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AIの普及が著しい現代、「AIを使いこなして新しいことに挑戦したい」と考えている方も多いのではないでしょうか?
今回は、カスタマーサクセス(CS)職から産休・育休を経て、未経験からエンジニアへとキャリアチェンジした田中さんのリアルな体験をお話しします。
特に、AIをフル活用して、どのようにエンジニアスキルを学んでいるのか、その具体的な道のりをご紹介します。
目次
プロフィール
キャリアの転機:育休中に見つけた新たな可能性
子育てと学習の両立、一度は諦めかけた壁をどう乗り越えたか
AIツールが私の「専属メンター」だった
AIエージェントを活用して取り組む実業務
今後の展望:CS経験を活かすエンジニアとして
AI時代の今だからこそチャンス!未経験から始めるエンジニアへの第一歩
プロフィール
大阪大学で英語学修士を取得し、TOKIUMに新卒入社。以来CSに従事し、2021年にはCS部門の部長に就任。育児休暇に入り、2025年5月に開発部のCREという職種で復職。
キャリアの転機:育休中に見つけた新たな可能性
── 新卒でTOKIUMに入社されてから、CSとしてご活躍されていたそうですね。エンジニアへのキャリアチェンジは、当時から考えていたのでしょうか?
新卒でTOKIUMに入社して以来、私はカスタマーサクセスのメンバーとして、お客様の課題解決に尽力してきました。お客様から直接「ありがとう」の言葉をいただくたびに、大きなやりがいを感じていました。
仕事柄、エンジニアチームとの連携も多く、「もっと技術的な知識があれば」と思うことも多々ありました。ただ、大好きなCSの仕事で日々充実しており、マネージャーとして大きな責任も背負っていたので、当時はエンジニアへのキャリアチェンジなど微塵も考えていませんでした。
── では、何がきっかけでエンジニアというキャリアを意識し始めたのでしょうか?
私の転機は、育児休業中に訪れました。復帰後のキャリアについて、上司と相談する時間を作ってもらっていました。その際、たまたま代表の黒﨑とも話す機会があり、何気ない雑談の中で「エンジニアになってみるのはどう?」という一言がきっかけとなりました。
実は以前から、「生まれ変わったらエンジニアとかお医者さんとか、全く違う職種に就いてみたいな。」なんて思う性格だったので、代表にそう言われたら「挑戦してもいいのかな」って思うじゃないですか(笑)。
昔から何でも挑戦させてくれるこの会社の雰囲気もあって、その時は冗談半分で話していましたが、そこからエンジニアもキャリアとして視野に入れるようになりました。
── 未経験からの挑戦に、不安はありませんでしたか?
もちろんありました。エンジニアリングの経験は一切なかったので、正直「無理だろう」と半ば諦めていました。育休前はCS部の部長を務めていたこともあり、キャリアが中断することへの葛藤も大きかったです。
しかし、当時プロダクト組織開発部の部長だった西本さん(エンジニア出身)と話す機会があって、「僕も未経験からエンジニアになれたから大丈夫だよ!」と笑顔で後押ししてくれて(笑)。
そういう経緯もあって、「自分でコントロールできないことで悩むのはやめよう。コントロールできることに集中しよう!」と気持ちを切り替えました。
どうせキャリアチェンジするのであれば、これをチャンスに転換して今までできなかった新しいことに挑戦したい。そう考え始めました。
ただ、自分がエンジニアに向いているか不安だったので、すぐには決断せず、まずは時間があるうちにしっかり勉強してみることにしました。少しでも取り組んでみて、向いているかどうか見極めようと。もしキャッチアップできそうなら、エンジニアとして挑戦してみようと決めました。
子育てと学習の両立、一度は諦めかけた壁をどう乗り越えたか
── エンジニアの学習は大変でしたか?どのように乗り越えられたのでしょうか?
エンジニアへの挑戦を決意した私を待っていたのは、想像以上にハードな学習の日々でした。
学習内容そのものが苦しいというよりも、学習を「継続する」生活が本当に難しかったです。子どもが起きている時は全く勉強できませんし、寝かしつけが終わってからも夜泣きで中断されることが多く自身の睡眠時間すらまともにとれなくて。一日1時間から2時間くらい勉強時間が確保できたら万歳というような日が続きました。
特に夜泣きがピークの時期は、自身の健康を損なうほど追い詰められ、「もう生きていくことを最優先にしよう」と学習を中断せざるを得ない時期もありました。
そんな中で一度はエンジニアの道を諦めかけたのですが、社内メンバーからの励ましや、夜泣きが少し落ち着いてきたタイミングが重なり、「もう一度頑張ってみようかな」という気持ちになりました。
そこからProgateやRailsチュートリアルなどの基礎的な内容から、改めて学習をスタートさせました。特にRailsやJavaScriptなど、業務に直結する部分は2〜3周繰り返しました。大変でしたが、何とか基礎的な学習は終えることができました。
AIツールが私の「専属メンター」だった
── 復帰後の実業務でどのようにスキルを習得しましたか?
復職後は数週間の研修期間があり、エンジニアとしてのスキルを習得する上で、AIツールを頼りにしました。ChatGPTやGeminiといったツールが、プログラミングの基礎から実践的な開発まで、私の専属メンターのようにあらゆる質問に答えてくれたのです。
具体的に、AIツールはこんな場面で大活躍してくれました!
・環境構築のサポート: 思うようにいかない環境構築のエラーハンドリングを補助
・不明なコードの解説: 複雑なコードも分かりやすく丁寧に解説
・エラー原因の特定と解決策の提示: 開発中のエラーログを共有すると、瞬時に原因を特定し、解決策を提示
・コードレビュー: 書いたコードをAIエージェントにレビューしてもらい、改善点やより良い書き方を学習
・システム設計の理解: 知識不足の私にとって外国語のようだった自社システムの設計理解も、AIの力を借りてブレイクダウンし、一つずつクリア
社内の教育係の方々にもサポートしてもらい、とても助かりましたが、「こんな基本的なこと、人に聞くのはためらわれるな…」という内容でも、AI相手なら遠慮なく聞けました。このおかげで、学習効率は飛躍的に向上しました。
AIエージェントを活用して取り組む実業務
── 現在はどのような業務に携わっているのですか?
現在はCREチームで、社内システムのバックエンドの機能開発に携わっています。CS部門(カスタマーサクセス)がこれまでエンジニアに開発依頼していた業務を自分たちで行えるようになるシステムを開発中で、CSの業務効率に大きく寄与する重要な機能です。
この業務を通じて、プロダクトの設計思想や作り方の片鱗に触れることができ、お客様の課題を直接解決するCSとはまた異なる、ものづくりの楽しさと奥深さを実感しています。
また、CREチームの主要業務の一つである調査業務も始まりました。サービスを利用しているお客様の困りごとを解決する技術調査です。お客様の不安を取り除き、安心してご利用いただけることに貢献できるのは、CS時代と似た喜びを感じています。
── 実際にエンジニアとして働いてみて、AIツールはどのように活用されていますか?
現場配属後は、特にDevinやCopilotを活用することが多いです。Devinは複雑な開発タスクを自律的に実行し、Copilotはコード記述を大幅に効率化してくれるため、毎日助けられています。
これらのAIエージェントがなければ、未経験からこれほど短期間でエンジニアとしてキャッチアップすることは不可能でした。今はAIエージェントと開発部メンバーのサポートのおかげで、何とか業務を進められています。
今後の展望:CS経験を活かすエンジニアとして
── 今後のエンジニアとしての目標や展望を教えてください。
AIによって一定の品質は担保できますが、それを100点にするには、やはりエンジニアのスキルや知識が必要不可欠だと感じています。AIを活用しても、まだまだ開発メンバーの支援が必要な場面も多く、その重要性を肌で感じています。
当面の目標は、まずは一人前のCREエンジニアになること。CREとして会計連携の実装や不具合調査を一人で完遂できるようになりたいです。特にこの時期は新卒メンバーが配属されたりと、チームが大きく変わる時期なので、最速で一人前になり貢献していきたいです。
ただ、30代でエンジニアの世界に飛び込んだばかりなので、すぐにベテランのエンジニアたちと対等に渡り合えるとは思っていません。焦らず着実にスキルを積み重ね、CSで培ったビジネスサイドの視点を活かして、「お客様のことがわかるエンジニア」を目指していきます。
CS職の時のミートアップでの様子
AI時代の今だからこそチャンス!未経験から始めるエンジニアへの第一歩
── 未経験からエンジニアを目指す人にとって、どのような資質や経験が重要だと感じますか?
私の場合、特別なスキルがあったわけではありません。ただ、「新しいことができるようになるのが好き」という探究心と、これまで様々な困難を乗り越えてきた経験からくる「自分は努力できる人間だ」という自信が、私の挑戦を支えていると感じます。
学生時代の部活動での怪我や、アルバイト経験、睡眠時間を削って勉強と部活を両立させた経験、子育てでの経験など、過去の様々な挫折や困難を乗り越えてきたことが、今の私を支えています。不器用なタイプなので、愚直に努力し続けることしかできないのですが、それだけは自信があります(笑)。
── 今、エンジニアとして挑戦してみて、どのようなことを感じますか?
「未経験だから」「自分には無理だ」と諦めずに挑戦して良かったと感じています。
これまでのCSでの経験を通して、お客様が新機能のリリースや改善で喜ぶ姿を何度も見てきました。サービスが安定して稼働するには、エンジニアの技術的な支えが不可欠だと痛感しています。
プロダクトがどうお客様を笑顔にしているかを理解しているからこそ、今度は「つくる側」に立って貢献できることに新たなワクワクを感じています。
今はAIエージェントという強力な学習ツールがあるおかげで、学習のハードルが確実に下がっています。彼らを味方につければ、知識や経験がなくても、効率的にスキルを身につけ、エンジニアとしてのキャリアをスタートできます。私自身、今だからこそ、このキャリアチェンジができました。
エンジニアには価値を生み出す面白さがあります。「ものづくりに興味があるけど未経験だから…」とためらっている方には、ぜひ勇気を出して挑戦してほしいです!
「ものづくりがしたい」「新しい技術を学びたい」という情熱を持っているなら、ぜひエンジニアという道を選んでみませんか?