株式会社オプティマインドは、代表取締役社長の松下健さん(写真)が名古屋大学在学時に立ち上げた創業6年目のAIスタートアップ企業です。ラストワンマイルの配送事業者向けに、走行データ学習型配車管理システム「Loogia(ルージア)」を提供しています。
今年に入り社員数は30名を超え、「30人の壁」と呼ばれる社内のコミュニケーションロスの解消が課題になったという松下さん。Wantedlyの社内報機能「Story」の導入を決めた理由は、リモートワークによるコミュニケーションロスの解消と、MVVを浸透させるためだったといいます。現在のStoryの運用方法や、今後どのように活用していこうと考えているのか、詳しくお話をうかがいました。
「集団」から「組織」への成長過程で生じたコミュニケーションロス
──このたび「社内報 Story」を導入しようと思われたきっかけを教えてください。
松下:もともと弊社には社内報に当たるものがありませんでした。毎週月曜日に全社会議があるのですが、そこで代表の僕が全社員の前で話をする「松下ピッチ」という時間を設けています。
「松下ピッチ」では、僕が考えていることや組織のこと、自分たちの事業展開のことなど、いま社内で共有すべきトピックを選んで伝えています。オプティマインドのミッション、ビジョン、バリューを社員と共有したいと、1年ほど前から毎週行ってきました。
──その「松下ピッチ」が、社内報の役割も担っていたわけですね。
松下:そうです。ところが、新型コロナウイルスの影響で出社制限を行い、全社員で集まれる機会がなくなってしまいました。当初は「松下ピッチ」をオンラインで試したりもしましたが、やっぱり無理を感じましたね。社員のリアクションが分からないので、何に興味を示し、何に不安を感じているのか、そもそも自分の話を聞いているのか、そういうことがまったく画面から伝わってこなかったんです。それでリモート期間中は「松下ピッチ」をお休みすることにしたのですが、その1ヶ月くらいあとから、社内の中でコミュニケーションロスが目立つようになってきたんです。
「松下ピッチ」の実際の様子
──なぜコミュニケーションロスが増えたのでしょうか。
松下:理由は大きく2つあると思っています。ひとつは毎週行っていた「松下ピッチ」がなくなったことで、会社の経営理念や組織としての方向性、中長期的視点というのがメンバーの中で不明瞭になってしまったのだと思います。
もうひとつの理由は、会社がリモートワークに入った時期に6~7人が入社して社員数が30人になりました。「30人の壁」という言葉もあるように、「集団」から「組織」へと変化していく難しい時期でもありました。そういう微妙な時期とリモートワークの開始が重なってしまい、結果的に社内のコミュニケーションロスが増えてしまったんだと思います。
──コミュニケーションロスによって、どういう問題が危惧されましたか?
松下:今のフェーズの最重要テーマは、事業成長の最大化と、意思決定スピードの最速化だと思っています。僕らの会社は個人事業主の集まりではないので、チーム連携は必要不可欠です。事業成長を最大化させるためにも、コミュニケーションロスによって意思決定スピードが落ちることだけは避けなければいけません。
組織と環境の変化によるコミュニケーションロスを少しでも解消するためには、リモートワーク以前のように、僕が定期的に社員に向けてメッセージを発信し続けることが大事だと思いました。ただし、オンラインでの「松下ピッチ」が難しい以上、他の方法を考えなければいけません。そういう時期に出会ったのが、WantedlyのStoryだったんです。
導入後「TOPの考えが分からない」と言われることが減った
──Storyを導入して、社内の反応はいかがでしたか?
松下:「松下ピッチ」のように対面で直接言葉を伝えるのと違って、文字やスライドだけでメッセージを伝えると、どうしても受け手によって解釈のズレが出てきてしまいます。そこで、なるべくズレが出ないように丁寧な言語化を意識しました。文章だからこそ、自分の伝えたいことが一方通行になりすぎるのは危険だと思ったんです。
Storyは誰が記事を閲覧したかも把握できますし、コメント機能を使って社員とインタラクティブなやりとりもできて、双方向のコミュニケーションが取りやすく、非常に使いやすいと思っています。過去の投稿一覧から好きなトピックを好きなときに選んで読めるので、メンバーたちからも好評ですね。
実際に公開している社内報一覧の管理画面
──すでに記事が数多く公開されていますが、投稿する内容やトピックはどう見つけているのでしょうか。
松下:社内のメンバーや外部の方々とディスカッションしているときに思いつくことが多いですね。あとで火種になりそうな課題とか、新たなビジネスチャンスとか。そういうアイデアの種のようなものが見つかったら、まずはタスク管理ツールを使ってどんどんストックしていきます。
ストックしたアイデアは、優先順位をつけて週末のまとまった時間で原稿にします。その時点では読みやすさは後回しにして、自分の思考を整理したり、深めるために、思ったことをそのまま文章にします。そうやって書きあげた原稿を、もう一度頭から書き直して、誰が読んでも分かりやすい文章にして仕上げていきます。
執筆時間だけなら3時間くらいですが、書き出すまでのアイデアを練ったり、書き直す時間も入れると、けっこう手間はかかっているかもしれませんね。
Storyの当時の最新記事が映る社内報トップ画面
──導入によって、社内のコミュニケーションロスの課題は解消されましたか?
松下:もちろんすべて解消されたとはいいませんが、実感としては何もしなかったときより減っているような気はします。少なくとも経営者からの定期的な発信があることで、メンバーたちから「松下の考えていることが分からない」「事業の方向性が分からない」といった意見は聞かなくなりました。
いま弊社は社員数が30人になったのですが、2年内には50~60人になる予定です。より大きな「組織」へと成長させていくために、社内報を使ったメッセージの発信だけでなく、これまでになかった部長との1on1も定例化させました。さまざまなことを積極的に試しながら、包括的に社内のコミュニケーションロスを減らす取り組みをしていこうと思っています。
全社員への語りかけと社内報。2つの手段でMVVはより的確に伝わる
──「松下ピッチ」は、現在も継続されていますか?
松下:緊急事態宣言の解除後、少しずつ段階を踏みながら出勤の割合を増やし、現在は「50%リモート、50%出社」を会社方針にしています。毎週月曜日の全社会議も再開したので、その日は全員出社になります。コロナ前と同じように、全社会議の中での「松下ピッチ」も復活しました。
──もともとは「松下ピッチ」の代わりとしてStoryを導入したわけですが、今後はどのように活用されるつもりでしょうか。
松下:実際にStoryを使って分かったのですが、文章には文章のメリットがあります。文章はあとで読み返すことができますし、ロジカルなものを理路整然と伝えるアウトプットとしては、やっぱり文章という形式が向いている気がします。一方、直接相手に語りかけるピッチにはまた違った良さがあります。僕自身のパッションやエモーショナルな部分をメンバーに伝えるには、やはりピッチのほうが優れていると感じています。
そこで今後は「松下ピッチ」で言葉を直接伝え、Storyでピッチの内容を補足する、という使い方を試してみようと思っています。使い分けることでこれまでよりも深く、僕の考えていることや会社のビジョンをメンバーに伝えられるのではという期待もあります。
──Storyの導入で、MVVを伝える手段が増えたということですね。
松下:そうですね。今後も継続して、投稿の数をもっと増やすことができれば、会社の「ミッション・ビジョン・バリュー」を伝えるものとして、入社前オンボーディングや入社後オンボーディングにも使えるくらい価値あるものが作れると思っています。
さらに先の話をするなら、今後は僕だけじゃなく、部長やチームリーダーにもそれぞれの考えをStoryで発信してもらえるとうれしいです。これからもっと人が増えて組織が大きくなれば、僕の話だけじゃなく、COOや各部長の考えを聞きたい、知りたいという意見も出てくるはずです。会社がそういうフェーズになったときは、社内報が担う役割はさらに大きくなっていくように思いますね。
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