こんにちは。aciassの東です。
少し、挑発的なタイトルになってしまったかもしれませんが、今週末に参議院選挙を控えた今だからこそ、どうしても書きたかったことがあります。
これは、特定の政党や政治思想を語るものではありません。
むしろ主題は、 会社経営の中で感じた「組織の健全性」と「見られることの大切さ」 についてです。
選挙の話に触れるのは、その構造があまりにも会社と似ていると感じたからです。
そして、私自身が経営する立場になったからこそ、選挙に対する見方が大きく変わりました。
そんな話をさせてください。
合同会社を立ち上げてわかった、「全員が当事者」の意味
合同会社aciassは代表と役員2名で立ち上げました。
資本も責任もフラットで、日々の意思決定も極力全員で共有しながら動いています。
ありがたいことに、創業2期目で、15名規模の会社となりました。
私は業務執行役員として、現場の技術判断をしつつ、事業開発や組織づくりにも関わっています。
つまり、わりと「中の人」側にいて、組織をまわす立場にいるわけです。
そしてその立場になって、はじめてリアルにわかったことがあります。
「人は見られてなければ、驚くほどサボれる。」
これは自戒も込めての話です。
「誰にも監査されない」「説明しなくていい」となると、手を抜きたくなる瞬間って、実際あるんですよね。
経営者こそ、「見られている」ことに意味がある
これは別にズルをしたいとか、悪意があるとかではなくて、ごく自然な心理だと思います。
報告が求められないことに関しては「まあ後でいいか」となってしまうし、誰も確認しない仕事は、雑になりやすい。
でも逆に、「あの件、どうなりました?」と従業員に聞かれたり、「これはなぜこういう判断を?」と問いかけられると、背筋が伸びます。
人は、誰かに見られていると、真面目になります。
それは「信頼されているからこそ、期待に応えたい」と感じるからかもしれませんし、単純に外の視線があることで、緊張感が生まれるからかもしれません。
とにかく、人の行動を変えるのは仕組みであり、視線なんだなと、経営者になってようやく実感しました。
「見られている」ことを、仕組みにするということ
そもそも大切なこととして、「誰かが見る」というプロセスが属人的であったり努力や勇気に頼る形ではダメだと考えています。
つまり、チェックされること自体を“仕組み化”すること。
aciassでは、役員同士でお互いの意思決定をレビューしたり、意思決定の根拠を必ず共有するようにしたり、そもそも不透明な判断ができないようにしています。
これは「信頼できないから見張る」のでなく、信頼を保ち続けるための設計です。
逆に言えば、ブラックボックスだらけの組織は、そもそも論外です。
そこに健全な判断や責任は生まれないし、誰かが気づいた時にはもう手遅れになっていることも多い。
だからこそ、仕組みとして「見える」「確認できる」状態にしておくことが、組織の健全性を支える土台だと、私たちは考えています。
選挙の話が出てきた理由:社会も会社も、見られてなければ鈍る
このように、会社経営をしていると「誰がこの組織をチェックしてくれているのか」を考えるようになります。
株式会社で言えば、株主がいて、監査役がいて、取締役会があります。
合同会社でも、役員間での監視・報告・合意形成が不可欠です。
チェックされる構造がなければ、組織は必ず鈍っていきます。
それって、政治もまったく同じなんじゃないか?と、ふと思ったんです。
私たちは、社会という組織の「社員」でもあり、「利用者」でもあり、「株主」でもある。
なのに「見ていない」「参加していない」人が多ければ、当然、意思決定する側は鈍ります。
「自分一人が見ても意味ない」と思ってたのは、過去の自分
昔の私は、「政治なんて変わらないし、自分が行っても意味ない」と思っていました。
でも、会社を経営していて実感したのは、見ている人が一人でもいると、確実に意識は変わるということです。
従業員がひとこと「この書類、気になったので確認しました」と言ってくれるだけで、こちらの態度はまったく変わります。
つまり、参加の総量がそのまま組織の緊張感を生む。
選挙もまったく同じだと思います。
「誰が見ているか分からない」という状態にすることで、少なくとも暴走しにくくなる。
そして、自分もまた「この社会を作る一人」としての当事者意識を持つようになります。
会社を「みんなで作る」ことの大切さ
ここで少し視点を戻して、「会社をみんなで作る」ことについて書きたいと思います。
aciassを、いわゆるトップダウンの組織にしたいとは思っていません。
できるだけ「意見が言いやすい」「判断の根拠を共有できる」「フィードバックを歓迎する」組織にしたい。
それは、みんなでつくっていく会社のほうが、長期的に強くて健全だと思っているからです。
これは大企業でもスタートアップでも変わりません。
社長が偉いから何でも決めていい、という構造は、遅かれ早かれどこかで綻びます。
だから、声を上げる人がいること、意見を求める仕組みがあること、参加できる余白があることが、とても大事だと思っています。
だから、選挙に行く
今回の選挙で、私は何か特別な期待をしているわけではありません。
ただ、 「見てるぞ」 と言いたいんです。
それが、意思表示になると思っています。
会社も、社会も、誰かに任せきりにするんじゃなくて、自分も一緒に作るものだと実感したからです。
最後に
このブログを読んで、「じゃあ選挙に行こう」と思ってもらえたら嬉しいですが、別にそれが目的ではありません。
伝えたかったのは、会社を作ることと、社会に参加することは、実は同じ構造を持っているということです。
見られていること。
意見を持つこと。
当事者であること。
それを積み重ねることで、良い組織や社会は、ゆっくりとできていくんだと思います。
※文中の「役員」は、合同会社の法的な呼称である「社員(出資者・経営者)」にあたります。混乱を避けるため、本文では「役員」と表記しています。