「営業DXの新時代を拓く」openpage代表・藤島誓也氏 総合インタビュー:塩漬けSaaSではなく世界基準のセールステックへ 。日本発営業革命の全貌
デジタルセールスルーム(DSR:Digital Sales Room、顧客との共創型営業ワークスペース)分野で圧倒的な存在感を放つ株式会社openpage。キヤノンマーケティングジャパンとの資本提携を機に、大手企業から地方の中小企業まで幅広い顧客基盤を築き、「営業DXといえばopenpage」と言われる存在へと成長している。
同社代表取締役の藤島誓也氏は、メディア業界出身という異色の経歴を持ちながら、「塩漬けDX」の撲滅から日本の就業人口減少への対応まで、壮大なビジョンを掲げている。年間200本以上の記事執筆、YouTube累計1万時間、SNS2万フォロワーという圧倒的な情報発信力と、Salesforce100倍のデータ量を活用した次世代AI戦略──。
営業DXの新時代を拓く藤島氏に、事業戦略の全貌から組織づくりの真髄、そして世界市場への挑戦まで、包括的に話を聞いた。
【3分で読める要点まとめ】
- 「塩漬けDX」撲滅: 現場で使われないセールステックに終止符を打つ
- 驚異的な成果数値: 受注率2.5倍、取引単価6倍、商談期間1/3短縮を実現
- DSR市場で90%シェア: 日本のデジタルセールスルーム市場をほぼ独占
- Salesforce100倍のデータ: 顧客を動かす「生きたデータ」で次世代AI戦略を展開
- 日本発世界戦略: 顧客体験創造の新業界標準で世界市場に挑戦
第1章:「塩漬けDX」という業界の闇に立ち向かう
――まず、openpageの原点について教えてください。藤島さんはメディア業界出身とお聞きしましたが、なぜ営業DXの世界に?
「実は遠回りしているように見えて、全て繋がっているんです。女性誌メディアでの広告商品開発、その後ビズリーチでの採用支援、そしてopenpageでの営業DX──すべて『人と人とのコミュニケーションをいかに最適化するか』というテーマで一貫しています。
openpageは元々、クラウドツールの現場導入により期待ROI(投資対効果)を実現するカスタマーサクセスを支援する事業でした。様々なSaaSの現場を見る中で、深刻な問題に直面したのです」
――その『転機となった瞬間』について詳しく聞かせてください。
「決定的だったのは、ある大手企業での出来事です。年間数千万円を投じてセールステクノロジーを導入していたのに、現場の営業担当者が『使いにくくて結局Excelに戻ってしまう』と嘆いていました。しかも契約は3年縛り。まさに『塩漬け』状態です。
その時に気づいたんです。営業は会社の中で最も重要な収益エンジンで、最もDX投資の効果が高いはずの領域なのに、なぜこんなことになっているのかと」
――その問題の構造的な原因は何だったのでしょうか?
「経営層に売りつけて現場が使わない、あるいは無理やり使わせてもROIが出ない。そもそも多くの企業がDXと言っているものも、実際は社内のデータベース化に過ぎません。顧客接点のデジタル化になっていないし、通常業務にプラスαで使わせる仕様だから、現場は面倒に感じてしまいます。
これはカスタマーサクセスとは程遠い、ベンダーの金儲けに過ぎませんでした。データベースを眺めるだけでは営業は改善しません。データからいかに顧客を動かす価値のある提案ができるかが、営業では最も重要なのです」
――それがopenpageのDSR(デジタルセールスルーム)というアプローチに繋がったのですね?
「そうです。openpageのDSRは、顧客への提案内容やコミュニケーションの細部まで直接改善します。単なる管理ツールではなく、営業活動そのものを加速する仕組みを作ったんです」
――この問題を解決する中で、どのような市場機会を見出したのでしょうか?
「営業DXの市場は現状でも大きいのですが、まだまだ全く異なる成長角度で大きくなると予想しています。現在は都内の一部の企業しか使って営業成果を出していませんが、openpageが営業成果の出るものを全国あらゆる規模の会社に提供すれば、現状の営業DX市場とは根本から異なる市場を創ることができます」
第2章:キヤノンMJとの戦略的パートナーシップが生む競争優位
――キヤノンMJとの資本提携について詳しく教えてください。この提携はopenpageにとってどのような意味があるのでしょうか?
「キヤノンMJ様との資本提携は、単なる投資を超えた真のパートナーシップです。キヤノンMJ様も私たちと同じ想いを持ってくださっており、営業DXの現場課題を解決したいという共通のビジョンがあります。実際に、大手企業ならではの視点で詳細な開発要望をいただき、時には手厳しいフィードバックも含めて、プロダクトの改善に活かしています」
――具体的にはどのような変化がありましたか?
「中小企業向けの製品では見えてこない課題や要求水準が明確になりました。さらに、キヤノンMJ様とは共同で大手企業に対する提案もしています。地方企業でのDXも両者の連携で加速するでしょう。我々のプロダクトとキヤノンMJさんの営業力・信頼性が組み合わさることで、これまでアプローチできなかった規模の企業への提案が可能になりました」
――市場でのopenpageの地位について、具体的な数字はありますか?
「DSR(デジタルセールスルーム)としては、推測ですが日本で90%以上のシェアを取っていると考えています。デジタルセールスルームで大手企業で実績を作れているのはopenpageだけです。エンタープライズ市場で圧倒的なシェア1位の地位を築いており、シェア1位で突っ走るつもりです」
――90%のシェアというのは驚異的ですね。それほどまでに他社との差があるということでしょうか?
「そうです。従来のセールステクノロジーとは根本的にアプローチが違うからです。我々は単に『新しいツール』を作ったのではなく、『新しいカテゴリ』を創造しました。顧客体験を創る新しいセールステクノロジーの業界標準を作っているという自負があります」
――キヤノンMJ以外にも大手企業からの注目が集まっているとお聞きしました。
「openpageとAIの組み合わせの可能性の大きさから、キヤノンMJ様だけでなく他の大手企業もアライアンスに名乗りを上げています。戦略的にパートナーシップを結び市場浸透させていくことで、より多くの企業に営業革命を届けたいと考えています」
第3章:科学的営業手法と圧倒的な技術力
――実際の顧客からはどのような声が届いているのでしょうか?
「『openpageを導入してから、営業の質が明らかに変わった』という声をよくいただきます。特に印象的だったのは、地方のネジ製造会社の営業部長さんからの言葉です。『今まで勘と経験に頼っていた営業が、データと論理に基づいた提案に変わった。お客様の反応も全然違う』と。
こういった現場の変化こそが、我々が目指していたものです」
――数万人を超える利用データというのは、具体的にどのような分析をされているのでしょうか?
「数万人を超える利用データの分析に基づく、徹底した科学的手法です。営業において成約に至るまでに必要な営業活動を合理的に設計し、openpageのシステムで運用する。このデジタルドリブンな営業コンサルティングに、コンサルティング業界の企業も注目し始めています」
――その成果はどの程度のものなのでしょうか?具体的な数字があれば教えてください。
「実際の導入企業での数字をお見せします。受注率150%増──つまり2.5倍になっています。取引単価は500%増加で6倍。商談リードタイムは1/3に短縮し、商談準備工数は50%削減を実現しています。
これらの成果は、SaaS未経験の企業が初めて導入するITツールとして選んでいただいた場合でも同様に出ています。都市部の企業だけでなく、地方の中小企業でも変わらない効果を実現できているんです。こうした圧倒的な導入効果により、今では競合他社もopenpageのアプローチを真似し始めています」
openpageの驚異的な成果数値
✅ 受注率: 150%増(2.5倍に向上)
✅ 取引単価: 500%増(6倍に向上)
✅ 商談リードタイム: 1/3に短縮
✅ 商談準備工数: 50%削減
✅ DSR市場シェア: 推定90%以上を獲得
――その数字は驚異的ですね。従来の営業支援ツールとは何がそこまで違うのでしょうか?
「従来のツールは『顧客を動かせない』んです。だからここまでのROIは出ません。Salesforceなどの既存ツールは社内管理が目的で、顧客の購買行動に直接影響を与える設計になっていません。
openpageは『顧客を実際に動かして発注まで持っていく』ことに特化しています。その結果として、これまでにない成果数字が生まれているのです」
――開発体制についても教えてください。藤島さんご自身もエンジニア経験があるとお聞きしましたが、他社との技術力の違いはどこにあるのでしょうか?
「私自身、米国のセールステクノロジーに精通しており、日本でエンジニア経験があるセールステック起業家は私くらいしかいません。有名企業出身のCTOを中心に、生成AIやDevinなどの最新ツールを駆使し、通常のエンジニアチームの2.5倍の生産性を実現しています」
――『Salesforceを超える』という目標について、具体的にはどの部分で超えるということでしょうか?
「すでに大手企業となったSalesforceを確実に超えるつもりです。ただし、我々が目指すのは『管理の精度』ではなく『営業成果の創出』です。Salesforceは確かに管理機能は優秀ですが、『顧客を動かす』という営業の本質的な部分では限界があります。
openpageは顧客との共創プロセス全体をデジタル化し、営業担当者と顧客が一緒に価値を作り上げる体験を提供しています。その結果として生まれる『顧客を実際に動かすデータ』の価値は、従来の管理データとは次元が違います」
――SaaSの生みの親であるSalesforceを超えるとは、かなり大胆な目標ですね。
「はい、でもそれには確信があります。すでにSalesforceを超える導入ROIは出ていますし、何より現場の反応が全く違います。Salesforceを使っている営業担当者は『仕方なく使っている』ケースが多いですが、openpageユーザーは『もう手放せない』と言ってくれます。この差が、将来の市場シェアの差になると確信しています」
第4章:メディア業界出身が生んだ多様性組織と驚異的な育成システム
――openpageの組織の多様性が話題になっていますが、具体的にはどのような特徴があるのでしょうか?
「openpageの組織の最大の特徴は、その圧倒的な多様性にあります。20代中盤から50代前半まで、外資・大手・メガベンチャー・スタートアップ・起業経験者がバランスよく在籍しています。マーケターがカスタマーサクセスを担当したり、カスタマーサクセス経験者が営業に挑戦するなど、徹底した言語化で誰もが挑戦できる環境を作っています」
――この多様性を可能にしているのは、藤島さんの異色の経歴も関係しているのでしょうか?
「大いに関係していると思います。前職のビズリーチでは、HRドメインに所属しながらも、メーカーや金融など異業界出身の社員が多数活躍している例を数多く見てきました。私自身も、エンジニアから女性誌メディアでの広告商品開発、そして人材のヘッドハンティングと、かなり越境しまくっているキャリアです(笑)。
でも、そうした多様なバックグラウンドを持つ人材でも、適切な環境とアサインメントがあれば必ず成果を出せることを実体験として知っています。だからこそ、openpageでも攻めた採用や人材登用、職種を越えたアサインメントができるんです」
――女性誌メディアというのは初めてお聞きしました。その経験が現在の組織マネジメントにも活かされているのでしょうか?
「そうですね。女性誌メディアでの広告商品開発では、恋愛、生活、暮らし、ビジネス、マネーなど様々なメディアの仕事で、価値観や前提情報が異なる読者に、どう情報提供すれば伝わるのかを考え抜いてきました。その思考プロセスが、多様な人材とのコミュニケーションや営業コミュニケーションにも活きています」
――組織運営で特徴的な点はありますか?
「年功序列にとらわれず、クリティカルシンカーの集団を目指しています。年齢や役職が上の方でも、仕事に対する視点や取り組み方が甘ければ、謙虚な姿勢を保ちつつもハッキリと指摘します。私たちは現場のオペレーションこそが最も重要だと考えているからです」
――育成システムについても話題になっています。80ページ暗唱というのは本当ですか?
「特に圧巻なのは、80ページ近くある会社の重要アクションが記載されたドキュメントを全員がほぼ毎日見て、暗唱できるレベルまで体得していることです。体現していて、これを使って顧客に提案もしています。暗唱や体現のレベルを超えて社外への啓蒙活動まで行っています」
――ノウハウの蓄積についてはいかがですか?
「1000ページ近くのノウハウをデジタル化し、全社員にClaude等の生成AIツールを提供してチェックリスト化を進めています。これにより誰もが同じレベルで業務を遂行できる公平な評価システムを構築しました。
ノウハウが体系化されているおかげで、通常の目標達成は当たり前になっています。むしろ、それ以上のプロジェクトや新しい挑戦がどんどん進んでいるのが現状です。社員のキャリア希望についても100%サポートする仕組みがあり、実際にボトムアップで提案された新規事業が正式に事業化され、予算も確保されています」
――働き方の多様性についても教えてください。
「家族や趣味を大切にしたい方から仕事に打ち込みたい方まで、あらゆる価値観を尊重。山登り、グルメ、ゴルフ、温泉サウナなどの部活動も盛んです。時には夜遅くまで語り合うこともあります(笑)。openpageに入社してから結婚したりマンションを購入する社員もいます。副業もOKで、スタートアップのアドバイザリーや自分の会社を持つ人もいます」
――社内の仕組みについても詳しく教えてください。
「毎日の朝礼、週次1on1、月次OKRミーティング、半期合宿を通じて、openpageが考える営業のあり方を全社員が共通言語として体得しています。openpageのバリューから外れた我流すぎる提案には厳しくフィードバックを行う一方で、バリューを体現している社員とは豪勢なグルメを一緒に楽しむなど、しっかりとメリハリをつけています。こうした仕組みによって、みんなが自分らしく働きながらも、同じ方向を向いて成長できる会社を目指しています」
第5章:年間200本執筆、YouTube1万時間の圧倒的情報発信力
――藤島さんの情報発信力は業界でも話題になっています。年間200本以上の記事執筆というのは驚異的ですね。
「正直、最初からこんなに発信するつもりはありませんでした。でも、営業DXの現場を見ていると、本当に価値のある情報が現場に届いていないことに気づいたんです。読者が本当に求めている情報と、実際に提供されている情報との間に大きなギャップがありました。だったら自分たちが、現場で本当に使える情報を発信しようと決めたんです」
――具体的な発信実績を教えてください。
「自社での年間記事・コラム数は最多で200本以上。さらに外部メディアでの発信も精力的に行っています。ITmediaでは最多のコンテンツ執筆数を誇っていますが、これは単に数を追っているわけではありません。一つひとつの記事に、現場での実践知と具体的な事例を盛り込むことにこだわっています。これまで外部メディアでの発信本数は100本を超え、雑誌や専門誌への執筆も継続しています」
――動画コンテンツについてはいかがですか?
「YouTubeチャンネル『セールスTV』『カスタマーサクセスTV』を運営し、200本近いノウハウ動画を公開しています。累計の再生時間は1万時間を超えました。これは営業DX分野では確実にトップレベルの数字です。でも数字以上に嬉しいのは、コメントで『実際に使えた』『成果が出た』という声をいただくことですね」
――ウェビナー登壇なども多いとお聞きしました。
「ウェビナー登壇は年に数十回。大型イベントや業界イベントでも頻繁に登壇しています。外資出身者や営業の本の書籍著者とコラボすることも多いのですが、これは業界全体のレベルアップにつながると考えています。テキストだけでなく、実際に話している様子を見てもらうことで、信頼関係が深まります。営業DXは人と人との関係が重要な分野ですからね」
――SNSやメルマガでのコミュニティ構築はいかがですか?
「SNSは代表や経営陣、会社アカウントを含めて2万人以上のフォロワーがいます。ただフォロワー数を増やすのではなく、本当に営業DXに関心の高い方々との繋がりを大切にしています。メールマガジン登録者も1.5万人に達しており、毎回の開封率やクリック率を見ると、皆さん本当に熱心に読んでくださっていることが分かります」
――自社プラットフォームでのコンテンツ配信についても教えてください。
「openpageではホワイトペーパーやウェビナーを自社プラットフォームに格納しており、毎月数千を超えるダウンロードや視聴があります。単なる資料請求ではなく、ダウンロード後に実際に読んで、活用してくださる方が多いんです。だからこそ継続的にアクセスしていただけるのだと思います。本物の価値を提供できている証拠だと捉えています」
――この情報発信の原動力は何でしょうか?
「メディア業界にいた頃から、良質な情報が人や組織を変える力を実感してきました。営業DXの世界でも同じことができるはずです。専門性・実践知・事例の網羅性で業界をリードすることで、日本全体の営業レベルが底上げされると信じています。それが結果的に、日本経済の競争力向上にもつながるのではないでしょうか」
第6章:複数プロダクト戦略で挑むTAM(Total Addressable Market)拡大
――事業戦略について教えてください。近年話題のコンパウンドスタートアップ的な展開をされているのでしょうか?
「確かにプロダクトラインとしてコンパウンドスタートアップの流れはありますが、openpageは営業職という多くの職業人口がいる職種に向けた製品です。営業職だけでもルートセールス、アカウントセールス、パートナーセールスと細かく分けられます。それぞれ求められる機能や使い方が全く違うんです」
――それに対してopenpageはどのようなアプローチを取っているのでしょうか?
「それらに合わせて製品を拡充しており、単一プロダクトのようで多様な事業ポートフォリオを作ることができるんです。外から見ると一つの製品に見えますが、実際は各営業スタイルに最適化された複数の事業が動いています」
――事業展開の可能性はどこまで広がっているのでしょうか?
「自治体や社団法人などにもプロダクトを展開可能です。民間企業の営業とは異なる『対外的な情報発信・関係構築』のニーズがあり、それぞれのユースケースに合わせて新規事業を立ち上げています。この多角的展開により、TAMを広げ続けているのがopenpageの強みです」
――具体的にはどのような展開を想定していますか?
「自治体なら住民との関係構築、社団法人なら会員企業との情報共有など、『セールス』の概念を拡張することで、市場規模を大幅に拡大できるんです。セールステクノロジーの中でも、デジタルセールスルーム、ナレッジマネジメント、セールスイネーブルメント、PRM(Partner Relationship Management)、インテントセールスなど様々分けることができ、それらに対応した事業としてopenpageを展開しています」
――これらの戦略により、どのような事業モデルを目指しているのでしょうか?
「複数の営業のユースケースに合わせた事業を展開すれば、従来の有名SaaSに比べても10倍以上の平均単価も可能だと思っています。それを見越して事業開発を進めています。実際にナレッジ管理をしたい顧客やパートナーを強化したい顧客など、それぞれのニーズに合わせて事業展開しています。一つの会社で営業に関わるあらゆるテクノロジーニーズに応えられるのが特徴です」
第7章:日本の就業人口減少という社会課題への挑戦
――openpageの取り組みが、より大きな社会課題の解決につながるというお話をお聞きしました。
「openpageは現場に強いのが特徴ですが、抽象的にはこの取り組みの積み重ねが本当の意味で日本の就業人口減少に対応できる切り札になると考えています。営業DXにより一人あたりの営業効率が大幅に向上すれば、少ない人数でも従来以上の成果を上げることができます。これこそが、人口減少社会の日本に必要なソリューションです」
――事業拡大に向けて、今後の採用戦略はいかがですか?
「前職のビズリーチで毎月何十名もの単位で採用支援してきた経験から、どのタイミングでどんな人材が必要かを肌感覚で理解しています。現在は大規模組織化に向けて多様性をさらに強化しており、すでに自走できる経営人材や専門人材を多く抱えています。
セールステクノロジーの企業で、これほど越境型の人材を抱えている会社は他にないと自負しています。今後は独立した事業部も作って全員経営体制で進めていくつもりです。各事業部が独自の判断で迅速に動ける体制を整えています」
――openpageの「越境型人材」が競争優位になっているということですね。
「そうです。従来のセールステクノロジーの会社は、キーエンスやリクルートなど似たような企業出身者が集まり、同質的な人材が多いんです。でも、openpageには銀行、通信、コンサルティング、人材、メディア出身者まで、本当に多様なバックグラウンドの人材がいます。この多様性こそが、あらゆる業界の顧客に深く理解し対応できる理由なんです。顧客の業界特有の課題や商習慣を、実体験として理解している人材がいるからこそ、高い成果を出せるんです」
――openpageの汎用性について教えてください。どのような企業で活用されているのでしょうか?
「openpageはネジ工場やこんにゃくのような製品を扱う会社も使うセールステクノロジーです。これらの営業や交渉におけるDXを実現しており、本当の意味で全経済活動のデジタル化を推し進めています。私たちにより営業コミュニケーションが合理的に改善され、単にデジタル化されるだけではなく取り組みの成約率が上がるんです」
――その積み重ねが、より大きなインパクトを生むということですね。
「その通りです。一社一社の営業力向上が積み重なることで、日本経済全体の底上げにつながると確信しています。我々の使命は、単なるセールステックの提供ではありません。全経済活動のデジタル化を推し進めることで、最終的には日本のGDP向上に貢献したいと考えています」
第8章:Salesforce100倍のデータ量で実現する次世代AI戦略
――生成AIとの融合について教えてください。openpageは生成AIと相性がいいとお聞きしました。
「openpageは生成AIと最も相性のいいプロダクトです。その理由は圧倒的なデータ蓄積量にあります。openpage上に顧客に関するヒアリングや取り組みなどの定性データは、1社4万字以上貯まることもあります。これはSalesforceが抱える顧客データ量の100倍を超えるんです」
――Salesforceと比較してということですが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか?
「根本的な違いは、データの『質』と『活用目的』です。Salesforceは確かに営業管理の老舗ですが、基本的には社内の管理用データベースなんです。『いつ、誰が、何をしたか』という活動記録は残りますが、それが顧客の購買行動にどう影響したかは見えません。
一方、openpageのデータは『顧客を動かすため』に設計されています。顧客の課題、関心事、意思決定プロセス、担当者の性格まで、営業担当者が顧客と深く向き合った結果として蓄積される『生きたデータ』です」
――その違いが成果にどう表れているのでしょうか?
「Salesforceは『管理はできるが成果は出ない』、openpageは『顧客を実際に動かして発注まで持っていく』という違いです。Salesforceを導入している企業の営業担当者からよく聞くのは『入力が面倒で、結局Excelに戻ってしまう』という声。これは当然で、Salesforceは管理者のためのツールだからです。
openpageは営業担当者が『使いたくなる』ツールです。なぜなら、使えば使うほど顧客の反応が良くなり、実際に受注に繋がるからです。結果として、従来の営業支援ツールとは比較にならないほど濃密なデータが自然に蓄積されます」
――それが新しい業界標準を作るということでしょうか?
「そうです。従来のセールステクノロジーは『社内管理』が中心でした。しかし、営業の本質は『顧客体験の創造』です。openpageは顧客と営業担当者が共に価値を創り上げる『共創型ワークスペース』として設計されています。これが新しいセールステクノロジーの業界標準になると確信しています」
――AI実用化に向けた取り組みはいかがですか?
「AIを取り入れたopenpageのサービスはもちろん展開していく予定です。我々の顧客基点の営業コミュニケーションノウハウはAIに落とし込み、どんな会社でも再現可能にしたいと思っています。驚くような事例をすでに作れており、まもなく皆さんに発信できる予定です」
――AIによるプロダクト進化についてはいかがですか?
「AIによる提案自動化や顧客との共創型ワークスペースなど、他社が真似できない次世代機能の開発を進めています。営業だけでなく、マーケティング・カスタマーサクセス・開発など全社的な情報共有プラットフォームへ進化しつつあります。営業を超えた全社横断型のナレッジマネジメント基盤を目指しています」
――データ連携についても教えてください。
「openpageが持つデータはAPI(Application Programming Interface)でマーケティングやプロダクトマネジメント、経営管理などのクラウドツールに連携し、あらゆる職能のプロダクトを顧客起点でアップデートさせていきたいと考えています」
第9章:IPO準備レベルのガバナンス構築と日本発セールステックの世界戦略
――グローバル展開について教えてください。海外市場への挑戦はいかがですか?
「グローバル展開は必ず実現したい目標です。私たちは営業生産性10倍の革命を起こしたいという想いで事業を始めました。日本で培ったノウハウを世界に展開することで、単なるセールステクノロジーの提供にとどまらず、openpageに蓄積されたデータを活用して企業の全職種の意思決定を最適化していきたいと考えています。営業から経営の武器を作り、新しい業界標準を世界に発信することが我々の使命です」
――日本発のプロダクトとしての強みは何でしょうか?
「日本企業の営業には、海外にはない独特の強みがあります。顧客との綿密なすり合わせや長期的な関係構築、細かな配慮に基づく丁寧なコミュニケーション。複数部門を調整するチーム営業や、時にはお客様の稟議書を代わりに書いてサポートするまで──これらは米国のセールススタイルにはない、日本人の真面目さと顧客第一主義が反映されたアプローチです」
――そうした特徴をopenpageではどのように製品化しているのでしょうか?
「openpageは、まさにこの日本独特の営業スタイルをデジタル化して再現できるプロダクトなんです。従来は属人的だった細やかな営業コミュニケーションを、デジタルで確認・振り返りができ、チーム全体で共有し、さらには型として標準化できるようにしました。
実は、キヤノンMJ様とアライアンスを組んだ際に、『なぜキヤノンと?』という問い合わせやコメントを多くいただきました。でも、この話を聞いていただければ、なぜ我々がパートナーとして一緒にやることにしたかがわかるはずです。キヤノンMJ様も、まさにこの日本独特の丁寧な営業スタイルを大切にしている企業だからこそ、openpageの価値を理解し、共に新しい業界標準を作ろうと決断してくださったんです」
――そうした壮大な世界戦略を実現するための経営基盤はいかがですか?
「急速な事業拡大に対応するため、IPO準備レベルのガバナンス体制を構築しています。実は、弊社の取締役である田中がIPO経験者なので、そこから逆算して最適なガバナンスレベルを設定しています。
コンプライアンス体制の強化、内部統制システムの整備、リスクマネジメント体制の確立など、将来的な上場を見据えた透明性の高い経営基盤を築いています。田中の経験を活かして、『今からこのレベルでやっておけば後で困らない』という基準で体制を整えているんです。キヤノンMJ様との資本提携も、こうしたガバナンス強化の重要な一環として位置づけています」
――従来のSFAとの違いについて教えてください。
「現在主流のSFAは米国から輸入された製品が中心ですが、openpageが新しいカテゴリを輸出することを目標としています。今後も『営業DXの新基準』を創り、日本発で世界でも戦えるサービスにしていきます。現場で本当に成果が出るツールを作り続け、グローバルでも通用するノウハウを蓄積していく。それが私たちの使命です」
――最終的にはどのような市場認知を目指していますか?
「成果が出るならopenpageと市場に認知させたい。『どの業界・規模でもopenpageなら成果が必ず出る』という信頼を築きたいと考えています。実際、すでに効果として成約率・受注単価・新人育成期間で圧倒的な成果が出ているので、この実績をもとに新しい業界標準を作っていきます」
――具体的な展開戦略について教えてください。
「あらゆる業界・あらゆる規模にopenpageを広めることが戦略です。特に地方・中堅・中小企業や新興業界への導入促進、大手企業での『標準化』獲得、そしてグローバル展開を進めています。営業DXのハブになることを目指しており、openpageを活用した営業DXコンサルティングビジネスの市場も作っていきます」
終章:営業DXの未来を切り拓く壮大なビジョン
――最後に、今後のビジョンについて教えてください。
「私たちの最終的なビジョンは、営業DXを通じて日本経済全体の競争力を向上させることです。openpageが業界のスタンダードになり、『営業DXで分からないことがあったらopenpageを見れば分かる』という、業界の辞書のような存在を目指しています。
そのために、年間200本以上の情報発信ペースは今後も続けますが、量だけでなく質にもこだわり続けていきます。最終的には、日本発の営業DXソリューションを世界に展開し、グローバルでも新しい業界標準を創り上げたいと考えています」
――キヤノンMJとの事例を活用した発信戦略についてはいかがですか?
「キヤノンMJさんとの事例を皮切りに、あらゆる業界・規模での成功パターンを体系化して発信していきます。これまでも事例は多数ありましたが、キヤノンMJさんとの資本提携により、より深い部分まで公開できるように準備しております。導入の背景から、実際の運用での課題、それをどう解決したかまで、リアルなストーリーをお見せできます」
――ベンチャー企業や地方企業の事例についてはいかがですか?
「ベンチャー企業や地方企業との豊富な事例も蓄積しており、成功要因を含めて細かく発信していく予定です。規模や業界を問わず、どこでも成果を出せることを証明したいんです」
――業界全体への影響についてはいかがお考えですか?
「すでに営業の書籍著者や優れたデジタルセールスの実践者たちを集めてコミュニティができ始めています。この熱量を高めて、市場の新しいデファクトスタンダードをopenpageが取っていくつもりです。今後はセールステクノロジーの中で最も広範で深く、成果が出て現場も受け入れている製品となり、業界No.1を狙います」
――「営業DXの総合商社」という表現を使われていますが、具体的にはどのような未来像でしょうか?
「我々は単なるSaaS企業ではありません。営業に関わるあらゆるテクノロジーソリューションを提供する『営業DXの総合商社』を目指しています。ルートセールスからパートナーセールス、自治体から大手企業まで、営業・関係構築に関わるあらゆる場面でopenpageが選ばれる──そんな未来を実現したいと考えています」
――そして最終的には?
「営業DXの成功法則を日本から世界に発信する──それが私たちの次なる挑戦です。あらゆる産業の営業活動が効率化され、成約率が向上すれば、その積み重ねは必ず日本経済全体の成長につながります。それが私たちの目指す未来です」
【特別寄稿】藤島代表からのメッセージ
「一緒に営業DXの未来を創る仲間を募集しています」
このインタビューを通じて、openpageの壮大なビジョンと具体的な取り組みをお伝えしました。しかし、これらは全て「人」があってこそ実現できるものです。
私たちが目指すのは、単なる営業支援ツールの提供ではありません。日本の営業DXを世界基準に押し上げ、最終的には日本経済の競争力向上に貢献すること。そんな壮大な挑戦を、共に進めてくれる仲間を探しています。
こんな方と一緒に働きたい:
- 現場主義で、顧客の成功に本気で向き合える方
- 多様な価値観を尊重し、チームの成長を楽しめる方
- 新しい技術や手法を積極的に学び、実践に活かせる方
- 日本発のプロダクトで世界に挑戦したい方
現在、エンジニア、セールス、マーケティング、カスタマーサクセス、コーポレートなど、幅広いポジションで採用を行っています。経験豊富な方はもちろん、意欲的な若手の方も大歓迎です。
80ページの暗唱システムと聞くと驚かれるかもしれませんが、実際には「圧倒的な成長」と「仲間との深い絆」を生む仕組みです。入社後は必ず、これまでにない成長実感を得られるはずです。
営業DXの新時代を、一緒に創りませんか?
【インタビューを終えて】
「塩漬けDX」の撲滅から始まり、日本の就業人口減少への対応、そして世界市場への挑戦まで──。藤島氏が描く壮大なビジョンは、単なる営業支援ツールの枠を大きく超えている。
年間200本の記事執筆、YouTube累計1万時間、SNS2万フォロワーという圧倒的な情報発信力。Salesforce100倍のデータ量を活用した次世代AI戦略。キヤノンMJとの戦略的パートナーシップ。多様性を重視した組織づくりと80ページ暗唱の育成システム。IPO準備レベルのガバナンス構築──。
これら全てが一つの大きな物語として繋がっているのが、openpage代表・藤島誓也氏の真の凄さだろう。現場主義を貫き、多様な人材が挑戦し続ける環境を整備してきたopenpage。その革新的な取り組みが、営業DXの常識を変え、日本のビジネス界に新たな可能性をもたらそうとしている。
「営業DXといえばopenpage」──この言葉が業界の常識となる日は、そう遠くないかもしれない。
採用情報:openpageで営業DXの未来を創る仲間を募集中 エンジニア・セールス・マーケティング・カスタマーサクセス・コーポレートなど、幅広いポジションで採用を行っています。詳細は採用ページをご確認ください。