「新しいサービスをゼロから作り上げ、世の中に提供したい」
―― そんな情熱を胸に、新卒でマイクロアドに入社し、入社4年目から新規事業領域に飛び込んだ陶山尚季さん。
エンジニアとしての専門性を追求しながら、ビジネスの最前線で「事業創り」を体現してきた4年間は、彼に何をもたらしたのでしょうか。今回は、新卒4年目にして新規プロダクト「URMS」のプロダクトマネジメントグループのリーダーを務める陶山さんの、挑戦と成長の日々を深掘りします。
なぜ、マイクロアドの「新規事業」でキャリアをスタートしたのか?
長崎大学の工学部情報工学コースで、情報系の分野を専門に学んでいた陶山さん。就職活動では、当初バックエンドエンジニアとして働ける企業を幅広く見ていたといいます。そんな中で彼の転機となったのは、アドテク企業との出会いでした。
リアルタイムで広告をオークション形式で配信する「RTB(Real-Time Bidding)」という仕組みや、0.1秒で広告を返す技術的なハードルの高さ、そしてそれが広告効果に直結する面白さに惹かれました。そこからはDSPやSSPを持っている企業に絞って受けるようになりましたね。
数あるアドテク企業の中で、マイクロアドを選んだ決め手は何だったのでしょうか?
アドテクのトップランナーとして、マイクロアドを志望群として見ていました。その中でもマイクロアドは、話を聞くうちに「挑戦」や「チャレンジ」といった文化を強く感じたんです。僕自身、新しいアプリをゼロから作ったり、サービスを立ち上げたりしたいという気持ちが強かったので、マイクロアドならそれができるかもしれないと思い、入社を決めました。
入社から4年が経ちますが、最初の頃はどのような業務を担当されていたんですか?
入社当初はシステム部の「UNIVERSE Ads」という配信サーバーの保守開発チームに配属され、Scalaを使ってターゲティング開発や新規SSP接続、不具合修正などを行っていました。入社してから部署の体制が2回変わっていて、まさに会社の変化を肌で感じながら仕事をしてきた4年間ですね。
未経験から「“未来の事業”を形にする」日々 – 成長を加速する環境
現在、陶山さんが所属されているのは「システム開発部 新規プロダクト開発ユニット」。新規事業にアサインされたのはカンパニー制になった去年の4月からだと語ります。もともと新しいことに挑戦したいという思いがあった中で、実際に新規事業の現場に飛び込んでみてどうでしたか?
かなりギャップはありましたね(笑)。僕はエンジニアだからプログラミングだけをやるものだと思い込んでいたのですが、営業さんと一緒にアポに同行したり、売上や事業戦略に関わったりと、想像していた業務内容とは全然違いました。
エンジニアでありながら、ビジネスサイドにも深く関わるんですね。現在の新規プロダクト開発ユニットは、具体的にどのようなミッションを担っているのでしょうか?
新規プロダクト開発ユニットは開発部なので、僕の主務は「ダイレクトマーケティング部のプロダクトマネジメントグループ」にあります。主なミッションとしては、New Cellカンパニーの売上を最大化させるための開発リソースとして動くことです。また、ディレクター的な役割もあり、開発やプロダクトの方向性を決定する部分も担っています。僕が担当している「URMS(アームス)」というリテールメディアプロダクト(※)の売上を最大化させるためのプロダクト作りが大きなミッションです。
(※ リテールメディアプロダクト:小売企業が自社で保有する顧客データや媒体(ECサイト、アプリ、実店舗のデジタルサイネージなど)を活用し、メーカーなどの広告主に対して提供する広告プラットフォーム、およびその上で提供される広告サービスやソリューション)
新規事業の立ち上げを肌で感じられるオンボーディングだったのですね。特に印象に残っていることはありますか?
最初は不安が大きかったですね。部署が立ち上がったばかりで、同期の営業と二人で「事業戦略を作ってこい」と上司に言われたんです。しかも、当時僕は「一生プログラミングをしていくんだ」と思っていたので、まさか事業戦略や売上目標を立てるとは思ってもいませんでした。正直、これが本当に実現できるのか、仕事内容も未知すぎて不安だらけでした。
途方もないところからスタートしたんですね。実際に、営業と一緒に事業立ち上げを進める中で、どのようにプロセスを進めていったのですか?
まずは「1億円の売上を作るためには、メディアを増やさないと」というところから始まりました。最初はWebだけだと顧客が少ないので、アプリも対象にしようと。そこで、サンクスページアドを配信できるiOS・Android向けのSDK開発(※)を行うことにしました。社内にはiOSアプリやSDK開発の経験者がいなかったため、業務委託でiOSエンジニアを探し、面談して、予算を申請して…というところから始めました。8月リリースを目標に5月頃から取り組んで、無事にリリースできました。
(※ SDK開発:マイクロアドの広告配信システムを、ECサイトなどのモバイルアプリに組み込むためのソフトウェアの開発。これにより、Webだけでなくアプリ経由でも「サンクスページアド」を配信できるようになります。)
それはもう、中小企業の社長さんのようなお仕事ですね!リリースできた時の感想はどうでしたか?
最初からハードル高めなことに挑戦できたので、自信がつきましたね。今後も技術的なハードルが出てくる可能性はあると思っていましたが、人を巻き込むこともできるし、実現可能なことであれば開発を続けられるだろうと。
エンジニアとして、若手のうちから裁量を持って取り組んだ経験が大きな自信になったのですね。iOS SDKのリリース後、1億円の売上目標達成に向けては、どのような動きをされたのですか?
iOS SDKを開発したので、Android版も開発しました。あとは、広告効果を上げるための開発ですね。
特に大きかったのが、リテールメディアにおけるデータ活用の部分です。リテールメディアは、ECサイトなどの小売メディアのことで、ユーザーがログインして買い物をするので、メディアがファーストパーティーデータ(1st Party Data)を直接持っているんです。性別や年齢といったデモグラフィック情報ですね。これを広告ターゲティングに活用するのですが、リクエストのデモグラデータをマスクしたいという要望がありまして。そこで、デモグラ情報をリクエストで送ってもらう際に暗号化をかけて、受け取った側で復号化して処理できる「KV情報(Key-Value情報)の暗号化」という機能を開発しました。これを開発したことで、1st Party Dataの連携ができるメディアが増え、効果改善に繋がりました。
データと顧客ニーズをつなぐ「新卒エンジニアの”事業創り”」
営業の方とも密接に関わりながら、新規事業を進めていらっしゃる陶山さん。新規事業を通して、ビジネス視点というところも大きく増えていったのではないでしょうか。新規事業部に入って、一番大きな収穫だと感じていることは何ですか?
やはり、事業というものに対する解像度が上がったことですね。リテールメディアに限らず、営業がどうやって案件を獲得してくるのか、契約書の話や支払い請求といった業務まで、事業全体の流れを理解できるようになりました。これは、社会人として大きく成長できた部分だと感じています。
陶山さんが新規事業に臨むにあたって、マイクロアドからのフォローはありましたか?
上司や先輩、特に役員の角谷さん(※)からは手厚くフォローしてもらっています。特に大きかったのは、売れるネット社の役員だった藤田さんが自分の部署にジョインされたことです。藤田さんのジョインをきっかけに、URMSが黒字化したんです。
藤田さんはクリエイティブ、特にサンクスページアドのデザインやクリック率を上げるためのノウハウを豊富にお持ちで、それを教えていただくことで、広告効果が劇的に改善されました。また、藤田さんのこれまでの人脈からお客様が増え、案件数が大きく伸びたことも大きかったです。角谷さんが連れてきてくださった方なのですが、本当に助けられましたね。
(※ 常務執行役員:角谷/https://careerpark-agent.jp/interview/228-2)
マイクロアドで描く「”事業創り”を担うエンジニアとしての未来」
新規事業という点を抜きにしても、マイクロアドで働いてきて、「ここがいいな」と思う点はありますか?
やはり、若手にチャレンジの機会をものすごく与えてもらえる点ですね。僕自身、「やりたい」と言うようにはしているのですが、これまで任せてもらった仕事の中には「この仕事ができてよかった」と思えることがたくさんありました。新規アプリの開発や今のリテールメディア、最近だと次世代ボードなど、若い世代を引き上げてくれる文化があるのは本当に良いなと感じています。
ご自身のキャリアパスについては、どのように考えていますか?
エンジニア出身の事業責任者を目指していきたいです。エンジニア出身という強みを活かして、プロダクトも深く見られる事業責任者になりたいと思っています。
「プロダクトも深く見られる事業責任者」という、エンジニアとしての専門性と事業全体を俯瞰する視点を兼ね備えたキャリアパスは、まさにマイクロアドでの経験が培ったものでしょう。
ところで、陶山さんの休日は、どのように過ごされているのですか?
友人とルームシェアをしているのですが、休日はバスケをするか、ポケモンカードで遊ぶか、お酒を飲むかのどれかですね(笑)。この3つで大体回っています。
アクティブな陶山さん。こちらは旅行に行った時のお写真だそうです。
編集後記
「新しいサービスをゼロから作り上げ、世の中に提供したい」という熱い思いを胸に、新卒でマイクロアドの新規事業領域に飛び込んだ陶山尚季さん。エンジニアでありながら、ビジネスの最前線で事業戦略から顧客との折衝まで、幅広い経験を積んできた4年間は、まさに「事業創り」を体現するものでした。時に「途方もない」と感じるような困難にも直面しながら、それを乗り越えるたびに得られる達成感と、自身の技術が事業の成長に直結する喜びが、陶山さんの原動力となっています。
若手に大きな裁量と挑戦の機会を与えるマイクロアドの文化が、陶山さんの成長を加速させていることは間違いありません。エンジニアとしての専門性とビジネス視点を兼ね備えた、次世代の事業責任者を目指す陶山さんの挑戦は、これからも続きます。