東京工業大学大学院修士課程 / 環境・社会理工学院 融合理工学系 エンジニアリングデザインコース
EVALUATION CRITERIA FOR NEEDS STATEMENTS IN DESIGN EDUCATION
革新的な製品を開発するためには、問題定義が不可欠である。ニーズ・ステートメントは、デザイン上の問題やユーザーのニーズを一文で表現するフレームワークである。デザイン教育では、問題定義を教えるためにニーズ・ステートメントが使われることがある。デザインを専攻していない初心者の学生の多くは、ニーズ・ステートメントを作成し、重要な基準を理解するのに苦労している。一方、教育者は標準的な評価基準を持っているようだ。本研究では、デザイン学習者のニーズ・ステートメント作成を効果的に支援するための第一歩として、デザイン教育者のニーズ・ステートメントに対する評価視点を明らかにすることを目的とする。9名の教育者への半構造化インタビューと質的内容分析を行った。その結果、ステートメントの機能と質に関する評価視点が明らかになった。ステートメントの機能を評価する視点は、「表現の適切さ」、「テーマとの整合性」、「調査に基づいているか」、「アイデア発想の可能性」、「解決策との整合性」の5つである。質を評価する視点は、新規性、明確性、有効性の3つである。この結果は、アイデアの創造性の評価基準に対応するものであった。この結果は、限られた文脈の中で得られたものであるが、デザインプロジェクトにおける学生のフレーミング、問題定義、ユーザー理解に関する活動を支援するための基礎となることが期待される。