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こんにちは!ペンシルの橋口です。
あっという間に、2月ですね。今日は、コンビニに恵方巻きが並んでいるのを見かけました👀
さて今日は、ペンシルが行った「介護座談会」の様子をアフターレポートでお届け!
私自身、年齢的に少し遠い話のように感じていた”介護”でしたが、改めて今後の社会や自分の働き方・キャリアに関わってくるテーマだと考えさせられる座談会でした!
超高齢社会の日本において介護は避けて通れない課題となっており、企業には介護と仕事の両立が可能な体制を整備する必要性が高まっています。平均年齢が30代半ばのペンシルでもそれは同じこと。将来の介護について漠然とした不安な気持ちを抱えている人もいるのではないでしょうか。
また一方で、経験豊富なスタッフが身近にいることは企業にとって代えがたい財産です。今回はそんな介護経験者の中から4名のスタッフがそれぞれのリアルな介護経験を踏まえながら、介護と仕事の両立やこれから整備していくべき職場環境への思いについて本音で語ることとなりました。
座談会メンバー
まずは、それぞれの介護経験について教えてください
金森
10年以上前から両親の介護が始まり母はすでに他界しましたが、102歳になる父の介護を現在も続けています。両親が80代半ばくらいから認知症や老人性のうつ病の症状が出始め、最初はホームヘルパーさんを依頼し、私たち夫婦が実家を訪問して支援していました。そのうち両親だけでの生活は難しくなってきたため、介護施設を探し始めました。
経済的な条件や入所時期などを検討して施設を絞っていったのですが、大変だったのは父の施設入居に対する強い拒否感でした。
最初に訪問した際には、施設の玄関で父の意識が混濁するほど精神状態が不安定でした。老人ホームというだけで不安になるのでしょう。それで、大学病院の脳神経外科でMRIを撮ってもらい医師に状態を説明してもらいました。医師の言葉は信頼できたのか、ほどなく施設に入所しうつ病と認知症の緩和治療も開始したところ、半年ほどで安定しました。
それからはずっと施設のお世話になっています。
百瀬
金森さんは長い間介護を続けていらっしゃいますが、大変なことは何でしたか?
金森
介護施設に入所してから始まった認知症の母の徘徊でした。警察に2回くらいお世話になったかな。たびたび行方不明になるので母に携帯電話を持たせたり、Bluetoothのチップを埋め込んだ靴を調べたりもしました。
今住んでいる春日市では徘徊があるとLINE通知が来るんです。また、最近はカメラが徘徊している人を顔認証で検知してヘルパーに連絡するシステムなどもあるそうです。
百瀬
下川さんはご自宅でお祖母様を介護されたと伺っています。
下川
当時、両親と祖母と同居しており、祖母が転倒して大腿骨を骨折してから約8ヵ月間在宅で介護をしていました。
最初は着替えや転倒時の補助など軽く済んでいましたが、祖母が自宅でのリハビリに積極的でなかったために急激に悪化してしまい、介護の負担もどんどん重くなっていきました。
介助はほぼ両親が行っており、私はたまにサポートをする程度でしたが、ちょうど祖母の介護と自分が体調を崩して自宅療養していた時期が重なっていたため、介護による精神的な疲れから自分の病状が悪化することになってしまい、それがつらかったです。
父や母も突然介護が始まって、介助のコツがつかめず難儀していました。日頃から介助の仕方など学んでいれば違ったかもしれませんが、急なことで講習などに行く余裕もなく、下手に介助して腰を痛めることなどもありました。
私の体調のこともあり在宅での介護は限界があって、施設への入所を検討するのですが、何かを実行しようと思っても申請や手続きを調べるところから始まって、入所までにとても時間がかかった印象です。
百瀬
平川さんは以前にもインタビューさせていただきましたが、多いときには同時に6人もの介護をされたつわものですね。
平川
今あらためて振り返ると、もともと私は祖父母がいて親戚も近くに住む大家族で育ちました。まだ介護保険制度がなかった時代のことですから、在宅介護があたりまえです。両親は共働きだったので、ときには小学生の私や姉が慣れない手つきでおじいちゃんのオムツを替えたりしたこともありました。
その後、私が結婚した頃は、実家で母や叔父が祖母の介護をしていましたが、母がとにかく介護に疲れて疲弊していたんです。ときには祖母に大きな声を出すようなこともあって。私は別で暮らしていたので客観的にその様子を見ていましたが、祖母も母も幸せそうではないこういう介護ってどうなんだろう、と疑問に思っていました。
もちろん当事者ではないから冷静に分析できるのですが、いずれ自分が介護するときが来たら、違う形で介護に関わりたいなと思うようになった原体験です。
百瀬
そんな平川さんの介護への関わり方は?
平川
多いときで私たち夫婦の両親に子どものいない叔母夫婦、一度に6人もの介護に携わってきました。現在は状況が変わりましたが、6人もいるので自分の手でそれぞれを介護をするのは不可能で、私は主に介護プランの組み立てとスケジュール管理に徹しました。実際に介護をしてくれる人をコーディネートするのが私の役割で、ヘルパーさんがカバーできない、身内にしかできない部分をサポートします。
百瀬
家族にしかできないサポートとは?
平川
例えば昔話に付き合うとか、自分がどれだけ相手のことを思っているかを伝えるなど気持ちの寄り添い部分です。介護に関しては、お互いにとって100%満足はありえないと思っていて、70%で十分及第点です。自分を犠牲にして全部をやってあげることが100%の介護ではないと考えています。そんなことになっても、親御さんは喜んでくれないでしょう。あとは、要所要所での判断や決断でしょうか。
百瀬
高齢者の場合、延命治療のぜひを尋ねられる場面もよくあることだと聞きます。
金森
だから日頃から本人の意思を確認したり、介護方針を家族で決めておかないといけないんですよね。
介護で大変なことは何でしょうか?
平川
介護は育児と違って突然やってくるものだし、ほとんどの場合は悪くなる方へ向かいます。皆さんそうだと思いますが、時間的・経済的な負担もありますが、一番大きいのは心理的な負担です。自分の生活の大半が介護になってしまうと、気持ちの余裕がなくなるし、身の丈に合っていない介護は共倒れになってしまいます。
百瀬
それを軽減する方法は?
平川
介護相手と、周りの人の理解を得ることですね。私の場合は仕事をしながらの介護が前提だったので、祖母のときのようにつきっきりで介護はできないことを親たちに伝えていました。また、介護は自分だけで決めきれるものでもないので、自分の家族や遠くに住んでいる姉にもきちんと自分の介護方針を話して理解してもらいました。
百瀬
平川さんの場合、ご両親だけでなかったわけですよね?
平川
特に、叔父叔母に関しては自分の手で介護をすることはほとんどなかったです。一言でいうと適切な施設を手配して介護計画を作成しただけです。ただ、日頃から子どもがいなくて将来が不安な叔父叔母に対して「何も心配はいらないからね。何かあったら私が何でもやってあげる。」という話はちゃんとしていたし、何かあれば駆けつけることもありました。彼らに与えていたのは安心感です。
つまり、介護はどれだけ自分が働いたかではないということ。一種のパフォーマンスでもいい、相手の悩みや不安を受け止めて心を寄せることが安心につながると思うんです。
金森
大変なのは、介護というだけでわけのわからない不安が伴うことです。介護保険制度や老人性うつ病や認知症など高齢者特有の身体的な症状。ひとくちに認知症といってもいろんな種類があるんです。
平川
うちの父はレビー小体型認知症で、夜中なのに突然デイサービスに出かけると言い出して玄関で待っていたりとか。
金森
幻覚などがみえるアルツハイマーについで多い認知症ですね。あとは病状の変化などで上下する変動する介護認定制度や社会保障サービスもしっかり理解しておくことが必要ですね。
下川
うちの祖母は自宅では寝てばかりになってしまったので、要支援2から一気に要介護4にまで上がりました。
金森
要介護度は上がったり下がったりします。そうでないとそのときに必要なサービスが受けられないし、要介護度が上がるほど介護保険の利用上限額が増えるけど、それに伴って自己負担額も増えていく仕組みも知っておかないと。
それでは、介護で大切なことはなんでしょう?
平川
介護相手の安心感じゃないかなと思っています。こちらが狼狽した姿や余裕がないところを見せると、相手も不安になるものです。お互いにできるだけ穏やかな気持ちで接することが一番いい選択ではないでしょうか。
そのためには、利用できるサービスは最大限利用することですね。それが可能な時代なのだから活用するのは決して悪いことではないし、本人にとってもプロから適切なサービスを受ける方が心地良いはずなんです。
下川
以前の社内介護セミナーで、平川さんが「介護をプロに任せることに罪悪感を持たなくていい。それは親不孝とは違う。」と話されたことがとても印象的でした。自分のせいで祖母を施設に預けたことがどうしても引っかかっていたので、祖母の介護前に知っておきたかったなと思いました。
金森
少しでも多く知識や経験談を知っておくことが大切ですね。介護はいろんな経験をして、それが蓄積されてノウハウがたまるものです。社会保障の仕組みをよく知って、できるだけ後悔しないようにした方がいいし、そのことでさまざまな負担が軽減されるはずです。
下川
まだ実行できていないですが、時間に余裕のあるうちに介助の講習会に行ってみたいです。あとは親が元気なうちに将来の介護や終活について、家族で話しておくことでしょうか。現実的なところでは、こういう施設に入るためにはどのくらいお金を貯めておこうとか。
介護と仕事の両立ポイントを教えてください。
金森
年齢や仕事の職責、立場によって異なりますが、自分の生活のなかで何を優先させるかだと思います。
また、介護は終わりが見えないこと、悩みも多く簡単な解決策がないことが多いので、家族やまして自分ひとりだけで抱え込まないことが重要です。
百瀬
子育てのように職場でも話しやすい環境があるといいですね。
金森
SFOラボ(高齢者に使いやすいウェブサイトを提案するペンシル専属のシニア部隊)のメンバーは介護世代なので、ほぼ全員が経験者です。さまざまな介護のノウハウがきっとすでにたまっています。
百瀬
社内報ペン知るん。でも、シニアならではの視点に立ったテーマで「SFOラボ通信」を連載してもらっていますが、先日の「高齢者の薬と介護について」の記事も興味深かったです。
平川
心理面での負担が軽減されれば両立しやすいはずです。介護は十人十色です。認知症の程度によってコミュニケーションの取り方も違ってくるし、そうすると介護方法も異なってきます。いろんなケースをたくさん知っておくと安心ですね。
百瀬
確かに、すでに社内に多様な介護ノウハウがあって心強いです。また、何か困ったときに相談できる経験者が社内にいるのは安心です。
下川
祖母のときには両立できなかったので、そのときの経験から自分が心がけていることは、利用できるサービスや施設は可能な限り利用し、介護から少しでも離れる時間をつくって、自分が無理しすぎないようにすることですね。
平川
ほかには、仕事や趣味など介護以外の自分の世界を大切にすることです。6人の介護で一番大変だった時期にも、私には仕事を辞めたりお休みしたりする選択肢はありませんでした。それぞれ事情があって簡単なことではありませんが、「仕事ありき」で考えることが冷静に対処できる秘訣だったかなと思っています。
今、子育てで離職する人はほとんどいませんよね。介護もまたいつか誰もが直面するものなので、今から仕事と介護の両立がスタンダードになるような意識づけも大切だと思います。
下川
そのためには、急なお休みに対応できる業務サポート体制や属人的にならない仕組みがさらに充実するといいですね。
百瀬
ペンシルではかなり改善されてきて、1ヵ月のパパ育休取得が当たり前の社内風土ができてきています。ただ、介護となるとどうしてもネガティブなイメージがあります。
平川
介護は自分からは積極的に話しづらい話題だとは思いますが、自分の置かれている状況や思いを上司や周囲の人に話すことも大切だと思います。
下川
まだ介護とは関係の薄い人も、さまざまな事情を抱えるスタッフが身近にはいることに気づけるはずです。
百瀬
そうしていくことで、介護に直面した人が孤立しない環境ができていくといいですね。
平川
きちんとした制度などでなくていいと思います。それよりも柔軟な働き方ができて、フォロー体制があって、お互いの立場を理解しあえる環境があれば。
百瀬
今回のような情報発信が少しでも誰かの役に立って、介護が必要になったときでも安心してキャリアを継続できるような取り組みを進めていきたいです。
金森
何とかなるから心配はいりません。ただ、若いうちから知識は蓄えておくといいよね。まだまだ、話は尽きないです、笑。
さいごに。
2023年の総務省の調査によると、介護離職者はいまや年間10万人を超えているとも言われています。企業にとってもこうした状況は事業への影響が大きく、介護離職の防止対策が重要な経営課題の一つとなっています。介護離職者をいかに減らしていくかについては、それぞれの会社や社会全体で考えていくべきことかもしれません。
ペンシルでは、2019年から定期的に全従業員に向けて「介護と仕事の両立に関するアンケート」を実施しています。直近2023年の同アンケートにさまざまな年代のスタッフが回答した結果、半数以上のスタッフが「将来自分が介護をする可能性がある」と認識し、そのうち7割以上が「介護に対して不安を感じている」ことがわかりました。
当社では、在宅勤務・時短勤務など柔軟な働き方を選択できる制度、経験豊富なスタッフによる介護相談窓口の設置、「介護と仕事の両立ハンドブック」の導入、社内研修など両立支援のための各種制度を完備していますが、アンケート結果を見る限り、介護に対する不安を完全に払拭するには至っておりません。
ペンシルではスタッフが介護離職を選択することなく、安心して長く働き続けることのできる環境づくりを目的に、これからもさまざまな取組みを進め、多様な人材がますます活躍できる環境整備を進めて参ります。
ペンシルダイバーシティ経営推進方針
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