こんにちは。ニュートン・コンサルティングの田中と申します。
今回は私のニュートン・コンサルティングへの入社の決め手をお話させていただきます。
この記事は、以下にあてはまる方にぜひ読んでいただきたいと思います。
- 防災、環境問題や国際協力などの社会課題に興味がある
- 就職後にも社会課題に関わりたいが、どう仕事に繋がるかイメージがつかない
「防災」を軸に活動した大学生時代
地震や火山について学ぶべく東北大学へ進学
私が災害に興味を持つようになったきっかけは、東日本大震災です。
私は震災当時、茨城県に住んでいました。実家に大きな被害はなく、生活もすぐに元に戻りましたが、自分が住む隣の県の街並みが丸ごと失われている様子に衝撃を受け、自然災害についてもっと学びたいと思うようになりました。
そういった思いを胸に、地震や火山についてのメカニズムを学ぶべく、東北大学理学部地球科学系に進学しました。
フィールドワークなどを通じて、自分の好きな地学について学ぶ日々は刺激的でした。一方で、震災について知りたいと思ったときに文献やネットを調べることで得られる情報には限りがあり、データや写真だけを見て何かを知ったつもりになっている自分自身にも違和感がありました。
震災復興の活動に関わる中で芽生えた防災への当事者意識
そこで始めたのが震災復興に関わる学生団体の活動です。
東北沿岸地域を訪れ、地域のお祭りを手伝ったり、大学生向けのスタディツアーを企画したりと実際に住民の方や語り部の方と交流し、様々なお話を聞きました。
▲仙台の小学生を対象に、防災を学ぶイベントを実施した日の一枚
そういった活動に取り組む中で、私にとって最も印象的だったのは大川小学校での語り部の方からお話をうかがったことです。
宮城県石巻市の震災遺構である大川小学校では、東日本大震災後の津波により児童108名中74名・教員10名が亡くなりました。私が出会った語り部の方は娘さんを亡くされていて、自分の身は自分で守ることの重要性や災害は想像を遥かに超えてくること、津波の脅威を語ってくださいました。
そして最後にこんなメッセージを授けてくださいました。
「皆さんはここを悲劇の場所だと、教訓を学ぶべき場所だと仰いますが、私にとってはたった1つの大切な母校なのです。そして、それは皆さん1人1人にあるものと何ら変わりません」
私はこの言葉に衝撃を受けました。
それまでの自分は、「被災地」に、「震災遺構」に学びにきたという姿勢でその場に臨んでいました。それは学びに来た学生の姿勢としては間違っていなかったのかもしれません。
しかしながら、私はそこに今まで住んでいた人の思い出や震災が起こる前の暮らしを全く考えていませんでした。そして、その暮らしというのは自分が当たり前に過ごしてきたものと何ら変わらないことをそこで初めて実感しました。
災害大国の日本においては、誰しも、いつどこで自然災害に巻き込まれてもおかしくないと思います。それが分かっていたにも関わらず、私はどこかで「被災地」を自分とは切り分けられた「学ぶ対象」として考えていました。
大川小学校の語り部の方からお話を聞いたことで自然災害というのは当たり前の生活の延長線上にあって、いつ自分や自分の身の回りの人に降りかかってもおかしくないものであることを知りました。ここから防災・減災を自分が取り組むべき問題として強く意識するようになり、学生団体の活動の幅を緊急災害支援、防災授業、防災イベントの運営などに広げました。特に緊急災害支援では、2019年10月に発生した台風19号の被害を受けた宮城県丸森町や、能登半島地震で大きな被害を受けた石川県珠洲市での活動を行いました。
「防災はお金にならないからね」と言われ続けた就職活動
一貫して防災・減災の活動に取り組んできたので、そこに関わる仕事につきたいという強い想いがありました。
選択肢としては、研究者としてアカデミアの分野から貢献すること、官公庁や自治体に入り地域の避難計画の策定などに関わること、NPOで直接的な支援や防災・減災の普及活動に取り組むこと、そして企業への就職がありました。
防災・減災を仕事にすることを考えたときに、皆さんは最初にどんなことを思い浮かべるでしょうか?
やはり前者2つ、研究者としての就職や官公庁への就職がイメージしやすいと思います。私もそう考えていました。
しかしながら、自分でも論文を読んだり、様々な研究者の方とお話をさせていただいたりする中で、どれだけ研究成果が社会に還元されているのかに疑問を持ちました。研究を突き詰めていくことと、それを実際に社会実装していくことは別物であり、日々アップデートされていく研究成果をいかに還元していくか、その橋渡しを担うような役割を果たしたいと思うようになりました。
また、気象庁や国土交通省なども防災に関わる重要な機関だと思います。有事の際にはまさに中心となる組織ですし、社会全体を動かすような影響力もあります。
一方で、このまま官公庁に入ったところで自分に何か武器となるものはあるのだろうかと考えました。防災・減災という観点において、年々激甚化・多様化する災害への対応や受け手が分かりやすい情報発信の仕方など課題は山積しています。そこに対して有効な解決策を見出して、実行していくことは容易ではありません。何も引き出しを持たない状態で官公庁に入っていくことはファーストキャリアとしては違うのではないかと考えました。
第3の選択肢としてあったのがNPOへの就職です。実際に学生団体の活動の中で関わらせていただいた方も多くいましたし、直接的な防災に関われる魅力的な進路でした。しかし、その選択をしなかった背景には、私が尊敬するNPOの代表の方に言われたある言葉がありました。
「強い想いだけを持って地域を支援し、助成金がとれなくなった途端に離れていく団体は世の中にたくさんある。本当に何かの課題を解決したい、誰かに貢献したいと考えるならば、継続するということは想像している以上に重要なことなんだよ」
当時の私に照らして考えると、防災・減災の分野で貢献したいという想いはあるものの、継続するノウハウも実力もない状態でした。その段階で、NPOへの就職という形では本当の意味で貢献できる人間にはなれないと思いました。
そこで、企業に就職する決意を固め、就活を始めました。私が就活で重視していたことは3つです。
- 自分のビジョンである「防災・減災が当たり前に行われる社会の実現」に近づける会社であること
- 自分がやりたいと思ったことを実行し、継続できるだけの力がつけられる環境であること
- やっていることの社会的価値に対してしっかりと対価が支払われていること
上記を掲げて意気揚々と就活を進めていきました。大学生を対象にキャリアを考えるプログラムを運営していた経験もあったので、そういった繋がりも生かして色んな社会人の方に話を聞きに行きました。また、就活エージェントも複数社活用し、自分に合致する企業を探しました。しかしながら、多くの方に言われた言葉はこれでした。
「ビジョンとやる気はすごくいいと思うけど、防災はお金にならないからね」
あるエージェントの方にはこう言われました。
「防災でお金を稼ぐというのは難しいので、もう少し視野を広げてみませんか」
一般的に「防災は会社がビジネスとして取り組むものではなく、公的な機関が担うものである」と考えられがちです。その点は、もともと頭で理解はしていたものの、やはり悔しさがありました。
紹介いただく企業の多くは建設系の会社で、確かに防災に関われそうではあったのですが、私が最もやりたいのはハード面ではなくソフト面からの防災・減災です。そうなるとメインの事業の傍らで小規模でしか扱っていないところばかりで、自分の考えていることは高望みなのだろうかと考える日々でした。
なぜニュートン・コンサルティングを選んだのか
ピンとくる企業が見つからない中で、出会ったのがニュートン・コンサルティングでした。
ある就活エージェントの方に紹介いただいたことがきっかけでその存在を知りました。リスクマネジメントを専門としていて、なおかつBCP(事業継続計画)の構築支援にも強みがあるコンサル会社だと知り、興味が芽生えて説明会に行ってみたのです。
まず最初に心を掴まれたのは、代表の副島が話していた「息をするようにリスクマネジメントをする」という言葉でした。
何か特別な対応ではなく、当たり前のものとして、自然災害が起こることを前提として、備えることが理想だと考えていた私はこの言葉に強く共感しました。
また、もう1つ私が印象的だったのが、MISSIONに「お客様の役に立つ」を掲げ、リスクマネジメントをあくまで目標達成のツールとして捉えている点です。
私は防災のための防災ではなく、豊かに生きるための防災こそ重要であると考えています。
命を守るというのはもちろん大切です。しかしながら、命を守ることだけをゴールに置いてしまうと、マイナスを出さないためだけの対策になってしまい、なかなかその優先度を上げることができないと思います。
一方で、豊かに生きる、自然と上手く付き合っていくことをゴールにおけば、自分達にもメリットを見出しやすくなり、より協働がしやすくなると考えています。そういった私自身の考えとニュートンの価値観が合致したことが入社を決める大きな要因になりました。
入社後には、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の実現について、ただ掲げるだけではなく、社内でMVVに沿った活躍をした人を共有し合う仕組みがあったり、カンパニー単位で「お客様の役に立つ」とは何かを考える場が設けられたりと、きちんと制度に落として文化を根付かせていることを実感し、改めてこの会社に入ってよかったと感じました。
入社2年目の現在地
ニュートンでの勤務も2年目に突入しました。私は入社以来、食品製造業の企業様を中心に、BCPやBCMの側面からご支援しており、お客様の「あの時、もっとこうしておけばよかった」をなくせるように、日々奔走しています。
学生時代に地震や火山の研究を重ねきた経験も、業務で活かすことができています。例えば、お客様先での富士噴火訓練では、噴火による被害想定などについてレクチャーさせていただく場面もあります。
このように、入社時に思い描いていたとおり、お客様が実効性のある防災を実現できるよう邁進することができています。高い理想を掲げながらも、着実にそれを目の前の行動に落とし、業績も伸ばし続けているニュートンは私にとって誇りを持って働けている場だと言えます。
防災・減災が当たり前に行われる社会の実現に向けて、私はこれからも、ニュートン・コンサルティングで自分の力を最大限に発揮していきたいと考えています。
以上、「防災はお金にならないと言われ続けた私がニュートンを選んだわけ」でした。
皆様が進路を検討される上で何かの参考になりましたら幸いです。