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羊革アパレルブランド「Waste not, Want not」に込められた羊への思い 後編

羊革のアパレルブランド「Waste not, Want not」の誕生秘話。後半は引き続き羊SUNRISEの関澤社長に、羊素材の可能性と昨年から大きな話題となっているサステナビリティについてお話を伺いました。

コアなファン向けに少量生産でスタート

-Waste not, Want notはどのような商品ラインナップでスタートしますか

まずはバックパックとトートバック、あとは僕が今着ているTシャツですね。このTシャツに関しては、バックプリントがないバージョンを去年の11月に羊SUNRISEの周年のイベントで配布したらとても好評でした。

バッグに関しては原材料になる国産の羊革が年間で100枚程度しか集められないので、ラインナップの種類とか製造量自体も限界があります。やはり最初は羊SUNRISEのファンの皆さんや、理念に共感してくれる方向けの提供になりますね。高価格な製品になるので、そういった方を対象にしないとなかなか価値を感じてもらいにくい。

素材として価値を生むことで生産者の新たな収入源に

-国産の羊革の調達はどのように行うんですか

羊飼いさんがこれまで捨ててしまっていた羊革を、冷凍して指定のなめし屋さんに送ってくれるだけでいい仕組みにしています。羊飼いさんに手間やコストがかかる仕組みにしてしまうと、協力してもらえなくなってしまうので。

現在の国内の羊の消費量とか商売としての厳しさが続くようだと、日本の羊飼いさんがいなくなってしまう危機感を抱いてます。僕たちが新たな収益源として羊革を仕入れることで羊飼いさんの助けになればと。

健康にもよく宗教上の制約もない羊素材

-羊には他にどんな可能性があるのでしょう

ウールって空気中の有害物質であるホルムアルデヒドを吸収する性質を持っているんですよ。ですので、大量のウールを集めて断熱材に使うことで、健康にいい家を作ることができるかもしれない。あとは家具にムートンをくっつけることで、空気清浄機としての役割を果たしてくれるのではというアイデアも浮かびます。

北欧では赤ちゃんが生まれた時にムートンを送る習慣がある国があります。これはムートンの中に空気が多く含まれているため、寝返りを打った時に窒息する心配がないからなんです。さらに柔軟性に富んでいるため、床ずれを起こす心配がない。これは日本だと特に介護に活用できる性質だと思います。

骨も活用の可能性がある。有田焼の原料となる石はあと40年ほどで枯渇すると言われていて、代替原料をどうするかは大きな課題なんです。それで石の代わりに動物の骨を使うという案があるんですが、日本でよく消費される豚などの骨で作られた陶器だとムスリムの人々が使えない。ハラルに引っかかってしまいます。

しかし羊は宗教上の制限がないので、世界中の誰もが羊の骨で作ったお皿に料理をのっけて食べることができる。

羊の素材としての可能性は無限大です。ブルーオーシャンどころか海すらない状態といってもいいかもしれません(笑)

サステナビリティを体現する羊

-世界的には今リアル(本物の動物の皮)を使用しない流れになりつつあります

その点に関しては羊という生き物は批判対象にならないと考えています。羊は1万年以上前から人間が家畜として品種改良を進める中で、人間なしでは生きられない生き物になってしまった。

人間なしでは生きられない生き物である以上、人間が全てを無駄なく活用させていただくのはある意味責任であるともいえます。

それも革を取るためだけに殺しているのではなく、食肉、ウール、他にもさっき述べたように全て捨てることなく丸ごと活用できる動物です。今批判されているのは毛皮を取るために殺すことだと思うので、羊に関しては当てはまりません。

昨年の後半からサステナビリティ(環境問題や社会問題の側面からこの世界を持続可能なものにする考え方)という言葉がすごく世間で言われるようになりました。私も「羊肉のサステナビリティって何?」って問われた時に、そんなものあるのかなと最初は疑問でした。でも、アパレル事業の展開について考えていくうちに、羊という生き物は存在自体がサステナビリティを体現していると確信しています。

羊を愛し、羊という生き物を知り、羊飼いさんの幸せを願う我々だからこそできるのが「Waste not, Want not」なんです。これからも羊の生き物としての素晴らしさを、日本の皆さんに知っていただく活動を続けていきます。

前編はこちら

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