【メランコリック】| 第31回東京国際映画祭
サスペンスやアクションの合間にほんの少しの悲しみとシニカルな笑いをちりばめた青春ドラマ。脚本/監督は本作が初長編作品となる田中征爾。同い年の3人組で立ち上げた"One Goose"にて製作。
https://2018.tiff-jp.net/ja/lineup/film/31JPS08
Schooには色々なバックグラウンドを持ったメンバーがいます。
元イタリアンシェフ、家庭科教師免許を持つメンバー、編集者など。
またSchooで働きながら個人でピアノアプリをリリースしたり、芸術家として活動し個展を開くメンバーも在籍しています。
2018年1月に入社した田中征爾もその一人。
Schooで放送ディレクターとして働きながら、個人としてショートフィルムを制作しています。
そんな田中が10月に開かれた東京国際映画祭に自脚本・監督を担当した作品「メランコリック」を出品し、「日本映画スプラッシュ部門」で監督賞を受賞しました。
今回は、Schooでの仕事や働きながら作られた作品について、また自身が映像や映画に興味をもったきっかけについて聞きました。
「メランコリック」©OneGoose
Schooでは放送ディレクターとして、毎日生放送される授業をユーザーに届ける仕事をしています。
スタジオでの収録・配信業務だけでなく、構成台本を作ったり、過去の人気授業を再編集をしたりしています。
また短い尺ですが、授業を企画し、出演までしています(笑)
このあたりが毎日の仕事で、そのほかにスマートフォンでの視聴体験をより磨くために授業構成や演習の改善、コメント欄が盛り上がるための施策なども取り組んでいます。
子供のころから本を読むのが好きで、家にある本をよく読んでいました。
中学生のときに家のほとんどの本を読んでしまったので近くの本屋に買いにいきました。
何を買おうとは決めていなくて、たまたま表紙が印象的だった三谷幸喜の「オンリーミー」という本をジャケ買いしました。
さっそく読みはじめるとすごく面白く引き込まれていきました。
そしてその日の夜、たまたまテレビを見ていたら「HR」という香取慎吾主演のコメディがやっていました。
放送が終わってその番組のクレジットに、その日買った本の著者三谷幸喜の名前を見つけて、強烈に「脚本をやりたい!」と思いました。
そのまま三谷さんのことをした調べていくと日芸(日本大学芸術学部)の演劇学科を出られていることを知り、翌朝、両親に「大学は日芸へいく」と宣言をしていました。
高校は公立の進学校に進みました。
周りは東大や早慶を目指すようななかで、僕は日芸へ行くと進路を決めていましたが、演劇に関することはしていなくて、演劇部ではなくバスケ部に入ったり、何か書くということでいえばときどきプリントの裏に短い話しを書いているくらいでした。
そんな高校だったので、高校卒業から10年経って開かれた同窓会では周りは会社で出世していたり、弁護士や公認会計士など立派な肩書ばかりで…
それに対して僕は「売れない脚本家」で…そのとき感じた劣等感が今回の「メランコリック」でも反映されています。
そうしてやっと日芸に入りましたが2年で中退してアメリカのコミュニティ・カレッジに留学しました。
大学では、1,2年次に演劇の脚本の基礎を学びましたが、3,4年になると2年間かけてゼミでオリジナルの脚本を仕上げていきます。
でもそれよりも、もっとインプットしたいと思い、「アメリカへいこう」と決めました。
映画の勉強ができるコミュニティ・カレッジがあったので、そこへ留学をしました。
アメリカでは沢山の基礎を学びました。
映画の見方から脚本に対する考え方まで体系化された授業で学ぶことが多くありました。
そして何より課題で見たウディ・アレンの「アニー・ホール」に大きな衝撃を受けました。
それまで自分のことを映画好きだと思っていたのですが、見方が偏っていたし浅かったなと感じました。
映画というものの奥深さや持つ力に圧倒されました。
22,23歳で帰国してからは、アルバイトをしながら舞台の脚本を書く仕事もしていました。
でも自分の作品を誰かが映像化してくれるのを待っていても仕方ないと、一念発起しお金を貯めて撮影や編集機材を買って、一気に短編を3本作りました。
でもその3本は自ら全てお蔵入りにしてしまいました。
はじめて自分で映像作品を監督してから、今回の作品でもそうだったんですが、僕は編集しているとき、「自分は世界一つまらない作品をつくっている」と感じてしまうんです(笑)
だから過去の3作は全てお蔵入りに。
そのとき出てくれた役者には怒られたりしましたけど、今も良い関係でやっています。
実際に自分で監督をやってみて、「自分で演出するのはもういいかな」と感じたことと、演出をしてみて学べたことがあったので、それ以来監督はしていませんでした。
その後、27歳のころしていたアルバイト先で、ミュージシャンで自分達のミュージックビデオを作っている人に出会い意気投合し、一緒に映像を作って今度はyoutubeにupするようになりました。
その人は今回の「メランコリック」で撮影を担当しています。
同じころ僕は結婚を控えていたこともあり、知り合いのつてでメディアの関連の事業をしていたベンチャー企業に就職しました。そこではweb動画の企画収録編集をしていました。
そこで1年ほど働いて、またご縁もあってSchooに入りました。
Schooの面接では自分のこれまでの経験を必要としてくれているように感じて、入社を決めました。
入社前の段階ではビジョンミッションに共感をしていたのではく、入社後のオリエンテーションで深く知ることが出来て、そこで「なるほど」と強く感じました。
僕自身もアルバイトのときに会社から受けるようにいわれた研修を「つまらない」と感じていたし、Schooのビジョンやミッションをもってこういう課題を解決できたらいいなと思いました。
Schooでの放送ディレクターとしての仕事と脚本家の仕事はやることは別のものですが、本質的に共通していることがあって、それは見た人が「見る前と見た後」で変化していなければならないという役割は共通しています。
今のSchooには「学び」に対してモチベーションが高い人が多く来てくれていると思います。
でもこれからはもっと多くの、今は学びに興味をもっていない人にも届けたいです。
放送に関わって改めて感じることは、「脚本も演出も“最初は観客もこのストーリーに興味ない前提“で考えるのが大事だ」ということです。
これは脚本を書いてきてずっと感じていることなのですが、 「これくらい分かってくれるだろう」「このくらいでいいだろう」と良い意味で観客に期待せず、手を抜かず向き合うことが大切で、Schooの授業も同じような気持ちで放送しています。
こういう視点は脚本家というものの強みなのかなと思います。
今回のメランコリックは2年ほど前に、役者をしている友達に「脚本と監督をお願いしたい」と頼まれたものです。
そのときは「脚本はいいけど監督はやらない」と断っていましたが、結局監督をすることになりました。
その友達は今回主演とプロデューサーをしています。作品は仲間や知り合い皆で作りました。
いざ撮影を終えて編集をしているとやっぱりあの「自分は世界一つまらない作品をつくっている」という気持ちもで出てきました(笑)
でも今回は作品の規模も関わっている人数も違いますし、「東京国際映画祭に出品する」と言われていたので、締切もあり、なんとか編集を進めました。
そして編集が終わったのが、提出期限の朝で…そこからPremiereの書き出しを押すと「約20時間」と出たので、画質をものすごく低くして無理やりDVDに入れて投函しました(笑)
そんな感じだったので、自分のなかで「完成した」という感覚はまったくなくて、予備審査後に実際に映画祭で上映するという連絡があったときに、初めて作品が出来たという実感が生まれました。
受賞後、私生活では大きく変わったことはありません。
何か大作のオファーがあるとかそういう話はありません。
映画祭で一つ受賞しても急に何かが変わるわけではなく、ここからスタートだと思っています。
まずは受賞をきっかけとして作品が公開されて多くの人に見てほしいなと思います。
1つ大きなことでいえば、これでまた映画を創り続けることができるということです。
もともと家族や周りの人たちとても応援してくれていましたが、ここで評価されたことで
さらに理解してくれたし、応援を続けてくれるので、次回も面白いものを作れたらと思います。
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