地域ブランディング研究所の「地域プロデューサー」は、日本各地の市や県など自治体の観光課や、観光体験に携わる地域の事業者様と観光課題に向き合ってコンサルティングをしています。
訪日旅行者をターゲットとした誘客施策のための観光体験の企画造成や、その販売に向けた活動の伴走支援を主に行っています。企画した体験の販売プロモーション施策としては、自社で運営する
「AttractiveJapan」や、その他海外のOTAへの掲載、欧豪米やアジアの訪日旅行代理店に向けた営業活動など、日本の観光体験の魅力が世界にもっと広がるよう日々動いています。
今回は、20代若手スタッフがどのよう地域プロデューサーとして日本の地域観光の魅力を世界に伝えるために活動しているのか、その思いをインタビューで掘り下げたいと思います。
【プロフィール】
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上原知也/神奈川県横浜市出身。国際系の高校に在学中から留学を経験をした後、慶應大学総合政策学部に入学。IT会社でインターンとして働いていたが、就職活動をやり直した際に以前から興味のあった日本の地域や文化を残していく活動ができる場を探していた中で地ブラの選考を受け新卒入社。内定者時代から沖縄のプロジェクトに関わっており、現在は静岡県や神奈川県のプロジェクトも担当している。
山口大輔/熊本県熊本市出身。立命館大学経営学部国際経営学科に在学時代に欧州への留学の準備をしていたがコロナ禍で断念。Webマーケティングを行うベンチャーに就職し、新規事業開発、営業、採用などやっていました。一方でいつか地元の熊本に貢献したいという地域への想いを持っていた中、営業先であった地ブラの事業に触れ、吉田代表と話をしていく中で転職を決意し中途入社。現在は熊本と広島県のプロジェクト案件を複数担当。
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■学生時代から抱いていた海外×日本の繋がり
「お2人は、学生時代から海外への興味があったのでしょうか?」
上原:僕は小学校から英会話を習っており、中学でも英語が得意だったので高校も国際系にいきました。帰国子女など海外に興味の強い人が多かったですし、自分もアメリカにホームステイをしたり、修学旅行もマレーシアだったり、ベトナムのスタディーツアーに行くなど、英語や海外のことには多く触れてきました。大学時代はIT中心に学んでいましたが、スペインに語学留学にいったりもしました。
そのように昔から海外に憧れもありましたが、実は高校の頃から僕はどちらかというと「日本の地域をもっとどうにかしないといけないんじゃないか?」という想いの方が強くありました。そういう背景もあり、地ブラのように日本の地域に向けた活動ができる場を就職先と選びましたが、英語が活用できる仕事や、これまでも2回ほど代表の吉田さんと一緒に海外出張に連れていっていただく機会もあり、これまで学んできたことが活かせるなと感じています。
山口:僕は熊本市の出身なんですが、子供のころ、外国人が地元にいると珍しく感じて自分から話しかけにいってました(笑)地元の熊本がめっちゃくちゃ大好きなので、もっと海外から人を呼び込んでいき、外貨を熊本に落として欲しいと思っていました。大学時代は、バングラディシュのグラミン銀行など海外の貧困問題にも興味があったので、途上国について勉強していたんですが、ある時、幸福度の高い国、低い国の比較をしてみたいと思い、幸福度が高いと言われる北欧にいこうと考えました。
そこからデンマークに3ヵ月程交換留学で行くことが決まっていたのですが、コロナで留学できなくなってしまいました。その後は英語力だけでも高めようと2ヶ月詰め込んで勉強して受けたTOEICで890点までは取りました。あの頃本気で集中して勉強した英語が、今仕事で活かせているので良かったなと思っています。結局、卒業までに行けたのはインドネシアの1週間の旅行のみでしたが、入社してから台湾出張に参加したり、フランスへの出張も予定しているので、海外に行ける機会が増えていて今後も楽しみです。
■日本各地でインバウンド相談にも貢献
「これまで、どのようなプロジェクトに関わってきているか教えてください」
上原:僕は沖縄の世界の5大ブルーゾーンの1つ「大宜味」のエリアを担当しています。ブルーゾーンの1つつで、世界からも「長寿の村」として注目されている集落で、そこに住んでいる「おじいおばあ」の長寿に繋がる生活文化を残し伝える観光体験の企画や販売に携わっています。
その他、石垣にある八重山の小浜島、西表島のサポート、先日は浦添市の訪日観光ニーズについて街頭インタビューによるマーケティング調査なども行いました。
僕の地元は神奈川なのですが、神奈川県の宮ケ瀬ダム周辺の商店街を巻き込んだ地域のブランディングについての企画提案にも関わらせていただいたり、関東では他は伊豆のウェルネス関係のプロジェクトも担当しています。
山口:広島と熊本を担当しています。代表の地元でもある広島県の廿日市市にある宮浜温泉の組合の方たちやマリンアクティビティの事業者さんで行っている「宮浜アドベンチャーズ」という活動のサポートや、観光庁の事業で江田島エリアの特別体験のサポートも行いました。また、鞆の浦のカヤック事業者様とは去年一緒に補助金獲得に向けて動き、インバウンド向けの大型カヤックも購入することができて、これからさらに外国人受け入れに向けてプロモーションしていこうという話もしています。
熊本では、宮本武蔵が残した、サムライ文化伝承をテーマにした企画をサポートしています。「SHOGUN 将軍」による世界からの注目度もあり、旅行会社からも高評価、旅行会社からの問い合わせにもつながり、メディアにも取り上げていただきました。さらにこちらのプロジェクトは、スポーツ庁での採択も決まりました。
「普段、海外とのやりとりや英語を使った業務はどんなことをしていますか?」
山口:海外の旅行代理店に向けた観光体験商材の資料や、外国人の方をモニター体験を実施させていただく際などは英訳資料を作ったりします。僕は自分で作成する場合もありますが、メンバーの中には英語があまり得意ではないスタッフもいるので、そういう場合は、インターンやパートさんが英訳できるメンバーがいたり、地域ソリューションチーム以外に、地ブラにはランドオペレーティングを行っているチームもあるのでそちらに協力を仰いだりもします。
AttractiveJapanの体験記事の制作は、OTAの登録サポートやブッキング対応を行っているメンバーに確認や制作登録の依頼をしています。他には去年は各地域担当がそれぞれ5ブース程、国内のインバウンド向けイベントで訪日旅行会社さんとの商談を行いました。
上原:これまで2回海外のツーリズム関係のイベントにブース出展をする際に僕も出張で同行して、フランスはカンヌで行われて帰りはパリの旅行代理店に挨拶にまわったり、パナマで開催されたイベントの出展の際は、吉田さんと一緒にパナマでの滞在中に現地での観光体験にも参加しました。
現地の旅行関係者と話していると、地ブラが目指してる方向に世界のトレンドが向いていて、ゴールデンルートだけじゃない、日本の地域も注目されていて、ローカル志向でリジェラティブツーリズムなど感度の方々がいることが分かります。
■日本の観光の未来に向けて
「インバウンド施策の中で感じることや、今後の日本の観光に向けて思うことについて教えてください」
上原:さらにインバウンドで訪日外国人の方にたくさん日本に来てほしいですね。たくさんの国がある中で日本を選んでもらうためには、呼び込む体制作りにももっと力を入れるなど、まだまだ様々な観光課題もあったりするのでそれも解決していきたいです。
日本人向けだと集客が少ない地域でも、海外の方からすると興味をもってもらえるもの=「ホンモノの日本の文化や伝統」がわかるような人に地域らしい、そこにいくからこそ体験する価値があるということを味わっていただきたいです。個人的に体感してほしいのは商業化しきっていない・作りこまれてない、その地域の人たちの本当ざっくばらんに答えてもらえるような場を提供したものを日本に触れて帰ってほしいなと思いますね。
山口:インバウンドでたくさん人が来ている中で、「外国人」として、ひとくくりになりがちですが、それぞれの目的やターゲットによって、どんな観光施策を実施していくかが全く違います。有名なところにいってひとまず写真を撮って安くて手頃なものを見て食べてしたいという場合もあれば、より「ホンモノ志向」で高くても、いいものがいいという金額感の方もいたりします。それに併せてちゃんと地域が稼いでいける値付けや特別感を体験に盛り込む必要があります。
個人的には異文化らしいものはやはり、期待していると思います。地元でもあり、自分が担当している、熊本県のサムライ体験などは、守られてきた歴史やその精神性も体験できますし、ぜひインバウンドで盛り上げていきたいです。誰に何をするか?という正解が決まって無い中で、地域の人と汗をかきながら試行錯誤して企画をしていきたいと思います。