プランナーが作る仕様書は、ゲームの挙動や体験を定義する重要なドキュメントです。
イベント条件、演出の流れ、入力に対する反応など、ゲームの骨格がここで決まります。
ただし、仕様書には実装上のすべての前提条件や例外ケースが書かれているわけではありません。
たとえば、
「●●の条件でイベントが発動する」
とあった場合でも、
- フレーム落ちが発生している最中
- メモリが逼迫して一部リソースが未ロード
- ネットワーク切断・再接続の境界タイミング
- 同一フレーム内で入力や状態遷移が重なった場合
といった条件まで明示されていることは、ほぼありません。
これは仕様が甘いという話ではなく、仕様書の役割がそこまでを担っていないというだけです。
プランナーはゲーム体験を設計する役割であり、
実行環境の制約や、例外時の壊れ方までをすべて想定するのは現実的ではありません。
その「書かれていない部分」を補うのが、プログラマーの仕事になります。
たとえば実装時には、
- このイベントは再入可能か
- フレームまたぎで状態が不整合にならないか
- 通信失敗時にロールバックすべきか、続行すべきか
- 最悪のケースで「何が起きれば安全か」
といった点を、コードレベルで判断していきます。
仕様書に書いてある条件だけをそのまま if 文に落とすのは簡単です。
ですが実際の不具合は、たいていその if 文の前後で起きます。
- 初期化が間に合っていない
- フラグの更新順が想定とズレている
- 例外経路だけガードが薄い
- 「あとで直す」がそのまま残っている
こうした箇所は、テストでは見逃されやすく、本番環境や長時間プレイ、負荷がかかった状態で顕在化します。
「仕様通りに動くコード」と「壊れにくいコード」は、イコールではありません。
想定外の入力や状態遷移が起きたときに、どう壊れるか、あるいは壊れないか。そこまで考えて初めて、実装が成立します。
仕様書はゴールではなく、実装判断の出発点です。
その先で起きうるリスクを潰し、破綻しない挙動に落とし込む。
その積み重ねが、ゲームの安定性や信頼性を支えているのだと思います。
おわりに
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