2011年8月に創業したツクルバはシェアードワークプレイス「co-ba(コーバ)」からスタートし、リノベーション住宅特化の流通プラットフォーム事業「cowcamo(カウカモ)」を中心に事業を展開してきました。
この3年で従業員は約30名から160名まで増加。さらなる組織拡大に伴い、ツクルバの未来をともに作る仲間集めを担う採用担当を募集しています。
共同代表CCO中村真広(以下:中)と3年間採用に携わってきた小林杏子(以下:小)に、ツクルバにおける採用の在り方に関してお伺いしました。(聞き手:カウカモ編集部外山)
創業初期は “うまい飯が食えたら採用” だった
ーーー創業したばかりの頃は、どのように人を採用していたんですか?
中:いわゆる “採用活動” はほぼしていなかったんだよね。最初の15~20人が文化の土壌をつくるから、とにかくカルチャー・肌感が合う人を入れようと思って、一緒に焼き肉を美味しく食べられたら採用してた。当時の事業展開はco-baが中心だったので、ツクルバでも人と人のつながりやコミュニティの力を活用した採用方法をとっていました。具体的にいうと、co-baの入居者さんが友だちをco-baの交流会に呼んで、その友だちが入居者になる、みたいな感じですね。ツクルバを知っている人、関係人口、ソーシャル・キャピタルを増やせば、仲間も増える。シンプルにいうとイベントをやって仲間を集めようと(笑)効果がすぐに出るわけではないし明確ではないけれど、初期の20人くらいのメンバーは、この仲間が仲間を呼んでくる方法でほとんど採用していたかな。杏子ちゃんもオープンオフィスイベントに来てくれたところからだよね。
小:そうですね、ツクルバと出会ったときは転職活動をしていたわけではなかったんです。前職でも採用担当をしていて、新しい採用ツールを検討しているときにツクルバの求人を見かけました。当時、色々な文脈でツクルバの名前を見聞きして「おもしろい会社だなぁ」と思っていたところだったので、最初はただ偵察しに行こうかなくらいのノリだったんですよね。で、いつのまにか巻き込まれていたという(笑)
中:初めて杏子ちゃんと話したとき、会話のラリーがすごい心地よくて楽しかったことを覚えていて。抽象的なことも具体的なことも、投げかけた話題を「つまりこういうことでしょ」って杏子ちゃんの言葉で投げ返してくれたんだよね。
小:私も何を話したかは全く覚えてないんですが(笑)、とにかく楽しくて、出てくる話題に対して全部「それそれ〜!」って盛り上がったことだけは覚えています。
中:会社のフェーズが進んでいく中で色んなことが言語化されてきたけど、当時はそうではなかったから、抽象的なことをそうそうってわかり合えるのは特に大切なところでした。今でも変わらず、採用担当はツクルバの “フロントマン” なので、ツクルバっていう概念をその人の言葉で伝えられる人がいいなと思っています。
ーーーツクルバに転職を決めた理由を教えていただけますか?
小:転職を考えていたわけではなかったものの、当時新卒採用を担当する中で『自社の事業が社会に与えるインパクトってどんなものだろう?』って考えていた時期でした。前職はアパレル系だったので、こだわりのアイテムを通じてお客さまにスタイルを提案することはできる。それを選考に来てくれる学生たちに心を込めて伝えていたけど、そのメッセージと裏腹に『私はもっと根本的な生き方・暮らし方やその集合体としての社会の進化に興味があるんだなぁ』ということに気付いてしまって。ちょうどそのタイミングで偶然ツクルバに出会ったんです。
モヤモヤしているときにまーさんのプレゼンを聞いて、ツクルバは今の社会の半歩先をつくっていく会社だと感じたし、そのアプローチやその先に見据える “欲しい未来” も私の考えるそれと一致していた。それが入社を決めた一番の理由です。結果的に自分が貢献できるポジションとして採用担当として入社していますが、職種へのこだわりはなくて、ツクルバがビジョンやミッションを形にするプロセスを一緒に駆け抜けられるのであれば、関わり方はなんでもいいかなと思ってます。
想いでつながっていく、コミュニティ型アプローチを復活させたい
ーーーこれからはどんな採用を実現していきたいのでしょうか?
小:最近は、採用スピードを鑑みて求人広告や人材紹介サービスなど即効性のある外部サービスに頼った採用方法がメインになっていました。だけどそれって、少しツクルバらしくないかなとも思っていて。なので、これからはツクルバらしい “コミュニティ型アプローチ採用の復権” をテーマにチューニングしていきたいです。それこそ初期のco-baのように、ツクルバという場に自然と集まった人が想いに共感して、いつのまにか仲間になっていく、という流れをいかにつくり出すかが課題ですね。
最近の事例でいうと、co-baのコミュニティマネージャーの採用は理想的でした。co-baのプランナーと採用ターゲットについて打ち合わせをしていくと、その人物像にぴったり当てはまる人が彼の友だちにいることがわかったので、その人の心が動くような求人記事を書こうとなって。そしたら本当にその友だちがその記事を読んでくれて、その彼が入社したんです。後から聞いてみると、記事を読んだときに『俺呼ばれてるな』って思ったらしいです。ラブレターが届いて、両想いになったという感じですよね(笑)実はもうひとり彼以外にも、その記事を読んで入社したメンバーがいるんですよ。そのメンバーも『私のことだ!』って思ったみたいで。やっぱり温度のある想いこそ、人に届くんですよね。
中:ひとりが踊っているところにまわりの人が巻き込まれていく、まさに裸踊り。やっぱり外への発信って大切だね。
小:代表が積極的に外へ発信するというのは最近よくあるけれど、ツクルバの場合はメンバーの一人ひとりがおもしろいコンテンツやコミュニティを持っているのが強みだと思っています。今まではサービスや代表のふたりに惹かれて来る人が多かったのですが、メンバーに惹かれて入社する人をもっと増やしたいですね。そのために、メンバ一の魅力がきらりと光る組織をつくっていくことも大事な仕事のひとつだと思っています。
中:今後ツクルバのファンフェスやオフ会のようなイベントをやっていく中で、ファンやユーザー、株主の皆さんが広義の意味での “仲間” になって関わりを持ち始めるのが理想。となると、仲間を増やす活動のことを採用活動って呼ばなくていいかもって思う。なんだろう、やっぱり裸踊りかな(笑)
ーーーツクルバは、不動産業界やスタートアップの中でもやめる人が少ないと思うんですが、何か採用時に心がけていることってありますか?
中:なんだろうね、カルチャーマッチは絶対守るとかかな。
小:選考の中で誰かが少しでも違和感を感じたら、かなり議論しますよね。採用選考では、その人の人生においてツクルバに今来ることが幸せかどうかという観点でかなり真剣に向き合ってます。採用担当だけでなく、採用に関わる人全員がそれを共通認識にしていて。
中:同じ会社で働くということは人生の同じ船に乗るわけだから、ツクルバが旅路の中で人生が豊かになる居場所になってほしい想いはずっと持っているね。
ーーーメンバーである私から見ても、ツクルバには仕事をするだけじゃなくて個性が活きる場がちゃんとあるなと感じています。
小:採用時点でのこだわりはもちろんあるけど、そもそも今いるメンバーがみんな “いいヤツ” なのがやっぱり一番大きいかも。それって、途中で軌道修正するのはとても難しいことなので、こればっかりは本当に創業時からの積み重ねですね。 だから、初期の “うまい飯が食えるか” 採用が功を奏しているのかもしれないと思います。一緒にうまい飯が食えるヤツに悪いヤツはいないから(笑)
次の採用担当に求められるものと得られるもの
ーーーどんな人がツクルバの採用担当に向いていると思いますか?
小:採用の経験があるかどうかはあまり気にしていなくて、まーさんが言うところの “裸踊り” みたいなムーブメントを起こす発想や企画ができる人、巻き込んでいくのがうまい人、泥くさいことをやり抜ける人がいいなと思っています。
中:頭と心のバランスがよくて、直感力のある人。というのは、これからロジックだけでは弾きだせない答えを選べて、それを信じることが求められるから。なんか難しそうに言ってしまったけど、素直に自然が綺麗とか、天気がいいとか、そういうところにアンテナがちゃんと立っている、感覚が研ぎ澄まされているとか、大切だよね。
ーーーツクルバの採用担当になったら、得られるものってなんでしょうか。
小:扱っている職種がかなり幅広いので、人事としての戦闘力を高められるというところですね。Webエンジニア、デザイナー、アーキテクト、コミュニティマネージャー、不動産のプロフェッショナル、エディターなどなど、常時15職種くらいのポジションを扱っています。色々な領域のプロフェッショナルと関わることになるので、自分の世界も広がりますね。それから、今のツクルバは人が組織をつくっていることを実感できるフェーズなので、組織ができあがっていく過程に参加できるのもかなり面白いと思いますよ。
ーーー最後に、この記事を読んでいる「ツクルバの採用担当、ちょっといいかも?」と思っている人へメッセージをお願いします。
小:”採用”はお任せしたい業務の1パーツでしかなくて、もっと本質的なところ、例えば会社と社会、従業員と組織、人と働くことのより良い関係性を模索しながら、ツクルバという株式会社を実験場として、色々なことを一緒にできたらいいなと思っています。できる・できないというよりはやりたいと思えるか・無邪気に好奇心を持てるか、の方を大切にしていますね。
中:組織づくり・採用っていう言葉自体をアップデートしていきたい。そういう意味では、次の採用担当になったメンバーには組織をつくりつつポジティブに壊していってほしいな。
編集:外山友香
カメラマン:熊倉未来