トライバルメディアハウス ソリューション開発部 阿部です。
“音楽・エンターテインメント×テクノロジー” を個人テーマとして持つ私が夢に思っていた音楽・テック・カルチャーの祭典「SXSW」(サウス・バイ・サウス・ウエスト)へのチャレンジから何を得た3つのこと、そしてどんな体験だったのかをシェアするシリーズ、第2回。
前回は夢の舞台への切符を掴むまでに感じた学びのシェアでしたが、今回はその後、SXSW TradeShowでの展示コンテンツの企画・制作を通じて学んだことをシェアします。
今回のキーワードは「『何を使うか』ではなく『どんな体験を生みたいか』」 、
そして 「本質的な目的を考え、モノゴトをかけ合せる力・視点の重要性」です。
(第1回) - 志を口にすることの重要性
(第3回) - チャレンジのための “心”・“技術”・“場”
(最終回) - SXSW・オースチン体験記
「SXSW TradeShow」とは?
展示を行うこととなった「SXSW TradeShow」は、SXSWの中心的会場であるAUSTIN CONVENTION CENTERで4日間に渡って開催される展示会です。
音楽関連の企業のほかにも、「VR/AR Experience」や「Social Impact Pavilion」、「Future of Food」といった分野ごとの展示、国別のブース(International Pavilion)があったりもします。
一つの会場の中で、実に様々な業種・企業が最新の技術・アイディアが並び来場者と交流し、化学反応を生んでいくイベント、それが「SXSW TradeShow」です。
今回はこのTradeShowに出展が決まったXTREME DESIGN様のブースで展示する一コンテンツの制作を、企画検討から実装、そして現地で実際に来場者と接するところまでを一貫して担当させていただくことができました。
(XTREME DESIGN様は高いノウハウとクラウドの力で「スパコンの民主化」を進める、注目のスタートアップ企業で、注目のスタートアップが出展する「SXSW Startup Spotlight」のテック部門に出展した企業でもあります!)
音楽×エンターテインメントへの夢を知り、夢としていた舞台で展示するコンテンツを一エンジニアに任せてくれたXTREME DESIGNの皆様には本当に感謝してもし尽くせません!ここで改めて感謝をお伝えしたいと思います。
(初日、会場前のTradeShow会場の様子。開場後はこの通路が来場者でいっぱいに。)
“やりたいことに手が届く時代”だからこそ考える、「どの手法・技術を使うのか」ではなく「どんな体験を与えたいのか」
今回は展示コンテンツについて企画検討から任せていただくことができたため、“どのようなものを作るか”から検討を始めました。
頂いたテーマは「SXSW来場者の人たちを惹きつける新しいUI(ユーザーインタフェース)」。そこから出発して内容は自由に考えてよいと言っていただき、ディスカッションを進めながら実に楽しい制作を行わせていただきました。
現在は技術の進歩やオープンソース活動の普及によって、昔では数百万円レベルの機材が無ければできなかったことが数万円で実現できる、“やろうとする意志があればやりたいことに手が届く時代”なんだと感じています。
そんな中、技術者としてはつい「どの技術を使うか」に気が取られがちですが、今回の制作・展示を通じて感じたのは、
「どの技術を使うか」だけではなく「何を見る人・使う人に与えたいか」「どんな体験を生み・何を感じさせ・どんな変化を生むか」についてどこまで考え抜けるか
が重要になってくるのでは、ということです。
新しい技術を使うことでの“驚き”はもちろん活用すべき重要な武器ですが、それだけでは「人の心を動かせるか/社会に変化を起こせるか」というと難しいのではないか、その技術の先で何を起こすのかを、複数の視点をスイッチしながら考えられるかどうかが今後重要性を増していくのではないかと制作〜渡米を経て感じています。
※ かく言う自分自身も、技術・アート表現に寄りすぎた案を度々出しながらも、
XTREME DESIGNの皆様にアドバイスをいただきながら修正し、なんとか形にできたのですが...笑
“ブースにおけるコンテンツの目的” や “コンテンツの魅せ方”を協議しながらプロトタイピングを続けた結果、目を惹くビジュアライゼーションに加えて、新しい操作感と視覚のインパクトを与えるインタフェースとして
・プレゼンター用の「筋電位センサインタフェース」
・来場者が気軽に試せるよう「赤外線センサによるインタフェース」
といった複数のインタフェースを用意。またそれらのトラブル時の対応として
・「マウスインタフェース」
・「キーボードインタフェース」
を用意し、切り替えができるようにコンテンツを仕上げていきました。
(筋電位センサを使ったコントロールの図)
本質的な目的を考え、モノゴトをかけ合せる視点
作るもの自体を考える前に、その周辺から俯瞰して目的を考えること。
これは、エンジニアとして設計・開発を行っていく中で培ったエンジニア視点と、「社員全員マーケター」であるトライバルメディアハウスにて、様々なマーケティング施策の検討やコミュニティ運営に直接触れ得たマーケター視点のかけ合わせによって、視点を広く・高く持てていることによるのではないか、と考えています。
現在、多くの仕組みは様々な技術の掛け合わせによって実現されている中で、技術とビジネス両方を理解し俯瞰できる視点を持ちながら「目的に合った新たな体験を生み出していけるエンジニア」になる。
そんなエンジニア像も素敵ではないか、と私は考えています。
次回は「チャレンジするためのTips」
こうして制作したコンテンツは、XTREME DESIGNの皆様と何度もプロトタイピングを繰り返しながら、TradeShow本番に間に合う形で仕上がったのでした。
さて次回はTradeShowでの体験、といきたいところですが、その前にぜひシェアしたい “チャレンジする・できる自分を作るためのTips”をご紹介したいと思います。
よろしければ次回も読んでいただけますと幸いです。
(第1回) - 志を口にすることの重要性
(第3回) - チャレンジのための “心”・“技術”・“場”
(最終回) - SXSW・オースチン体験記
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