海外で創業した会社が、次の拠点として日本を選ぶとしたら、その理由は何だと思いますか。
海外で創業した会社が日本に拠点をつくるとき、いちばん時間がかかるのはどこだと思いますか。
2026年9月3日、ウォンテッドリーは第1回「KOKUSAI STARTUP MEETUP」を開催しました。海外から日本市場への進出を目指すスタートアップの創業者や、日本法人の立ち上げを任された責任者が集まり、東京でチームをつくるために何が要るのかを持ち寄る場になりました。
日本を目指すことと、日本でチームをつくること。この2つは別の課題です。
なぜ「KOKUSAI STARTUP MEETUP」を立ち上げたのか
オープニングで立ち上げの背景を語ったのは、ウォンテッドリーでシンガポールと東南アジアの企業の採用支援を担当してきたアンドリューです。入社してまもなくコロナ禍で採用そのものがなくなり、企業の支援から、仕事を探す人の支援へと担当を移した時期もありました。その後シンガポールにある日系企業の採用を支援するなかで、「なぜシンガポールやグローバルの企業と、日本の人材を引き合わせないのか」と考えるようになったといいます。
ByteDanceやTravelokaといったクライアントとの実績を重ねるなかで、海外発のスタートアップが日本で仲間を見つけるための場をまずつくろうと考え、この日のイベントが実現しました。
「日本を目指す」を後押しする仕組み|渋谷スタートアップサポート
続いて登壇したのは、渋谷スタートアップサポート(SSS)の根来いずみさんです。渋谷区には2,000のスタートアップ、60以上のベンチャーキャピタル、150の大企業が集まり、その多くが徒歩圏内にあります。
通常の経営・管理ビザでは、来日する前に法人口座の開設や3,000万円の資本金確保が求められます。ただし、渋谷区のスタートアップビザであれば、これらを来日前に満たす必要がなく、日本で暮らしながら最大2年かけて事業の立ち上げに専念できます。ビザを発行している全国22の自治体のうち、渋谷区の発給数は最も多いそうです。
しかし、ビザの取得は出発点に過ぎない、と根来さんは話します。法人口座の開設支援、Shibuya Innovation Institute を通じたパートナー企業の引き合わせ、法務セミナー、24時間使えるコワーキングスペースまで、来日後の支援が続きます。
「日本でチームをつくる」を後押しする仕組み|ウォンテッドリー
一方、来日した後に待っているのが、日本での採用を含めたチームづくりです。ウォンテッドリー代表取締役CEOの仲暁子が挙げたのは、日本の労働市場の特性でした。人の動きが少なく、法律による保護も厚いため、採用は慎重にならざるを得ません。だからこそ、条件を並べるだけでなく、何を目指している会社なのかに共感してくれる人に、時間をかけて声をかける必要があります。
当日は、企業が採用でぶつかる壁として3つが挙げられました。自社を知ってもらえないこと、会いたい相手に会えないこと、費用がかかりすぎることです。特に、日本に来たばかりの海外企業は、日本での知名度がゼロの状態から始まることが多いため、これらの壁がより高く立ち塞がります。
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パネルディスカッション|日本で事業を伸ばした4人に聞く
イベント後半のパネルディスカッションには、Peatix 共同創業者兼CEOの原田卓さん、Workato 日本法人ゼネラルマネージャーの Allen Ting さん、Persona 日本代表の Stephane Fouche さん、そして仲暁子が登壇しました。
まず、なぜ日本なのか
Ting さんが挙げたのは数字です。Salesforce や UiPath のような米国のIT企業では、上場前の段階で売上の20%から30%が日本市場から生まれることが珍しくありません。米国以外では2番目に大きい市場になり得ると話しました。
加えて、政治が安定していることを、Fouche さんは挙げました。政府の方針が突然変わる心配がなく、夜遅く歩いても安全でいられます。日本の商習慣を理解して、おごらずに向き合えば、何年もかけて事業を伸ばせる市場だと話しました。
原田さんの答えは、ここで挙げられた数字以外の部分にありました。日本市場に参入したいと熱く語る海外の創業者は多く、ここで通用することがブランドの裏づけにも繋がっていると話しました。
本国のやり方を持ち込むと、何が起きるか
Ting さんによれば、外資系企業は多くの場合、同じような失敗をおかしていると語ります。それは、本国のやり方をそのまま持ち込むことです。日本では、物事を決めるまでに多くの時間を要しますが、決まってからの実行速度ははやく、一度決まった関係は長く続く傾向にあります。その事情を本社に説明できる現地のリーダーがいるかどうかで、結果が変わります。
Fouche さんも、サンフランシスコの本社に対して「日本ではこうなのだ」と言い続けてきたと振り返りました。名刺の交換の仕方、対面で会うこと、事前に話を通しておくこと。本社の物差しをそのまま持ち込ませないことが、現地の責任者の仕事だと話しました。
原田さんが紹介したのは、2011年に Peatix を始めたときの方針です。コミュニティマネージャーには、Peatix を売り込むなと伝えたそうです。まず相手のコミュニティに参加し、役に立ち、関係をつくることを優先したそうです。初期からビジネス的に振る舞ってしまうと必要以上に警戒されてしまう、と警告しました。
パネルディスカッションの最後には、登壇した3人による「日本市場参入に関する考え方」を話していただきました。
- 「日本は参入がいちばん難しい市場のひとつですが、成功したときの顧客の忠実さは世界一です」(原田さん)
- 「信頼と成果。この2つを示し続けられれば道は開けます」(Ting さん)
- 「東京には重要な人が驚くほど密集していて、つながるまでが速い。飛び込んで、会いに行ってください」(Fouche さん)
おわりに
冒頭の問いに、この日の答えははっきりしていました。時間がかかるのは、日本参入をすることではありません。参入したあとに、日本で信頼を積み、仲間を見つけることです。
第1回「KOKUSAI STARTUP MEETUP」は、国境を越えて挑戦する創業者たちと、それを支えるエコシステムのプレイヤーたちが一堂に会する貴重な機会となりました。
ウォンテッドリーは、これからも「シゴトでココロオドルヒトをふやす」というミッションのもと、こうしたコミュニティづくりを続けていきます。