私たちトライビートは、「世界の『不』を解消し、人の心を豊かにする」という理念のもと、利益追求だけにとどまらず、“社会にどう貢献できるか”を常に問い続けてきました。
私たちの仕事は、目の前の課題を解決するだけでは終わりません。その先にある、関わるすべての人々の心が豊かになる未来を創造すること。それこそが、私たちの存在意義です。
「AIに渡す“問い”の質で、提案の深さがまるで変わる」
Tech事業部 Account Managementの大牟田(おおむた)さんは、そう言い切ります。
2022年末からAIの可能性をいち早く見抜き、業務への本格活用を切り拓いてきた大牟田さんに、顧客のビジネス課題に深く入り込み、戦略を練り、最適な提案を届ける——そのコア業務の中で、AIをどう「参謀」として使いこなしているのか。お話を伺いました。
【プロフィール】
・大牟田 億尋(オオムタ オクヒロ)
・Tech事業部 Account Management Team
・2019年4月入社
アカウントマネージャー(AM)
特定顧客との長期的な関係を構築し、課題を深く理解した上で最適なソリューションを提案する、BtoB企業における戦略的パートナー。単なる「営業」ではなく、顧客のビジネス成長に責任を持つポジション。
AIは、提案の「深さ」を引き上げる戦略パートナー
――最近では、開発のコードをAIが書くことなど、トライビートの中心領域である開発でも、AI活用が話題になっているかと思います。大牟田さんが担当されているアカウントマネジメント。つまり、お客様に深く入り込むことや、課題の本質を掴んで提案につなげていくような業務でも、AIを活用しながら進めていく領域というのはあるのでしょうか。
大牟田:そうですね、すべての業務に関わっていると言っても過言ではありません。
ただ、よく世間で言われるような「AIが仕事を代わりにやってくれる」という感覚とは違う認識を持っています。
どのような文脈の提案がお客様に喜んでいただけるか、どの切り口からの提案が求められているかの最終判断は、当たり前ですがAIにはできません。厳密に言えば、もちろんAIも提案はしてくれますが、それでもAIは責任を取ることができないですし、お客様から提案の詳細を聞かれて「AIが提案したから」とお答えするわけにもいきません。
総じて、今は「AIなしの業務」というのも考えられません。これだけの量を調査した上で戦略を練るのは膨大な時間がかかりますし、自分でやっていたときよりも大幅に質が上がっていると感じています。
――トライビートとしては全社的にAIの活用を推進しているなど、会社としての方針はあるのでしょうか。
大牟田:明確な使用を推奨するような業務や、会社として「このAIを使うように」というものはないです。元々、私自身も最初はあくまで個人利用として使っていました。
一番初めにAIに触れたのは話題になる少し前の2022年の終わり頃です。当時はまだ今のようにサクサク動くものではなく、ある程度のスペックを持ったPCでないとなかなか動かせないものでした。そこでまずはプライベート目的で色々触りながら、「これは来る!」と確信していたところ、2023年爆発的に普及したという流れです。
もちろん、私が開発に携わったとかではないのですが、確実に流行ると思っていたので嬉しく感じたのを覚えています。そこから、他のAIも色々触りましたが、仕事で本格的に使うようになったのは比較的最近です。
――仕事で使うにはハードルがあったのでしょうか。
大牟田:そうですね、まずは情報の取り扱いの問題です。私たちが扱うのは、お客様からご依頼いただいている案件ですが、トライビートが請け負っていることを公開させていただくほうが稀で、システムをどこの会社に発注しているかという情報はあまり表に出ません。
そのため、AIには個人情報や機密情報を入れるわけにはいきません。お客様を特定できる情報は伏せつつ、業界構造や課題の構造レベルでAIに共有し、そこから戦略の選択肢を引き出すという使い方をしています。
また、画像を読み込ませないといった配慮は各メンバーが自主的に行っていますが、新しいAIツールの導入や未知の使い方については、都度会社に確認を取りながら、「責任あるAI活用」を心がけています。
顧客理解の深さが、AI時代の「介在価値」を決める
――AIがこれだけ業務に浸透してくると、「人間にしかできないこと」が問われているというのは、開発案件に限らず、広く言われています。顧客のビジネスパートナーとして高い付加価値を求められるアカウントマネージャーが、AIをどう武器にしていくか。AI時代に問われる「人間の介在価値」について、大牟田さんはどのように考えられていますか。
大牟田:「問いの質」と「文脈の設計力」だと考えています。
AIは膨大な情報を処理して選択肢を提示してくれますが、「このお客様の今の状況には、どのような提案が最も求められているか」を判断できるのは、そのお客様のビジネスに深く入り込んでいる人間だけです。
あるいは、AIに出す指示もそうした関係性や定性的な要素もあるからこそ、そうした文脈を踏まえたプロンプトが可能になります。つまり、AIが出したアウトプットを判断するだけでなく、最初の指示文の段階から、そのお客様との文脈を踏まえたものにできるかどうかがポイントではないでしょうか。
もちろん、AIが出してきた情報のソースが正しいかという「真偽の確認」は前提です。
ただ、それ以上に大事なのは、今回の提案にどの文脈が必要で、どう組み立てればお客様の課題解決にお役立ちできるか。そうした「文脈=コンテキストの設計」こそが、アカウントマネージャーの腕の見せ所だと思っています。
先ほどの情報の取捨選択や、今挙げたお客様の事情などを考慮した最終調整や最終判断こそが、人間の役割であり、アカウントマネジメントの「腕の見せ所」だと思っています。
エンジニアリングとAI
――トライビート全体というか、エンジニアチームでのAI活用も進んでいるのでしょうか。
大牟田:もちろん進んでいます。会社のルールとしては先ほど説明した通りですが、エンジニアはよりコーディングに特化したAIやエンジニアチームで共有できるAIなどを使っています。
また、以前はワイヤーフレームからデザイン、そして、実装というフローでしたが、今ではAIに指示するだけでWebサイトやアプリの作成も容易になりました。
私自身はコードを書くことはしませんが、お客様にプレビューやイメージをお見せすることで大幅に仕事が効率化できています。
――なるほど、それだと巷で言われているように、「エンジニアが不要になる」ような未来もあるのでしょうか。
大牟田:遠い未来での可能性という意味ではそうかもしれませんが、直近ではそうはいかないというのが現場の感覚です。
例えば、AIが書いたコードが本番環境でそのまま動くとは限りません。見た目の”ガワ”は作れても、裏側のデータベース(バックエンド)との連携までは完璧ではないことが多いです。
もちろん、そこまで含めたチェックもAIでできますが、だからこそ、エンジニアチームと連携して本当にそのコードでよいのか、お客様が実現したいことの最適解なのかという部分を確認するようにしています。
結局、「検証をせずに、AIが出したアウトプットをうのみにしない」という姿勢は、アカウントマネジメントでもエンジニアリングでも同じです。どちらも、AIを通して出てきたものを「本当にお客様にとって最適か」という視点で検証を行う構造は変わりません。
この部分はAIを使う上で一番重要なポイントだと思いますし、こうした実際のエンジニア目線での検証ができるのも、トライビートの開発力あってのことだと考えています。
非エンジニアの視界が開けた「AIの底力」
――ここまで伺っていて、AIを使う以前と今とで、大幅に業務が変わっている印象を受けています。大牟田さんが元々は個人利用されていて、これは仕事で使えるかもと思った瞬間はありますか。
大牟田:それで言うといくつかあります。
一つは、「Google AI Studio」の存在です。お客様のWebサイトでチャットボットを使っているお客様がいました。利用中のチャットボットをもっとエンドユーザーが使いやすいものにできるのではないかと考え、Google AI Studioに指示を出しながら、自らチャットボットシステムのベース案を作成しました。
エンジニアチームにも協力してもらい、それを提案用のベータ版として持って行ったときのことです。自分が思い描いていることが「これだけの工数でできた」という事実に、世界が変わったような感覚がありました。非エンジニアの自分でもこうしたことができる。
元々は、エンジニアチームのメンバーに勧められたものでしたが、これは業務へ本格導入できると感じた瞬間です。
結局、そのチャットボットは既に別のプロジェクトが進んでいたとのことで、私たちの提案が実現することはありませんでしたが、お客様も好意的に受け取ってくださいました。他の事例としては、SNSの運用代行案件において、AIを使うことで「既存の分析ツールを使う以上の回答が得られる」ということもありました。
――なるほど、ありがとうございます。最後に、これからアカウントマネージャーを目指す方に向けて、AIとの向き合い方においてアドバイスなどはありますか。
大牟田:AIは今現在も進化を続けています。特にここ数か月は目まぐるしいほどです。
その変化を前向きに捉えて、探求心と好奇心を持ってAIに触れ続けることが重要だと考えています。
また、AIに指示を出すプロンプトも、自立型エージェントの登場はあっても、まだまだプロンプトによってアウトプットに大きな差が出ます。
プロンプトの仕組みを理解することは、プログラミング言語の全体像を把握することに似ていると思います。自分でコードを書けなくても、仕組みを理解していれば、お客様への提案やエンジニアとの連携がスムーズになりますよね。
それと同じことがAI活用にも言えると考えています。
AIは膨大な知識を持つ優秀な参謀。
しかし、その知識をどう使うか—どんなコンテキストが顧客に刺さるのか。どの提案が意思決定を動かすのか。
それを判断するのは、人間の仕事です。顧客を深く理解し、AIを「戦略の壁打ち相手」にする。その姿勢こそが、これからのアカウントマネジメントに求められる力だと、大牟田さんの言葉は教えてくれます。
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