「僕の人生の中で、最も嬉しかった瞬間、『この世に生まれてきてよかった』という感覚の続きを、もう一度TAIANで味わいたいのかもしれない」。そう語るのは、TAIANで婚礼領域の営業・コンサルタントを担う野村さんです。TAIANの原点でもあり、コア事業でもある婚礼事業の魅力を語っていただきました。
PROFILE
野村さん
新卒で博報堂に入社後、結婚式の配信事業の立ち上げを行う。その後同じ婚礼事業のスタートアップである縁でTAIANに出会い入社。現在は婚礼事業に関連するプロダクトの営業などを行う。趣味はお笑い鑑賞、サッカー観戦、筋トレ。最近自身の結婚式を挙げた。
自己効力感と幸福感に包まれた原体験。
結婚式に関わる仕事に魅せられて
──野村さんは、TAIANに入社する前から婚礼領域のビジネスに携わっていらっしゃいました。中でも忘れられない瞬間はありますか?
僕は大学生の時からメディア業界を志しており、新卒で博報堂に入社しました。プランナーや営業を経験した博報堂を飛び出し、縁あってとあるブライダル企業の中に事業部を立ち上げる形で結婚式のライブ配信事業を立ち上げました。
忘れられない瞬間は、そこで請け負った結婚式の配信でのことです。当時はコロナ禍で、なかなか多くの人数を招いて結婚式を行うことができない状況でした。そんな中、横浜で行われた挙式の配信が今でも心に残っています。
新郎新婦が涙が出るほど喜んでくれたこと、会場にいる人と、さまざまな場所で挙式を見守る人が同じように喜んでくれたことが、僕の心も大きく揺さぶったのです。自分の仕事が誰かの幸せな思い出を作ったという自己効力感と幸福感が自分の中から湧き上がってきて「この世に生まれてきてよかったな」と感じました。
──そういった経験があって、その後TAIANにジョインを?
前職の結婚式の配信事業は、さまざまな理由があってたたむことになりました。しかし心の中には、あの時の幸せな感覚がまだ残っていました。そんな時、以前から面識があった代表の村田さんと再び出会い、意気投合したのです。
村田さん、CTOの淀川さん、COOの米倉さんの熱量と実力に惚れ込み、仲間入りすることを決めました。
まだ婚礼に関わる仕事を続けたい。この人たちとだったら、もう一度あの夢の続きを見れるかもしれない。そう思わせてくれたのがTAIANの経営陣でした。また、TAIANがテクノロジーで婚礼業界を変えていこうとしている点にも深く共感しました。婚礼業界に携わってきて、これからの時代に合った形に結婚式をアップデートすれば、もっと多くの人にその魅力が伝えられると考えていたからです。
──婚礼業界ならではの厳しさや難しさを感じたことはなかったのでしょうか。
もちろんあります。私が結婚式のライブ配信事業を行っていた際、ビジネスとしては、市場規模が小さいために資金調達のたびに苦労しました。また、人生に一度きりの瞬間に関わる事業であるため、失敗が許されない厳しさもありました。配信に不具合が出てしまった時には、一生に一度の瞬間を逃してしまったことをお詫びするために土下座をしたこともあります。どれだけ契約書で万一の不具合があることに同意してもらっていたとしても、その人の人生を左右する瞬間であるために失敗の重みも大きいのです。
TAIANはデジタル化ツールの提供ではなく、業界のDXを牽引する存在
──それでも、もう一度TAIANでこの業界にチャレンジしてみようと思ったのはなぜですか?
TAIANがやろうとしていることが、“デジタル化”ではなく、総合的な“デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)”だからです。これまでも、結婚式にまつわる便利なツールや、アナログな作業をデジタルで行えるようにするサービスはいくつかありました。しかし、さまざまなツールを導入すればするほどデータが分断されてしまい、式場経営に必要なデータ分析が行えない上、現場では情報入力そのものが負担になることもあり、なかなか生産性の向上までは寄与できていない印象です。
TAIANが目指すのは、婚礼業界のDXにより根本的な生産性を上げ、式場の本来の魅力であるプロのおもてなしや結婚式を挙げるカップルとの関わりの割合を増やして婚礼の満足度を上げること。そして、その体験の向上と本質的なデータ分析により式場の売上を伸ばしていくことです。僕が知る限り、外部のファイナンスを入れてこれだけ婚礼事業のDXに注力しているのはTAIANだけ。業界を変えることができるとしたら、TAIANの手にだけ、そのチケットが握られているのです。これにより、現在減少傾向にある結婚式の数を増やすこともできるかもしれません。その結果、副次的に結婚の数が増え、日本の少子化課題にも寄与できるかもしれない。僕はそういう未来を見てみたいと思いました。
マンパワーで高単価な体験を成立させるだけではない、多様な結婚式のあり方を生み出す
──TAIANにより、婚礼業界はどんな風に変わっていくと思いますか?
これまでの婚礼業界のビジネスモデルは、マンパワーをふんだんに使って結婚式という高単価な体験を成立させていくというものでした。しかし、これ以外の結婚式の形もありえるはずです。
消費者の考え方や所得が変化し、結婚式に何百万円以上かけることだけが正解だという常識は覆されようとしています。今の消費者のニーズに合った結婚式を提供するには、その形を多様化していかなければなりません。
TAIANのサービス群には、主に式場が結婚式などのお祝いに必要な作業を一元化してサポートする「Oiwaii(オイワイー)」というプロダクトがあります。これを式場が導入すると、カップルの来店を促すご案内から、打ち合わせやプランの提案、結婚式に関わる施行業務、カップルやゲストの顧客情報の管理をひとつのプロダクト上でできるようになります。これにより、プランナーの工数を削減してその式場らしい結婚式の演出をすることや、ある程度パッケージ化された安価な結婚式やパーティーを提供することができるようになります。
結婚式を行う式場は、他の業態に比べて営業利益が低いことが課題とされてきました。現在の式場の平均営業利益は10%を切るとも言われています。TAIANのプロダクトを使っていただくことで、利益率を高めていくことが可能になれば、プランナーの働き方が改善したり、給与が上がることなどが期待でき、業界そのもののあり方を変えていくことができます。
また、顧客のデータ分析を行うことで結婚式やパーティーを行った後もそのカップルやゲストとつながり続けることで、LTVを高めることができ、収益構造そのものを改善することも期待できます。
AIの積極活用により、人間にしかできないおもてなしに光をあてる
──TAIANのプロダクトは、AIの活用に積極的です。これにより、どのようなことが可能になるのでしょうか。
まず、さきほどお話ししたある程度パッケージ化された結婚式やパーティーの提供が簡単にできるようになります。アプリ上でAIによるレコメンドなどをスムーズに行うことで、プランナーが営業せずともそのカップルが自律的に結婚式やパーティーを組み立てていくことができるようになります。これにより、プランナーの事務負担が減り、労働集約型の働き方を変えることができます。
カップルにとっては、情報を得るのが簡単になります。ほとんどのカップルが結婚式を行うのは初めてです。一方、式場は毎日結婚式を遂行しているため、そこには情報の非対称性があります。カップルにとっては、わからないことばかりで不安だったり、それをプランナーに質問しなければいけない煩わしさがあります。TAIANのOiwaiiの機能の中には、AIを活用して問い合わせ対応をするものがあり、ある程度の質問であればいつでもAIが答えることが可能になりました。これにより、いつでも必要な情報が入手でき結婚式準備の満足度が上がったり、さまざまなライフスタイルに合った結婚式を演出できるようになりました。
──TAIANのプロダクトにより、結婚式やパーティーの形がより多様になっていく姿や、業界が改善されていくイメージがつかめてきました。一方で、人間にしかできない仕事をどう考えていますか?
婚礼事業における人間にしかできない仕事は、人生に寄り添った引き出す力と当日の接客だと思います。そのカップルらしさを引き出し、それに寄り添った結婚式にするのは人間にしかできないことです。また、細やかな気遣いや美しい所作による配膳やスムーズな進行などは、人間にしかできない小さな仕事の積み重ねで、この集積がサービスの品質につながっているのだと思います。
TAIANのサービスは、このような人間にしかできない仕事にプランナーの力を注いでいただくためのもので、この領域をDXしたり、デジタルに置き換えようとするものではありません。
かけがえのない瞬間をたくさんこの世界に生み出したい
──野村さんは、TAIANの仕事を通してどんなことを実現したいですか?
これは僕自身の体験ですが、結婚式を挙げてみて感動した瞬間のどれもが、誰かと心が触れ合った時でした。結婚式のプランニングを通してパートナーが考えていることを深く知ることができたり、両親の結婚式の時の話を聞いてあらたな面を発見したり、なかなか会えない親族と距離が縮まったり。TAIANの仕事を通して、そんなかけがえのない瞬間をたくさんこの世界に生み出したいです。
──婚礼事業に関わる仕事のやりがいをどのように感じていますか?
僕は、婚礼事業に携わる前は広告の仕事をしていました。当時の自分を成長させてくれた仕事ではありましたが、それで誰かの人生を変えられた感覚はありませんでした。婚礼事業は、誰かの大切な1日に関われる上、自分の仕事が誰かの人生を良くすることができる数少ない事業のひとつです。さらにその業界に課題があって、それを自分たちの手で解決することができるのは今だけかもしれません。
実は先日、結婚式を挙げてきました。そこで感じたのは結婚式が「愛が可視化される場」であるということです。自分の大切な人たちに祝福される体験は、「自分は生まれてきてよかった」「この人生でよかった」と自分自身を肯定するかけがえのない瞬間でした。この大切な体験を一部の人だけが行うものにせず、より多くの人に持続可能な形で届けていきたいと心から感じています。
未来のことを考えてみます。結婚式がある未来と、結婚式がなくなってしまった未来、どっちの方がいいだろう。僕は、その時の消費者の求める形に合わせた結婚式が残っている未来が素敵だなと思います。その未来を実現するため、TAIANで働いています。
写真・文:出川 光(ノンブル社)
デザイン:Urara Hashimoto(TAIAN)