大学での学びを経て、日本の農業や食の領域に向き合った村瀬。代表・谷川との出会いをきっかけに、社名もない頃からukkaへの参画を決意します。事業撤退・チーム解散・再結成・ピボットなど様々な難局を乗り越えて、次のステージを目指すukkaの現在地と未来を語ります。
パートナーサクセス マネージャー 村瀬 峻史(しゅんじ)
鳥取大学大学院農業経営学修了後、2013年大地を守る会に入社しバイヤーとして従事。2018年にukkaに参画してからは、営業・BizDev・プロダクト開発など幅広く携わる。
ーukkaを知ったきっかけと入社した決め手を教えてください
前職を辞めてフリーランスとして活動している時に、前職の同僚からukkaの共同代表2人(2017年当時)を紹介してもらったのがきっかけでした。新卒で入社した会社を飛び出した理由として、農業をもっと稼げる業界にしたい、食の領域で新しい仕組みを構築したいと考え、スタートアップのような変革を生み続ける環境に身を置きたいと思うようになりました。
その時、ukkaはまだ会社として登記もしていなかったんですが、谷川さんと会って話した時に「あ、この人と一緒に仕事がしたい!」と強く思い、半年の業務委託期間を経て、2018年4月に正社員として入社しました。
ー食や農業に関わることになった背景は?
大学では農業経営を専攻して、世界の砂漠化を解決するための技術や仕組みを追求していました。砂漠になる原因の7割は人によるもので、生活に必要な家畜や農産物を適切に管理できないことで土地が荒廃していくと教わりました。なので、農業の経営を改善することが最もインパクトが大きいだろうと思い、研究していました。当時は「絶対アフリカで働きたい」と思っていて、日本の食や農業に関わる仕事につく選択肢はありませんでした。
でもある時、研究チームのフィールドリサーチとして、岡山の山奥にあるお米農家の方にインタビューする機会がありました。稲作の課題をヒアリングするうちに、後継者問題が浮かび上がって「農業は稼げないので自分の子供には継がせたくない」と言っていたんです。こういったことが日本の様々な場所で起こっていて、海外よりもっと身近な食の課題を解決しなければいけない!と思ったのがターニングポイントでした。さらに課題解決のインパクトを持たせるために、農業従事者の所得を上げながら、消費者にも届くようなサービスとして広く提供して貢献できないかと思い、新卒で入社したのが大地を守る会でした。
ー村瀬さんの業務を教えてください
僕の役割としては、これまで営業をやったりプロダクトマネージャーをやったり、事業の成功に必要な役割であれば何でもやるというスタンスです。今はそのスタンスを保ちながら、パートナーサクセスというチームのマネージャーをやっています。チームは今、僕と2名のメンバーがいて、スーパーマーケットを中心とした小売企業さまが抱える売場の課題を解決するような企画提案を行っています。
ー売れる商品を作るのはかなり難易度が高そうです。実現のためにどういったことをしていますか?
食産業が発達している今、ネットで買い物がしやすくなったり、スーパーやコンビニでも似たような商品が手に入るようになり、小売企業ごとの差別化は喫緊の課題となっています。価格重視の商品群はあるものの、もっと自社の強みを活かしたPB商品の開発や、そういった商品をシリーズ化してMD戦略を打ち出したいといったお声をいただいています。その仕組みづくりの部分で、商品開発機能の一部としてukkaを頼ってくださっています。
常にukkaとして意識していることは、新しい商品を発売するというのは勿論ですが、どんな経営課題があって、目指す方向性やロードマップは叶えられるか、小売企業の一部のような思考になりながら考えています。さらに、高い視座と現場視点でハイレベルな議論ができるように、日頃から鮮度の良い情報をインプットしています。チームでもよくディスカッションしますし、「ukkaに任せるともっと良くなる」と思っていただけるような提案のために日々準備をしています。
ー「食が好き!」というだけでも難しそうです。この仕事に必要なスキルやマインドを教えてください。
仮説思考と推進力、スピード感が重要だと思います。仮説思考に関しては、きれいに整理されている表層的な情報だけを見ないようにしています。ふとした会話に潜んでいるキーメッセージを発見したり、いろんな情報のパーツを集めたり掛け算をして、売れる企画の仮説を持論を述べられるところまで深ぼる。ukkaのバリューだと「High standard. 思考を尽くし、高い基準を追求する」ですが、これは必須かなと思います。それから、この業界のサイクルが早いので、わからない状態でもとにかく進めるという推進力とスピード感も重要になってきます。これはスタートアップの価値にもなるので、大手には負けられません。
トレンドスイーツの試食風景
ー仕事のやりがいと大変なことを教えてください
ukkaが掲げるビジョンは「食産業の希望となり、未来を導く。」です。現在はPB商品開発のプラットフォームを構築していますが、ゆくゆくは小売企業、そして食に関わる方々が抱える多くの課題解決に取り組んでいきます。そんな未来像から逆算した時に、最もやりがいを感じることは、新しい仕組みや構想によって物事が生産的に変わったり、目の前の方の課題を解決できる瞬間です。そのために、日々事業のあり方を考え続けています。
難しさは、この業界のスケールの大きさに対して、まだチームも小さくて、基盤や仕組みを日々構築しているフェーズでもあるので、もどかしさを感じることもあります。ただ、今やるべきことにはフォーカスして、やり抜く覚悟はできています。
ーukkaを取り巻く食産業は今後どうなっていくと予想しますか?
あらゆる便利さがある今の時代に、食の商品開発の現場では、味の定量化が難しかったり、原料調達の不安定さ、とりまく変数の多さなどからDXが難しい領域です。それが少しずつ先々を予測できるようになって、例えばこれまで1年かかっていた計画が3ヶ月で完結したり、システム上で原料産地やメーカーと新たな企業間連携がスムーズに生まれたり、そういった業界変革をukkaで実現していきたいと考えています。
さらには、健康志向や地球にやさしいエシカルな商品が売れる継続的なトレンドや、生産者と消費者双方の人口が減っていく日本で、生活を支える食事をどう提供していくかなど、未来を見据えた大きな動きを見ていくことが重要だと考えています。
ーukkaのビジョン「食産業の希望となり、未来を導く。」にはどうやってコミットしていきますか?
今、全国にたくさんの食品メーカーや原料の生産者など食にまつわるプレイヤーの皆さんがいて、技術や設備など素晴らしい価値を発揮して商品を作っています。その中で、こことここが出会ったら、さらに素晴らしい商品ができるはず、というシーンもたくさんあります。
それを実現するために、まずは信頼ある強固なネットワークの構築を目指しています。FOOVESTを使えば、全国の有力な製造メーカーや産地、はたまた消費者の方々と双方向に連携でき、画期的な商品が自由に開発できるようになる、その土台づくりを今やっているところです。そのような仕組みを使ってくださるプレイヤーを日本もしくは世界的に広げて、信頼をいただけるようになれば、ukkaのビジョンやミッションにコミットしていけるかなと思います。
ーukkaやメンバーの特徴、カルチャーについて教えてください
メンバー全員が4つのバリューを体現できるように頑張っています。日々いろんな変化があったり、新しい挑戦の連続なので、頭がパンクしそうになることもあります。それでもukkaや食産業が発展するために、今自分に何ができるかを考えながら邁進していけるメンバーが集まっていますね。
大祝勝会の様子
人柄では、ランチを一緒に食べに行ったり、休みの日にも一緒に過ごしたいと思えるような居心地の良さがあります。これからさらにメンバーが増えて、いろんなタイプが集まってくると思うんですが、仲間への尊敬を大事にする部分は変わらないと思うので、すごく良いチームや組織になっていくだろうなと思います。