こんにちは。髙野です。
aciassでは日頃から多くの方にご応募いただき、採用面談や面接をしています。
転職理由は本当に人それぞれですが、いろいろな方と話していると、何度も耳にする言葉があります。
「入社してみたら、やりたかったことと違った」
数年働く中でやりたいことが変わった、という話ではありません。入社して数ヶ月、場合によってはもっと短い期間で、「思っていた会社と違った」「やりたい仕事ができそうになかった」と、再び転職活動を始めている方もいます。
そういう話を聞くたびに、以前所属していた会社で営業をしていた頃のことを思い出します。
採用の「成果」が、入社人数で見えていた
以前所属していた会社では、私は受託開発・SESの営業を担当していました。
採用は完全に別部署だったので、どんな会社説明をしているのか、面接で何を話しているのか、本人がどんな希望を持って入社してきたのか。そのあたりは営業側からすると、ほとんど見えていませんでした。
一方で、採用部門では「何人面接して、何人に内定を出して、何人が入社したのか」が数字になります。当時の会社でも、たくさんの人を入社までつなげた人が採用担当として評価されていました。
会社として人を増やしたい以上、採用人数を見ること自体は当然です。aciassだって会社を成長させていくために仲間を増やしたいと思っています。
ただ、今になって思うのは、採用のゴールを「入社」に置けば、採用活動は当然そこに向かって最適化されるということです。
応募、面接、内定、承諾、入社。
採用の数字は、そこで一度きれいに終わります。
でも、入社した本人の仕事はそこから始まります。
営業になって初めて知った「やりたいこと」
SESの営業をしていた頃は、入社したエンジニア本人と話しながら、これまでの経験や、これからどんな仕事をしていきたいのかを聞いていました。
そこで初めて本人から、「本当はこういう開発がしたかった」「この技術を伸ばしていきたい」「将来的にはこういう仕事がしたい」といった話が出てくることもありました。
そして、その希望と会社が実際に提供できる環境に、かなりギャップがあるケースもありました。
もちろん営業としては、できる限り本人の希望に近い案件を探します。ただ、会社が持っている案件や取引先と、本人が目指している方向が大きく違えば、入社したあとに営業だけでどうにかできる話ではありません。
結果として、希望する仕事がなかなかできず、早い段階で退職してしまう人もいました。
私は採用担当ではなかったので、採用時にどんな説明がされ、本人の希望をどこまで聞いていたのかは分かりません。だから、当時の採用方法そのものを否定するつもりもありません。
ただ、少なくとも入社後の現場から見ると、「これは採用する前に、もう少し話せたんじゃないか」と感じることはありました。
採用と営業が分かれていると、見えなくなるものがある
SESでは、所属する会社と、実際に仕事をするプロジェクト先が異なることがあります。案件によって仕事内容も、使う技術も、求められる経験も変わります。
以前書いた「SESの話を、ちゃんとしようと思う」でも、aciassではSESを一つの働き方として考えていると書きました。過度によく見せたり、特定の数字や言葉だけで人を集めたりするのではなく、実際にやっていることをそのまま伝える。その考えは今も変わっていません。
だからこそ、SESの採用では入社前の擦り合わせがかなり大事だと思っています。
「この仕事を必ず用意できます」と簡単に約束できるものではありません。案件のタイミングもありますし、本人の経験によって提案できる選択肢も変わります。
会社としてどんな取引先があるのか。今の経験ならどんな仕事に挑戦できそうなのか。その先にどんなキャリアをつくれそうなのか。
そして何より、本人はこれから何をしたいのか。
これが採用側で見えていないまま入社し、営業側が入社後に初めて知る。その順番では遅いとaciassは考えています。
私は現在、aciassで採用と営業の両方に携わっています。
だから面接でも、「何をやりたいですか?」と聞いて終わりにはしません。
その希望に対して、今のaciassなら何ができそうなのか。逆に、何が難しいのか。今すぐは難しくても、その方向に進む道筋を考えられるのか。
そこまで考えたうえで採用したいと思っています。
早期退職を「会社に合わなかった」で終わらせない
入社した人が早期退職すると、最終的に「会社に合わなかった」という整理になることがあります。
もちろん、本当に相性の問題だったケースもあります。会社には合う・合わないがありますし、aciassだって世の中のすべての人に合う会社ではありません。
でも、早期退職を全部そこに着地させてしまうのは違うとaciassは考えています。
その人が何をやりたいのかを、採用時にちゃんと聞いていたのか。
それを会社として実現できる可能性がちゃんとあるのか。
できることだけではなく、できないことも伝えたのか。
入社後に発覚したミスマッチの中には、採用する前に分かったものもあるはずです。
そしてこれは、以前いた会社だけの話ではないと感じています。
今、aciassで採用面談などをしていても、「前の会社ではやりたかったことができなかった」「入社前に聞いていた話と実際が違った」という理由で、短期間で転職活動を始めている方に出会います。
会社も違う。時期も違う。それでも似たような話を聞きます。
だからこそ、採用する側がどこをゴールにするのかは、すごく大事だとaciassは考えています。
数字にすれば、どちらも「1名採用」
本人がやりたいことと会社が提供できることをしっかり擦り合わせ、納得して入社した一人。
入社したものの、数ヶ月後に「思っていたのと違った」と退職した一人。
採用人数だけを見れば、どちらも同じ「1名」です。
でも、採用として同じ成功だったとは思えません。
早期退職になれば、会社はまた採用活動をすることになりますし、営業や現場にも負担がかかります。
そして何より、本人は転職という大きな決断をしたにもかかわらず、数ヶ月後にもう一度転職活動をすることになります。
会社も本人も、誰も得をしていません。
「何人入社したか」だけで採用の成果を測ると、その人が入社したあとどうなったのかが抜け落ちてしまう。
aciassが採用人数だけを成果にしたくない理由は、ここにあります。
「母集団形成」という言葉で、思考停止していないか
母集団形成という考え方そのものを否定したいわけではありません。
もちろん、応募してくれる人がいなければ採用は始まりません。
会社を知ってもらい、候補者との接点を増やすことは大切です。
ただ、以前ある採用支援会社の方から営業を受けたとき、aciassがどんな採用をしているのか、どんな人を採用したいのかをほとんど聞かれないまま、
「もっと母集団を増やしましょう」
と言われたことがありました。
そのとき感じたのは、
その母集団って、誰のことを指しているんだろう。
という違和感です。
応募者は数字ではありません。
一人ひとりに転職理由があり、やりたい仕事があり、不安があります。
それを知らないまま、「まずは人数を増やしましょう」と言われても、採用が良くなるイメージは湧きませんでした。
採用は、人を集めることが目的ではありません。
会社と、その人が、お互いに納得して働ける場所を見つけることだと思っています。
だからaciassでは、応募数だけを増やすことを採用の成果にはしたくありません。
一人ひとりと向き合った結果として応募が増えるのであれば嬉しいですし、そのための発信も続けています。
でも、数字だけが先に来る採用にはしたくない。
「母集団」という言葉の前に、一人の人を見る。
それが、aciassが当たり前にしている採用です。
aciassが面接で「これから」を聞く理由
aciassでは、これまで何をやってきたのかだけではなく、「これから何をやりたいのか」をかなり聞きます。
転職して何を変えたいのか。どんな経験を積みたいのか。今後どんなエンジニアになりたいのか。
もちろん、スキルや経験も見ますし、一緒に働くうえでの人柄やカルチャーも大切です。
以前、「採用って“好き嫌い”でいいの?」や「面接の合否を決めるのは誰か」でも書きましたが、aciassでは面接を会社が一方的に候補者を選ぶ場所だとは考えていません。
会社も候補者を見るし、候補者にも会社を見てもらう。
そのうえで、「この人と働きたいと思えるか」だけではなく、「この人はaciassに入ることで、やりたいことに近づけるのか」まで考えるようにしています。
ここは、aciassが大切にしている「ワクワク」と「誠実さ」にもつながっています。
本人がやりたいと思っていることに、aciassとして一緒にワクワクできるか。
そして、そのワクワクに対して会社ができること・できないことを誠実に伝えられるか。
どちらか片方だけでは足りないと考えています。
「やりたいことを大切にする」と「何でも叶える」は違う
ここは誤解されたくないところです。
本人のやりたいことを聞くからといって、「希望する仕事を必ず用意します」という意味ではありません。
以前、「“やりたい・やれる・やるべき”の交差点で、働くということ」という記事を書きました。
「“やりたい・やれる・やるべき”の交差点で、働くということ」
やりたいことは大事です。でも、やりたいことだけで仕事が成立するわけでもありません。
特にSESであれば、案件のタイミング、本人の経験、求められるスキルなど、いろいろな条件があります。
だからこそ、
「今のaciassなら、こういう可能性がある」
「これはすぐには難しい」
「この経験を積めば、そこに近づけるかもしれない」
「そのキャリアを最優先するなら、もしかするとaciassではない会社の方がいい」
そこまで話して初めて、本人も会社を選べるとaciassは考えています。
採用するためだけなら、言わない方がいいこともあるかもしれません。
でも、それで入社してもらい、数ヶ月後に「聞いていた話と違う」となる方が、よほど不誠実です。
採用できる人と、採用した方がいい人は違う
スキルは採用基準を満たしている。経験もある。人柄もいい。
それでも、その人がやりたいことをaciassでは実現できそうにないのであれば、採用しないという判断もあります。
採用できる人が、必ずしも採用した方がいい人とは限りません。
会社からすれば、一人でも多く入社してもらった方が短期的には嬉しいです。特に成長途中の会社なら、なおさらです。
それでも、入社してもらうために良く見せるのではなく、内定承諾の可能性が下がるようなことも含めて正直に話してきました。
会社をつくってから時間が経ち、採用する人数も増え、いろいろな転職理由を聞いてきた今も、この考えは変わっていません。
むしろ、以前より強くなっています。
採用の成功は、入社日に決まらない
何人応募が来たのか。
何人面接したのか。
何人採用したのか。
どれも採用活動をするうえでは必要な数字です。
でも、aciassでは、その数字だけで採用の良し悪しを判断したくありません。
aciassが見ているのは、その先です。
半年後、一年後、その人がどんな仕事をしているのか。
入社前に思い描いていたキャリアに少しでも近づけているのか。
そして、「転職してよかった」と思えているのか。
採用の成功は、入社日に決まるものではないとaciassは考えています。
母集団をどれだけ大きくできたかでも、内定承諾率が何%だったかでもない。
1人の入社を「1」という数字で終わらせず、その先まで見る。
それが、今のaciassが考える採用です。
もちろん、aciassのやり方が唯一の正解だとは思っていません。
ただ、せっかくaciassを選んでくれた人には、「ここに入ってよかった」と思ってほしい。
そして、面接で話した「やりたいこと」が、入社したあとにもちゃんと続いていてほしい。
そのためなら、「今回はaciassじゃない方がいい」と伝えることも含めて、採用活動だと考えています。