はじめに
Coding Agent を使って Planモードで認識合わせをした上で実装を任せたのに、出来上がったコードを見ると意図と違う仮定で書かれている、ということが結構ありました。確認して直しているうちに、自分で書くのと大して変わらないんじゃないかと感じることもあります。皆さんもありませんか?
選択肢を提示してくれるのはありがたいのですが、トレードオフも一緒に教えてほしいと思うことがよくありました。それに、回答が長すぎて読むのを途中で諦めたくなることも少なくなかったです。
林コメント
自分も同じ経験があります。Planモードでは、まず自分がやりたいことをざっくり書いて Claude に計画を立ててもらうのですが、出てきた計画を読むと、意図しないアプローチが採用されていることがありました。指摘して書き直してもらっても、また別の方向にズレて、また書き直し……を繰り返すうちに、結局自分でかなり詳細な指示を書くことになり、「最初から自分で書いたほうが早かったのでは?」と感じることがありました。しかも修正のたびに長文の計画が出力されるので、その待ち時間も地味にストレスでした。
今振り返ると、自分の想定していた実装計画が曖昧だったので、Claude のアウトプットがそうなってしまうのも無理はなかったと思います。
/grill-me について
そんな中で SNS で話題になっていたのが、TypeScript 界隈で有名な Matt Pocock 氏による /grill-me という skill です。
中身を見ると驚くほど短いです。
Interview me relentlessly about every aspect of this plan until we reach a shared understanding. Walk down each branch of the design tree, resolving dependencies between decisions one-by-one. For each question, provide your recommended answer.
Ask the questions one at a time.
If a question can be answered by exploring the codebase, explore the codebase instead.
— mattpocock/skills (MIT License)
意訳すると以下のような内容です。
この plan のあらゆる側面について、共通の理解に到達するまで容赦なくインタビューしてください。設計の決定木を一つひとつ降りていき、決定間の依存関係を解いていってください。質問ごとに、推奨する回答も併せて示してください。
質問は一度に一つだけしてください。
codebase を調べれば答えが出る質問なら、調べてください。
これだけです。実体はこの数行のプロンプトであり、これを 1 回かけるだけで感触ははっきり違いました。
/grill-me の導入は、npx skills@latest add mattpocock/skills のようなコマンド一つで vercel-labs/skills CLI が OpenCode, Claude Code, Codex など主要ハーネスに自動で配置してくれます。ただ、最近は supply chain attack の事例も増えているので、npx skills@<バージョン> add ... のようにバージョンを指定するのも安心です。
林コメント
自分が /grill-me を知ったのは、社内の Slack やチームの定例で話題になっていたのがきっかけでした。とりあえずインストールして使ってみていたところ、すぐに良さを感じていたので、今回のペアブログのテーマとして /grill-me を提案いただいたとき、自分も実感を持って書けるテーマだと思いました。
初めてこのプロンプトを見たときは、たったこれだけ? と驚きました。導入もコマンド一つで済むので、「ちょっと試してみるか」のハードルがとても低いのも良い点だと思います。
実際の体験
実際に /grill-me を使うとこんな雰囲気です。
このフォーマットで質問が次々と来ます。途中で「ああ、自分はこれを暗黙に (A) のつもりで考えていた」と気付かされる場面が何度かありました。明示していなかっただけで、自分の中ですら詰めていなかった選択肢を、エージェントが先回りで掘ってくる感覚です。
ナイーブに「実装は難しくないだろう」と思っていた箇所も、grill 中の質問で初めて詰めるべき論点が見えてくることがあります。
普段のエージェントとの対話でも、向こうから選択肢が提示されることはあります。ですが、たいていは「A か B か C か、選んでください」で終わってしまいます。選ぶ材料がない状態で選ばされる ので、こちらは適当に選ぶか、追加で「それぞれの違いは?」と聞き返すかになります。
/grill-me はそこを 1 ターン縮めてくれます。最初から推奨と理由が一緒に来るので、こちらは「同意します」か「いや、こういう事情でこっちにしたいです」と返すだけで済みます。後者の場合、自分が今まで言語化していなかった事情を初めて口に出すことになります。
加えて、質問は一度に一つずつ、しかも短文で来ます。長文を読み通そうとして途中で諦めることもありません。とはいえ、質問の数が多くて疲れることはあります 😅
林コメント
自分の場合は、新しい機能を既存の実装に組み込むときに /grill-me が役立ちました。やりたいことは決まっていたものの、現在の実装をどう拡張するかは /grill-me の対話の中で詰めていきました。質問に一つずつ答えていくうちに、既存の実装からやりたいことへの道筋が整理されて、実装計画が自然と組み上がっていく感覚がありました。実際にその計画をもとに実装を進めると、事前に一問一答で方針を詰めていたおかげで、出てきた実装結果の意図が理解しやすく、スムーズに進みました。
先述の「自分の中ですら詰めていなかった選択肢を、エージェントが先回りで掘ってくる感覚」という表現がまさにそうで、質問に答える過程で自分の思考が整理されていくのが /grill-me の一番の良さだと感じています。
それと、一問一答なので出力の待ち時間が短いのも地味にありがたいです。
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