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エンジニアが集中できる環境はどうやって作ったらよいのかーMNTSQの特異的な取り組み
Photo by Jeremy Bishop on Unsplash
1. はじめに
2022/5よりアルゴリズムエンジニアとしてMNTSQ(読:モンテスキュー)に入社した白井佑治です。大学院までは物理を専攻し、修士卒後は製造業研究職、機械学習システム受託開発、直近ではアクセンチュアにてデータ分析を通して企業課題を解決するお手伝いをしてきました。
アクセンチュアでは忙しなく感じる部分もありましたが、会社としての仕組みや体制には学ぶことが多く、MNTSQを紹介いただいた時には幾分迷いました。入社が決まってから数ヶ月ではありますがMNTSQの会社を内外から眺める中で、良い選択であったと感じています。直近の目標は会社にとっても良い選択であったと思ってもらえる働きをすることです。
またこの記事では昨今のエンジニアの職場環境に関する課題に対して、MNTSQのある意味エキセントリックな取り組みが、とてもうまく解決してくれそうだという点についてご説明していこうと思います。
2. データ分析エンジニアとしての疑問と問題意識
この記事の読者は、少なからず現職への不満や将来への希望があって転職先を探していたり、MNTSQという変な社名を耳にしたけど、一体どんな社員が働いているのだろうと思案している方が多いと想像しています。
本記事の目的は、私が既述の職業経験の中で感じていた問題意識の内、多くのITエンジニアやデータ分析エンジニア(所謂、機械学習・AIエンジニア含む)の方々が共感いただくであろう対象について、MNTSQとの関わり合いを通して私自身が見つけた解決への道を紹介しようというものです。
私の職業キャリア序盤では基本的にはクライアントや上司からの天下り要望を受け、必要なデータ定義やモデルの選定やチューニング、結果評価を受けた改善〜レポート化といったサイクルをこなして来ました。
その中で数ヶ月頑張って鍛え抜いた深層学習モデルが、精度100%を保証できない!?けしからん!と決裁決済者のお怒りの一言で潰えたり(DLブーム黎明期の宿命か)、さほど面白くない泥臭いデータ集計やビジネス状況可視化のプロジェクトが想定以上に感謝されたり(素直に嬉しい)、次から次へと現れる特殊な状況のエラー分析と改修に追い回されたり(辛いのでできるだけ避けたい)と言ったデータ分析エンジニアあるあるを体験してきました。
そうした経験を省みるに、上流工程の問題定義や期待値調整からデータ分析者も介入しないことには、このような輪廻を繰り返す羽目になるだろうという問題意識(あるある)を抱え、アクセンチュアに転籍しました。同社では当初の問題意識に対する答えに相当する体験をいくつかできましたし、組織改善も大世帯の割に早急に推進される印象で、職場環境には概ね満足していました。
しかしながら、長くても半年や1、2年のプロジェクト単位の中で、本当に自分の作り上げたモデルやシステムが手元を離れた後に社会の役に立っているのか、顧客に感謝されるまでやり遂げられているかという疑問や反省は続きました。
私個人の疑問は、表現の違いはあれど、大なり小なり多くのデータ分析者やITエンジニアに共感いただけるのではないかと思います。これは本質的に個人レベルの課題と本国に特徴的なIT産業レベルの構造と切り離せないと考えています。
A. ミクロレイヤー(個人レベル)の課題:集中できない職場環境
実はITエンジニアの殆どは「集中」できる環境で働けておらず、能力の半分以下しかパフォームできていない
B. マクロレイヤー(IT産業レベル)の課題:受託開発中心の産業構造
ITベンダーを根幹とした受託開発依存の構造により、IT開発が封建的な世界観で閉じてしまっている
コンサル業を続けながらもこのような課題に対して適応していく必要があると悶々と考えていた折、Linkedinから求人紹介をいただいたのが、MNTSQでした。
以下では上記A,Bの問題感に関連して、MNTSQという会社の特異的な取り組みが、それら課題の解決策になりそうだという論を展開します。
3. MNTSQの特異的な取り組み
A. 日本で働くITエンジニアの個人レベルの課題:集中できない職場環境
かなり飛躍しますが、そもそも「集中」した時間とその質というのは、個々人の最重要レベルの最適化パラメータであると考えています。
そう考えるようになったきっかけは以下の記事に由来します。
出典:【登大遊】天才エンジニアの安寧を求めない生き方「日本で“大義”を持って働く選択は有利」
ここでのポイントは記事にある登大遊氏のみならず、私が今まで出会ってきたハイパフォーマー(大学時代の研究者や社会人経験の中での意味不明なレベルでどえらい成果を出す人)や、安定的に企業や社会に貢献されている方に共通しているのは、とにかく当たり前にすべき事を集中しながら淡々と高速にこなし(グラフ上のフラットな状態)、その結果を適切に積み上げているという共通点があるという点です。(記事中のピークは、寧ろそうじゃない状態=好ましくない状態だよねと理解している)
※極稀にスーパーハイ状態で延々成果を出力し続ける人も観測されているが例外とする
一方で私自身は仕事の状況に伴って、数ヶ月スパンで浮き沈みを繰り返していました(これはしょぼい状態)。それでこの記事を見て間もなく、たまたま見かけた仏僧の草薙龍瞬氏のネットコラム(例えばこれ)を見かけ、上記の仮説が私の中で確信に変わったのでした。
氏の主張の要点を曲解の可能性を恐れず、これまた飛躍しつつもまとめると、ハイパフォーマンスを維持しつつ四苦八苦の輪廻から解脱して過ごしたければ、ハッピーを増やそうと努力するのではなく、穏やかで集中した時間を増やそうぜということです(平均を上げようとするな、分散を平準化せよ)。
話がこってり方向に脱線しつつありますが、集中って人生においてのマスターパラメータなんじゃないのっていうことに幾分でも共感いただくことが目的でして、元のカジュアルな問に戻りましょう。
ITエンジニアが集中できる環境を手にするにはどうすれば良いでしょうか?
ITエンジニアの主要なアウトプットは動くコードであり、その為には対象となるビジネスの課題やサービスの特性、オーガナイザ、システムレベルで細分化されたロール毎のエンジニアとの協業が不可避です。顧客との関係も含めるととても複雑なダイナミクスの中で開発を行う必要があります。ただでさえ技術は日進月歩でキャッチアップも大変なのに、安全性が脅かされ、不安の中で仕事をしたり、人的な軋轢も生まれやすい環境になりがちです。
私がMNTSQでカジュアル面談から始まって役員個々人に至る面談を経る中で感じたことは、こうした問題への理解が非常に深く、また試行錯誤しつつも課題解決に向けた打ち手を継続的に実行し続けている組織だという点です。この人たちはメンバー間で集中できる環境=生産的な環境を全力で作ろうとしていると感じました。
MNTSQの作る集中できる環境について個別に説明するとフォーカスがずれる恐れがあるので、詳細については是非カジュアル面談にご応募頂き、根掘り葉掘り聞いてくださることを期待しますが、主要なものを列挙しますと
1.ドキュメントを元に駆動するオープンでフラットな組織文化
MNTSQでは経営の意思決定から個々人のコミュニケーションまでドキュメントベースで共有することを基本方針としています。経営上の大課題も経営層に秘匿されることなく、時間と空間、各自のドメインや年次を超えて共有されます。このドキュメントを介して校正・修正していく中で、個人の悩みから組織課題までを高速に解決し、自分だけの悩みが蓄積する状態を抑制することに寄与しています。
この経営方針はGitLab社の事例を下敷きにデザインされています。
参考文献:
2.スタートアップは人事のゲーム
これは私個人の理解を通した表現ではあるものの、人事に多くの力を入れています。例えばMNTSQでは全社員が10%の時間を人事業務に割くことを義務付けられています。スタートアップやベンチャー企業、還元すると数十人のチームでは、周囲の協力を乱すメンバーが一人いるだけで壊滅的な影響を受けます。逆にトップパフォーマーは組織のプロダクトやビジネスに多大な貢献をするのみならず、周囲のロールモデルになったり、また外部から同様の人間を惹きつけるものです。
自分たちが納得できる、協業したいと思うメンバーと働くことは安全で集中できる環境に必要不可欠ではないでしょうか?
MNTSQの組織人事の考え方はNetflix社の事例を下敷きに取り込まれています。
参考文献:
3.イシューレイズの責務
MNTSQでは組織の問題もプロダクトの問題もGitHubを介してIssue形式で管理しています。また何か違和感を感じたら息を吐くようにイシューレイズせよという社内法規が存在します。ドキュメントドリブン経営から派生するシステムとも理解していますが、誰もが課題を吐き出せ、意見でき、それを解くことを邪魔されない組織でこそ、各員は目的意識に腹落ちして働くことができるのではないでしょうか
上記は入社1ヶ月の社員から見た主要でユニークなポイントではありますが、ことあるごとに心理的安全性の確保を重要視している記述や発言が見られ、これら法規を維持・管理することはMNTSQ社員にとっての責務になっています。
全プレイヤーが心理的安全性の中で集中できる環境を作り上げること、それに対して各プレイヤーが作り出す継続的なアウトプットの束がMNTSQとそのプロダクトを作るという考え方です。
皆さんにとって、もし今の職場が、その職務や責務に集中できる環境であれば、転職する必要はないかもしれません。そうでないのであれば、MNTSQに興味を持っていただきたいし、カジュアル面談で理解を深めていただくことをお勧めします。
B. マクロレイヤー(IT産業レベル)の課題:受託開発中心の産業構造
もう一つ、日本のITエンジニアのwell-beingを妨げている要因の一つとして挙げられるのが受託中心の産業構造です。
もちろんこの構造だけが害悪であると主張するつもりはありませんが、我々エンジニアがお手本として想像するようなシリコンバレーの有名Tech企業の殆ど(GAFAMをはじめ・・・)は自社で作り上げたプロダクトを展開するユーザー企業であることが多いはずです。ここでは日本もユーザー企業を増やさないとダメなのであるというtoo muchな課題と、その打ち手について議論するつもりはありません。とはいえ日本のIT産業を底上げし環境を改善するために、SaaSであれ基盤ソフトやプロダクトであれ、自社プロダクトを寄ってたかって作り上げる風土に参与することは悪くない選択肢であると思われるのです。理由としては
- 受託開発型では納品して終わりが基本なため、開発されたプロダクトが本当の意味でユーザーに定着し、現場オペレーションの改善に至るまで寄与できていないか不十分になりがち
- またそこでの保守ビジネスはベンダー依存で、あれな商売になりがち
→MNTSQのようなSaaSや自社プロダクト開発では納入してからが本番。継続的にプロダクトをアップデートして行くことは社の存続とイコールなため、高速な改善、活発な議論の中で方向性を定める(イシューを定義し、優先づける)ことが求められる
- 受託開発の納入・実装フェイズでは、積極改善よりも波風立てないことに全力でリソースが割かれやすい
- サービス全体を通して責任主体が曖昧になり、関わるエンジニアもMPが搾取されるだけでExPがたまらない状況に陥りがち
→SaaSでは常に自社プロダクトの改善に向けた打ち手を実行しなくてはいけない。改善のためであればどんどん試行し、結果が悪ければマージしなければ良い。ノウハウの蓄積が重要
以上は仮説ベースの主張で、営業資料のようでもありますが、エンジニアのwell-beingと長期的な成長のために、適切な自社開発プロダクトへの参与は、もっと真剣に考慮されて良い選択肢だと思います。
また、そもそも適切な自社開発プロダクトというのは、経済的にサステナブルなプロダクトであるとほぼ同義です。そこにきて、法務SaaSって何?MNTSQが提供するCRM(Contract Lifecycle Management: 契約ライフサイクル管理)って何?儲かりまっか?という疑問が湧くのは健全ですのでこれについてはAppendixに付記します。(アルゴリズムエンジニア向けにもなぜMNTSQで自然言語処理をするのが楽しいのか理解いただけるかもしれません)
4. まとめ
まとめになりますが、エンジニアの働く環境として、MNTSQの提供する環境はとても特異的で、魅力的な選択肢になるのではと思います。
魅力的なことばかりを記述しましたが、会社としてはみんなで組織改善、プロダクト改善に向けて発展途上ですので、あなたのIssueやプルリクが会社の未来を常に変えていく状況です。アルゴリズムエンジニアにとっては自然言語処理技術をベースに改善すべきタスクは増え続けていますし、既存のモデルでさえ常に更新していく必要があります。さらにそれを支えるアノテーションデータの生成も日夜効率化、改善していく必要がありますし、エンジニアだけでなくリーガルドメインの知識も必要不可欠な状況です。
また詳細を省いた飛躍した記述になっている為、本記事の読者におかれましては、是非とも気軽にコンタクトいただき、合否もないカジュアル面談にご応募いただければと思います!
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AppendixーMNTSQのプロダクトの特徴
多くのエンジニアにとって法務との関わりは必ずしも日常的で自明ではないと思いますのでMNTSQの提供しようとするビジネスの価値は想像し難いのではないかと思います。
これについて、まずMNTSQのVisionは至ってシンプルに、
全ての合意をフェアにする
というものです。
ここでいう合意ないし契約とは以下の図を参照いただくとわかるように、大小の企業やコンシューマの間で形成される関係の数だけ生成しうるものです。
※緑エッジがMNTSQのビジネスがカバーしようとする合意=契約
不勉強な私はこれら関係の間で結ばれる契約は形式的なものが殆どを占めており、最終的には法律によって上位規定されており、問題が起こった時は法廷にて法に基づいた判断がなされるという誤解したイメージを持っていました。
CEOの板谷から説明されて把握した正しい描写は、これら私人間の合意=契約間においては根源的に私的自治の原則が適用され、全ての合意は口約束口頭であれ書面に顕されたものであれ、契約によってその内容が規定されるということでした。
日本全国では年間でおよそ130万件もの民事裁判が発生しており、一度の紛争で、10兆円規模の賠償義務が発生した事例もあります。
日本中で無数に生成される契約を、条項単位で最適化する(=フェアにする)というVisionがもつ社会的インパクトを想像いただけると思いますし、フェアな契約の締結のために名だたる弁護士ファームが存在し、在籍する弁護士が、日夜高額な時給チャージでそれらを補佐している社会的実態と経済構造もまた理解いただけると思います。
また伝統的な法務業界は保守的でシステムレベルでの最適化をまさに更新している状況にある一方で、深層学習を契機として、自然言語処理の技術的到達レベルはここ数年で急激に発展し続けています。昨今の状況はまさに惑星直列の好機です。手前味噌ではありますが、そこにきて日本のトップファームである長島・大野・常松法律事務所の人的・資源的な後ろ盾で戦えるMNTSQのポジションは、相対的にもユニークで強力なものだと感じています。