― コーポレートエンジニアとして広がっていった、小山さんのキャリアのかたち
「やりたいことが分からない」
そんな不安を抱えたまま働き始めてもいい。 そう話してくれたのはシステム事業部の小山広夢さん。 気づけば、自分でも想像していなかった領域に足を踏み入れていたり、
いつの間にか“しっくりくる役割”に出会っていたりする。 小山さんは、まさにそのプロセスを歩いてきた一人です。 Web制作 → アプリ開発 → プロダクトオーナー → セキュリティと、 役割や領域は変わり続けながらも、
「目の前の仕事に挑戦してみる」ことが、キャリアの軸をつくってきました。 やりたいことが決まっていなくても、成長の中で“やりたい”が育っていく――。
その実感の軌跡を紐解きます。
1. はじまりは「決まったことをこなす仕事」だった
Q.前職ではどんな働き方をされていたのですか?
A.エンジニアとして客先常駐する SES で、プログラミングやテスト、設計書作成など、決められた役割を担当していました。
若手として勉強になる環境でしたが、「決められたことをこなす仕事」という感覚が強かったです。
転職活動をしていたときも、正直「これをやりたい!」があったわけではありません。
条件や働き方、面接で話した人の雰囲気を総合して、今の会社を選んだ形です。
Q.やりたいことが明確にあったわけではなかった、と
A.はい。ただ、面接で自分の趣味のプログラミングの話を興味深く聞いてくれたり、自然体で話せる雰囲気だったり、「この人たちと働いてみたい」という直感はありました。
それが大きかったと思います。
2. 目の前の仕事に向き合う中で、役割が広がっていった
― ユーザーと開発をつなぐプロダクトオーナーへ
Q.入社後のキャリアについて教えてください
A.入社後は、バックオフィスやクライアントが使う業務アプリの改善を担当。
「どうすれば便利か?」をヒアリングし、開発者に伝え、仕上がったものをフィードバックしながら磨く――。
ユーザーと開発者のあいだに立つ“プロダクトオーナー”という役割は、最初から意図して選んだものではありませんでした。
Q.プロダクトオーナーにはどのような形で?
A.前任者の方が異動するタイミングで、「やってみる?」と任せてもらったのがきっかけでした。
やってみたら、視座が上がるというか、
「このアプリをどう育てるか」
「将来どう会社に根付かせたいか」
といった、より広い視点で物事を考えるようになりました。
最初は戸惑いもありましたが、挑戦してみたことで“意外と楽しいかもしれない”が見えてきた感覚があります。
3. 熱くなれた瞬間
― AI機能導入で初めて感じた“仕事のやりがい”
Q.やりがいを感じた瞬間を教えてください
印象的なのは、今年の AI 機能導入プロジェクト。
3ヶ月かけて準備して、自分でも検証して、開発者と連携しながらリリースまで持っていったんですが……最初の反応は悪くて(笑)。 結構ショックでした。
でも、その“不評”が逆に火をつけました。
「じゃあどうすればもっと使えるのか?」とユーザーの声を聞いて、何度もブラッシュアップして、最終的には納得いく形でリリースできました。
Q.その過程が、小山さんにとってのターニングポイントだった?
はい。仕事で“熱くなる”感覚って実はあまりなかったんですが、
この時は責任感もあって、「最後までやり切りたい」が自然に出てきて。
初めて「これはやりがいだな」と思えました。
4. 「誰かの負担を軽くしたい」
― 全社マスタプロジェクトで見えた、コーポレートエンジニアとしての軸
Q.今後行っていく業務について教えてください
続いて取り組んだのが、スプレッドシートで行われていた社内業務をアプリ化する全社マスタプロジェクト。
人事・経理・総務など複数部署へヒアリングし、「今どんな流れで作業が行われているか」「どこが負担になっているか」を深く理解しながら進めるプロジェクトでした。
実際に現場の方の大変さに触れて、「技術でこの負担を減らしてあげたい」
という気持ちが自然に強くなりました。
開発者とも「技術的にどう実現するか」を一緒に悩んで、ゼロから形にしていくプロセスが本当に楽しかったです。
ここで、「身近な人の困りごとを解決する」ことが、自分の中でしっくりくると気づきました。
結果として、“コーポレートエンジニア”という方向性が見えてきたんだと思います。
5. やりたいことは、後から見えてくる
― 自分のキャリアに気づけた理由
Q. 今のキャリアの軸が見えてきた理由は何だと思いますか?
A. 大きかったのは、「やってみる?」と背中を押してくれる環境があったこと。
しんどい時も上司が状況を見てタスクを整理してくれたり、
仲間が「最近どう?」と声をかけてくれたり。
自分の頑張りを見てくれている人が多いのは、本当に支えになっていました。
そしてもう一つは、
“やりたい”は、やった後に見えてくることもあるということです。
最初から明確な軸がなくても、目の前の仕事に向き合うことで、
「これ意外と好きかも」
「ここなら力になれるかもしれない」 という感覚が育っていくんだと思います。
6. これから目指したい姿
― 六角形のパラメータを、少しずつ丸くしていく
最初は Web 制作、そのあと開発、プロダクトオーナー、そしてセキュリティと、役割がどんどん変わってきました。でも、その全部に共通しているのが、
「身近な人の困りごとを、技術で解決すること」。
だから今後は、コーポレートエンジニアとして
“六角形のスキルセット”を少しずつ丸くしていきたいです。
セキュリティも、アプリ改善も、運用設計も、広く理解しながら力になれる存在になりたいと思っています。
― やりたいことがなくてもいい。動けば、その先に見えてくる
小山さんのキャリアは、
「明確なやりたいこと」から始まったわけではありません。
でも、“やってみる”を積み重ねる中で、
視座が上がり、責任が生まれ、喜びがあり、
気づけば「しっくりくる役割」にたどり着いていました。
やりたいことがなくてもいい。
一歩踏み出した人にしか見えない景色がある。
そんなメッセージが、小山さんの話から強く伝わります。