インクルーシブデザインスタジオCULUMUでのキャリアの広げ方
建築の世界からデジタルへ。あるいはデジタルから建築へ。
そのどちらにも振り切らず、両方を行き来しながら課題を解こうとする人は、決して多くありません。
CULUMUでデザイナー / アーキテクトとして働く桑原さんは、その領域を横断しながら実践を重ねている一人です。大学で建築を学び、内装設計の現場、上海での8年間、コンサルティングファームを経て、現在はCULUMUで建築とデジタルを横断し、空間体験、UX、リサーチ、事業開発をつなぐ実践に取り組んでいます。
建築とデジタルの両方に関心を持ち、領域を横断して働きたい方に向けたインタビューです。
桑原 寿記/CULUMU Lead Designer / Architect、当事者発想ラボ Lead Researcher / Architect
慶應義塾大学大学院修了後、日中で約10年空間デザイナーとして活動。中国大手IT企業の実店舗でOMO体験設計を手がけ、受賞歴多数。中国で都市のデジタル化に惹かれ、空間からデジタル・コンサル業界へ転身。中国現地IT企業のデザイン部門責任者、コンサルティングファームCDO、AIベンチャー執行役員を経て、現在はCULUMU所属。建築とデジタルを横断するUXデザインを通じて、当事者や多様な関係者とともに、包摂的な環境づくりに取り組む。建築領域とデジタルを往来するUXデザインを軸に、様々な立場の当事者と手を取り合い、誰もが包含される場や環境の社会実装を追求している。
2010年 SD Review SD賞
2017年 上海室内設計協会 奨励賞/広州デザインウィーク 上海市40歳以下40⼈デザイナー⼊選
2019年 CCFAクリエイティブリテール大賞
「設計だけ」では物足りなかった、上海での8年
— まず、桑原さんのキャリアの出発点を教えてください。
大学で建築を学び、新卒で入ったのは内装の設計施工をやっている会社でした。建築のキャリアというと、ゼネコン、デベロッパー、有名な設計事務所に行くのが王道でした。内装の会社を選んだ理由としては、店舗デザインにおけるブランディングやマーケティング寄りの考え方を、自然に身につけたいと考えたことも大きかったです。
— その後、上海に行かれたんですよね。
東京で2年半ほど働いた後、上海に異動になり、結局8年ほど滞在しました。最初は設計をやっていたのですが、中国だと「設計だけ」で済まない場面も多くて、ブランディングに近い仕事を任されることもありました。最後は中国現地の、建築 × IT を掲げる会社に転職して、そこでデジタル領域に少し踏み込んだ形です。
2017年 上海室内設計協会奨励賞の表彰式の様子
— その時点で、デジタル領域に軸足を移していきたいという感覚があったのでしょうか。
「興味がある」という程度でしたね。中国では店舗の設計でも無人コンビニのようなテクノロジーを前提にする場面があり、そこで初めて「UX」という概念に触れました。本格的に取り組んでいたわけではありませんが、原体験はそこにあると思います。
中国滞在時代にデザインした、空間とデジタル技術を融合した次世代コンビニエンスストア
コンサルへ。「システムを作りたい」わけではなかった
— 帰国後はコンサルティングファームに入られていますね。
デジタル領域にもう少し振り切ろうと思って入りました。職務としては、AIやデジタルを実装する前段階の上流工程——新規事業開発や、企業のデータ活用戦略といったテーマを担当していました。
— 建築出身からデジタル領域のコンサルへというのは、相当ギャップがあったのではないですか。
正直、ほぼゼロからのスタートでした。それまでは「デジタルに興味があります」と言える程度のレベルです。最初に在籍していたのは7名ほどの規模の会社で、丁寧に教えてもらえる環境でもなかった。自分で学びながら、周囲に相談できる機会を探し、少しずつ対応範囲を広げていった、という実感に近いです。
— その経験を経て、いま改めて思うことは。
自分はシステム開発そのものをやりたくて仕方ない、というタイプではないんです。「何かを解決したい」と思っていて、その手段がたまたまデジタルだった、というのが正確な表現だと思います。だから建築でもデジタルでも、課題に応じて、建築やデジタルに手段を限定せず考えたい。むしろ両方を使えた方が面白い、という感覚に戻ってきました。
CULUMUを選んだ理由
— CULUMUにはどのような経緯で入社されたのでしょうか。
ビズリーチ経由で声をかけていただいたのがきっかけです。求人票のどこかに「建築」というワードが入っていた気がしていて、「面白そうかもしれない」と感じて話を聞きに行きました。
— 田中さん(代表)とのランチが最初だったと伺いました。
そうなんです、いきなりランチでした。(笑) 田中さん自身が建築学科の出身ということもあって、話していて「建築をやりたい」と素直に言える空気がありました。一般的なデジタル系企業の面接であれば、その一言は飲み込んでいたと思います。
— すでに役職もある立場で、新しい場所に飛び込むのは勇気のいる決断だったのではないでしょうか。
それでも来たのは、「建築をちゃんとやりたい」という意思に対して、田中さんがフラットに向き合ってくれたからだと思います。実際、入社直後から建築案件だけを担当する状況ではありませんでしたが、建築領域の可能性を少しずつ形にしていく前提は共有されていました。ただそれは最初から認識していたことで、むしろ「これから創っていく」というところに賭けた感覚です。
現在の仕事と、これからやりたいこと
— 現在はどのような案件に関わっていますか。
最近は、大手クライアントの案件を中心に、PM、要件定義、UXデザイン、ビジネスデザインなど、幅広い領域を担当しています。建築関連のプロジェクトも徐々に増えてきていて、デベロッパーや設計組織の空間やオフライン体験のインクルーシブデザインのガイドラインを設計したり、日建設計と建築 × デジタルの新しいテーマについて研究、議論したりしています。最近は、ニューロダイバーシティの観点から、多様な認知特性を前提にした空間や情報環境の設計についてご相談いただく機会も増えています。
日建設計・LIFULL・東京大学のインクルーシブデザイン共同研究チーム
— 「建築 × デジタル」がきれいに掛け合わさった案件はありますか。
正直なところ、完成形として「これだ」と言い切れる事例はまだ多くありませんが、空間体験、UX、リサーチをつなぐ案件は少しずつ増えています。
もし建築領域だけを担当する働き方を望んでいたら、おそらくCULUMUでの役割は十分に活かしきれなかったと思います。リサーチも企画も、デジタル側の議論にも入れる、その上で建築の解像度が高い、という掛け算だからこそ機能している感覚があります。
— 建築の知識が最も効いた瞬間は。
オフライン体験のガイドラインを設計した案件ですね。インクルーシブデザインの議論は、UXデザインと建築の発想が地続きなんです。動線設計や行動の話は、建築を学び、空間設計に関わってきた人たちが長く向き合ってきたテーマそのもの。そこにデジタルの感覚が重なると、空間とデジタルの両面から、独自の解決策を検討できる手応えがあります。
こんな方に来てほしい
日建設計・LIFULLとの共同イベント『Inculusive bar』にて講演する桑原
— どのような方と一緒に働きたいですか。
「形をつくる」よりも「価値から考える」のが好きな方だと思います。建築出身でも、図面を描き続けたいというより、その手前の企画やリサーチに面白みを感じる方。逆にデザイナー出身でも、画面の中だけにとどまらず、人の行動や空間にまで関心が広がっている方。
広告代理店などで空間ディレクションに携わっていて、短期的な商業成果だけでなく、利用者や社会への影響まで考えたいと感じている方も、CULUMUは合うのではないかと思います。
— 逆に、合わない方は。
CULUMUでは、個人の作家性や成果だけを前面に出して進める仕事よりも、リサーチや対話を通じて、関係者と一緒に問いを更新していく仕事が多くあります。そのため、自分の専門性や主張を大切にしつつも、利用者や当事者の経験、社会的な文脈を踏まえて考えを変えていくことに抵抗が大きい方は、少しギャップを感じるかもしれません。
— 最後に、建築出身でデジタルにも関心がある読者の方へメッセージをお願いします。
正直に申し上げると、入社直後から建築 × デジタル領域の案件だけを担当できるわけではありません。案件はいままさに育てているところです。
ただ、「建築をやりたい」と素直に口に出せて、それに対して一緒に考えてくれる場所は、思っているより少ないのではないかと感じています。両方を行き来したい、その上で何かを解きたい、という気持ちがある方には、ちょうどよい場所だと思います。オンライン・対面を含め、参加しやすい形式でカジュアルにお話しできると嬉しいです。必要な配慮があれば事前にご相談ください。
CULUMUでは、建築・デザイン・デジタルを横断するメンバーを募集しています。ご興味のある方はカジュアル面談では、オンライン・対面など参加しやすい形式をご相談いただけます。必要な配慮がある場合も、申込時にお知らせください。
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