※この記事を読むことで残業の減らし方が分かります!
働き方改革が叫ばれる昨今ですが、みなさまの会社の残業状況などはいかがでしょうか?減りましたか?
徐々に残業が減っている会社も聞きますが、全然変わっていないということも良く聞きますし、大きい声では言えませんがいわゆるサビ残を強要されるようになって逆に困ったなんて話も聞いたりします。
カルテットはインターネット広告代理店ですが、名古屋の変わった広告代理店というだけではなく、働き方改革の先進企業としてテレビや各種メディアなどで取り上げていただくことも多いです。最近はインターネット広告の講演依頼だけでなく、働き方改革という文脈でも講演依頼をいただいています。
その流れで、去る2019/6/12にGoogleさんから依頼を受けて下記の講演をさせていただきました。広告代理店向けの完全クローズドなイベントで、大手広告代理店さんをはじめ多くの会社さんの前でお話しさせていただきました。
参加者の方からは大変好評いただいた内容でしたが、この内容ってもっと多くの方に知っていただくべきだなーと思い、この時の講演の内容を元に僕らがどのように残業を減らしているのか、具体的な取り組みや考え方を暴露しようと思います!
まずはカルテットの残業についての実績から
この記事のタイトルにある平均残業時間6.8時間は2018年通算の月間平均残業時間です。カルテットでは月間の平均残業時間を毎回公表しており、2019年で言うと下記のようになっています。
2019年1月:8.4時間
2019年2月:10.3時間
2019年3月:11.1時間
2019年4月:8.0時間
2019年5月:6.7時間
2019年6月:6.7時間
2019年7月:5.8時間
業界的に年度末の3月周辺が繁忙期なのでちょっと多めですね。とはいえ直近ですと、7月で5.8時間とかなり平均残業時間が減ってきています。
こういった実績から、ホワイト企業大賞にて特別賞をいただいたり、NHKや民放テレビ局、新聞やWebメディアなどでも取り上げていただいております。
こういった結果を生んでくれているのは、僕ではなく社員の皆さんのおかげにほかなりません。この場を借りていつも本当にありがとう!
新卒向けの入社式などでもこういう話をするのですが、入社するまで「絶対ウソ」と思っている人が多いようです笑。そろそろ信じてくれてもいいっすよ。疑うんならどうぞ18時の退社時間に視察に来てください!
余談の笑い話ですが、NHKさんの取材が21時とかにあって、残業が少ない会社を取材しているの分かってるのかな?って不安になりました笑。
残業を減らすという話をするとよく出る話
残業を減らすといった話をするとまず出てくるのが下記のような話です。
BtoBだと結局夜にクライアントから連絡来るからこっちでコントロールできなくて、残業なんて減らせないっすよ、という話。
この話って一見ごもっともな気もするんですが、本当にクライアントが悪いんですかね?
僕が言いたいのはこういうことです。
もしこれを伝えてないんだとしたら、クライアントが悪いんじゃないのかもしれません。
下記のようなことが起きているかも・・・・。
もしかするとあなたのクライアントは「気づいていないのかもしれないから夜だけど急いで連絡してあげよう!」と善意で思っているだけかもしれません。その連絡を受け取ったあなたが「あの担当さん、いつも夜に連絡してくるんだよなー(おこ)」って思っているととても悲しいすれ違いですよね。
店舗で言うのであれば、閉店時間が決まっていない店舗です。だとしたら閉店時間決めてないほうが悪くないですか?閉店時間が決まっていれば従ってくれます、日本人はいい人が多いですし大丈夫です。
基本的にわざと取引先を苦しめようとする人はいないと思います。なので、相手が悪いのではなく何かしらの仕組みが悪い、なので他人のせいにせず仕組みを変えることでみんなハッピーになるように考えましょう、という考えが大事です。
残業への考え方
残業ってそもそも悪なのでしょうか?もちろん法律やルールを超えた残業は悪なのでしょうが、その範囲内であれば別に残業自体が悪ではないと思います。
ここまで残業が少ないアピールをしてきたカルテットですが、カルテットとしても残業をゼロにしようという気持ちは1ミリもありません。今日本当にやらなければいけないこと、今日やったほうが良いこと、であればもちろん残業代をもらいながら残業をお願いします、ただ明日やっても同じなのであれば今日は残業せずに帰ってしっかり休んでね、というのが基本スタイルです。(とはいえ世の中の残業のほとんどが今日やらないでもいいことやってることばかりですよね)
カルテットはこのような考え方を決め、それが残業への考え方です。考え方が決まればどんなルールを作ればよいか、少しずつ見えてきますよね。
残業をすると決める会社はそれはそれでいいと思います。「俺たちは同年代よりも稼いでいい生活をする!そのためにはみんなが休んでいる間にも働く必要がある!価値ある将来のために残業しまくってとことん成長しよう!」という考えで、社員さんもそれに納得しているなら何の問題もないですし、むしろ最高の組織ですよね。
残業はそもそも悪じゃない、許す範囲なら残業は増やしたっていいんです。じゃあ何で決めればいいのか、要するにまずどんな会社にするかのリーダーの決めが重要ってことです。そうです、会社の意思統一が必要です!
・
・・・
・・・・・
・・・・・・・
ですよね!
どんな会社にするか決めるなんて、優秀なリーダーで要するあなたの組織であれば当たり前ですよね。会社なんて意思統一されすぎてて、普段会話しなくても何でも伝わっちゃいますよね。
で、こんなことありませんか?
ありますよね。
「残業減らせって言ってもさ、今まで仕事量変わってないんだから無理じゃん・・・」
とか
「残業減らせって国の流れ的に言ってるけど、うちってバリバリ働いて金稼ごうって会社じゃなかったっけ?」
とか聞きますよね。
これってまさに「残業減らす」っていうことが意味もなく上から降ってきている状態で、会社としての残業への考え方がはっきりしていないからこんな事が起きるんですよね。
当たり前にできていると思っている残業への考え方って結構できていない会社さんが多いです。まずはここをハッキリさせること、すごく大事です。
カルテットは下記のような意思決定をしました。
こう意思決定すると、短期的に社員さんが稼げる会社にするのではなく、心身ともに健康でみんなが仲良く良い状態で働ける会社にすべきで、結果として残業はできるだけ少なくしていこう方向性がしっくり来ています。
結局、社長やその組織のリーダーの腹がどう決まるか次第なので、中途半端にではなくしっかり一本筋の通った考え方を定めると自ずと答えが出てくると思います。
そして腹を決めた後は、自らがそれを率先垂範することはマストだと思っています。そうすることで、みんなも信じてくれることと思います。
具体的にカルテットで取り組んでいること
それではここからざっとカルテットで取り組んでいる残業への対策についてお伝えします。
SLGで作業を標準化&無茶を言われないようにする
まず、SLGというのはサービスレベルガイドラインの略でして、業界で言うSLA(サービスレベルアグリーメント=サービス品質保証)と同様の意味です。「アグリーメントしたくない」という理由と、他とちょっと違ったほうが「なにそれ?」とか「SLAと違うんですか?」って言われてちょっと目立てるよねって理由でそう呼んでいるだけでそれ以上の深い意味はないです笑。
どんなサービスをどれくらいどんな頻度でやるとか、納期は何日とか、当日受付の定義は何時までに依頼をいただくことなのか、とかそういったことを決めることで突発の緊急でない依頼などをできるだけ無くすようにしています。(下記がSLGの1ページの例)
18:30以降は電話に出なくても良い(定時は18時)
18:30以降の電話は取らないでいいと社内ルールで決めています。以前は社員さんの裁量で出たり出なかったりしていたので、お客さんからも「さっきは出たのに、なんで5分後に出ないのか?」などの不満を与えてしまったこともありましたが、ちゃんと営業時間をお客様に伝えた上で社内ルールで18:30以降の電話には出ないように決めました。
当初はちょっとお客さまからの多少のクレームも予想してビクビクしていましたが、予想に反してクレームはゼロでした。みなさんも怖いと思いますが、実際そんなもんですよ。
残業の少ない社員を賞与でプラス査定
これは会社設立して間もないころからやっていますが、当時からサービス残業一切なしで残業代を支給していたので、能力の高く残業をあまりしない人よりも残業をたくさんする人の方が月収が高くなるというような傾向が少しありました。
このままでは能力の高い人が辞めてしまう会社になる恐れがあるので、その人が残業を抑えてくれたということで残業の少ない社員を賞与でプラス査定することにしました。そうすることで「残業を減らす=残業代が減って年収下がる」みたいな考えも多少払拭できているんじゃないかと思います。もちろんこれは全社員が知っている査定内容で、やはり評価としてお金というところで評価されることで会社の価値観を示せているんじゃないかと思います。
副業の許可(業後の予定が決まれば定時に帰る)
カルテットは副業も解禁しています。副業の細かい制度については長くなるので説明を割愛しますが、基本的に全面的に解禁しています。副業も一部の人間がやっているにとどまりますが、副業も残業抑制に一役買っていると思っています。
副業をやるということは業務後に予定が入るということなので、そのためにはダラダラ残業するわけにはいきませんよね?副業自体にも良い効果がありますし、こういった副次効果もあると考えています。
SLGを逸脱したサービスは厳禁、褒めない
頼まれてもいないサービスをお客さまのためにやったり、お客さまから発注を受けているサービス以上のことを頼まれて無料で対応したり、そういうケースって結構あなたの会社にもありませんか?そんなとき結構な確率で「お客さまの事を考えていて偉いな!」と上司から褒められたりしませんか?
カルテットではそういった対応は基本的に厳禁です。それを上司が褒めると、正しい行動だと思って部下は利益の出ない行動を繰り返すようになり、結果的に無駄な作業量が増えて残業が増えやすい体質になります。なので、SLGを逸脱したサービスを勝手にしていると結構怒られます笑。
チャイムを使って残業時間を知らせる
オフィスで仕事をしていて気づいたら定時過ぎていたなんてことないですか?「あー!いっけね、もう定時30分すぎてんじゃん」みたいな、めっちゃありますよね?気持ちは分かるんですけど、残業代の観点からするとそのライトなノリを全員が営業日数やるとそれだけでも結構な残業代になります。
昔、工場で派遣で働いたことあるんですが、工場ってチャイムが鳴るのでそれで時間を把握してみんな時間を守って行動するんです。なぜかオフィスではチャイムが鳴らずにみんなが定時に気づかない、だったらチャイム鳴らせばいいやんということで、チャイムを鳴らしています。
具体的には下記のタイミングでチャイムが鳴ります。
・9:00 始業時
・12:00 昼休憩開始
・13:00 昼休憩終了
・17:55 定時5分前(予令)
・18:00 定時
だいたい意味は分かると思います。17:55の予令がなぜあるかということですが、18:00にチャイムが鳴るだけだとそこで気づいた人間はほぼ全員18:00には打刻できないからです。気づくけど18:00にピッタリ打刻することはできませんよね?なので、17:55に後5分と知らせて、可能であれば18:00ジャストに打刻してもらえるように設けています。
実際にカルテットでは17:55の予令が鳴ったら、ゴミ箱の片付けを全員が開始して帰り支度をして良いというルールになっています。
このチャイムの制度は地味ですけど、結構効果高いのでおすすめです。ちなみにカルテットが使っているチャイム鳴らす時計は下記です。いろいろな音がセットできますので、時間で音色使い分けています。
残業時間を社外公開
カルテットとしては会社としての腹を決め、残業の少ない会社で居続けるということを決めています。そういう会社の意思を社員さんに少しでも伝え続けるためと、自分たちへのプレッシャーも兼ねて自社の社員一人あたりの月間平均残業時間を毎月公開しています。
※サムネイル変ですけど気にしないでください笑
前述の通り、社員さんへ会社の意思を伝えることも出来るし、数値化がちゃんと出来るのでこの数値が多くなったときにちゃんと減らすように言いやすいっていうこともメリットです。実際に3-4月頃に流石に増えているから無駄な残業がないかを調べて抑制するように指示を出しました。
チーム毎で定時前に残業の見込みを確認、他に振る
これ正直なことを言うと過去カルテットのいくつかのチームでやっていて、実は今はそこまで多くのチームが実践していないかもなんですが、僕的にはすごく良いな―と思っていたのでご紹介します。(今もいくつかのチームではやってんのかな?)
朝礼時にチームで今日のタスクを確認し、その時点で残業コースが確定の人はその旨をチームに伝えて手が空いている人に手伝ってもらえる作業か確認するというのを朝礼でやっていたりするのですが、それを定時の1時間前とかに再度やるというものです。
朝の時点では余裕と思っていても日中突発の仕事が大量に割り込んできて、結果的に残業することになったみたいなパターンって多いですよね。それをチームでカバーするために、定時より1時間程度前に本日残業見込みになった人の確認とそのカバーをどうにかできないかを確認し、最後まで残業を無くせるかどうかの努力をするということです。
どうしても振れない仕事があれば残業することは免れませんが、実際にやってみると他の人が手伝える作業がかなりたくさんあるはずですよ。
職場受け取り運動(荷受けのための有給を無くす)
ちょっと毛色の違う取り組みですが、再配達をなくすために職場で宅配物を受け取ろうという職場受け取り運動というボランティア活動を僕らが主宰していまして2年半程度この活動を行っております。
活動目的はもちろん再配達を減らすことではあります。この活動を始める以前に、社内で少しではありますが「荷物を受け取るために午後休取得」ということがありました。それって、本人にとっても荷物を受け取るだけで半休取らなきゃいけなくて面倒なことだし、会社としてもその本人の本意でもない半休で半日分仕事ができないとなると損ですよね。社員さんの出勤日数が減れば、出勤時間が減り残業も増えやすくなるというロジックですね。
職場受け取り運動は再配達問題という社会問題にダイレクトにアプローチしつつ、残業の抑制にも少し効果があったり、一つの福利厚生にして採用活動でアピールできたり、なのに無料で取り組めるという活動なのでもし興味があればWebサイトからお問い合わせください。
無駄な会議を減らすためにTV会議推奨、ルール作成
社員さんの時間を簡単に複数から奪い去るのが会議です。なんとなく無意識にやっている会議が時給で考えるといくらってはじき出すと中々会議しづらくなりますよ。なので会議をうまく減らしたりなくしたり出来るだけで、実務の時間を増やすことができ残業時間を減らすことが可能です。
それにあたってカルテットでは下記のようなルールを設けて、全会議室に設置をしました。
会議においても考え方が個人でバラバラだと、ある人は「会議は終了時間を守ろう!」、ある人は「会議は結論が出るまでやるべきだ!」、どちらも正解なのですが、そこですれ違いが起きます。ですので、会社としての答えをはっきり明記することで、不毛なすれ違いを防ぎ全員が動きやすく、そして会社の意図通りに動けるようにしています。
ここまでが業種問わず取り組める残業への取り組み方です。
残業の削減に最も効果があるもの
上記で具体的な取り組み方をお伝えしてきましたが、残業の削減に最も効果があるものがあります。それは何か、それは残業を減らした方が良いという文化を作ることです。
言葉では簡単でも非常に難しい話で、上記のような取り組みを何年も継続し、社員さんが無意識に取り組めるようになったらやっとこういった状態になります。
現にカルテットで言いますと、残業している人がいると「頑張ってるな!偉い!」とは全くならずに「あれ?何やってんの?なんかミスでもしたの?大丈夫かな?」という感じになります。とにかく残業はカッコイイという考えは一切ないのでその辺りが大きいですね。
手に入れた会社環境
その結果、手に入れた会社環境は以下のとおりです。
スタートアップで採用に困らなくなるっていうのはかなりありがたいことですね。最高です。
よくある質問も載せておいくとこんな感じです。
読んでいただいたとおりなんですが、残業を減らしたいと言う割にはサービス残業がたくさんある会社も非常に多いです。サービス残業をさせているうちは、社員さんとしては残業することで会社に迷惑をかけている意識ができません。だって残業しても残業代でないんだから。
残業代をきっちり出して初めて、会社として「あなたの残業が多いので残業を減らして欲しい」と交渉ができるというものだと思います。
あと、働き方を追求すると弱くなるビジネスモデルはそもそも強いビジネスモデルじゃないと思ったほうが良いです。社員さんのサービス残業や地獄のような労働環境に支えられて何とかなっているということ自体がおかしいと思うので、よく受ける質問ですが上記のようにお答えしておきます。
長々と書いてきましたが、今日の話はほとんどの業種でお試しいただけるものだと思っています。是非、何かしら実践して残業に対しての取り組みをしていただければと思います。
もしわからないこととか質問があればtwitterかFacebookを見つけていただいて、遠慮なく聞いてくださいね!ちゃんと個別に回答します!
そんな会社に興味あるという方のためにミートアップが9月19日にあります!オフィスに来ていただき軽食やジュースやお酒を飲みながら、会社のことを知ってもらったり、スタートアップについて知ってもらう場です!もちろん無料!ただ飯ただ酒!僕も行きますのでお話ししましょう!
僕らに興味がなくても名古屋で起業したいという人は是非是非!何かお手伝いできることがあれば応援するので、何かあればFacebookかtwitterでお声がけくださいー。
あと僕らのことが分かりやすい記事としては下記もあります!ご興味あれば読んでみてください!