2021年3月。テテマーチのブランドプロデュース事業部から『BeMe』がリリースされた。
『BeMe』とは、テテマーチ初の自社プロデュース商品であり、且つ、世の中に前例がない「コスメ本体とメイク方法のサポート動画を提供する」というパッケージだ。
この『BeMe』の開発に尽力したのが、テテマーチでブランドプロデュース事業部を推進する齋藤香奈だ。
齋藤の仕事への姿勢、それは常に「価値あるものを届ける」ことだった。
誰もしないことにチャレンジし自分のポジションを確立
新卒でWEB・動画制作の会社に営業職として入社し、転職。
2社目では、約300社のクライアントに対してASPの運用コンサルティングを行った。
「営業職はあまり自分には向いてないなって感じましたね(笑)でも挫けなかったです。自分なりに考えて、徐々に営業のメンバーとデザイナーを結ぶ役割を果たすようになりました。2社目では『インフルエンサー、ユーザー、クライアント』の三者をマッチングさせる新しいプロジェクトを自ら始めました。それぞれの会社で自分のやり方で、ポジショニングできたと思っています。」
テテマーチに入社したのは2018年4月のことだ。
当初はプランナーとしてクライアントに対し、SNSを主軸としたソリューション提案を行っていた。
施策を提案するだけでは物足りず、よりユーザーに近づき、よりスピード感を持って成果にコミットしたいと考えた齋藤は、自ら志願しディレクターに転向。さらにリーダーにも立候補した。
「立候補した理由は、仕組み化を進めたいという思いと、テテマーチの理念である『サキダチ、ヤクダツ』の影響ですね。メンバーのモチベーションを上げたり魅力を引き出すことに、やりがいを感じました。」
サキダチ、ヤクダツとは「世の中にある不安や不便を安心と便利に変え、今の“できない”を“できる”に変える」という考え方だ。
尽きない向上心と積極性をもって成長を続けた齋藤は、早期にマネージャーに昇格した。
「テテマーチに入社するまでは、ジョブ・チェンジ、ポジション・チェンジのきっかけは、自分自身の可能性をひろげるという軸でした。テテマーチに入ってからも、プラスアルファで新しい課題を準備してもらえるようになり、自らの意見も通りやすく、どんどん成長できました。」
0からブランドを作り価値を生み出す
そして、齋藤にとって最大の転機がやってくる。
社内で新規事業立ち上げの話が持ち上がったのだ。
新規事業には「テテマーチの新しい事業の柱をつくること」と「まだ見ぬ価値を追及して創造し、世の中や生活者にとってより良い価値提供をすること」が求められていた。
「学生時代に震災のボランティアに行ったのですが、その時に『どんなに善いことをしても、それを発信していかなければ価値あるものは人に伝わらない』って感じたんです。それが社会人になってからもずっと心の中にあって。いつか『価値のあるもの』をプロダクト(商品)として、コンセプト設計からやってみたいなという気持ちが、漠然とありました。」
齋藤のこの想いは、ヘアメイクアーティストの佐々木一蕙氏から「メイク用品を作りたい」という話が持ち込まれ、「コスメブランドを作る」というブランドプロデュース事業へと一気に舵をきることになる。
佐々木氏より話を深く聞くにつれ、齋藤は改めて自身とメイクの関係を振り返った。
「私は自分の顔やメイクに対してコンプレックスがありました。私と同じようにコンプレックスが壁となって、メイクに積極的になれない人が多くいるのでは?と考えたのです。」
そこで単にコスメを販売するのではなく、「購入したユーザーに合わせて、似合うアイメイク方法やアイブロウの描き方など、情報を届ける」というコンセプトにたどり着いた。
コスメを買う場所はどこにでもあるが、プロにメイクを教わる機会はそうはない。この状況が自分の顔やメイクに自信が持てない一つの要因になっていると考えた。 そんな課題を解決する、画期的なサービスだ。
SNSだけにとらわれずゼロベースでモノづくりをし、ユーザーに価値を届け、そして会社の利益に貢献したい。そんな彼女の希望とブランドコンセプトは見事にマッチした。
このサービスこそ『BeMe』である。
「ブランド名は『私になる』という意味なんです。このコスメを使って、自分に自信を持ってほしいという気持ちを込めてます。」
『BeMe』開発の主軸として抜擢された齋藤は、無我夢中で取り組んだ。
疾走した1年間
社内で初のブランドをプロデュ―スする。
何もかもが初めての経験だ。
四六時中、開発のことが頭から離れず、齋藤は没頭した。
『BeMe』で最も大変だったのは、ブランドのコンセプトから根幹を作ることだ。
「ターゲットにどんなプロダクトを提供したいかがブレると、全てズレてしまいます。だから数か月、じっくり時間をかけて、ブランドコンセプトの基礎を固めました。」
ブランドのコンセプトを確立した後は、商品設計に5ヵ月を費やした。
OEM企業と商品開発し、幾度となくテストを繰り返し、やっとコスメが完成する。
そこからさらに半年間、製造を進めつつ、ロゴ作りやサイト・動画制作にも着手した。
ブランドの隅々まで全てにおいて一切手を抜かない。
いくつもの壁に衝突し、その度に齋藤は実直に向き合い、乗り越えた。
そして構想から実に1年を経て、2021年4月に『BeMe』は販売を開始したのだ。
『BeMe』はまだスタートしたばかりである。
今後も、購入したユーザーとの長期的コミュニケーションをとっていき、彼らの課題の変化に合わせて、解決策を一緒に生み出していく存在を目指していく。
ハイブリッドな価値を創る
ブランドプロデュース事業部では、これからも「自分たち自身が本当に必要と感じられること」という意思を貫きながら、新しいブランドを立ち上げでいく予定だ。
あらゆる角度から、ユーザーの課題解決を目指していく。
また、大衆向けにではなく、悩みを抱えた一人一人に寄り添うように作り出す。
なぜなら現代はモノとコトにあふれている。その中でユーザーに「これが欲しい」「これを知りたい」と特別な価値を感じて選んでもらうには、モノだけではなく、他とは差別化した「何か」を提供しなくてはならないからだ。
ターゲットとなるユーザーが、ブランドを通して「どのように意義のある価値を感じるか」が鍵となる。
「将来的にはブランドの存在定義・価値提供までサポートしていきたいと思っています。プロダクトと『コト』を組み合わせて、新しい商品の形を作ること。このブランド・プロダクトコミュニケーションデザインこそ、私たちの使命です。」
ユーザーに寄り添い本質的な課題を見つけ、解決のために商品と価値も提供する。
齋藤はこれからも現状に満足することなく、自身の力を最大限に発揮するべく走り続けるだろう。