AIが電話対応をしメッセージを受け、それをテキスト化しSlackやメールで通知するシステム「Mayai(マヤイ)」など、ソフトウエア開発とデータ分析力を生かしたソリューションを提供するコグラフ株式会社は外国籍のメンバーが約半数を占めるベンチャー企業です。将来的に現在4つある事業部を統合するための新しい組織作りを目指す同社では、採用を加速し組織作りにより力を入れるべく「Story」の利用を開始しました。「まさに『社内報』というツールを求めていた」と語るコーポレート本部・鶴谷奈穂美さんに、社内報に求める役割を伺いました。
Slackの社内報チャンネルへの不満が、「Story」でまとめて解決
オフィスで働くコグラフのメンバー
ーー社員の半数が外国籍とのことですが、コミュニケーションはどのように行っていますか?
鶴谷:弊社全体では日本在住の外国籍メンバーと日本国籍メンバーの割合が半々で、ソフトウエア事業部のように外国籍メンバーのみという部署もあります。社内でのやりとりは基本的に日本語ですが、社内公用語は設けておらず、入社に際して英語必須といった要件もないため、日本語しか話せない方も英語しか話せない方もいます。そのため必要に応じて、バイリンガルのメンバーが通訳をしてくれたり、Webの翻訳機能や翻訳アプリを活用したりして、コミュニケーションを取っています。
コロナ以前はオフィスで日常的にオフラインでのやりとりができましたが、2020年の緊急事態宣言発出後はオフィスへの出社を避け、できる限りリモート勤務を推奨しています。その一方でやはり対面コミュニケーションは大切にしたく、出社日を決めてオフィスで顔を合わせるようにもしています。
ーー社内コミュニケーション用に、何かツールを利用されていましたか?
鶴谷:これまではSlackで「社内報チャンネル」のようなものを作って連絡事項を投稿していました。主に、社内イベント告知や就業規則改定のお知らせ、コロナ感染防止の注意点などで、一方的な事務連絡・業務案内が多かったです。また、情報がすぐに流れて読めなかったり、スタンプやコメントをつけた人からのレスポンスしか見えず、誰の目にとまったか分からなかったりと不満はいろいろあったものの、半ば妥協して使用していました。もっと社内報らしく使えるほかのツールを模索しているときに「Story」を知り、導入しました。
ーー「Story」を選ばれた決め手はなんだったのでしょうか?
鶴谷:社内報らしさを求めていたので、「社内報サービス」と銘打たれた「Story」はまさにドンピシャでした。大きな決め手になったのは、初心者でも簡単に運用できる点です。実際に記事を作って運用してみると、アーカイブも探しやすく、誰が発信したか、また誰が閲覧してくれたのかも分かりやすくなりました。
Slackで運用していた当時は、写真付きでまとまった文章を投稿できず諦めていたのですが、「Story」は写真付きのコンテンツをブログ感覚で投稿できるようになり、メンバーに読みやすく伝えられるという求めていた機能がそろっていました。使いやすさは段違いです。Wantedlyの利用者が社員に多く、すでに浸透していた点もポイントでした。知らない企業の新しいサービスを使うよりも、安心して始めやすかったです。
社内報を通じて、メンバーが「近しい人」たちに感じられるように
社内報StoryのTOP画面
ーー「Story」にはどのような内容を投稿されていますか?
鶴谷:現在の投稿内容は、社内のクラブ活動の報告や、日本在住歴の短いメンバーに向けた日本文化を紹介するコンテンツなどです。ほかにはコロナ感染予防対策の注意事項、働き方改革の取り組みや、各事業部の取り組みを発信しています。
ーー社内報の運営はどのように行なっていますか?
鶴谷:私が自ら書いた投稿がもっとも多いですが、代表による経営理念やビジョンの紹介や、各事業部長が部署内の取り組みについて書くこともあります。ほかにも書きたいと手を挙げてくれたメンバーには書いてもらっています。全員に投稿権限を与えるとコントロールが大変になるので、常に5〜6人が記事を書けるようにして、それぞれが可能な範囲で担当するようにしています。
社内報担当1人だけで更新や管理をしようとすると自分の首を絞めてしまうので、各部署で担当者を1人ずつ設置するといった、分散できる運用方法を決めておくことが大切だと感じています。更新頻度は高いほうがいいとは思いますが、強制的に頼むことはできないので、他のメンバーも「書きたいことがあったときに書く」というスタンスでやってもらっています。
ーー社内報のメリットはどのような点でしょうか?
鶴谷:書くことに対する心理的ハードルも低く抑えられ、コンテンツ内容や表現に細かなルールや規制を作ることなく、常識的な範囲で任せられているのも、社員しか見られない社内報のいいところだと思います。
「Story」に切り替えてから、互いに知らなかった事業部や経営側の取り組みが社内にも広く知られるようになり、社内報を通じて会社のメンバー全体が身近に感じられるようになったなと感じています。
ーーメンバーに読んでもらう工夫などはありますか?
文化の違いをテーマにした社内報記事
鶴谷:記事のテーマ選びは大事ですね。真面目な業務連絡はリアクションが少なくなってしまうため、3回に1回は目を引くおもしろい小ネタを挟むようにしています。日々業務を振り返って「これはメンバーの耳に入れておいてほしいな」と感じたトピックや、「エントランスに奇麗な花が飾られていた」といった自分のテンションが上がったささいな出来事とか。外国籍のメンバーと会話していると、おもしろいことが見つかるんですよね。そのような「文化の違い」の話題もあります。どうしても見つからないときは、カレンダーを眺めながら「日本では、今日は○○の日」ですという話題を記事化しています。
読んでくれたメンバーからは、Slackでレスポンスが寄せられたり、「見たよ」「おもしろかったよ」とか、「こういう日本の文化が知りたかったから読めてよかった」と直接伝えたもらえたりするようになり、うれしいですね。
「社内報だから読んでくれる」という過信の防止が重要
ーー文化的背景が異なるメンバーに対する発信で、心がけていることはありますか?
鶴谷:多国籍のメンバーが集うオフィスなので、文化的・宗教的背景の違いから一緒にランチを取ることも少なく、休憩時間の過ごし方も一様ではありません。日本人のみの企業とは異なり、一律的なコミュニケーションがあまり取れない面があります。でも自分から進んで日本に住んでいるメンバーばかりだから日本文化には非常に興味があって、紹介するととてもおもしろがってくれるんですよね。逆に、向こうの文化や宗教については、人によってどう受け取るかが異なるため、必要以上に大きく取り上げることはありません。
会社として「こうすべき」というルールは設けていませんが、一緒に働いているなかで、配慮すべきリテラシーやデリカシーが自然と身についている気がしますし、「Story」の情報発信でも生かされていると思います。
ーー「Story」に期待するアップデートはありますか?
社内報を公開した際の、社内チャットの様子
鶴谷:社内報に対して「誰も何もリアクションしていない」状態をなくしていきたいですし、決して自己満足にはならないようにしたいと考えています。それに関連して、記事閲覧後に「コメントを残しませんか?」「記事はいかがでしたか?」とポップアップが表示されるような、閲覧者にリアクションを薦めてくれる機能があったらうれしいです。コメントやスタンプがあると、メンバーにこちらのメッセージがきちんと届いている実感が持てて、発信側のモチベーションが高まります。
フルに活用させていただいているので、今後さらに使いやすくなるよう、さまざまなアップデートを期待しています。ほかにもSlackやSNSへの自動連係機能だったり、オンライン朝礼時に使用できるようライブ配信機能なども追加されたらありがたいですね。
ーー今後、社内報を続けるうえで意識していることを教えてください。
鶴谷:会社のポリシーや「社員と家族、すべての人々を幸せにする」というビジョンの浸透を果たすには、社内への定期的な情報発信は欠かせません。その場として社内報はなくてはならないと考えています。最も避けたいのは「社内報を書いたから見てくれるだろう、判断してくれるだろう」という過信です。発信しただけで自己満足に陥らず、社内からより多くレスポンスを得られるコンテンツを出せるようにしたいと考えています。
(取材・執筆協力:伊藤七ゑ)
資料ダウンロードはこちらから