1
/
5

グローバルAI競争における私たちの立ち位置

昨今さらに中国によるAI開発が凄まじいですね。

中国と日本のAI開発の現状について、私たちの技術戦略を考える上で共有したいと思います。AI技術は日々進化し、特にグローバルな競争は激しさを増しています。私たちが持続的に成長するためには、このダイナミズムを理解し、今後の技術ロードマップに反映させていく必要があります。

  1. 中国のAI:圧倒的な「量」と「スピード」

まず、中国のAI開発は、その規模とスピードにおいて、まさに世界を牽引しています。彼らの強みは、国家戦略、巨大なデータ資産、そして膨大な計算資源の3つに集約されます。

中国の研究チームは「ASI-ARCH」というAIが自律的にAIモデルを設計するシステムを開発しています。これは、従来の人間主導の探索空間をはるかに超え、仮説生成からコード実装、学習、評価、分析までをAI自身が行うというものです。1,773回もの実験を自動で実行し、わずか数ヶ月で106件もの革新的なアーキテクチャを発見した事実は、彼らが「力業」でイノベーションを生み出していることの象徴です。

Baidu、Alibaba、Tencentといったテックジャイアントは、この膨大なデータと計算リソースを背景に、顔認証システム、スマートシティ、自動運転など、AIを社会インフラに組み込むことを驚異的なスピードで進めています。彼らのアプローチは、まず圧倒的な量を試行し、そこから最適解を見つけ出すという、データドリブンな科学的発見に他なりません。

参考記事: https://ledge.ai/articles/asi_arch_ai_self_design_1773_experiments_106_architectures

その分失敗や事故も多いですが。

  1. 日本のAI:実直な「質」と「信頼性」

一方、日本のAI開発は、中国や米国のようなスケール感では語れません。しかし、私たちは異なる強みを持っています。

日本のAI技術は、特定の産業分野での深い専門性と、高い信頼性が求められる技術に強みを発揮してきました。例えば、ロボティクス、画像処理、マテリアルサイエンスといった精密な技術が求められる分野です。Preferred Networks社が深層学習をロボット制御や製造業に応用している事例はその典型です。

また、NTTが開発した日本語に特化した大規模言語モデル「tsuzumi」は、日本の文化的背景やビジネス慣習を理解する上での重要なアプローチです。これは、単に汎用的なモデルを追随するのではなく、自国の強みと課題に合わせたAIを開発するという、日本ならではの「質」と「ローカライズ」を重視した戦略と言えるでしょう。

しかし、この慎重な姿勢は、生成AIの活用において、企業間の活用率に大きな差を生んでいます。総務省の調査が示すように、中国の70%超が「積極的に活用する方針」であるのに対し、日本は15%程度に留まっています。この背景には、データセキュリティへの懸念や、新しい技術への導入障壁が挙げられます

2.今、私たちが目指すべきこと

私たちは、中国の「量とスピード」、そして日本の「質と信頼性」、両方の強みを理解し、ハイブリッドなアプローチを取るべきです。

実験を恐れないマインドセット:

中国のASI-ARCHが示すように、まずは試してみること、失敗を恐れずに多くの実験を繰り返すことが、新たな発見につながります。私たちも既存の枠にとらわれず、新しいツールやアルゴリズムを積極的に試していくべきです。チーム内でのAI技術のPoC(概念実証)やプロトタイピングをもっと活発に行いましょう。

特定の領域における深掘り:

日本のAI開発が証明するように、私たちは自社のビジネスドメインにおける課題を深く理解し、そこに最適化された質の高いAIソリューションを追求していくことができます。汎用的な技術を追いかけるだけでなく、私たちのビジネスにとって真に価値あるAIを創り出すことに注力しましょう。

セキュリティと信頼性を最優先に:

日本の強みである信頼性は、AI時代においてますます重要になります。技術の導入にあたっては、データのプライバシー保護やセキュリティを徹底し、ユーザーや顧客が安心して使えるサービスを開発する責任があります。

私たちは単に技術のトレンドを追うだけでなく、それを自らの手で応用し、ビジネス価値へと転換していくプロフェッショナル集団であるべきです。中国のダイナミズムから学び、日本の誠実さで信頼を築きながら、この競争の波を乗り越えていきましょう。

If this story triggered your interest, why don't you come and visit us?
AIエンジニア│AI×キャリア自由に選べる開発環境
株式会社テックエデュケイションカンパニー's job postings
3 Likes
3 Likes

Weekly ranking

Show other rankings
Like 横山 菜津子's Story
Let 横山 菜津子's company know you're interested in their content