現在、Wasshoi Labの副社長 兼 セールス&コンサルティング本部長を務める濵野さん。
前回のインタビューから5年で立場が大きく変わりました。
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そんな濵野さんに、改めて現在までの道のりと志についてインタビューしました。
どんな経緯で副社長のポジションについたのですか?
もともとは株式会社GM7(Wasshoi Tohoku Group)に所属しており、立場としては「地域おこし協力隊」でした。地域おこし協力隊を卒業した後は、Wasshoi Labのマネージャーとして複数プロジェクトを担当するようになり、経験が積み重なって現在のポジションになりました。
現在は、どんな仕事をしていますか?
基本は事業開発・事業推進といった仕事をしており、会社全体の組織開発にも主体性を持っています。
事業開発・事業推進では、自治体、民間、教育機関等の異なる立場のプレーヤーと地域活性プロジェクトを立ち上げ、事業責任者の立場でプロジェクト推進にコミットしています。例えば、起業家発掘・育成、移住定住促進、中小企業活性化等の事業領域に従事しています。最近は、地域企業の DX を“対話×AI”で実現する新サービス「Wasshoi AI Tech」 をリリースしました。
どんな志をもって取り組んでいるのですか?
一言でいうと、「わっしょいさん」を増やすことです!人のために頑張る人が活躍できる社会になって欲しい。そのための環境や文化づくりをしていきたいと思っています。
「わっしょいさん」とはどんな人のことですか?
簡単にいうと、「他者と一緒に未来を創造するために頑張れる人」のことです。そういう括りで考えると、基本的に生きている人すべてが当てはまると思っています。
「誰かの悩みを解決する為に会社を立ち上げる社会起業家」もそうだし、仕事だけではなく「家庭の中で子どもの悩みに真剣に向き合うお父さん・お母さん」もそう。
頑張りたいのにうまくできない、でも頑張りたい!と思っている人に寄り添い、一緒に“できる”という景色にたどり着けるように支えたい。そのために寄り添う人として貢献したい。「わっしょい」には、他者のやりたい×自分のやりたいを叶えて一緒にお神輿を担いでいくイメージが込められています。
現在、Wasshoi Labでは、ローカル・ゼブラ企業として「どんなライフステージでもすべての人が輝ける地域づくり」や、ローカル・ゼブラエコシステムづくりの主体者として「社会起業家が次なる社会起業家の挑戦環境を生み出すエコシステムづくり」に挑戦しています。
ゼブラとは、社会性(世のため人のための行動)と経済性(お金を稼ぐための行動)の両方を大事にする経営スタイルを持つ企業や人の行動様式と理解しています。
こうしたことの実現のためには「自分さえ良ければ」とか「別に自分じゃなくても」という思想や行動を脱却し、「気づいてしまったからには」とか「どうせやるなら」みたいな前向きな思考や行動が重要なんだと考えます。
例えば、駅でエスカレーターに乗っていて、目の前に服のタグが見えている人を見かけたとします。
その時に、実際に声をかけるのは勇気がいることですよね。
でも、「もしかしたらこの後大事な商談が控えているかもしれない!」のように状況を想像して、瞬時に声をかけられる人でいたいと思っていますし、そういう人で世の中が溢れてくれたら、もっともっと暮らしやすいし働きやすい地域になると思うんです。
小さな日々の勇気の積み重ねが、大きな社会的インパクトにつながると信じています。
Wasshoi Labに入社する前に地方創生に関わる求人をかなり調べましたが、民間企業の求人はなかなか見かけませんでした。その点Wasshoi Labは特殊な領域を攻めているように感じますね。
それはあると思いますね。Wasshoi Labの齊藤社長も、周りから「なぜそんなお金にならないことをやっているのか」と問われたときに、「自分が目指しているのは、ただお金を稼いで上場すればよいという従来の会社のあり方ではなく、会社の仲間やステークホルダーが一緒になってHAPPYな未来を創っていく世界」だと答えています。私も全く同じ気持ちです。
様々な企業や非営利団体、自治体等があり、それぞれに強みが存在している。だからこそ、それぞれの強みを活かし、培ってきたルールや知識をうまく共通言語化して、みんなでお神輿を担いでいく(共働する)ことができるのだと思います。
そのきっかけを作って実現することが、私たちの仕事だと考えています。
外部の方を巻き込んでいく難しさもあると思うのですが、コミュニケーションで気をつけていることはありますか?
最も重要だと考えていることは「対話」です。世の中に絶対的な答えはなくて「関係者間で合意されたもの」が「現実」として認知される構図であるという社会構成主義的考え方を前提としています。
多くの挑戦をしたり、今までになかったことを実現しようとすると、大なり小なりステークホルダーと衝突することは避けて通れません。そういう時は、「相手が一番大切にしていることに興味を持つ」ことが大事だと思っています。
相手が大事にしていることや、抱えている想いを傾聴した上で、自分たちの真剣な想いも一緒に一旦テーブルにあげるイメージ。その時、どちらが正しいかという議論はしません。それぞれを同じ土俵に並べて、両方成り立たせるためのアイデアを一緒に考える、という考え方でコミュニケーションを取るように努めています。
濵野さんの志の原体験にあるものは何ですか?
幼少期は、やりたいことに向けて進んで努力していくことを楽しめるような性格でした。
しかし中学校に入ってからは、その性格や行動がかえって疎まれるという経験をしました。自分としては頑張れば頑張るほど、攻撃対象になってしまうといった負のスパイラルに陥りました。
現状から抜け出すために進学校を目指して塾に通い始めましたが、同級生や同じ志望校を目指す他校の生徒との間で、誤解や妬みによる辛い経験もありました。
泣く泣く志望校を変えましたが、幸いにも、入学した高校では本当にすばらしい友人に囲まれ、自分の個性を解放的に表現できるようになりました。
高校では成績優秀、仲間にも恵まれ部活動も励むようになり、自分はなんでもできる!と思えるようになった一方で、自分のことを過信しすぎるようにもなっていたような気もします(笑)
そんな中、宮城大学に入学し、現在の自分を形づくる体験をすることになります。
大学3年生から入ったゼミナールでは、組織心理学・人的資源管理論について研究していたのですが、ゼミナールの教授に、「ノリだけで調子に乗っている自分」に警鐘を鳴らされます(講義を聞きながらそう受け取りました)。
「本気で人生をかけてキャリアを作りたいなら、就活という全国大会で他の有名大学の学生と並んだ時に、今の状態でお前は勝てるのか」と突きつけられ、現状に満足していた自分を内省します。
そして、「残された時間で、今できることに全力で向き合う決心」をしました。
それからは、週1回のゼミナールを朝9時から夜9時まで12時間ぶっ続けで取り組みました。未熟な仮説をぶつけては一瞬で破壊され、再構築しようと試みるも、自分の思考や行動の甘さゆえに、また稚拙な仮説しか出せず、何度も何度も葛藤と挑戦を繰り返すような日々でした。
教授から何かを教えてもらうスタンスではなく、事前に用意された課題を時間をかけてリサーチして、研究結果を提出し、12時間の中でひたすら甘さを突きつけられ、次の12時間で復習し、次のゼミナールの準備をするというサイクルを2年間行いました。かなりハードな経験でしたが、その経験が今の自分の思考・行動基盤をつくったと認識しています。
社会人になった後も色々挑戦し、ふと考えた時、「中学時代の自分」に今の自分ならもっとちゃんと「寄り添ってあげられる」と思ったんです。
社会人として世の中への価値創造のあり方として、この原体験を持って、頑張り屋さんが辛い思いをしなければならない世の中を変えて、頑張り屋さんがちゃんと日の目を見る世の中にしたいという思いがあります。
成功体験だけでなくマイナスな経験もしているからこそのバランス感覚があるような気がしますね。
確かにそうかもしれないですね。
自分の強みは、自分の声にまっすぐ向き合い、そして、自分との約束を大切にできること。できるかどうかは別として、自分で立てた目標に対してまっすぐに努力できることだと思っています。
他者より努力できる部分があるからこそ、瞬間的にそのコミュニティの中で頭ひとつ抜けるタイミングがあるんですけど、上には上がいて、更に高い次元の猛者達にボコボコにされる(笑)この繰り返しですね。
中学時代はいじめられたくないとしか考えられない毎日でしたが、自分と向き合い、苦しかったけど突破していくような様々な経験を通して、現在は沢山のチャンスや仲間に恵まれていることに、心からの感謝と誇りを感じています。
様々な経験をした過去を持つ自分だからこそ、「やりたいと思った人のできることに寄り添う」ことができると信じています。これからもWasshoi Labの組織の中だけでなく、宮城、東北で志を持つ人々の「やりたい」にとことん寄り添って行きたいです。そして、そういう想いをもって本気を出し切れる仲間とつながり、その輪を広げていきたいですね。