北海道大学 / 工学院 環境循環システム専攻
廃棄物資源循環学会 学会誌:No.2 中間貯蔵施設周辺地域の融合的な環境再生に向けて
福島第一原子力発電所事故後に行われた除染によって発生した土壌等は,2045年までに福島県外にて最終処分される。本稿では,質問票を用いたオンライン調査・郵送法での調査・インタビューによる調査を通じて明らかとなった最終処分受入に関する要因を紹介する。これらの調査結果を包括的にみると,最終処分の受け入れには,手続き的公正と分配的公正といった最終処分に至るプロセス,実施主体への信頼,リスク認知,社会的便益認知といった個人の社会心理的要因が関連していた。最終処分の受け入れを進めるためには,特に①再生利用等を全国的に推進することで分配的公正を担保すること,②安全性や経済性に加えて,社会的意義に関しても説明すること,③透明性,説明責任,包括性等の手続き的公正を踏まえたアプローチで不信感を払拭することが重要だと考えられた。