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リーガルテックをつくるパラリーガル

 みなさまはじめまして。
 MNTSQ株式会社の第一号従業員の今泉 貴嗣(たかつぐ)と申します。
 職種は「パラリーガル」ですが、一般的な法律事務所職員とはかなり異なる仕事をしています。
 本稿は入社エントリーということで、

(1)私の簡単な来歴と、MNTSQに入社した経緯
(2)パラリーガルがリーガルテックで働く魅力
(3)個人的にチャレンジしたいこと

 の三本立てでお送りします。

来歴・入社の経緯

 私は政治学研究科で行政法の研究をしていました。主に、アメリカ行政手続法(APA)、地方自治、教育法、防衛法制などをテーマに試行錯誤をしていました。しかし、なかなか自分の納得のいく修論が書けず、また私の在学中がちょうど大学・大学院が変容を遂げ始めていた時期で、大学の先行きに不安を感じてきたこともあり、研究者の道を諦めることにしました。
 公共政策には興味があったので、国家総合職の官庁訪問や、国会職員(衆・参議院法制局、国会図書館)などを受けてみましたが、いずれも最終面接で不合格となり、はれてフリーターとなりました。仕方ないので、病院の夜勤や、個別指導塾の塾講師などをやりつつ就職先を探していたところ、ある法律会計事務所に拾って頂きました。
 その事務所は、15人程度の規模ながら、弁護士、公認会計士、司法書士、税理士、行政書士、社会保険労務士の有資格者が揃っており、全ての法律・会計・税務・労務案件をワンストップでこなすタイプの事務所で、私はパラリーガル&経理担当として極めて多様な業務を体験させていただきました。

【ロークラーク業務】
① 法律事務全般
② 判例調査・事実調査
③ 登記申請書の作成(不動産・商業)
④ 契約書作成
⑤ 契約書の一次レビュー
⑥ リーガルコンサルタント報告書草稿作成
【会計業務・税務補助】
① 月次処理・決算処理
② 会計コンサルタント(決算予測、役員報酬の決定アドバイス)
③ 確定申告処理
④ 各種租税申告書作成(所得税、法人税・地方税、消費税)
【横断的業務】
① 相続税申告・コンサルタント業務
② 事業承継税制・コンサルタント業務
③ M&A 法務デューデリジェンス
④ 株主総会対応(招集通知作成、シナリオ作成等)
⑤ 危機管理(緊急対応等)

 ここで得た経験・知識・実務感覚は、MNTSQにおいても非常に役に立っています。
 事務所に入るまで法律学は行政法と憲法くらいしかまともに勉強したことがなかったのですが(法学部卒ではないので民法総論くらいしか講義を聞いたことがない)、色々できるようになりたい一心で、入所してすぐ簿記二級を取得し、民事・刑事科目の勉強を始めました。
 しかし、2018年10月頃から心身ともに体調を崩し、2019年2月頃には出勤もできず休職状態になっていました。(前職には本当にご迷惑をかけたのに心配してくださり、無断欠勤が続いた私を慰留してくださいました。感謝と申し訳ない気持ちでいっぱいです)。
 そんな鬱屈した人生を送っていたとき、「新しくリーガルテックの会社立ち上げたから手伝ってくれない?」と誘ってくれたのが、設立登記したばかりのMNTSQの堅山耀太郎さんでした。
 その後、業務委託や契約社員を経て、2019年6月に正社員としてjoinしました。
 私としては、一緒に数か月働いていて、(私が言うまでもなく)役員全員が極めて優秀な方々で、「このメンバーなら絶対成功する」という確信がありましたし、私もぜひこの人たちとリーガルテック業界に革命を起こしたいと思ったので、逡巡はありませんでした。

リーガルテックの魅力① R&Dに従事するパラリーガル

 私の名刺には「パラリーガル」と書いてありますが、具体的には機械学習による実装チームのためのデータセットを作成するのが私の主な仕事です。
 例えば、

〇〇株式会社(以下甲とする)と△△株式会社(以下乙とする)とは、下記の通り業務委託契約を締結する。

 と書かれた契約書があったとき、〇〇株式会社と△△株式会社とは契約当事者ですが、機械学習を回すためには、〇〇株式会社と△△株式会社が「契約当事者である」ことをまず人力で教育する必要があります。機械学習では「アノテーション」と呼ばれる作業です。

 上記は極めて簡単な基本情報の例ですが、契約書の中には、解釈が割れるようなものもあります。
 具体的には、書きぶりが微妙であったり、契約を巡る前後の文脈がなければ判断できなかったり、そもそもアノテーション基準が曖昧になっているものがあります。
 その際には、「なぜその区別が必要なのか(プロダクトの目的に遡って考える)」「機械学習で区別できるレベルの問題か」「マニュアル自体を変更する必要があるのではないか」「そもそも別のメタデータとして問題を分離した方がいいのではないか」と喧々諤々の議論が行われます。条文をつぶさに検討することによって、現在流通している契約書に対する解像度が上がり、既存の契約書の問題点を図らずも浮かび上がらせることにもなります。
 また、機械に嘘や忖度は通用しないので、実務上危険とされている条項、たとえば現在我々の提供している法務DDプロダクトにおいては、COC条項(Change of Control)と言えるのはどこまでかという問題を真剣に解かなければいけません。COCというのは条文上・講学上定義のない実務上の概念ですから、いままでは人によって少しずつ判断基準がずれていた可能性を否定できません。(特にデータの少ない創業初期の現在においては)契約書を自然言語処理に落とし込む前提として「完全に一致した基準によるアノテーション」を必要とするがゆえに、「COCの本質は何か」という問いにぶち当たるわけです。

 こうした「誰も解いたことがない未知の問題」をうまく解くには、法律学に対するそれなりの造詣が必要です。そして、これらの問題を解き、機械学習チームの力を借りて予測器をモデル化し、実際の検出精度が上がる瞬間は非常に嬉しいものです。

リーガルテックの魅力② 未知との遭遇

 MNTSQと業務委託を始めたとき、まず困ったのはSlackとGitHubの使い方でした。
 法律家・法務従事者は基本的にMicrosoft WordとOutlookとInternet Explorerと電話以外のアプリケーションを使うことがないので、軽いカルチャーショックを受けましたが、すぐに慣れました。最近はメモも全部markdownで書いています。
 …などと言っていますが、弊所の弁護士・パラリーガルは全員十数行しかないメモをwordで書いてslackに添付ファイルをpostした経験があるので、あまり大きな口を叩くことができません。この件は「そのままslackに書けばいいでしょwwなんでそんな無駄なことするの?ww」とエンジニアサイドの失笑を買い、いまだにネタにされています。文明の衝突です。もっとも、大抵のエンジニアも「根抵当」が読めないので、どっこいどっこいです。

 さて、リーガルテック企業の極めて重要な組織上の特色は、法律しかやってこなかった人たちとエンジニアしかやってこなかった人たちが一つのチームを作ってプロダクトを作るという点に尽きます。
 普通に会話すると、言語野が違いすぎるので、お互いが何を言っているのかわからず、コミュニケーションが成立しません。エンジニアがmecabだのTF-IDFだのword2vecだのと言ってもリーガルチームはちんぷんかんぷんになりますし、リーガルチームはリーガルチームで「事業譲渡と事業の譲渡は意味が違うんだ!」「行政行為と行政の行為は全然意味が違う!」などと意味不明なことを言い、エンジニアを混乱させます。
 そのため、よいチームにするためには、お互いを理解しようとする姿勢とコミュニケーション能力が重要になります。ここでいうコミュニケーション能力とは、「相手に正確かつわかりやすく物事や問題意識を伝える力」であって、陽キャであることではありません。
 たとえば、条項構造の分析にあたっては、そもそも「条」「項」「号」とはどういうものなのかについてエンジニアチームと共有をします。他方、リーガルチームはモデルの精度を比較するための概念(precision、recall、F-measure等)や、必要な前処理などを教えてもらいます。また、エンジニアが実装したモデルをプレゼンして、リーガルチームが多くの契約書を見てきた経験則や法律知識からコメントすることもあります。私も、気付いたらGUI実装前の新機能の挙動をswaggerでAPI叩いてQAする人になっていました。もちろん、これらはほんの数例に過ぎません。

 法務従事者は基本的に依頼者を除けば法律家としか仕事しないのが一般的だと思われますが、リーガルテックには刺激的な未知との遭遇があります。

個人的なチャレンジ

 仕事との関係では、法律サイドとエンジニアサイドの橋渡しができるような人物になりたいと思っています。エンジニアの問題意識を共有し、これを解決するためにはどうすればいいかということを、同じ水準で考えられるリーガルパーソンが目標です。
 直接はあまり関係ないかもしれませんが、IT全般に対するリテラシーを高めるため、IPAの試験を受けたりしています。

 また、法律能力を高め、あわよくば法曹資格が欲しいという下心から、去年より予備試験にチャレンジしていますが、毎回論文式試験で落ちてしまうので次こそは突破したいという思いがあります。仕事の合間にちまちま勉強しています。

 MNTSQは社員のスキル向上welcomeな社風なので、リーガルテックやITに興味があり、かつ自分の法律能力も高めたいという方にはすばらしい会社だと思います。

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