──“当事者がつくる、不動産の未来”に挑むIRIS代表・須藤啓光の原点とこれから
こんにちは、IRIS広報の雨谷です。
私たちIRISは、「当事者による、当事者のためのLGBTs不動産」として、住まいにまつわるさまざまな課題に取り組んでいます。
今回は、改めて「IRISとはどんな会社か?」「なぜこの事業をやるのか?」をお伝えするために、代表・須藤へのインタビューをお届けします。
この記事を通じて、LGBTQ+当事者が直面するリアルな課題と、IRISが描く社会のあり方を知っていただけたら嬉しいです。
■代表プロフィール
須藤 啓光(すとう あきひろ)/IRIS代表取締役 CEO
1989年、宮城県生まれ。金融業界でのリテール営業、不動産会社での賃貸仲介を経て、2014年にLGBTs当事者として「IRIS」の活動を開始。2016年に法人化し、本格的に不動産事業をスタート。現在はIRIS代表としての活動に加え、執筆、講演、メディア出演など多方面で情報発信を行っている。
■「礼金1ヶ月多く払え」と言われた、あの日の違和感からすべてが始まった
──IRISを立ち上げたきっかけを教えてください。
10年以上前、当時の同性パートナーと同棲しようと部屋を探していたときのことです。
5社ほどの不動産会社に相談しましたが、まともに取り合ってもらえず、最終的には「礼金を1ヶ月分上乗せすれば審査を通してやる」と言われました。
納得できないまま、その物件を選ばざるを得なかった経験が今も忘れられません。
「誰もが当たり前に家を借りられる社会じゃないのか」と疑問を持ち、IRISの原型となる活動を2014年に始めました。
■「s」に込めた想い──LGBTだけじゃない、すべての”生きづらさ”に光を当てたい
──社名でもよく使われる「LGBTs」の“s”に、どんな意味がありますか?
住まいに関する困難は、LGBT当事者だけの問題ではありません。
シングルマザー、外国籍、高齢者、障がい者、起業家……。社会の多様性が進む中で、「住まい探し」は多くの人にとってハードルの高いものになっています。
私たちは、LGBTを含むあらゆる当事者の“声にならない困難”に気づいてもらうきっかけをつくりたくて、あえて“s”をつけた「LGBTs」という表現を使っています。
■同性カップルだと、そもそも「審査にすら乗らない」
──具体的に、当事者はどんな壁にぶつかっているのでしょう?
たとえば賃貸では、同性カップルが「二人入居可能」と書かれた物件に申し込もうとすると、「家族や男女カップルが前提です」と断られることが珍しくありません。
そもそも審査にすら進めないこともあり、選択肢が圧倒的に限られています。
購入においても、住宅ローンや名義の問題などで、パートナーシップ制度だけでは乗り越えられない壁が多くあります。
■9年間で見えてきた小さな変化、そして希望
──IRISを続ける中で、ポジティブな変化はありましたか?
創業当初に比べれば、LGBTsフレンドリーな物件の数は確実に増えていますし、同じような課題意識を持った不動産会社も少しずつ増えてきました。
もちろん、まだ「気持ち悪い」と言われることもあります。でも、少なくとも“声に出して否定する人”は減ってきた実感があります。
当事者の選択肢が少しずつ広がっているのは、本当に嬉しいことです。
■「特別扱い」をしたいわけじゃない──“普通”が誰にとっても普通であるために
──IRISならではの強みはどこにあると思いますか?
IRISは、“当事者が運営するLGBTsフレンドリーな不動産会社”として、日本でも非常に珍しい存在です。
私たちは、マイノリティを特別扱いしたいわけではありません。
むしろ、「誰もが選択肢を持てる社会ってどうあるべきか?」という問いを、住まいを通じて社会に投げかけています。
メンバー全員が何らかの「生きづらさ」を経験しているからこそ、お客様の気持ちに寄り添った提案ができる。それがIRISの何よりの強みです。
■2025年、そしてその先へ──“当たり前”を一つずつ変えていく
──今後に向けて、取り組んでいきたいことはありますか?
ありがたいことに、最近IRISは外部出資を受けることができました。
これまで以上に、多くのチャレンジができる土台が整いつつあります。
草の根で始めた活動が、より多くの人に届くように。
そして、住まいを通じてもっと深い社会課題にもアプローチしていけるように。2025年は、IRISにとってもう一段階“拡張する年”にしていきたいです。
■最後に──LGBTという言葉がいらなくなる未来を目指して
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
私たちは、将来的には「LGBT」という言葉自体が必要ない社会を目指しています。
“違い”を説明しなくても、誰もが尊重される世界。そんな未来に少しでも近づけるよう、これからもチャレンジを続けていきます。
どうか、引き続きIRISを応援してください。
「生きづらさ」から、「選べる人生」へ。
IRISの挑戦に共感してくださる方、ぜひ一緒に働きませんか?