OJTにおける新人との信頼関係の築き方
この考え方の対象
新人とうまくコミュニケーションが取れない/相談してもらえない。→どう接していいかわからない方。
使われる場面
OJTの担当者として、新人と初めて対面するところから、トレーニング期間が終了するまで。
問題意識
新人は初めてのことに対して果敢に挑んでスムーズに仕事を覚える人と、なれていない仕事に不安を感じながらゆっくり仕事を覚えていく人がいます。新人が初めてのことに対して不安を抱いているケースは多いです。私が経験してきた体感としては、むしろ果敢に挑めるタイプの人の方が少なく感じます。しかしそれは、入社してまだわからないことが多いのだから自然なことだと私は考えます。
一方で、トレーナーが新人が感じる不安に対してフォローできていないケースがあるように見受けられます。仕事の習得が早い人ほど評価されやすく、より早く教える側に回る可能性が高くなります。仕事覚えの早い人ほど躓いた経験が少ないため、躓きがちな人がどこでどのように躓いているのかを想像したり共感することが難しくなるようです。そのため仕事を覚えられないのは本人の問題とされがちです。それが仕事が早い人と躓きがちな人の間で、感情的なすれ違いを生むことは多いです。
感情的なすれ違いが生まれれば、新人はトレーナーに相談しづらくなり、仕事を覚える上での悪循環に陥ります。その中で最悪体調を崩してしまう人も出てきます。
仕事を覚えるペースがゆっくりな人の中には、一度ブレイクスルーを迎えれば安定した戦力となる大器晩成型の人もいます。そういう人がトレーニングの段階で芽が出なかったために離脱してしまうことは、雇う側としても勿体無いことなのではないか、と私は考えます。
私なりの整理、実践
この問題を解決する上で、私が実践してきたことは、新人の疑問点を一緒に解消すること、仕事に慣れていなくて不安な気持ちに寄り添いながら伴走することです。そのためには新人とトレーナーとの信頼関係ができているかがとても重要になります。信頼関係がしっかり形成されていることで、新人からの相談や質問を引き出す土台になります。
OJTにおける信頼関係とは何か
新人との信頼関係を築くと言っても、抽象的だと思います。
私はそれを「新人が『この人がフォローしてくれるならなんとかなりそうだな』と安心感を抱いている状態」だと定義しています。
「もし失敗したとしても、この人がちゃんとフォローしてくれる」。そう思えることで、慣れていない業務や、初めてで不安を感じる業務にも積極的に取り組みやすくなります。
「それでは自主性が育たないのではないか」という疑問をいただいたこともありますが、自主的に仕事に取り組むことについても、トレーニング期間中に教えています。なぜならOJTのゴールは業務のやり方を説明し終えることではなく、新人が自主的に仕事を進められるようになることだからです。業務を教える中で、自主的に仕事を進めることについても共有することで、私が担当した新人の多くがOJT終了後に自立して仕事を進められるようになりました。
信頼関係を築くためにすること
「新人が『この人がフォローしてくれるならなんとかなりそうだな』と安心感を抱いている状態」を作るために実際に取り組んでいたことをここで説明しようと思います。
対面した際に、挨拶と自己紹介をする。
事前に「説明がわかりづらかったら遠慮なく言って欲しい」とお願いしておく。
これをいうだけでも、新人が感じる安心感が違います。
新人に声をかけるときは、「〇〇さん」と名前を呼んで声をかける。
人は名前を呼ばれると、受け入れてもらえている感覚になります。
新人が自分とどれくらい体の距離をとるかで、心理的な距離感を測る。
人は心の距離感と体の距離感がリンクしていると言われています。
雑談をどのくらい入れるかは、新人の反応次第で臨機応変に調整する。
新人がミスをした際などに、「自分も新人の頃に同じようなミスをした」と、自分の失敗を打ち明ける。
「失敗をするのは自分だけじゃない」という安心感に繋がります。
フィードバックをする際に、良い点から伝え、改善点は、「このように改善すると良い」という伝え方をすることで角を立てずに伝える論理的に順序立てて話す。
良い点から伝えることで、改善点を伝える際に角が立ちません。
メモをとっている最中は待ってあげる。
質問は歓迎する。
質問しやすい雰囲気を作ることで、わからない時の安心感に繋がります。
常に新人の頭の中を想像しながら説明や段取りを行う。(表情から理解度を測る。)
この考えを使うことで楽になること
まず、新人から質問が来やすくなります。それによりトレーナー自身が「確かにそこは説明が漏れていた」と気付かされる場面もあるため、相互にOJTをスムーズに進めるきっかけになります。
また、ミスコミュニケーションも減るので、結果的にお互い気持ちよくOJTを進める助けになります。大器晩成型の新人も、自信を失わない設計なので、長期的には退職率の低下と、組織の生産性の向上につながると考えています。