はじめまして!ABEJA PlatformやInsight for Retailの開発グループのマネージャーを務めている 大田黒紘之 です。2015年に新卒でAIベンチャーABEJAに入社して約10年間。どんな景色が見えていたのか。どんなスキルが身についたのか。そういったお話が簡単にできればと思っています。スタートアップ業界やABEJAの選考を考えている人の何か参考になればと思っています。
ABEJA入社のきっかけ 簡単な自己紹介 自己紹介スライド(登壇資料から抜粋) 私は学生時代、医用工学(ME)やメカトロニクス系(電子・機械・制御)を専攻しておりました。実は低レイヤーな技術が大好きで小型人工衛星のC&Dh系の設計開発を行ったり、理化学研究所で粒子加速器の計測系の技術検証(FPGAを用いた粒子軌跡の3次元計測システム開発、中性子イメージングのノイズ除去アルゴリズム研究etc…)などをしていました。Webや人工知能とは若干距離感のある場所にいました。
医用工学に携わっていた事もあり「技術で人を幸せにする・社会を良くする」という考え方は昔から持っており、 研究者 になろうとずっと思っていました。そんな中、当時の人事からTwitterで声をかけられ、「ベンチャー企業の雰囲気を知りたい」と思ってABEJAのインターンシップに応募しました。
キャリア価値観が大きく変わったABEJAインターン ABEJAのインターンに参加したのは2015年の夏頃でした。ちょうどDeepLearning技術が日本でも話題になり始めている頃でした。当時のインターンシップの経験は、自身自身のキャリア観を大きく変えるレベルに強烈なモノでした。
●圧倒的な技術力のエンジニア達 自分と同世代のエンジニアが異次元の経験を積んでいる 例:未踏IT人材、プロコン優勝者、セキュキャン参加者etc… 研究と開発の間にある「魔の川」超える系の人 例:サーバーサイドもできるリサーチャー 最新の論文を読みながらモデルをトレーニングして、プロダクトコードにコミットができる 開発〜事業化の間にある「死の谷」超える系の人 例:エンジニアリングもプロダクト提供価値も事業計画も考えられるPdM/PO ●テクノプレナーシップを体現する人たち 技術力が高いだけではなく、顧客や事業に視点が向いており、積極的に経営者(創業者)と議論を交わしている 自分自身の研究が10年~20年後先の暮らしを変えるのに対して、先端技術を明日から社会実装することを考えている 一方で、非常に不安な要素もありました。
●WebやAI/MLへの苦手意識 学生時代にプログラミングの経験はあったが、プロダクションレベルのコードを書いた事がなかった 機械学習への苦手意識 統計や最適化理論は単位を落としかけている ●自分がバリューを発揮できるかわからなかった 圧倒的な技術力を持つメンバーが多いので、何に貢献できるかわからなかった (ちなみに今も優秀な人がガンガン入ってくるので、負けないようにと思ってます笑) 20代のキャリアでは「質よりも量」を重視した仕事の価値観を持っていました。あらゆる領域のプロである社員全員に弟子入りをして、ひたすら業務を経験し、たくさんチャレンジをして成功・失敗のデータを積むことを考えていました。そんなスタンスで入社してから見えた景色、得られたものについて次のセクションでは触れられればと思います。
入社してどうだった? ①10年間で見ることができた景色 入社当初 (2015年9月頃) 入社当時(2015年)の雰囲気は率直に言うと「大学の研究室」「技術系の部活の雰囲気」でした。当時はほとんどが20代メンバーで事業・プロダクトの立ち上げフェーズだったので、夜遅くまで議論をしながら試行錯誤コードを書く毎日でした。毎日ハッカソンみたいな感じで、毎日青春している感じでした。当時は ABEJA Platform や ABEJA Insight for Retail の前進となるサービスの立ち上げを行っていました。
気づくと自分達が作ったプロダクトやサービスの顧客提供が進んでいました。1桁だったデバイス導入数が2桁、3桁、4桁と、あっという間に増えていきました。利活用事例がどんどん出てきて、事例ページができた時の感動は今でも覚えています。導入規模の拡大、導入形態が多様化する中で、様々な問題が出てきました。機械学習を動かすサーバーの負荷が高い問題、ストレージ原価の爆発問題、IoTやAI(ML)の品質問題もでてきました。いわゆる”成長痛”で毎日が大変ではありました。また、チーム人数も大きく増え、研究と開発活動が活発になる中で、様々な失敗もしました。一部を下の登壇資料で語っています。(大変ではありつつも、楽しい日々でした。あっという間に過ぎていったので、もっと噛み締めて毎日を過ごしておけばよかったと思っています)
入社から3~4年後。2桁億円規模の大型資金調達がありました。また自社で数千人を動員するようなイベント(ABEJA SIX)も開催しました。何年も向き合ってきたサービス・事業が市場からどう見えているのか?そういった答え合わせにもなりました。
ABEJA SIX2019
※ちなみに数千人規模のイベントでは、今までの技術開発の成果を使って上記のような体験を企画開発運営しました。
2023年6月 東京証券取引所にて 入社して約8年後。 2023年6月にグロース市場に上場しました。「上場したけど実際どんな感じなの?」と聞かれる場面がよくあります。ABEJAメンバー誰に聞いても同じ答えが返ってくるとは思いますが、「誰も浮かれることなく、粛々とお客様と事業に向き合っている感じ」です。ただ上場日だけは東証にいってお祝いをしました。
ABEJAにおける業務体験で感じることがあります。それは目の前の景色がどんどん移り変わっていく事です。事業のフェーズがどんどん変わっていく中で、対峙している課題や取り組みもどんどん変わっていくので、半年間と同じ仕事をしていない感覚があります。上場した後も会社としていろいろな事に挑戦していくので、見える景色も変わり続けていくと思っています。
②具体的に得られたスキル・経験など ABEJAでは様々な技術領域のエンジニアリングが存在します。具体的な技術領域だと、組み込み、クラウド、ネットワーク、バックエンド、フロントエンド、データ基盤、機械学習モデル(CV)になります。自分が何エンジニアなのかわからないぐらい、いろいろな事に携われたと思います。プロダクトや事業のステージが変わりゆく中で、事業の中で足りないピースを埋めるような立ち回りで日々業務に向き合っていたので、広く経験を積むことができました。
●入社1~3年目 (新卒エンジニア時代) 自社のOEMカメラ開発・組み込みソフトウェアの開発 (C++, Shell, Linux etc…) ロジスティクスの構築(キッティングシステム、在庫管理) IoTデバイス管理・モニタリングシステムの構築 大規模な映像解析インフラやデプロイシステムの構築 店舗NWの設計開発(YAMAHA、Cisco、EdgeRouter等の機材開発) ●入社3~5年目 (チームリーダー時代) 機械学習モデルの改善、MLOpsの土壌構築 採用活動の実施(採用計画立案、面接面談の実施etc…) データ基盤の設計開発運用 技術選定、アーキテクト業務 新規事業立ち上げの挑戦 新卒採用に向けたインターンシップ企画 ●入社6~8年目 (エンジニアリングマネージャー時代) 技術戦略の立案、実行 (現CTO室の前身組織) 採用広報チームの立ち上げ、社内外イベントの企画… TechBlog運営、アドベントカレンダー運営 開発グループのマネージャー 中期経営計画の策定支援etc… 様々な領域の業務を経験する中で、失敗もたくさんしました。ここに書ききれないほどたくさんの失敗を経験しました。「大田黒さんが先回りして失敗してくれるから不確実性が減る」とフィードバックをもらったことがあるぐらいです。このような経験ができた背景としては、下記のようなABEJAの環境があると思っています。
●チャレンジを推奨する会社文化、 褒めてくれる人達の存在 「試しにやってみたら?」と見守ってくれる先輩の存在 等身大の悩みをぶつけても、受け入れてくれる同世代・先輩・上司の存在 ●様々な分野のプロフェッショナルの存在 AWSで困った時は、AWSの本を書いている人が超身近にいる 高負荷なシステム設計に困ったらモバイルゲームの認証認可系を作ったメンバーにも相談できる これからの挑戦 スタートアップやベンチャー企業では10年以上も在籍している人は珍しいかもしれません。(自分の役割を変えながら仕事をしていたので、気持ち的には既にN社転職している気分ですが….笑) ここに書ききれないぐらい色々挑戦したいことがあります。ABEJA内でもありますし、ライフワークとして成し遂げたい事もたくさんあります。いくつか書いてみます。
●ABEJA Platformを基軸にさらなる事業拡大への挑戦をする 自分が目指す「技術で人を幸せにする・社会を良くする」を体現するための土壌を作り切る ●自分が採用に携わったインターン生・社員をHAPPYにすること 10年間たくさんの人の採用に関わってきました ABEJAからたくさんの成長機会をGiveしてもらったので、今度は自分がGiveする側に回る事 ●技術集団ABEJAの魅力を市場に伝えていくこと 技術面の面白さ、魅力的なメンバー組織をどんどん宣伝していきたい ●(趣味) ロボティクスで何かしたい…
最後に 「AI/MLの知識・経験がないとバリューが出ないのではないか?」という不安が当時ありましたが、全然そんなことはありませんでした。
ABEJAは20代・30代の成長環境としては非常に良い環境であると思っています。
この点に関しては、胸を張って皆さんにお伝えできます。 応募ページ からお気軽にご連絡いただけるとうれしくです。
(2024年5月13日掲載「テクプレたちの日常 by ABEJA」より転載)