ダイビングインストラクターからITの世界へ
今年で入社11年目、これまでシェアード社員として12社をご支援し、直近の3年間は第2インソーシング事業部でユニットリーダー(以下UL)を務めてきました。
2010年7月に入社した当時、社名は「テクネット」、社員数は40名ほどでした。私は29歳で、前職はダイビングインストラクター。当時30歳を前にその道を続けるか非常に迷いましたが一旦区切りをつけることを選択して、さまざまな業種、職種に応募しているなかでUGと出会いました。今でこそ「シェアード社員」は、1人2~3社を同時に担当することが多くなりましたが、入社当時はサービスが未成熟で、ほとんどの人が1社に常駐してご支援するスタイルでした。最初に担当するお客様が決まったのは入社4ヶ月後でした。それまではひたすら先輩社員の仕事や営業に同行し、勉強を重ねていましたね。お客様の業務システムは、今のようにクラウド中心ではなく、オンプレミスの環境が多かったこともあり、お客様のサーバールームやデータセンターに行く機会が何回もありました。
最初に担当したのはブライダル業界の企業で、ヘルプデスクやお客様店舗のPCをはじめとするIT機器の調達や管理を主な業務として、3年ほどご支援を続けました。そのお客様の情報システム部門運用チームは大半がUG社員だったので、シェアード社員の働き方を学ぶことができました。10年以上勤続できている原点だと今でも感謝しています。
次に担当したお客様でも1社に常駐する形でご支援をし、常駐するスタイルは合計で5年続きました。UGの中で複数のお客様を同時に担当する働き方をする人が多くなってきたころ、私自身も「次はそうしてみたいな」と思うようになりました。
願い叶って、次は2社のお客様を同時に担当することになったのですが、今思うと時間の組み方を失敗しましたね・・・。午前中にA社、午後B社という流れで週5日続けたのですが、移動と休憩が常にぎりぎりでした。また、B社では他のUGメンバー午前、私が午後、と交代でご支援をしていたのですが、情報共有や連携に苦労しました。
うまく働き方を組み立てられなかったからか、B社は他のITサービス会社を利用するということになり、UGは撤退することになってしまいました。ショックでしたね。「やってしまった・・・」という感じです。「もっと上手く立ち回ることもできたのかなと」とあとになって後悔したこともありました。
さらにA社の案件では私の役目は完了したので、他のメンバーに後を託して稼働は終了となり、A社、B社ともに離れることになりました。
良かったのか悪かったのか稼働が途切れたので、気分転換に初めて子供を連れてパラオ旅行に行きました。ダイビングインストラクター時代に活動していた地域で馴染みがあり、とてもリフレッシュできたのを覚えています。
その後、3社を同時に担当したり、ULを経験しながらお客様をご支援したりと、さまざまなことに取り組んできました。
メンバーに「話してもらう」ということが大事だと気づいた
2018年の下期に経営メンバーに「来年、事業部のマネジャーをやってみないか」と相談を受けました。
この先どうしていきたいのか、質問を受けて自分のキャリアについて考えるよいきっかけになりましたね。話を受けたときは、「興味はありましたがこれまで同じような経験をしたことがなかったので、どんな感じなのかイメージがわかないな」と思ったのが正直な感想です。しかし、しばらく考え、それまではお客様のご支援を続けていたので、別の立場からUGに関わってみようと思い、マネジャーを務めること決めました。
セルフマネジメントを大事にしながらフラットな組織づくりをしているUGでは、世間一般で言う「マネジャー職」の動き方、役割とは違うだろうと考えました。管理職というと、メンバーの行動管理は重要な仕事の一つだと思います。「売上が足りないからこの仕事をやってくれ」「あなたは午前中このお客様を担当し、午後はこっちのお客様を担当しなさい」など。
でもUGでは、そのようにすることはほとんどありません。自分自身がマネジャーを務めるようになってからは、メンバー自身がどう売上を立てていくか考えてもらうため、セルフマネジメントをしてもらうために、自分はどうサポートしたらいいか工夫するようになりました。
ただ、メンバーと対話する、と言っても何を話せばいいのか、最初は全然わからなくて大変でした。「今自分が話したことはメンバーのためになったのかな」と自問自答していましたね。当時のことを振り返ると「自分からなにか話さなくてはいけない、部門としてこうしていきたいと伝えなければいけない」という気持ちが強かったように思います。でもそれではうまくいかない、一方通行の話になってしまいます。それに気づいてからは、メンバーに話してもらうことを大事にするようになり、どういう内容の質問をしたらよいのか、それをどのように聞いたらよいのか、やりながら工夫するようになりました。新しい気づきを得られたことに、感謝しています。
自分という商品の値決め、スキルレベルの刷新プロジェクト
2019年の下半期からはソフトスキルの刷新に関するプロジェクトに携わりました。
スキルレベルは中堅・中小企業のコーポレートIT部門で必要とされる能力を、絶対評価と相対評価で数値化したもので、シェアード社員の評価基準として定めています。ITとビジネスの技術スキルを表すハードスキルに対して、ソフトスキルはコーポレートエンジニアに対して、近年急激に必要性が高まったコミュニケーションスキルを表すものです。
刷新前、ソフトスキルは3つの「シェアード社員力」と6つの「ビジネススキル」の項目、合計9つの項目で評価していました。
これを5つの項目(法人理解力、課題対応力、コミュニケーション力、セルフマネジメント力、コラボレーション力)に変更しました。コーポレートエンジニアに求められているものが変わっていく中で、世間一般に通じるような言葉で定義していく、他の会社の方が見て「この人はこの点数だからこのくらいのスキルの人だ」というのがわかりやすいように変えていったんですよね。
私が参画したころにはすでに評価項目はほぼできていて、これをどう適用していくのか考えるところからでした。点数の付け方は加点方式がよいのか、積み上げ式がよいのか。自己評価がよいのか、他己評価がよいのか。UGは普段から離れた場所で組織図単位のユニットとは異なるメンバーで仕事をするので、誰が評価するのがよいのか、などさまざま議論しました。
企業では、「上司が部下を評価する」ということが多いと思います。でもそれだけでは私たちの働き方に合わないんですよね。結果的には全員で全員を評価しようと決めました。スキルレベルはシェアード社員の値付けの基準にもなっているので、お客様に提案するときにいろいろな人からの見え方が反映されている状態がよいと考えました。
スキルレベルは多くのUGメンバーが強い関心を持っていると思います。だからこそ、刷新にインパクトがありますし、なぜ新しい形に進化させるのかを理解しないと納得できないと思います。商品=自分の値決めをするわけですから、重要ですよね。そこにはいろいろな意見があってあたりまえです。
2020年から私がこのプロジェクトの主担当を務めたこともあり、社内から寄せられる質問や意見にはほとんど私が回答していました。でもやはり全員の意見を汲み取るというのは難しくて・・・。一方でいつまでも旧来の評価項目、評価基準では、コーポレートエンジニアに対する新しい時代の要求に応えていかなくてはいけないという考えがあり、なんとかスタートさせようと努力しました。今年の春に適用することができ、受け止めてくれたUGメンバーに感謝しています。
ULの経験やソフトスキルの刷新という全社に関わる仕事を通して、事業の運営、組織づくり、働き方などに関して多くの気づきがありました。これからもどんどん変化していく、飽きの来ない組織でありたいなと思います。これまでも何かが大きく変わるということは結構あって、それが私としては刺激になるんですよね。だから新鮮な気持ちでいつづけられます。今後ULを務めなくなったとしても、なにかしらUG組織の活動に関わりを持っていたいですね。