。
今回、この記事を書こうと思ったのは、正直なところ、僕自身の振り返りも兼ねています。
「こうやって考え、こうやって動いたら事業は伸びた」そんな話はもちろん参考になるかもしれませんし、ならないかもしれません(笑)。でも、少しだけでも、現場でのリアルな思考や判断の流れを共有できたらと思ったのです。
もしこれを読んで、「あ、自分も事業マーケターとして挑戦してみたいな」と思ってもらえたら、それだけで嬉しいです。
ここでは、マーケ出身COOとしての目線から、成果が出た事業と苦戦した事業の両方で見えてきた学び、自分自身の成長、そしてこれから挑もうとしている未来について、率直にお話しします。
COOとしての立場と、マーケターとしての姿勢
僕はCOOという立場から、経営陣として会社全体を統括する感覚を持ちつつ、より意識しているのは、「マーケターとして事業をどう伸ばすか」という視点です。
単に戦略を描くだけじゃなく、事業を本気で伸ばすために、戦略立案や実行はもちろん、チームビルディングやプロダクト改善まで、やれることはなんでもやる。この姿勢はアイザックのバリュー「Get tings done(やり切る)」にも表れていると感じています。
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僕が一番燃えるのは、戦略がピタリとハマり、チームが一気に加速する瞬間。迷いなく決まった意思決定、そして描いた戦略が目の前で形になっていく。その手応えは他に代えがたい感覚です。
チームでやるからこそ、一人では到達できない距離を最速で進むことができる。そんな瞬間を何度も経験したくて、毎日事業とチームに向き合っています。
事業責任者をどう自由にするか
マーケターには、「気にしい」な繊細さが必要だと思っています。この感覚があるからこそ、顧客の心の動きや言葉のニュアンスを丁寧に読み解き、数字の裏側にある感情や課題に寄り添うことができる。
一方でこの細やかさは、事業責任者が持つべき強烈な意思決定力や大胆な判断とは性質が異なります。事業責任者は、迷いながらも最後には決断し、時には方向を大きく変えることも辞さない、強いエゴを持っている必要があると考えています。
事業を動かすうえで重要なのは、現場で舵を切る事業責任者の意思決定をいかに後押しできるか。僕の役割は、COOとしての広い視野とマーケターとしての繊細な感覚を行き来しながら、事業責任者の強いエゴを受け止め、バランスをとることだと思っています。
その中で、どうすれば事業責任者に自由な挑戦をさせられるかは常に意識してきました。一方で、僕自身を大いに自由にしてくれる事業責任者もいて、相性やスタイルの違いを感じながら、各事業責任者と関わっています。
アイザックという会社の特性上、事業やグループ会社がたくさんある中で、いくら僕が気持ちよく自由に動けたとしても、最終的に事業を運営していく主役は各事業責任者やメンバーです。だからこそ、自分が関与すべき範囲や任せるべき部分を見極める、そのフェーズも常に意識しています。
マーケターが挑戦を最大化できる、アイザックという環境
よく聞く話ですが、一般的に一つのチャレンジには3年かかると言われます。その中で、これだけ多くの事業を同時に動かせる環境は極めて稀。「万が一転職活動をする時、職務経歴書を書くとしたら、かなりやばいことになるな」とたまに思うこともあります(笑)。
数字だけ見れば無謀にうつるかもしれない。もっと単一事業に集中した方が大きな成功があったのではないかと考えることもある。
それでも、自分の今のチャレンジは明確に「複数事業を同時に成長させること」にあるんです。だからこそ、それを後押ししてくれるアイザックという環境は、間違いなくベストだと思っています。
短期間で異なる事業の成長や停滞、変化の瞬間を何度も目の当たりにしてきた経験は、間違いなく僕の意思決定や戦略眼を確実に磨いてくれています。
また、マーケターにとって大切なのは、事業の成長が自分自身の成長に直結することです。事業が伸びれば次のフェーズに進み、やれることの幅も広がっていく。多様な事業フェーズを同時並行で経験できることは、圧倒的な成長の糧になります。だからこそ、マーケターとしてもアイザック以上に魅力的な環境はないと思っています。
前進を止めない、揺るぎない戦略づくり
マーケティングによって事業を伸ばすとは、単に顧客を増やすことではありません。集客だけでなく、プロダクトを改善し、さらに投資できる状態をつくることで、雪だるま式に成長の連鎖を生み出していくことです。
僕が一貫して大切にしてきたのは、「事業がしっかり伸びるところまで、戦略を決め切る」こと。曖昧なまま走り出すと、後から迷走するリスクが高く、線路のないところを全速力で走るようなものです。だからこそ、頭の中のイメージを言語化し、具体的な戦略に落とし込むことを徹底しています。
戦略が曖昧になったタイミングや、自信が揺らいだタイミングでは、必ず事業合宿を開催し、事業責任者や各メンバーと膝を突き合わせて議論を重ねます。そして、決め切るまで終わらない。曖昧なままなんとなく進めることは絶対にしません。
具体的な方向性を固めてから動き出すことで、全員が迷いなく進める。これは、複数事業があり、事業責任者やメンバーの裁量が必然的に大きくなる環境だからこそ、より意識していることです。
余談ですが、スタートアップ界隈でよく聞く、「物理的な移動距離がアイデアの質に比例する」という話、僕も割と実感することがあります。
かつてある事業責任者に「1人で遠くへ行って事業戦略ねってきたら?」と提案し、数日後、その戦略を札幌の大通り沿いからオンラインで話してもらったこともありました(笑)。
いつもと違う景色が、思考の新鮮さや自由な発想を引き出してくれるという建前もありますが、実際は「何かを生み出すためになんでもやってみる」という引き出しを知ってもらいたかったんです。
もちろん、一度決めた戦略も状況に合わせてアップデートしていく。それでも、最初の土台を描き切ることは、事業を迷わせず、確実に前へ進めるための絶対条件だと思っています。
3年間での失敗を振り返る
とはいえ、戦略を描き切ったからといって、全てが順風満帆に進むわけではありません。
僕が管掌役員として携わった「キャリア道場」という事業があります。toCを中心にしつつも、toB的な要素も絡む複合的な事業でした。
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契約獲得の鍵となる営業や顧客対応、さらには事業運営全体の課題もあり、思うように伸ばし切れず、結果的に軌道に乗せられなかった事業の一つです。
マーケティング面で一定の成果は出せたものの、その後の営業プロセスや組織運営において大きな壁に直面しました。
この経験は、自分の実力不足を突きつけられた瞬間でもあります。マーケティングだけでは事業は成功しない。セールスやオペレーションまで含めて動かせる力が必要だと痛感しましたね。
また「人狼マッチ」という事業でも、自分の見通しの甘さを痛感しました。
当時は、異性のビジュアルを中心とした出会いを描くマッチングアプリが多く存在していましたが、ゲームを通じて性格や声など多様な要素から、本当にドキドキする出会いを提供したいと考え、このアプリを立ち上げました。
仕組みとしては、人狼ゲームをオンラインで楽しみながら、そこで気になった相手とメッセージできるというものです。過去にいくつかマッチングアプリを運営してきた経験から成功できると考えていましたが、結果は大失敗に終わりました。
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この失敗はどこかで詳しく話したいのですが、そもそもマッチングアプリだと思っていたものが、本質的にはFF14のようなオンラインゲームだったことが大きな要因でした。戦略の見通しをもっと初期段階で丁寧にするべきでしたが、自分の傲慢さも重なり、甘く進めてしまったのです。
リリース時には世の中から大きな反響を得ましたが、後悔の残る結果となり、当時のメンバーや会社には迷惑をかけたなと強く感じています。
とはいえ、アイザックでの新規事業は個人の起業とは異なり、一つの挑戦だけで終わるものではありません。新規事業の成功率は世の中的には10%以下、という戦場のような厳しさがありますが、それでも前に進めるのは「やり切ったからこそ見えた景色」が、次の挑戦の燃料になることを知っているからです。
思い通りにいかない局面もあれば、想定以上の手応えを得られる瞬間もある。実際、この3年間で関わった9つの事業のうち、2つはクローズすることになりました。しかし、その経験で得た知見や判断の感覚は、確実に次の挑戦の武器になっています。
多様な挑戦とチームが織りなす、自分らしい成長の場
僕はもともと何でも全部知りたいタイプで、すべてを納得したい性格です。だからこそ、マーケティングだけを見ていればいいCMOよりも、COOとして事業のあらゆる部分に関わり、やれることを全部やり切れる今の立場の方が合っていると感じています。
とはいえ、COOの関わる範囲は非常に広く、すべてを完璧に見切れているわけではありません。そこで僕が大事にしているのは、経営陣の田中・播口が最大限に力を発揮できるよう、彼らの動きをできるだけ自由にすることです。彼らが苦手な部分は僕が引き受け、事業の成長につなげていく。
その信頼関係があってこそ、「ここは任せるしかない」と思える安心感も生まれました。彼らは突出した強みを持ち、確実に会社を伸ばしてきた。もし単一事業だけ一緒にやっていたら、もっとバトルがあったかもしれませんが、今の体制だからこそ実現できることも多いと感じています。
また、僕にとって大きな気づきだったのが、「ガチャを回す」感覚です。本来は慎重に精度を高めたいタイプですが、時には「とりあえずやってみる」ことで、想像もしなかった成長や発見が生まれる。この柔軟なチャレンジ精神が、自分自身をさらに成長させてくれました。
最近、組織を『ONE PIECE』の麦わらの一味のような存在だと例えることが多いんです。みんなが同じように動くのではなく、一人ひとりが自分だからこそ発揮できる役割やキャラクターを持ち寄り、それが融合されてチームの強みになっていく。
誰かの下というより、それぞれが自立し、自分の目標ややりたいこと、目指したいところに向かって走る。そこを大切にしながら組織をつくっていきたいと思っています。誰かと違うこと、違う人がチームにたくさんいること、それが組織の強さを生むと信じています。
そして、こうした多様性こそが、アイザックの大きな魅力であり、何よりもおもしろいところだと思っています。
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マーケターとともに創る、「人だからこそ」の価値と未来
これからAIはますます進化し、普遍的で当たり前のアウトプットの質は格段に上がっていくはずです。だからこそ、僕たちはAIでは出来ないことを強烈に意識し、「人間ならではの面白さ」を追求し続ける必要があります。
たとえば、真空ジェシカというお笑いコンビの「ピアノがデカすぎるアンジェラ・アキ」というネタがあるのですが、AIに果たしてここまで辿り着けるでしょうか(笑)。
僕は、マーケターこそAIでは描けないアイデアやクリエイティブ、企画を生み出す存在であるべきだと思っています。マーケターは、bizからartistへと進化していく必要がある。そのためには、死ぬほどインプットを重ね、120点を取らないと満足して寝れない、というくらいの狂気を内包するべきなんです。
世の中ではまだまだマーケターの評価は十分ではなく、給与もエンジニアと比べると低いのが現実です。だからこそ、AIが進化していく今、マーケターという職種に人生をかける価値は絶対にあると僕は確信しています。
アイザックは、クリエイティビティが求められる個性的な事業を多く手掛けています。強固な戦略の上に、ワクワクするアイデアやクリエイティブの力を乗せ、事業をさらに大きく成長させていく。それこそが、僕らの最大の武器であり、誰にも真似できない強みです。
僕たちは「ここまででいいや」と妥協せず、常に120点を目指して挑戦を楽しむ仲間とともに歩みたい。売上や数字だけでなく、「それ、本当に面白い?」と自分たちに問い続けられる人たちと。
ここで求めるのは、ただのマーケターではありません。 創造力と覚悟を持ち、自らの手で新しい価値を生み出し、事業と自分自身の成長に本気で向き合える人。
そんな仲間とともに、次なるエゴで世界を変えていきたいと思っています。全員が自分の仕事や事業を我が子のように胸を張って誇りに思えるからこそ、自信が生まれ、さらなる挑戦の連鎖が生まれる。
この環境と文化を、僕たちはこれからもつくり続けていきます。ぜひ最高の仲間と一緒に働きたいです。お待ちしております!
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