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【事業責任者インタビュー】コロナ禍で活躍!行政のデジタル化を実現した『母子モ 子育てDX』の秘訣

母子手帳アプリ『母子モ』は、2015年からスタートした、母子の健康データをスマートフォンやタブレットで簡単に記録・管理できる電子母子手帳サービスです。

現在では400以上の自治体で導入され、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、自治体と子育て世帯をつなぐツールとしてさらに注目されています。

2020年8月には、自治体の子育て関連事業のデジタル化を支援するサービス『母子モ 子育てDX』を新たにスタートし、現在ではコロナ禍での需要も高まり40以上の自治体で導入されています。

第二弾となる今回は、『母子モ 子育てDX』の開発背景や、行政におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の秘訣について、エムティーアイ ヘルスケア事業本部 執行役員である宮本大樹に聞きました。

▼インタビュー第一弾はこちらから

【事業責任者インタビュー】400以上の自治体に導入される母子手帳アプリ『母子モ』、誕生から現在までの軌跡 | 株式会社エムティーアイ
母子手帳アプリ『母子モ』は、2015年からスタートした、母子の健康データをスマートフォンやタブレットで簡単に記録・管理できる電子母子手帳サービスです。 現在では400以上の自治体で導入され、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、自治体と子育て世帯をつなぐツールとしてさらに注目されています。 ...
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コロナ禍により急ピッチで開発が始まった「オンライン相談サービス」

―新型コロナウイルス感染症(以下、「コロナ」)の影響はありましたか?

宮本:コロナは、『母子モ』にとっても大きなインパクトがありました。

自治体では、感染リスクを心配して庁舎に来ない保護者が多くなり、どのようにしたら情報を届けられるのかが課題になっています。

子育て世帯も、母親学級や両親学級、乳幼児健診などの支援事業の中止や延期が余儀なくされているので、子どもの成長や育児に関する相談などができず、不安な状態が続いています。

そのような中で、感染予防対策やイベント中止のお知らせなどの情報伝達手段として、『母子モ』を活用いただく自治体が増えています。


―自治体の子育て支援事業のオンライン化をサポートするサービス『母子モ 子育てDX』が2020年6月より発足し、「オンライン相談サービス」が8月にスタートしましたが、開発の契機となったのは、やはりコロナの影響だったのでしょうか?

宮本:『母子モ 子育てDX』のもととなる、住民、行政、医療機関の3者をつなぐサービスの構想は、実はコロナ流行前の2018年から走り始めていました。

コロナが流行しはじめた2020年3月ごろには、まだ「オンライン相談」のサービス開発は、予定していませんでした。

しかし、子育て関連のイベントや教室の開催が難しくなっているのではないかという予想のもと、自治体にヒアリングした結果、やはりニーズがあることが分かりました。そのため一刻も早く困っている子育て世帯をサポ―トしていきたい、という使命感のもと、急遽「オンライン相談サービス」の開発に着手しました。

子育て世帯や自治体の困っている状況を解決するために、約4カ月間で要件定義からテストまで完了させるのは、かなり大変でしたね…。

自治体も子育て世帯も困っている状況の中、双方が簡単に利用できるようなシンプルな機能設計を目指しました。

『母子モ』『母子モ 子育てDX』双方の開発に深く関わっている、行政向けサービスならではの“誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化”というビジョン※1 が、同じくオンライン相談サービス開発に大きなハードルとなりました。

このビジョンを実現するために、一人でも多くの方がオンライン相談機能を活用できることが必要なので、どうすれば実現できるのか非常に悩ましく、頭を抱えましたね(笑)

様々な制約がある中で、最終的には、自治体から『母子モ』を経由して専用URLを住民に送り、住民はそのURLをタップすることでオンライン相談機能が利用できるという、自治体と子育て世帯双方が使いやすい、シンプル設計を意識したサービスが完成しました。


自治体による子育て関連イベントが延期や中止になっているので、その事業は継続しつつも新たな手段で支援を実施でき、また子育て世帯の様子を確認できるツールとして、徐々に導入自治体も増えてきています。

コロナだけではなく、災害などの非常時にデジタルを活用することで、子育て世帯を救える場面ってたくさんあると思います。

自治体は子育て世帯に必要な情報を届け、見守ることができることによって、子育て世帯は安心ができるような状況を、常に保つことができれば素敵ですよね。

その役割を、これからも『母子モ』が担っていきたいと考えています。


最初から完璧はない。「母子モ 子育てDX」の導入もまずはスモールスタートから。

―デジタル庁発足の動きなど、行政も変化が生じていると思いますが、どうすれば『母子モ』『母子モ 子育てDX』の導入や、行政のDXが進んでいくのでしょうか?

宮本:今までの行政サービスの考え方は、完成品を納品し、それを継続的に使用していくことが一般的で、途中で仕様を変更したり新規機能を追加することはあまりありませんでした。

しかし、不確実性が高く、多様な形が尊重される、変化の激しい今の世の中では、そのような考え方は通用しなくなってきていると考えています。

例えば、行政が国民や企業に向けて提供しているサービスは、必ずしも利用者のニーズに沿っていない場合も多く、そのような状況を脱却するためにも、行政が利用者中心のサービス改革推進の考え方である「サービスデザイン思考」を取り入れることが推奨されていたり、昨今、政策効果の測定に重要な関連を持つ情報や統計等のデータを活用し、PDCAを繰り返すEBPM(=Evidence-Based Policy Making「エビデンスに基づく政策立案」)と呼ばれる考え方が着目されつつあります。

ただ、既存施策の実施方法を急に変更することは行政としても難しいと思います。

行政のDX化も、まずはできるところから始めてみるという、スモールスタートすることが大切なのではないでしょうか。

『母子モ 子育てDX』に関しても、いきなりすべて導入するのではなく、オンライン相談サービスから始めてみて、その後、予防接種、乳幼児健診など、自治体がDX化するために必要な事業をひとつずつ追加していき、最終的に全体のDXの実現を目指す、といったように、まずは一歩踏み出すことが大切だと思っています。当社としても、その支援ができるような商品パッケージにできるように進めています。

我々のような民間のICT企業をうまく活用してもらい、一緒に、少しずつ、DXの実現を目指していければと考えています。

とはいえ、自治体も限られた予算の中でDXの実現をしていく難しさもあるようです。

オンライン相談サービスに関しては、市区町村が実施するオンラインによる保健指導等の事業として令和2年度母子保健衛生費国庫補助金(令和2年度第二次補正予算分)交付の対象範囲となるため、導入時に補助金の活用もしていただければと思います。


―最後に、子育てに関わるすべての方へのメッセージをお願いします。

多様な社会であるからこそ、様々な子育て、教育、なりたい姿が存在していて、現在1,741ある自治体も、1,741通りの方法が存在すると思います。

『母子モ』は、どの自治体でも導入可能な統一したシステムとなっているので、低コストで導入しやすく、制度の変更などが生じた場合にも対応が可能です。このようなシステムを活用しつつ、自治体ならではの子育て支援の取組みについて情報発信機能を通じて伝えたり、『母子モ 子育てDX』を活用して子育てに係る手続きを簡単で便利にしていくなど、『母子モ』という統一した仕組みを活用することで、一億通りの夢が実現できる、そのような入口となるサービスにしていきたいですね。

そして何より、子育てに関わるすべての人が、楽しく子育てができる社会の実現を目指したいです。

デジタルの力で子育てにかかる負担を軽減することで、子どもとの直接的なコミュニケーションなど、子育ての喜びが感じられるように『母子モ』としてサポートしていきたいです。

そのために、部門発足当初からのミッションである“ICTを活用し安全・安心で簡便な子育て社会を実現する”を念頭に置き、地域の子育て社会に貢献していきたいと思います。



<母子モ 子育てDXについて>

ICTを活用し自治体の子育て事業のオンライン化を支援することで、環境の変化に合わせた新たな子育て支援の仕組みづくりや、より便利で安心・安全な子育て環境の実現をサポートするサービス。
URL:https://www.mchh.jp/boshimo-kosodatedx


<オンライン相談サービスについて>

自治体職員や助産師、保健師などと、妊産婦相談・育児相談・乳幼児家庭全戸訪問・乳幼児相談・ひとり親相談などをオンラインで実施できるサービス。
※対応事業は自治体により異なります。


※1:「デジタルガバメント実行計画」によるビジョン「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化~」

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