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自律型組織を作るメリットは? 自律型人材が育つマネジメント変革のヒント

Photo by Nathan Dumlao on Unsplash

多くの企業において新規事業の創出が重要な経営テーマとなっている現在、「自律型組織」「自律型社員」というキーワードをよく聞くようになりました。しかし、組織や人材が「自律型」になることで、実際にどのようなメリットが得られるのかをご存知の方は多くないのではないでしょうか。
この記事では、さまざまな組織のマネジメント支援を行ってきたコンサルタントが、顧客先の現場で見聞きしたことをもとに「自律型組織とは何か」や「そのメリット」について詳しく解説します。

自律型組織と従来型組織のちがい

自律型組織とは、組織を構成している個々のメンバーが自律して自身の業務を遂行できる、または意思決定できる組織のことです。自律型組織では、自社のビジョン実現に向けて業務を遂行するために共通の判断基準を明確にするなどして、各現場にて最適な判断で意思決定し、行動に移すことができます。

一方、事業計画の遂行を目的とする従来型組織では、上層部がすでに決定した事項をもとに業務を進行するため、組織内の意思決定から行動までが早いという特徴があります。しかし、そのようなトップダウン型のあり方は、現在の事業環境において求められる組織の姿に適さなくなってきています。次章で詳しく見ていきましょう。

自律型組織への変革が必要な理由


一昔前までは多くの企業で管理を重視したヒエラルキー型の組織形態がとられていました。事業環境の変化はゆるやかで、短期計画の達成に全力を注ぐことが重要だったため、「事業計画遂行のための組織」の方が適していたのです。

しかし、現代は行く末が予測不可能な時代へと変わってきています。だからこそ、企業は自社が存在する社会的な価値や意義を定め、計画の変更なども含めて変化に適応しながら長期的なビジョンに向かってそれを実現することが必要です。そのため、状況に応じて各現場が柔軟に意思決定し業務遂行することができる、「自律型組織」への変革が求められているのです。

自律型組織の構築に向けた風土醸成に取り組む4つのメリット

自律型の組織に特徴的な組織風土として、「意見をぶつけあうことを恐れずにビジョンの実現に向けて是々非々で議論できる」「多様性を認め合い相互尊重を大切にする」などが挙げられます。自律型組織を構築するための第一歩として、まずはこのような組織風土の醸成に取り組むことで、以下のようなメリットを組織にもたらすことができます。

組織の自律性が向上する

業務遂行上、指示されたことをやりきることは大切です。しかし、指示だけをやっている、あるいは指示外のことはできない状態では、組織全体が受け身の体質になってしまいます。ビジョンの実現に向けて、個々が違いを生かして積極的に提案・行動することが推奨される組織風土を作ることで、社員は指示を待たずに自分の問題意識から行動できるようになります。それによって組織全体の自律性が向上していきます。

課題や問題をスピーディーに解決できる

たとえ個々人が問題意識を持っていても、それを言葉にしづらい組織風土の中に身を置いていると、どうしてもその問題意識を表出する機会は居酒屋トークになりがちです。限られた仲間に対して個人の不満や不安を共有し、周囲もそれに同調する愚痴大会は盛り上がりますが、問題の解決には結び付きません。また、人によっては、仲間の不平不満を耳にすることによって仕事へのモチベーションが下がり、組織に対する諦めが生じるというような結果につながってしまうかもしれません。

一方、組織の中で個人の問題意識を臆せず言葉にできるような環境があれば、個人の問題意識が全体に共有されます。そこから同じような想いを持った人とつながることができれば、チームとして解決に向けて動き出すきっかけにもなります。
つまり、個人の多様性が認められ、是々非々で議論をぶつけあうことが推奨される組織風土があれば、オープンな対話が促進され、組織の課題をスピーディーに解決することができるのです。

社員の働きがいが向上する

従来型の組織において指示通りの業務を全うしているうちは、会社に対する当事者意識はあまり生まれません。指示側(会社や上層部)に答えがあり、「指示する側の期待にどれだけ沿うことができたのか」が評価対象となるためです。

しかし、自分の問題意識に基づいて提起した問題を、自ら解決できる環境であれば、視野が広がり当事者意識を持って行動できるようになります。100点なのか70点なのかを人から評価されるのではなく、自分がその結果に満足できるかどうかが評価基準になるからです。自分のアクションが会社を動かすことにつながれば、「チャレンジして良かった」「自分の行動が誰かのためになってよかった」というような達成感や自己肯定感にもつながります。

ビジネススキルの向上につながる

問題解決を進める過程で、通常業務の中では知り得なかった考え方や情報に触れたり、他部門・他部署との折衝を行ったりすることを通して、視野の拡大や個人のスキルアップも望めます。

従来型の組織で誰かの指示に従って業務を遂行する、誰かが設定した課題を解決する、という仕事ばかりをしていると「How(どうやってやるか)」に目が行きがちになってしまいます。しかし、自身の問題意識からアクションを起こす際には、課題設定からすべて自分で行うため「Why(なぜやるのか)」が明確です。どのような状態を目指すのか、現状はどうなっているのか、なぜそうなっているのか……などの問いを繰り返して問題の要因を探ることが、論理的なアプローチで問題解決をするスキルのトレーニングになります。

自律型組織へと変革するために押さえるべきポイント

従来型の組織から自律型組織に変革していくには、上述したように組織風土を自律型に変えていく必要があります。その際に、押さえるべきポイントがいくつかあります。以下に詳しくみていきましょう。

経営層・マネジメント層が「事業環境におけるパラダイム・シフト」に気づく

自律型の組織風土とはどのようなものか、あらためてまとめると、「ビジョンの実現に向けて社員が自律的に発言し、行動することが正当に評価され、推奨される組織風土」です。

しかし現実には自律型の組織風土を醸成することは容易ではなく、「うちの社員は挑戦しない」「言われたことしかやらない」「熱量が低い」という経営者やマネジャー層の嘆きをよく耳にします。しかし自律型の組織風土への変革が進まない背後には、

  • アイデアを出しても受け入れてもらえない
  • 失敗すると責められる
  • 意見を出すとダメ出し・論破される
  • 改善を提案すると仕事が増える

といった現場社員の本音が隠れていることがあります。

そのため、自律型組織風土への変革を行うには、「事業環境において完全なるパラダイム・シフトが起きている」「従来型の組織は現在の事業環境に適さず、自律型の組織風土への変革を早急に進めることが自社にとっての死活問題である」という現状にまず経営陣やマネージャー層が気付くことが必要です。

自律型組織は自律型社員の「個の力」が作ると認識する

コンフリクトを恐れずオープンなコミュニケーションを良しとする自律的な組織風土が、自律型の人材(受け身で指示を待つのではなく、自らの問題意識をもとにアクションを起こせる人材)を育てていきます。

そして、ビジネススキルと自信を身につけ、コンフリクトを恐れずに議論したり、問題の根源について深く考えたりすることを習慣化した自律型人材が、事業環境の変化に対して現場からアクションを起こし、ビジョンの実現に向けて柔軟に変化していく自律型組織を作るのです。そのことを企業の上層部はしっかりと認識する必要があります。

その上で、上層部の意識変革のみにとどまらず、実際に現場からの提案や提言、現場の社員の挑戦を推奨し、それを事業に生かすことができるよう、組織形態や評価基準、社員教育など自律型組織風土の醸成につながる仕組みや仕掛けを作っていくことが求められるのです。

まとめ

この記事では、自律型組織を構築するには組織風土を自律型に変えていくことが重要であり、それによって下記のようなメリットが得られると述べてきました。

  • 組織の自律性が向上する
  • 社員の働きがいが向上する
  • ビジネススキルの向上につながる

リモートワークの普及で上司が部下の業務を直接見守ることが行われにくくなった現在、自律型組織や自律型人材の需要はさらに高まっています。
しかしながら、自社に適した「自律」のうながし方は企業によって異なります。各企業のミッションやビジョン、バリューに加えて、これまでどのような歩みを遂げてきたのかという歴史、また今後どのようになっていきたいのかという将来像までを加味して、成功事例の真似事ではないオリジナルの施策が必要です。

ソフィアでは多くの企業の現状調査から施策の立案・実施、アフターフォローまで、組織改革に関するプロセスを一貫してサポートしてきました。自社が自律型組織を目指すにはどんな施策が適しているのか、お悩みの際はぜひソフィアまでご相談ください。

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