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AIがコードを自動生成する時代に、未経験エンジニアとしてどう価値を見出すのか?8日間のアプリ開発研修で葛藤し、学んだこと
こんにちは!TOKIUM開発部の原田です。 今回は、開発経験が全くなかった私が、チームで挑んだ8日間のアジャイル開発研修についてお話しします。
特に、開発初心者の私がClaud やGeminiなど強力なAIツールとどう向き合い、その中でどんな課題に直面し、どう乗り越えていったのか。そのリアルな葛藤と学びを、ありのままにお話できたらと思います。
今回のチーム開発は、以下の内容で実施しました。
・ 目的:チーム開発の手法である「アジャイル開発*」を学ぶ
・ チーム構成:2025卒の4名(阿野さん、池田さん、西片さん、原田)
・技術スタック:RailsとReact
・開発期間:8日間
*小さなプログラム開発によりテストや実装を繰り返し、ソフトウェアを開発していく手法。
CFOから「社内の“ありがとう”を可視化してほしい」というミッションから始まった開発
今回の研修テーマは「実際にユーザーが使う、実用的なアプリの開発」でした。そんな中、社内のコミュニケーション活性化を促進されているCFOの西山さんも、研修のステークホルダーとして参加してくださいました。
私たちのチームは、西山さんから「『ありがとう』を可視化する社内コミュニケーションアプリを開発してほしい」というミッションを受けました。
具体的な要件は、以下の通りです。
- 社内のコミュニケーションを活性化できること
- 従業員同士が互いの「成果につながった努力」を褒め、その行動を促進すること
- TOKIUMのVALUEと関連させること
このミッションを受けて、私たちのアプリ開発がスタートしました。
8日間、3スプリントのアジャイル開発
開発期間は、たったの8日間。私たちはこの期間を3つの「スプリント」という単位に区切って開発を進めました。 インターンで開発経験のあった西片さん以外の3人は、開発初心者。正直、「たった8日間で目標を達成できるのだろうか?」と不安でいっぱいでした。
そんな非常に短いスケジュールの中で、「ありがとう」の可視化という抽象的なテーマを形にするため、私たちはまず「どのような機能があれば、社内のコミュニケーションが活性化し、継続的に使ってもらえるアプリになるのか」「どの機能をいつまでに実装するのか」をチームで集中的に議論を行いました。
チーム開発ならではの難しさ
チーム開発を進める中で、私たちが最初に直面した壁は「アプリに実装する機能の取捨選択をする難しさ」でした。チームメンバーと議論を重ねるほど、アプリに組み込みたい機能が次々と出てきました。
しかし、開発期間は8日間と限られている。実際に作れる機能にはどうしても限界があります。メンバーそれぞれが優先したい機能も異なっていたため、まさにチーム開発ならではの難しさを痛感しました。
そんなとき、私たちは「結局何がしたかったんだろう」と原点に立ち返ることにしました。チーム内で話し合いを重ね、さらにステークホルダーである西山さんと議論しながら、本来の目的に沿った機能を見極めていきました。
例えば、当初はTOKIUMの公式キャラクターである「トキうむん」をアプリに表示したいという案も出ましたが、実際の機能とは直接関係ないという理由で優先順位を下げました。
優先度を決め、各メンバーが担当機能をパーツのように開発し、適宜それを繋ぎ合わせていく形で進めました。役割分担をしてそれぞれ別の機能を作っていても、細かな調整が必要になる場面が多々発生。そんな時は、手が空いているメンバーが自発的に状況を確認して修正作業に取り組むなど、柔軟な連携を心がけました。
そして、なんとか以下の3つの機能をアプリとして形にできたんです!
私たちが作ったアプリの機能
1.メッセージ機能
これはアプリの軸となる機能です。
社員がお互いに「ありがとう」という感謝や称賛の気持ちを、アプリ上で気軽に送り合えるようにしました。
この小さなやり取りが、感謝を可視化し、社内コミュニケーションを活性化。最終的にはモチベーションを高める大きな力になることを目的としています。
2.メンバープロフィールページ
TOKIUMでは、お互いのことを知るために、社員とインターン生全員が作成し、一覧で閲覧できるメンバー紹介スライドがあります。しかし、会社の成長とともに人数が増えるにつれてスライドが重くなり、検索性が下がって必要な情報を探しにくくなっていました。
そこで、今回開発したアプリ内に「メンバープロフィールページ」を実装。各メンバーの経歴や出身地、写真など、従来の紹介スライドの情報を引用して表示できるようにしました。
3.組織図ページ
社員数が増えるにつれて「この人はどんな仕事をしているんだろう?」「どの部署にいるんだろう?」といった声が社内で聞かれるようになりました。そうした課題に応えるための機能です。組織図ページではメンバーの所属とその部署の役割が簡単に確認できるようにしました。
研修での個人的な葛藤と「AI時代における未経験エンジニアのあり方」
ここまで、8日間という短い期間で、チームとしてどんなアプリを作り上げたかについてお話ししてきました。開発未経験の私が、実際に動く機能を形にできたのは本当に大きな喜びでした。
でも実は、この研修期間中、頭の片隅にはずっと葛藤がありました。それは「AI時代に、開発未経験のエンジニアはどうあるべきか?」という問いでした。
私たちはClaudeというAIツールを用いて開発を進めていたのですが、右も左もわからない開発初心者の私にとって、このAIはあまりにも強力すぎました。日本語で指示さえ出せば、コードを書き、しかも「どこに何を書けばいいか」まで判断して完成させてくれる。実際、「ユーザーページを作ってください」と指示するだけで、私がほとんど手を加えなくても、見た目も良い機能ができてしまいます。
研修の序盤、私はAIが書いたコードの概要すら理解できず、焦りからひたすらAIに指示を出すだけの時間を過ごしていました。気づけば機能が完成していた、なんてこともありました。
「ただAIに書かせているだけで自分ではコードを書けないのに、本当にエンジニアになれるのだろうか?」「コードを勉強する時間をしっかり取りたいが、まずは限られた開発スケジュールでアプリを完成させなければいけない。」そうした葛藤がありました。
この悩みをチームメンバーに打ち明けたところ、「最初はみんなそんなもんだよ。AIがあるんだから、うまく活用しようよ」という言葉をもらい、心が軽くなりました。
そこからは気持ちを切り替えて、「理想はもちろん、自分で理解してコードを書ける状態。でも、それが時間的に難しいならいったん割り切ろう」と考えるように。その上で、ただAIに指示を出すだけにならないように、AIが書いたコードを自分で理解し、エラーが起きた時にその原因を自分で突き止められるようにすることを心がけました。
そして、わからない時は素直に人に聞く。これも本当に大切だと感じました。メンターの方やチームの仲間に、自分の状況や不明点を簡潔に説明することで頭の中を整理できますし、口頭で教えてもらった方が、すんなり頭に入ってくることも多かったです。
こうした学習面での試行錯誤はもちろん、チームメンバーの精神的な支えも本当に大きかったです。私が困っていそうだと感じ取れば積極的に声をかけてくれ、「わからないけど頑張ってみよう」という前向きな気持ちを引き出してくれました。
実装した機能が動いた、あの瞬間
そうして進めていく中で、開発画面のコードしかない場所から自分の作った機能がブラウザ上で思った通りに動いた時には、すごく達成感を感じました。
コードがうまくかけていないと画面に表示される、赤文字のエラー画面も、もう嫌というほど見ました。だからこそ、エラーなく、思った通りの挙動をしていた時は、本当に嬉しかったです。
また、他の人の作った機能が自分の開発環境でも見れるようになると、どんどん本格的なアプリに近づいてるのが目に見えて、とても楽しかったです。
研修を通して学んだこと
未経験の開発で正直大変なことも多かったですが、この研修を通して、以下の二つの学びを得ることができました。
1. AIに取って代わられないようにする力の重要性
AIは私よりもずっと知識が豊富で作業も早いです。でも、全てが人間より優れているわけではありません。AIでは見つけられなかったエラーの原因が、私にはあっさり見つけられたり、機能の完成形や機能同士の関連は、こちらがうまく指示しないと「いい感じ」にはしてくれませんでした。思考を放棄せず、AIが得意なところと自分にしかできないところを意識する必要があると学びました。
2. 今の状態なら未経験でもエンジニアになれる可能性は多分にある
「これ、人に聞くレベルかな…」と思うことも、AIにならすぐに聞けます。自分のレベルに合わせてAIが新しい知識を説明してくれますし、「回答は言わずにヒントだけを出してください」と指示をすれば自分の理解を試すこともできます。何もわからない私でも、AIという強力なサポーターのおかげで、なんとか開発を進めることができました。
まとめ
未経験でエンジニアになることはインプットも多く大変です。しかし、AIとチームの仲間と支え合いながら何かを形にできた時、とても大きな達成感を得られます。
今回の開発では当初の予定は達成できましたが、スプリントが進むうちに「この機能があるなら、この機能も追加したい」と、どんどん夢が膨らんでいきました。最終的に、私たちはこのアプリを、研修の枠を超えて開発を続け、Slackとの連携機能や、AIを用いて各自の強みを分析するような機能も実装し、社内で実際に使ってもらえるレベルにしたいなと考えています。
最後までお読みいただきありがとうございます!
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