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オフィス移転|「働く」をテーマに活動するOKANの「働く」と「オフィス」の考え方


「働く人のライフスタイルを豊かにする」をミッション・ステートメントに掲げ、その手段として「オフィスおかん」や「ハタラクカルテ」を運営している株式会社OKANですが、2022年1月31日より新オフィスでの営業を開始しました。

今回のオフィス移転はオフィス面積を約半分に減らす移転であり、その背景にはさまざまな私たちOKANなりの意志があります。オフィスと自宅のハイブリッドワークを前提とした「OKAN流ABW」に則ったオフィスデザインについても紹介させていただきます。

また、今回のオフィス移転は環境への影響も考慮した「リユース型オフィス移転」にチャレンジしていますので、こちらも紹介させていただきます。

OKANの「働く」ことの考え方

「働く」にまつわるミッション・ステートメントを掲げていることもあり、私たち自身も私たちなりの「働く」を考えていく必要があります。一方で、全てを補うことや全てをルール化することは現実的ではありませんので、まずは細部ではなく抽象度の高い基本的な思想や概念を明確にすることが必要だと考えます。

OKANでは、以下の思想を根底に置き、制度の設計やオフィスの設計を行っています。

働ける前提(選択肢)をつくる

私たちの事業活動は、企業理念や文化、事業内容や職務内容とは違った仕事以外のこと(専門用語では「ハイジーンファクター」に該当することを主に指す)が理由で「働くことができない」「働き続けることができない」とならないよう、様々な形で「働くこと」や「働き続ける」ことを支援できるよう取り組んでいます。

私たち自身も、育児や介護などの家庭との両立や健康との両立といった「ハイジーンファクター」が理由で「働き続けることができない」となってしまわないよう、その選択肢を増やせるための支援は積極的に行うようにしています。

自律

一方、働く人の全てのニーズに応え、何から何まで全て支援することが正しいとは考えていません。働くことができる環境に置かれている限りは、各自がプロフェッショナル意識を持ち、各自の最大限の努力や貢献を期待していますし、環境整備以上の過剰な支援や投資は本質的ではありません。

そのため、OKANでは「働ける前提(選択肢)をつくる」ための投資を中心に行うようにしており、制度やルール設計についても、主体性や能動性、そして「自律」を前提とした性善説に基づくルール設定や可能な限り柔軟なルール設定を心がけています。

機会と責任

企業に属する従業員と雇用主となる企業の関係性は、常に「フェア」であるべきです。双方が要求し合うことは健全ですが、例えば権利だけを主張することや責任を放棄することなど、バランスの崩れた要求や関係性はそのチームの継続的な運営を困難にします。

選択肢を増やす、性善説や柔軟なルール設定、これらは一見自由に感じられるものもありますが、そこには必ず各自の責任と自律が伴います。一つの目的を達成しようと様々なバックグラウンドのメンバーが集まり、ダイバーシティや自主性を大切にし、プロフェッショナルに成長し成果を上げることを目指しているからのチャレンジです。

オフィスに求める機能とOKAN流ABW

自席を持ち、その席で全ての業務を行うという常識から、オフィスの在り方も日々変わっていっています。OKANでも、フリーアドレスやアクティビティ・ベースド・ワーキング(ABW)など色々な形にチャレンジしてきていますが、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、オフィスに求める役割や機能の変化が加速しているため、オフィス移転とオフィスの再設計が必要だと判断しました。またその結果、必要なオフィス面積についても見直し、今回のオフィス移転はオフィス面積を約半分に減らす移転となっています。

コミュニケーションハブ

新型コロナウイルス感染症の蔓延を期にOKANでも在宅勤務が一般的になり、最大9割以上のメンバーが在宅勤務をするまでに至りました。その過程で在宅勤務のメリットが明らかになり、私たちの働き方にもなくてはならないものになっています。主に効率や負担軽減の観点でのメリットです。

一方でデメリットも顕在化しました。全ての業務が定常化しており、いかに効率的にこなすかだけを考えるのであれば問題ないのですが、そこにクリエイティビティを求めようとすると色々なメンバーとの出会いや会話が必要になります。加えて、人員増加や事業拡大に伴ってチームが常に変化していく企業においてチームビルディングの要素も欠くことはできませんが、その難易度の高さもデメリットとしてあげられます。

つまり、在宅勤務を選択できる企業において、企業がオフィスを必要とするのはクリエイティビティやチームビルディングを実現するためであり、そのための投資としてオフィスの役割や機能を考えていく必要があるわけです。その中でもとりわけ「コミュニケーション」をどのようにデザインするかが重要なので、コミュニケーションハブとしてオフィスをどう機能させるかを考えることになります。

旧オフィスでも新オフィスでもコミュニケーションハブとして機能するエリアを複数設定
(画像は新オフィス「台所」エリア)


オフィスも自宅も一つのワーキングゾーン

OKANでは、2019年に移転した前オフィスで「アクティビティ・ベースド・ワーキング(ABW)」を取り入れた働き方にチャレンジしていました。これは、様々な職種と業務を抱える私たちにとって、全ての業務を一つの座席で行うことは非効率であり、業務や作業内容ごとにオフィス内に適する空間を設計したほうが効率的ではと考えたからです。ABWはオランダ発祥の考え方ですが、これが私たちの考え方に一致し取り入れるに至りました。ABWを取り入れる企業は国内でも増加しています。

ABWは10の活動分類とそれに対応する場所を用意することを基本としており、旧オフィスではその考え方を踏襲しています。

旧オフィスのABW活動分類・場所設定(ゾーニング)


2019年より約3年間、この基本的設計に基づきオフィス運営をしてきましたが、業態や事業内容、企業文化や組織システムによって発生する業務や行動が異なり、必ずしもこの10の活動分類が適するとは限らないことに気づきました。さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大に合わせてOKAN社内および社会的に普及した在宅勤務も考慮に入れた活動分類および場所設定が必要であると感じています。在宅勤務が一般的になったことで「自宅」という新しいオフィスが誕生し、いくつかの業務や作業内容は「自宅」というワーキングゾーンの方が効率的になったわけです。

結果として、OKAN流のABW活動分類・場所設定(ゾーニング)は6つとし再定義し直しました。

OKAN流ABWでは活動分類を6つに定義


OKANの新しいオフィスでは各場所(ゾーン)ごとに名称がついており、各場所は上記のABWゾーニングとリンクしています。なお、各場所の名称は多くを前オフィスから引き継いでいる愛着のあるものです。


    新オフィスのABWマップ (右下に記載の通り「自宅」もオフィスの一部と捉えている)


この新しいOKAN流ABWに沿って、固定席を持たず、業務や作業内容に合わせて場所を変えていく働き方を新オフィスでも行っていきます

ハーフアンドハーフを目指す

在宅勤務を選択できる企業において、最も難しい判断のひとつがオフィス出社と在宅勤務の比率をどう設定していくかという問題です。先述の通り、企業の業態や事業内容、企業文化や組織システム、フェーズによって異なりますが、少なくともOKANにおいてはオフィス出社も在宅勤務もどちらもメリットとデメリットがあり、どちらかだけに振り切るという選択はし難い状況にあります。

一方でこの判断の難易度を上げているのは、オフィス出社のメリットが目の前の業務の生産性や短期的な成果として見えづらく、全社最適や中長期的な視点をかなり意識して持たない限り、在宅勤務のメリットだけが重視されがちなところにあります。

結論として、OKANはオフィス出社と在宅勤務のどちらのメリットも享受するため、オフィス出社と在宅勤務の比率が50:50となるハーフアンドハーフを目指しています。しかし、厳格なルールを設ける形は一旦取りません。

これは先述した「自律」や「機会と責任」の考え方を大切にしているからです。その中でハーフアンドハーフを実現するためには、例えば目の前の業務に一人で行える作業が多いから大半は自宅でOKということではなく、一人ひとりが全社最適や中長期的な視点を意識し、まさに「自律」して意識的にコミュニケーションやコラボレーションの時間を作っていくことが求められているわけです。


オフィスではコミュニケーションや生まれやすい設計を重視
(画像は新オフィス「緑」エリア)

OKANの役割とSDGsに沿ったオフィス移転の形

今の時代を生きる私たちにとって、もう一つ考えなければならない重要なことがあります。オフィス移転の環境影響の観点です。企業活動においても当たり前のように「ESG」や「SDGs」が叫ばれるようになっている昨今、様々な活動をESGやSDGsの視点で考える必要があり、オフィス移転もその例外ではないと考えています。

市場を創る、前例を創る

そもそも私たちの活動やミッション・ステートメントは、例えば今まで日本では一般的ではなかった考え方や文化に対して新しい考え方や文化を提案し創っていくものだと思っています。そして私たちの現在の活動では特に、企業内の人事・総務や経営者の方に対するこのような提案活動が重要です。

ミッション・ステートメントに直接的に関わるものだけではなく、私たちは常に人事・総務や経営者の方へ新しい提案や前例の提供をしていくことを積極的に行っていくべきです。そういった意味で、働き方やワークプレイスに関する新しい取り組みにも私たち自身が積極的に取り組み、そこで得られたナレッジを共有しようとしています。

SDGsと考えるオフィス移転の課題

では、私たちはオフィス移転に際してどんな新しいチャレンジをするのがよいのか?そこで気になったのが、オフィス移転が想像以上に多くの木材・資材を消費し、加えて旧オフィスの多くの什器を廃棄してしまうことが多いことでした。無限ではない大切な資源を不要に消費することを避けるべきではないでしょうか?そして、木材や資材自体の資源だけではなく、これらを生み出すためには多くのCo2が排出されたり水を使用しているはずです。

SDGsの17の目標の中にも、「12. つくる責任 つかう責任」や「15. 陸の豊かさも守ろう」といった限られた資源を大切に扱うべき目標が設定されています。私たちの本業では例えば「3. すべての人に健康と福祉を」「5. ジェンダー平等を実現しよう」「8. 働きがいも経済成長も」「1. 貧困をなくそう」などの目標に向かって活動していますが、本業以外でも取り組むことができるものは最大限取り組みたいという考えです。

多くの企業に期待したいリユース型オフィス移転

今回のオフィス移転では、設計段階から最大限の資材をリユースしたいと代表である私自ら明言し、その前提でプロジェクトを進めていきました。結果として、新オフィスに使用している木材のなんと91.2%は前オフィスからのリユースでまかなうことができました。ただそのまま持っていくだけではなく、違った用途に転用するなど、可能な限り多くの木材をリユースできるよう工夫しました。


旧オフィスではクローズドな空間を作らないためゾーニングにこの様な木材を使用していた
(画像は旧オフィス「台所」エリア)

例えば、旧オフィスの「台所」というエリアで使用していたこちらの木材は、天井から吊ったり、ホワイトボードの受台にしたり、色々飾ることができる掲示棚にしたりと大活躍。実は、さらにもう一つ前の代々木オフィス時代からリユースしているものもあります。リユース型オフィス移転は、環境へのやさしさだけではなく、企業の歴史やストーリーを伝える媒介にもなるためとてもおすすめです。ぜひ多くの企業に「リユース型オフィス移転」に関心をお持ちいただきたいです。


木材を天井のライトや壁面の棚にリユース、テーブルやチェア、床材もリユース
(画像は新オフィス「麻の葉」エリア)


ホワイトボード下部のペン置きも旧オフィス木材のリユース、床材やちゃぶ台もリユース
(画像は新オフィス「企て」エリア)

さいごに

オフィス移転にあたって、私たちオリジナルな考え方を形にすることに尽力いただいたWIZUさん、オフィス探しからプロジェクトマネジメントまでサポートいただいたヒトカラメディアさん、その他移転プロジェクトに関わっていただいた多くの皆さまに感謝申し上げます。ありがとうございました。

私たちは社会課題解決のためにミッション・ステートメントを掲げ、最も大切にしているスタートアップです。現在、社会課題解決を目指し共にミッション・ステートメントの実現にチャレンジする仲間を募集していますので、興味をお持ちいただけた場合はぜひご連絡ください!かなり多くの職種で募集中です!

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強い想いから長文となってしまいましたが、最後までご覧いただきありがとうございました。

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