佐藤 愛美/EM(Engineering Manager)
Webサイト制作会社でソフトウェアエンジニアを経験し、2016年にクイックへ中途入社。入社当初は自社の営業支援システム開発のコーディングを担当し、プロダクトオーナーも経験している。2023年からはEMとして、エンジニアリングチーム全体のチームビルディングを担当。社内ワークショップの企画・運営などを通じて、組織全体の成長を支えている。
組織の力を最大化できるマネージャーに ――まず、現在担当している業務を教えてください。 現在はEMとして、エンジニアリングチームのチームビルディングを担当しています。ルールの整備や採用活動といった組織の基盤固めの部分から、メンバーのマインドセットづくり、ワークショップの企画・運営まで、全般的に関わっているようなイメージです。
――もともとは、ソフトウェアエンジニアとしてクイックにジョインされていますよね? はい。社会人3年目頃に入社して、営業支援システムのコーディングを担当していました。
当時はとにかく「ものづくり」が楽しくて、手を動かして作ることに携われればいいと思っていたんです。組織が掲げる「こういうものを作りたい!」という青写真を実現することが楽しかったですし、やりがいを感じていました。
――現在のチームビルディングやマネジメントの道に進もうと思ったきっかけは何だったのでしょうか? 大規模なシステムのリプレースを経験するなかで、 人を動かすことの重要さ に気づいたことがきっかけでしたね。
メンバーとしてタスクを消化することは、たしかに達成感と満足感があったんですけど、一人でやるだけじゃプロジェクトが一向に終わらない絶望感を味わって……。みんなで協力しないとだめなんだと気づきましたし、「自分はタスクをきっちり消化できてるからいいよね」みたいな、傲慢な考えになりかけてたことにも気付かされました。
――チームでものづくりをすることの重要さに気づいたんですね。 はい。そのあとプロダクトオーナーになったことで、「 どうしたらプロジェクトを完遂できるのか 」「 どう働きかけたら人を動かせるのか 」は深く考えるようになりました。
とはいえ、明確に「チームビルディングの道に進みたい」と考えていた訳ではなかったんです。当時の上長と周囲の動かし方について対話するなかで、徐々に進みたい道が見えてきた感じですね。今後のキャリアを考えるうえで、サービスリード側に進むのか、組織運営側に進むのかで結構悩んでいたのですが、上長と話すなかで組織運営の面白さに惹かれ、現在の組織運営側に進むことにしました。
――人を束ねる立場になるにあたって、不安もあったのではないでしょうか? 自分がマネージャーになること自体には不安はなかったです。もともとプロダクトオーナー経験もありましたし、関わるメンバーも協力的な人が多かったので。一方で、エンジニアって技術力のある人に着いていきたいものだと思うので、彼らに相応しい人物になれるように、常に知識を習得するようにはしています。
――外部の勉強会にも積極的に参加しているそうですね。 今も毎月数回、勉強会には参加していますね。自分自身の成長のためというのもありますし、組織のためになる新情報を常に集めておきたいので。マネージャークラスの方々も同じように学び続けていますから、お互いの情報を持ち寄って組織運営に活かしたいと考えています。チームビルディングは現在一人で担当していますから、なおさら気を引き締めて勉強するようにしています。
女性もマネージャーとして活躍できる、クイックの風土 ――世間的には、まだまだ女性管理職は少ないという話も聞きます。今の仕事を目指すうえで、女性ならではの苦労などもあったのでしょうか? それが…クイックで性別による差を感じたことはまったく無いんです。個人の実力を評価する社風ですし、既に活躍している女性マネージャーも周りには多くて。エンジニアリングチームが属するWeb事業企画開発本部はもちろん、営業部門をはじめ全社的に女性マネージャーが活躍しています。
――ここまで女性の活躍が盛んなのはなぜでしょうか? そもそも、仕事を任せる際の基準に、性別が一切関係無いことが大きいですね。クイックでは「出る杭は伸ばす」という考えを大事にしていて、 結果を出していて成長意欲の高いメンバーには、積極的に活躍の場を提供している ので。
あとは「役職機能論」という考えも大きいでしょうか。たとえばマネジメント職であっても、その役職が偉いとか、上の立場だということはなく、「ただその役割・機能を担っているだけ」という考え方をしています。 キャリアとして上でも下でもないので、本人の希望や適性がマッチすれば、いつでも、誰でも、その役割を担える 。 性別や年齢に関係なく、平等に活躍できることが当たり前 という考えが浸透しています。
――考え方がそもそもフラットなんですね。制度面でも、女性が活躍しやすくなっているのでしょうか? それもありますね。産休・育休の制度が整っていますし、周囲も協力的です。
一般的に、女性が活躍しにくい原因は、出産・育児によるキャリアの分断と、復帰の難しさですよね?会社としては、復帰できるかわからない人には仕事を任せにくいという…。その点クイックは、 休暇から戻ってくること前提で、業務の引き継ぎや受け入れ体制を整えている ので、休みやすく・戻りやすい環境になっています。
実際、最近もメンバーが産休・育休を取得しましたし、他のチームでもメンバー・マネージャー問わず制度を活用して、復帰している方も大勢いますよ。こうした環境だからこそ、男女フラットに活躍できているのではと思います。
――クイックのような企業は多いのでしょうか? 現状は少ないように感じます。特にエンジニアの場合は、外部イベントに参加しても参加者の約9割が男性で、まだまだ女性が少ない世界だと感じますし。
そんな状況だからか、発表者として登壇すると女性エンジニアから声をかけられることもあって。自分の事例を通して、キャリアに悩んでいる女性たちを勇気づけられていたなら嬉しいですね。
――マネージャーを担うなかで、どのようなものを得られましたか? やっぱりマネージャーならではの、 俯瞰的な視点で物事を見れるようになった のは大きいです。たとえばメンバーに関しても、自分と違う価値観や考え方を持っていて、全力を出せる環境もそれぞれ違うことに気づけましたし。
昔の私だと、「これだけ環境が整っているのに、なんで成長できないんだろう?」と責めるような考えをしていましたが、それは自分の考えの押し付けだったんですよね。人には、その人が活躍できる環境がそれぞれある。それを意識してからは、メンバーが最大のパフォーマンスを発揮する方法を考えるようになりました。
一方的に指示や依頼をするのではなく、お互い納得できるよう動いていく。そういう柔軟性は、マネージャーの立場になって得られたものだと思います。
「マインドセット」から、組織をより良く変えていく ――チームビルディング担当として、ブートキャンプのような社内イベントにも力を入れていますが、こうした取り組みの狙いなどを教えてください。 いま組織として力を入れているのは、複数人で集まって開発するブートキャンプや、短い時間のプレゼンを行うLT(ライトニングトーク)大会など、コミュニケーションの発生するイベントが中心です。どれも、スキルアップと同時に エンジニア同士のコミュニケーションをより活性化させたい という想いから企画・運営しています。
――コミュニケーションがあまり活発ではなかったのでしょうか? もともとは、エンジニア間の会話は盛んだったのですが、業務効率化のために会議を減らしたり、コロナ禍をきっかけにハイブリッドワークになったりしたなかで、段々と話す機会自体が少なくなっていたんです。
エンジニアの業務は、効率化も重要ですが、会話のなかで生まれるアイデアもありますし、ときには時間をかけて議論することも大切です。ただ、会話が減ってきた結果、話すきっかけを作りづらくなったり、距離感が掴めなくなってしまい…。
ただ、クイックのエンジニアって、コミュニケーションが好きな人は多いんですよ。話しかけられたら嬉しかったり。話せるのに話せない現状が勿体ないと思い、コミュニケーションの壁を取り払ったり、会話のきっかけになるイベントを積極的に企画するようになりました。
――実際、取り組みの結果はどうでしたか? いい効果が出ています!たとえば、最近開催したOST(Open Space Technology)というワークショップは好評でしたね。「熱い想いがあれば、この場で発表してください」というミニイベントなのですが、参加者に自由に話してもらった結果、「同じ考えの人が意外と多かった」「自分の考えを人に話せてよかった」といった反響があって。
もともと自分の中に考えを留めている人も多そうでしたから、それらを外に出す機会になったり、会話やコラボレーションのきっかけになったりと、満足度は高かったようです。
――業務にもいい影響が出ていそうですね。 今回のOSTは、確実にコミュニケーションを促進する呼び水になっていますね。
技術力を高める研修も重要ですが、こうして 「マインドセット」を変えることで、メンバーの行動を変えていくことも大切 です。考え方を変えるきっかけや、行動に踏み出せない原因を取り除くためのきっかけとして、さまざまな施策を日々考えています。
――日々の施策のアイデアはどこから得ているのでしょうか? 基本的には、外部の勉強会やワークショップで体験したことを施策に落とし込んでいます。実際に自分で体験してみて、組織の課題解決に繋がりそうだと感じたら、それをクイックで展開する方法を考えていますね。
あと、組織の課題解決とあわせて大切にしているのが、「楽しめるもの」を提案することですね。
――「楽しめるもの」ですか? どんな組織でも「これやって」とお願いするだけだと、その先のアクションになかなか繋がりません。やって楽しかったり、成功体験を得られることでこそ、その先の自発的な行動にも繋がると思うんです。
そういう意味では、自分でも「これはやってみたい!」と思えるものを選んで、組織に提案しています。「楽しい!」と言ってもらえることも多いので嬉しいですね。
チーム全員が、成功体験を積める組織に ――最後に、目指したい組織の形や、これから実現したいことを教えてください。 組織の形でいえば、 エンジニアがプロジェクトを引っ張っていけるような組織 を目指したいですね。せっかくインハウスでサービスプランナーやマーケター、デザイナーと連携して開発を行える環境なので、受け身に徹するのではなく、「こういう機能やシステムが必要だと思う」と、提案する側にまわってもらいたいと考えています。
――より良いものを創るためには、必要な姿勢ですね。 それもあるのですが、エンジニアも主体的に提案することで「自分が手掛けたプロダクト・サービス」という意識が高まりますし、 チーム全体で大きなものを創り上げる達成感 も得られて、成功体験に繋がるんですよ。こうした体験は、次の仕事の原動力にもなるはずです。
品質面でも、行動面でも、より良い結果に繋がると考えています。
――実現に向けて、チームビルディングの役割は大きいですね。 そうですね。メンバーが成功体験を積めるようにサポートする存在として支えていきたいです。
それと同時に、 「メンバーが何かをやるときの、ブロッカーを外す」存在 でもありたいと考えています。たとえば、先ほど紹介したワークショップも、自分の考えを発信できないでいるメンバーに 「同じ考えを持ったエンジニアがいる」という安心感を提供 して、交流に踏み出すきっかけを作るものでした。
「やりたい」という気持ちを尊重する風土の組織ですから、 メンバーには何でもやりたいと言ってほしいですし、その障害になっていることがあれば、全力で排除するための施策を考え続けたい と思っています。
私がチームビルディングを任されているのは、実行力の部分が大きいと思うんです。思い立ったら、必要なメンバーに話しかけてすぐに実行しちゃう性分なので。動きを止めたら組織としても停滞しますから、常に新しいこと・必要なことを考え、実行していくことは、今後も大切にしていきます。
その結果、メンバーからも、外部の人からも、「クイックのエンジニアリングチームっていいな」と言ってもらえるようになると嬉しいですね。
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