見えている課題と、今解く課題は違う― 考える順番を間違えると、人は前に進めなくなる
仕事をしていると、不思議なことがあります。 目の前の課題を解決しようとしているはずなのに、気が付けばその先の課題、そのまた先の課題まで考えてしまう。
私は普段、コンテンツ制作やイベント企画に携わっていますが、自分の思考の特徴として、「次の課題を見つける速度が少し早い」という自覚があります。
もちろん、それ自体は悪いことではありません。 未来を予測し、先回りして準備できることは、仕事を進める上で大きな強みになります。
しかし最近、あることに気が付きました。 それは、
「見えている課題と、今解く課題は違う」
ということです。
課題発見能力が高い人ほど陥りやすい罠
例えば、ある目標が未達だったとします。 その時に考えるべきことは、
- なぜ未達だったのか
- 次は何を変えるべきか
- どんな行動を取るべきか
かもしれません。 ところが、思考が先に進みすぎると、
- なぜ同じ課題が繰り返されるのか
- なぜ組織は学習しないのか
- なぜ育成が機能しないのか
- 事業構造はこれで良いのか
- 3年後も同じことを繰り返すのではないか
というところまで一気に飛んでしまいます。
どれも大切な問いです。むしろ、組織や事業を成長させるためには避けて通れない問いかもしれません。 ただし、その瞬間に解くべき問いとは限りません。
正しい問いであることと、今必要な問いであることは別なのです。
「正しい問い」と「今必要な問い」は違う
私たちは仕事を通じて、より本質的な課題を見つけようとします。
- なぜ成果が出たのか
- なぜ失敗したのか
- なぜ同じことが繰り返されるのか
- なぜ人は育つのか
- なぜ組織は成長するのか
こうした問いはとても重要です。 しかし、重要な問いだからといって、今すぐ答えを出さなければいけないわけではありません。
- 今月の成果を出すための問い
- 来年の事業を考えるための問い
- 3年後の組織を考えるための問い
これらは本来、別々に扱うべきものです。 ところが、それらを同時に抱えてしまうと、人は前に進めなくなります。
考えることをやめるのではなく、順番を決める
私は昔から、「失敗を見るのではなく、次の選択肢を見る」という考え方を大切にしてきました。 失敗そのものに意味があるのではなく、そこから何を学び、次にどう活かすかに価値があると思うからです。
ただ最近は、その前に必要なことがあると感じています。 それは、「考える順番を決めること」です。
未来の課題が見えることは悪くありません。むしろ見えた方がいい。 しかし、未来の課題をすべて今解こうとすると、思考は複雑になり、行動は止まります。
だから、
- 今やるべきこと
- 次に考えること
- 見えているけれど今は触らないこと
を整理する。 これは思考を止めることではありません。思考の優先順位を決めることです。
課題を解決する力より、課題を選ぶ力
仕事をしていると、課題を解決する能力が高い人ほど評価されます。もちろんそれは大切です。
しかし実際には、課題を解決する前に、「どの課題を今解くべきなのかを選ぶ力」の方が重要な場面もあります。 なぜなら、組織にも事業にも人生にも、課題はなくならないからです。一つ解決すれば、また新しい課題が現れます。
だからこそ、すべてを抱え込むのではなく、今解くべき課題を選ぶ。 その判断が、結果的に前進する力になるのだと思います。
見えている課題を全部背負わなくていい
最近、自分自身へのメモとして残している言葉があります。
「見えている課題と、今解く課題は違う」
未来を見ることは大切です。構造を考えることも、再現性を探すことも大切です。 ただ、それらを今すべて解く必要はありません。
今の課題に向き合い、今の勝負に集中し、次の課題は次のタイミングで考える。 その積み重ねが、結果として未来を変えていくのだと思います。
編集後記
この記事を書きながら、改めて思いました。
私は昔から、課題を見つけるのが比較的早いタイプです。目の前の出来事から、背景や構造、再現性や未来まで考えてしまいます。それは強みでもありますが、時々、自分自身の行動を止める原因にもなります。
だから最近は、「見えている課題」と「今解く課題」を意識して分けるようになりました。
未来を考えることは大切です。でも、未来の課題を今すべて解く必要はありません。 まずは今向き合うべき課題に集中すること。それもまた、前に進むための大切な技術なのだと思います。
この記事が、目の前の課題と未来の課題の間で立ち止まっている誰かのヒントになれば嬉しく思います。