スタートアップの採用担当者・採用責任者が、普段は聞けない・言えない採用の悩みを持ち寄って話す、ウォンテッドリー主催の少人数制イベント「採用ホンネ会」。記念すべき第1回は9/30(水)に恵比寿のウォンテッドリーオフィスで開催され、「AI×採用」を テーマに、10社限定のクローズドな場で率直な意見が交わされました。
ゲストにお迎えしたのは、AI戦略の立案から実装までを支援する株式会社LeapWellの菊田俊平さん。AIに深く精通しながら「それでも人が大事だ」と語る理由とは。今回の記事では、講演やパネルディスカッションの内容を中心に、当日の模様をたっぷりとご紹介します。ぜひ最後までお読みください!
目次
「採用ホンネ会」に込めた想い
AIの台頭によって、採用の現場でも「今までのやり方が通じない」と感じる場面が増えています。一方で、新しい時代の「正解」を完璧に持っている人はいません。だからこそ、同じ悩みを抱える採用担当者同士が、ホンネで語り合える場をつくりたい。そんな想いから生まれたのが「採用ホンネ会」です。
ウォンテッドリー株式会社 執行役員 橋屋優理
橋屋 優理のプロフィール - Wantedly
オープニングでは、採用領域を担当するウォンテッドリー 執行役員の橋屋が、この会を立ち上げた理由を語りました。
「サービスを提供している私たち自身も、新しい時代における絶対的な答えを持っているわけではありません。効率だけを考えればオンラインセミナーのほうが良い面もあります。それでもあえてオフラインで人数を絞り、深い情報交換ができる機会をつくりたいと考えました。」
第1回のテーマは「AI×採用」。当日の自己紹介でも、多くの参加者が自社でのAI活用について話していたのが印象的でした。
「AIによる採用の効率化は、間違いなく進んでいきます。ただ、すべてを自動化してAIに任せればいいのかというと、引っかかる部分もあるのではないでしょうか。AIがコモディティ化するほど、採用における『人間らしさ』の希少価値は高まっていく。私たちはそれを『ヒューマンプレミアム』と呼んでいます。」
AIによる効率化と、人間味のあるアプローチをどう両立させるか。その問いを、一方的なセミナーではなく参加者のみなさんと一緒に考える時間が、ここから始まりました。
AI時代の採用の本質に迫った「Guest Talk」
イベントのメインコンテンツとなったのが、菊田さんによる「Guest Talk」。実はウォンテッドリーのアルゴリズムの一部を手がけた元インターン生というご縁もあり、今回の登壇が実現しました。「AI時代、採るべきは“できる人”から“変化を楽しめる人”へ」をテーマに、10年近くAIを追求してきた技術者の視点から、これからの採用を語りました。
「AI時代の採用では、シニアがいればジュニアはいらない』『1人でできることが増えたから、組織づくりは馴染まなくなる』といった声をよく耳にします。しかし私は、それでも人を選び、人を育てていく会社が、今後さらに強くなると考えています。」
(04603)株式会社LeapWell 代表取締役社長 菊田 俊平氏
2018年に東京大学大学院に入学。在学中にウォンテッドリーでインターンとして、名刺管理アプリ「Wantedly People」の「知り合いかも」アルゴリズムなど、機械学習部分の構築に携わる。2020年に株式会社リクルートへAIエンジニアとして入社。2021年に株式会社LeapWellを創業し、中堅から大手企業を対象に、AI戦略の立案から実装まで業務変革を一気通貫で支援している。直近ではアチーブメント株式会社との資本業務提携も発表。
Shumpei Kikutaのプロフィール - Wantedly
採るべき人材は変わったのか。この問いに対し、菊田さんの答えは「本質は変わっていない」でした。
「変わったのは、速度です。求められるスキルの幅も、1人が担う範囲も広がり、5年かけて育てるのではなく1〜2年でシニアレベルに育つことが求められている。一方で、『こうなりたい』という願望や、変化そのものを楽しめる心構え、自ら機会をつかむ主体性といった、伸びる人の本質は昔から変わっていないんです。」
その上で紹介されたのが、LeapWellが採用で掲げる「フルフルになりたい人」というキーワードです。
「フルフルとは、技術的にも職種的にもフルスタックを目指す人のこと。ポイントは、『すでにフルフルな人』ではなく『フルフルになりたい人』を採ることです。弊社は全員がエンジニア出身ですが、募集では『単なるエンジニアに留まりたくない人』をターゲットにし、正社員全員に営業やマネジメントの機会を提供しています。」
とはいえ、最初からそう言葉にできる人は多くありません。面接で「これを極めたい」と語る人も、深掘りすると「本当は挑戦したいけれど、キャリアが中途半端になるのが怖い」というケースが少なくないといいます。だからこそ、会社が自信を与え、変化を促すことが大切だと菊田さんは語ります。
真剣に聴き入る参加者さん達
そのために同社が1on1で繰り返しているのが、次の「4つの問い」です。
そのために同社が1on1で繰り返しているのが、アチーブメントで学んだセルフカウンセリングの次の「4つの問い」です。
- あなたの願望(なりたい姿)は何か?
- そのために今、何をしているか?
- それは効果的か?
- 次に何をするか?
「『上手くなりたい』と言いながら今の業務しかしていない人にも、『今の行動は、あなたの願望に対して効果的ですか?』と問いかける。すると、自分から行動が変わっていくんです。」
実際に同社では、フリーランスエンジニアから1年で営業とマネジメントを身につけ、執行役員になったメンバーもいるそう。こうした成長の実例は、採用時の発信にも活かされています。
「最も大切なのは、願望のある人を採用し、その願望を叶える機会を与え続けること。求められるスキルはこれからも変わり続けますが、伸びる人の本質は変わりません。だからこそ、人を育てる文化を持ち、挑戦の機会を提供し続けられる企業が、選ばれ続けるのだと思います。」
AIの最前線に立つ経営者が、最後にたどり着いたのは「人」の話。オープニングで掲げられた「ヒューマンプレミアム」と重なるメッセージで、講演は締めくくられました。
会場の問いに答えた「Q&A」
講演の後は、参加者のみなさんからの質問に答える時間へ。少人数の場だからこそ、日々の採用実務に踏み込んだ問いが次々と投げかけられました。
まずはモデレーターから、「フルフルになりたい」という言葉が単なる夢語りではないか、どう見極めているのかという質問。
「まずは特定の領域で一人前と言える実績や技術力があるかを確認しています。何も身についていない状態で横に広げると、中途半端になってしまうからです。その上で面接では『どんな人になりたいか』『憧れる人は誰か』を問いかけ、その言葉に嘘がないかを見ています。」
会場からは、「このやり方では人を採りきれなくなるのでは」という率直な問いも。
「弊社は『可能性の飛躍』を企業理念に掲げ、面接の冒頭で私やメンバーの飛躍の実績を物語として伝えています。最初は口に出せなくても、本当は変わりたいと思っている人はたくさんいる。その思いを掘り起こすことで、独自の位置を築けているので、不安はあまりありません。」
AIと人の役割分担を探った「Panel Discussion」
続いては、菊田さんとウォンテッドリー 橋屋による「Panel Discussion」。「効率化と候補者体験」「選ばれる企業の発信」「働き手の願望と事業」の3つのテーマで、講演の内容をさらに深掘りしていきました。
最初のテーマは、どこまでをAIに任せ、どこを人が担うべきか。菊田さんは、その判断基準を次のように語りました。
「一つは、100点を取らないとまずい仕事かどうか。責任やリスクを伴うコミュニケーションは、人間がやるべきです。もう一つは、人間では不可能なスピードや規模を実現できるか。人間が5分でできる作業を4分にする程度なら、大きな意味はありません。」
これを受けて橋屋は、候補者との接点や自社の思いを伝える場面こそ、絶対に100点を取りにいくべき部分だと整理。その対話の時間を生み出すために、それ以外をAIで効率化する。そんな本来のあり方が見えてきました。
2つ目のテーマは、AI時代に選ばれる企業であり続けるための発信。候補者がChatGPTなどで企業のIR情報を簡単に調べられる今、事実を伝えるだけでは差別化になりません。
「新卒も転職者も、企業を選ぶ最後の決め手は『話した感覚』や『企業の雰囲気』といった人間の部分です。自社の思想を恐れずに打ち出すことで、自社のカラーに合った熱量の高い人が集まってくると実感しています。」
最後のテーマは、働き手の願望を事業の成長にどうつなげるか。
「会社の目指す方向と個人の願望が重なる部分を、丁寧に探すこと。そして、長期目線で考えてもらうことです。『早く営業をやりたい』と焦るメンバーにも、5年後、10年後の理想から逆算して、今エンジニアリングを極めることがどうプラスになるのかを一緒に整理します。経営者として短期の成果と葛藤しながらも、長期の視点はブレずに持ち続けたいと思っています。」
横のつながりが生まれた「Networking」
パネルディスカッションの終了後は、ドリンクと軽食を片手にカジュアルにつながる交流会へ。登壇者と参加者、そして同じフェーズで採用に向き合う担当者同士が、セッションの感想や自社の悩みを語り合う時間となりました。
AIが当たり前になる時代だからこそ、人にしかできないことに向き合う。AIの専門家である菊田さんの言葉から、その大切さをあらためて感じる一夜となりました。ご参加いただいたみなさま、本当にありがとうございました。
「採用ホンネ会」は今後も毎月、時流のテーマを取り上げながらシリーズとして開催していきます。次回の開催を、ぜひ楽しみにお待ちください。
第二回は2026/10/15(木)開催
▼第二回の申し込みはこちらから
