連載「安武社長、本音聞いてもいいですか?」第8弾は、「若手はとにかく人に会え」と言い続ける理由に迫ります。なぜ安武さんは、人と会うことをそこまで重視するのか。その背景にある自身の経験や、人生を変えた出会いのエピソードを紐解きながら、成長する若手に共通する行動や思考について語ります。人に会うことの本当の価値、そしてこれからの時代に求められるコンサルタント像について話を伺いました。
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ー 安武さんはインタビュー時にもよく「若手はどんどん人に会え」と言いますが、その理由を教えてください。
僕自身はそんなに社交的でもないというか、積極的にどんどん話しかけにいくタイプの人間ではないです。ビジネス交流会に行っても、自分から輪の中心に入っていくというよりは、どちらかというと端っこでみんなの様子を眺めているようなタイプです。
ただ、それでも振り返ってみると、自分の中で何かが大きく変わったタイミングというのは、必ずと言っていいほど誰かと接点を持ったときなんですよね。誰かと会って話して、その会話がきっかけになって、何かに繋がっていく。そういう経験が積み重なってきた実感があります。
もちろん、毎日毎日そういう転機のような出来事が起きるわけではないです。ただ、「この人と会ってよかった」「この話がきっかけで視野が広がった」と思えるような接点の体験は、振り返るとかなり多いと思っていて。だからこそ、そういう機会を意識的に増やしていくことが大事だと感じています。
今はYouTubeやSNSなどでいくらでも情報に触れることができる時代ですし、わざわざ人に会わなくても知識だけなら得られる環境は整っています。ただ、実際に人と会って話すのと、そうした媒体で情報を受け取るのとでは、やっぱり情報の密度が全然違うんですよね。自分の中に入ってくる深さも違いますし、その後の行動に繋がるかどうかも大きく変わってくると思っています。
この考え方は、起業してからより強くなりました。いろんな人に会うようになって、「あのときもっといろんな人と話しておけばよかった」と思う場面も増えてきて。だからこそ、若いうちから意識的に人と会うことが大事だと、今は強く感じています。
ー これまでのキャリアで、転機となった出会いや経験についてお聞かせください。
最初は大学時代ですね。もともと弁護士を目指して司法試験の勉強をしていたので、就職活動についてはあまり考えていませんでした。ただ、周りが就活を始めて、いろんな話を聞くようになったときに、起業を考えている友人がいたんです。興味が湧いて話を聞いているうちに、その友人経由で実際に起業している先輩を紹介してもらいました。その人と直接話をする中で、「こういう道もあるんだ」と初めて気づくことができて。それまで自分の中にはなかった選択肢が見えた瞬間でした。そこから、自分でもやれることがあるんじゃないかと思って、起業について勉強し始めました。あの出会いは、自分の進路を大きく変えた転機だったと思います。
もう一つは、起業してからですね。いろんな人と会っていく中で、メンターになってくれる人が現れました。その方がいろんな人を紹介してくれたり、ビジネスの相談に乗ってくれたりして、壁打ちの相手になってくれたんです。そのやり取りの中から、新しい事業のアイデアが生まれていったり、自分一人では考えつかなかった視点を得ることができました。
最近でも、お客様や社員、グループ会社のメンバーと話していると、「これもできるんじゃないか」「こういう展開もあるんじゃないか」といった気づきが増えてきています。オンラインのミーティングだと、どうしても表面的な話で終わってしまうことが多いですが、実際に食事をしながらざっくばらんに話すことで、より深い話ができて、新しい発想が生まれることが多いと感じています。
ー 若手が人に会うとき、何を意識すべきでしょうか?
一番大事なのは、やはり目的意識だと思います。ただ何となく話すだけだと、あまり意味がないですし、自分の中に残るものも少ないです。自分なりに仮説を持って、「こういうことを学びたい」「こういうことができるんじゃないか」といった考えを整理した上で会うことが重要です。
数については、正直そんなに多くなくていいと思っています。とにかくたくさん会えばいいというわけではなくて、圧倒的に質のほうが大事です。誰と会うのか、何のために会うのか、会って何を得たいのか、どういう状態になりたいのか。そのあたりを明確にしておくことで、同じ時間でも得られるものは大きく変わってきます。
一方で、目的意識を持ちすぎると逆効果になることもあります。例えば営業色が強く出すぎてしまうと、売り込みに来ているなと相手に感じさせてしまうこともある。なので、あくまで自然な流れの中で話を引き出していくことや、相手との関係性を大事にすることも必要です。そのあたりは、自分なりに試行錯誤しながら身につけていく部分だと思います。
ー コンサルタントにとって、人に会う力はなぜ重要ですか?
本来、営業とコンサルってかなり近いものだと思っています。「この人から買いたい」と思える営業の特徴ってあるじゃないですか。それと同じで、コンサルも人に信頼されることが本質的に重要です。もちろん、コンサルとして頭の回転が速いとか、論理的に考えられるとか、そういう能力も大事です。ただ、それだけではなくて、人の懐に入り込めるかどうか、一緒に仕事をしたいと思ってもらえるかどうかが非常に大きい。そういうことができる人は意外と少ないので、それができるだけでかなり価値があるし、重宝される存在になると思います。
ー 逆に、人に会わない人はどうなりますか?
かなり厳しいと思いますね。コンサルとしての存在意義が問われると思います。今はAIの時代で、コンサルもエンジニアの仕事もAIでできてしまう部分がどんどん増えています。その中で、人と会わずに仕事をしていると、「それってAIでできるよね」という話になってしまう可能性がある。
これからは、人と直接会って信頼関係を築くか、もしくはAIを使いこなして一人で価値を出すか、そのどちらかに寄っていくと思います。
ただ、そのクリエイティブな発想や新しいアイデアも、多くの場合は人との接点から生まれるものなので、やはり人に会うことは重要だと思います。
ー 若手が今日からできること、メッセージをお願いします。
まずは興味関心や問題意識を持つことが大事だと思います。
人に会うこと自体はあくまで手段なので、何のために会うのかという目的を持つことが重要です。日々の仕事の中でも、「なんでこうなんだろう」「こうしたらどうなるんだろう」と考え続けること。その積み重ねによって興味が生まれてきます。そうすると、「この人に聞いてみたい」「この分野に詳しい人に会ってみたい」と自然に思えるようになって、人に会う行動に繋がっていく。そういうサイクルが回り始めると、仕事の質も上がりますし、プライベートの時間の使い方も変わってくると思います。知的好奇心を持ち続けること、そして問題意識を持ち続けること。それが結果的に人との出会いにも繋がっていくし、自分自身の成長にも繋がっていくと思います。